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金沢ミステリ倶楽部

金沢ミステリ倶楽部の公式ブログ。

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第37回例会「仮面舞踏会」読書会

2024年06月19日 19時00分43秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第37回例会は2011年8月20日、参加者は14名で『仮面舞踏会』(栗本薫)の合評でした。
ある意味メジャーであり、且つマニアックな栗本薫のミステリ。これは、現在のネット社会について当時としてはかなり早く取り上げた作品であり、伊集院大介という名探偵を知っていただくにはちょうどいい作品。
栗本女史は謎解きや理論よりも、その文体や雰囲気を中心に描いていました。したがって、本格好きな方にはかなり不満の残る作品であったかもしれません。しかしながら、広義のミステリとしては、伊集院大介という絶対的な名探偵が解決していく過程を見るのは、まるで水戸黄門(笑)を見ているようで、大変に心惹かれる作品だと思うのは私だけだったでしょうか。後味はともかくとして。
「パソコンの2chをみている。人の悪口しかない。あまりいい印象がない。この話は有りうると思う。伊集院大介の博識はすごい。
「久しぶりに読んだ。パソコン通信の初期の雰囲気がいい。ヲタク自身から自分の事を書いているのがむずがゆい。この事件はどう収束するのだろうと感じた。大介のイメージは秀才でひょろっとしたイメージ。稔クンからのイメージは感情が爆発するような感じをうけた」
「チャットは楽しいけどやめられます。やめた方がいいです。大介は普通の探偵の感じがした。ぶっちゃけ解説がウザイ」
「この作品は初めて読んだ。ヲタクという表現。チャットの速度感を感じていた。昔は「相手は誰だろう」という外へ向かう感情でネットをしていたのだが、いまは「私は○○です」と内向きの感じでネットが進んでいる。歌野正午「密室殺人ゲーム」など現実とネットの二重構造を書いた作品もある」
「二人のヲタクの会話でつまずいたしかし夫は伊集院大介に感心した」
「ヲタクの人たちはまめなんだろうか?言葉だけで事件が解決してしまった。言葉のマジックをみているようだ」
「空想と現実の区別がつかない状況での殺人。いまよくある犯罪だといえばそうかも。一人しか殺されないので、そういう意味でも姫はいったいどうなったのか。つかみどころのない感じがする」
「読んだのは二回目。どうして稔君はダフネがいいとおもったのかな?ちょっとおかしい人を感じたのか?ぶっちゃけ何この気味悪いヲタク!と感じた。なんだろう?この世界は。主人公とか周りの人が伊集院を讃えるのは栗本の手法か」
「絶版で手に入れられず読めなかった。みんなの話を聞いて読みたくなった」
「栗本さんのミステリは初めてかも。パソコン通信とはなんぞや。フロッピーディスクにデータを落とした時点でついてはいけないかも。伊集院はネットの状況だけでいろいろと決めつけていいのか?黒幕が○○として、主人公がその決着をつけないままなのはいかがなものか」
「栗本は『天狼星』でやめた。チャットで相手に感情移入してしまう。自分が手を下さずに殺人というのは面白い。チャットで皆を集めて「さて」と言い」
「解決していないと思う。伏線が貼られていたはずなのに多くがそのまま残されている。ダフネさんは途中から別人のようになっている。別人オチかと思ったらそうではなかった。心理分析をされる手管がちょっと苦手。ロジックやトリックを解いて欲しい」
「あんまり説得力がなかった。どろどろしたものも好きじゃない。ミステリなんだから、証拠とかなんとかあって解決だと思うけれど、よくわからないまま終わった」
伊集院シリーズはそのほとんどが本格ではありません。また人間の暗いところを描くものがほとんどです。つまり、現実に起こりうるかもしれない事件を書いているのかもしれません。現実の殺人はその全てが暗く、後味が悪いものです。西洋のミステリ、特に本格ものは非現実な世界を描き、社会派は警察組織を、あるいは犯罪組織を描いてきました。伊集院は我々にだって起こるかもしれない、日常の事件を見せてくれているのかもしれません。

◆近況報告
読んだ本『メルカトルはかく語りき』(麻耶雄嵩)『赤朽葉家の伝説』(桜庭一樹)『ララピポ』(奥田英朗)『クビシメロマンティスト』(西尾維新)『モテモテへの道』(石原壮一郎)『粘膜人間』(飴村行)『セレヌンティウスの舟』(石持浅海)『ラットマン』(道尾秀介)『スウェーデン館の謎』(有栖川有栖)『中庭の出来事』(恩田陸)『鈴宮ハルヒ』『銀杏坂』(松尾由美)『映アムリタ』(野崎まど)『貴族探偵』(麻耶雄嵩)『インシテミル』『ボトルネック』(米澤穂信)『追想五断章』『アナザー』(綾辻行人)『切り裂きジャック百年の孤独』(島田荘司)『横浜異人館殺人事件』(斎藤栄)『13番目のペルソナ』(貴志祐介)『インザブルー』『ララピポ』(奥田英朗)『46番目の密室』(有栖川有栖)『遠野物語』(柳田国男)『メルカトルはかく語りき』(麻耶雄嵩)『顔のない町』『鬼面の研究』(栗本薫)『ユリゴコロ』(沼田まほかる)『本格小説』(水村美苗)『推定少女』(桜庭一樹)『破線のマリス』『砦なき者』(野沢尚)『ルームメイト』(今邑彩)『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉)『闇に消えた怪人』(一橋文哉)『二流小説家』(デイヴィッド・ゴードン)
映画「エアベンダー」「BECK」「メアリー&マックス」「ミスターノーボディ」「ミス・ポター」「ぼくのエリー」「アメリ」
アニメ『コブラ』全13話、「No.6」
テレビ「未解決事件」「総合診療医ドクターG」「推理の館」「未解決事件」
ドラマ「探偵X」「名探偵コナン実写版」「探偵X」「コールドゲームファイナル」「CSI10」
マンガ「進撃の巨人」「ヒストリエ」全巻『ガラスの仮面』「大奥」「進撃の巨人」「レスピカ」「手塚治虫全集 ユニコ」

第36回例会「本陣殺人事件」鑑賞

2024年06月18日 19時00分43秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第36回例会は2011年7月16日、参加者は10名でATG製作の「本陣殺人事件」を観ました。1975年の映画で、中尾彬が金田一耕助を演じています。監督は高林陽一です。
「こんなファッションの金田一なんだと思った。トリックを映像で見るとわかりやすかった。琴爪で指紋が残っていてすぐわかるだろう。切った手で何をしたのか?」
「わかってからひっぱるひっぱる。解決してから30分ほど続く」
「原作を2年前に読んだが、全く覚えていなかった。犯人もトリックも。原作に忠実なんですね」
「スマートな金田一だった。三郎が背中を切ったのをどうやったのか、何度読んでもわからない。指紋でばれそう。横溝正史で機械密室物はこれくらいだと思う。面白いし珍しい。映画ひっぱりすぎ」
「懐かしい感じ。金田一は石坂、古谷のイメージがあった。それらは生首が飛び出すなどビックリさせる演出だったが、「本陣」はおとなしめだった。すーちゃんの顔が一番恐かった」
「角川映画のイメージが強く、作り方が違う。原作を読んでいまいちトリックがわからなかったが、映像で見るとわかった。ただむずかしくて、ちょっと何かがうまくいかないとうまくいかないトリックだと思った。三郎が喜々として手伝っているのが不自然。小説から省略されているからか」
「原作、視覚的に見るとよくわかった。やはりすーちゃんが恐かった。三郎の本棚が原作を読んで期待して見たが、普通の本棚だった」
「はじめて見た。中尾彬が若い。小説は時間の制約がないが、映画は時間の制約があるので、省略されているのはしかたない。映像の宿命。映画としてがんばっていた。スタッフが原作に惚れて作ったという感じ」
「原作は長編というより長めの中編なので、よく引き延ばせたと思う。ドラマ化したら1時間くらいになりそう。機械的トリックは映像化すると面白い。映画であまり「殺人事件」というのはないので「本陣殺人事件」というタイトルが映画らしくない。「三本指の男」の方が映画らしいタイトルだ」
「昔劇場で観た時、入場するとちょうどトリック解明部分でビックリした。機械トリックは映像で見ると面白い。「斜め屋敷」も映画化してほしい」


第35回例会『毒入りチョコレート事件』読書会

2024年06月17日 19時52分11秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第35回例会は2011年6月18日、参加者は14名で『毒入りチョコレート事件』(アントニ・バークリー)を合評しました。
「34年ほど前に購入して読んだが、内容を忘れていて再読した。わかりづらい。読みづらい。最初の100ページ難航した。バークリーは昔『毒チョコ』くらいしか訳されていなくて、それを読んで「つまらない作家」だと思っていた。しかし最近バタバタ翻訳され、見直されてきた。『絹靴下殺人事件』はシェリンガムが活躍するミステリで、CSIのドラマにしてもいいくらいストーリー展開も速い。バークリーは面白いと思った。『毒チョコ』の6人6通りの解決というのは、必ずこれという真相ではないので、面白い」
「最初なかなか入っていけなかった。推理に入るといろんな展開があり、楽しめた。イギリスは紳士淑女だが、意外な裏が暴かれていくのに惹きつけられた。6人の推理を表にしないとと思ったら、(略)」
「外国の翻訳物をあまり読まないので、頭に入らなかった。1人1人の推理が面白く、まさかの結末だった。もう何年かしてもう1回読みたい。バークリーの違う作品も読んでみたい」
「外国人の名前が難しい。ダマーズがかっこいいと思った。いつの時代でも「男はしょうもない、女はこわい」と感じた」
「「偶然は裁く」を先に読んでいた。その短編の解答のままで良いと思う。昔『金田一さん、あなたの推理は間違いだらけ』というあら探しの本がヒットしたが、視点を変えるとこんな解答、あんな解答が出てくるというのが面白いと思った。しかしやはり短編の方がすっきりする、と思う。しかし『毒チョコ』のラストが(略)」
「1回目読んだ時はそんなに真新しいとは思わなかった。『ジャンピングジェニー』を読んで、シェリンガムのあまりにも探偵らしくない行動に、どうかしてると思った。その後『毒チョコ』の2回目を読むと、やはりシェリンガム、へんだと思った。実在の犯罪事件を取り入れているので、細かい注釈があったらいいと思った」
「ミステリを書く時、解決を決めて、手掛かりを用意して、どう論理展開させ、説得力を持たせるかと考えるが、『毒チョコ』はあまり説得力がなかった。そのわりにまわりがそうだと納得するのが笑えた。ブラッドレーの推理が面白かった。最初に手掛かりがかいてあれば良かった」
「外国人の人物がわからない。息抜きしないと読めなかった。探偵が「これだけ楽しませてくれた犯人に乾杯」と言うが、頭おかしいと思った。登場人物達が何か言われるとすぐカチンと来るので、心が狭い、人間的に小さいと思った。実際の犯罪事件の犯人に喩えた文が出てくるがわからなかった」
「新しい手掛かりが次々出てくる。『聯愁殺』(西澤保彦)もそんな感じだが、最後は違った」
「バークリーは初めて読んだが、複雑ですぐついていけなかった。犯罪研究会の人が自分が犯人だという推理が面白かった。犯人はどうなったのかと思った」
「ロジャーの立ち位置がわからない。手掛かりが少ない。スピーチ口調で書かれているのでわかりにくい。結局犯人は誰か、謎とは何なのかを書いている」
「特定のクラブを作って所属するのは外国でよくある。メンバーを互いに批判しながらいる。こういう終わり方は余韻があって、1930~40年代当時いくつかの作品にも見られる」
「『ピカデリーの殺人』でチタウィックが解決してと書かれているので、ブランドなどの別解答は書かれているが、この結末がバークリーの意図した結末。『第二の銃声』にダマースの名前が出てきて、ブラッドレーは登場する。『毒チョコ』だけ読むと、シェリンガムのことがよくわからないが、他の作品を読めばシェリンガムはバークリーの作った名探偵ならぬ迷探偵であることがわかる。それまでのミステリでは神のごとき名探偵が手かがりを元に事件を解決するが、それが本当に唯一の正解なのか?ということから生まれた多重解決(推理)ミステリの先駆的な作品で最近のミステリ(たとえば古野まほろ)に対しての影響が大きい。
『毒入りチョコレート事件』はもしかしたらバークリーの最初に読むべきミステリではないかもしれません。基本的に出版された順番に読むと、シェリンガムの名(迷)探偵ぶりと、バークリーの考え抜いたプロットのミステリを楽しめます。バークリーは探偵小説を書きながら、その中で探偵小説の批判をしたと言えます。『毒チョコ』以外の作品では、シェリンガムは自分の推理を仲間とディスカッションしながら(読者に包み隠さず)推理していくので、必然的に多重推理になってくるのだと思います。是非他の作品も読んでみて下さい。個人的には特に『ジャンピングジェニー』を」

◆近況報告
『毒入りチョコレート事件』『絹靴下殺人事件』「偶然の審判」(バークリー) 『殺人の棋譜』(斎藤栄)『回廊亭殺人事件』(東野圭吾)『なぜ絵版師に頼まなかったのか』(北森鴻)『QED九段坂の春』(高田崇史)『スティーブン・キングの小説作法』『少女たちの羅針盤』(水生大海)『ジャンピングジェニー』『アライバル』(ショーン・タン)『神のロジック人間のマジック』(西澤保彦)『さよならドビュッシー』(中山七里)『インシテミル』(米澤穂信)『下妻物語』『ぼくのメジャースプーン』『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのクジラ』『ゼロハチゼロナナ』舞城王太郎『煙か土か食い物か』『世界は密室でできている。』『レベッカ』(デュ・モーリア)『孤虫症』(真梨幸子)『聖地巡礼』 『ドグラマグラ』『古書修復の愉しみ』(ウィルコックス)
ドラマ「CSI」「遺留捜査」「11文字の殺人」「ブルータスの心臓」「BOSS」「刑事コロンボ」「CSI」「CSINY」
映画「ブラックスワン」「ブルーバレンタイン」「ミレニアム」1~3と「ミレニアム真実の裏側」「ブーリン家の姉妹」
マンガ「冷凍庫探偵」「名探偵音野順の事件簿」「ケン1探偵長」(手塚治虫)「JOJO スティール・ボール・ラン」
ゲーム「トレジャーリポート」
アニメ「化物語」


第34回例会「とむらい機関車」読書会

2024年06月16日 19時09分14秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第34回例会は2011年5月21日、参加者は12名で「とむらい機関車」(大阪圭吉)の合評でした。 作品は戦前本格作品ですが、現在の新本格物とは違い、話し言葉主体の作品ではなく、いわゆる説明文が多いのが特徴の作品です。
「初めて読む作家の作品。何故、機関車に轢かせて豚を殺すのかという謎から始まって、最後の落ちに意外性があり、探偵役の戸山助役の謎ときの過程も面白かった」
「読みやすかった。キャラクターも無理が無くわかりやすいので、話の展開も無理がなかった。作者が鉄道マニアということもあり、リアリテイーがあっていい。70年以上前の作品という古さは感じなかった」
「しっかりした話の構成だった。構成としては、江戸川乱歩や、横溝正史の「鬼火」にあるような、実はこんな話があって、不思議な殺人の死体がでて、ある程度条件をふっておいて、(略)」
「作品は古いが、現代表記でるびもふってあり読みやすい。謎の提示も、死体の描写(機関車に轢かれた豚や、人間の死体の描写など)もしっかりかかれていた。奥の障子から覗く犯人役の女性が、エロチックだと表現しておきながら、陰気な親子だとも書いてあり矛盾した表現になっていたのが気になった」
「読んでいて、懐かしさを感じた。これがCSIだったら、死体の破片ひとつひとつを拾いあげて、死体現場に番号札をおいて調べるだろうが、そんな時代と違う古きよき時代のミステリーというものを感じた」
「漢字が難しかった(みもちおんな=妊婦)。作者が電車好きなのがよくわかった作品。金田一耕助の作品のような情景が浮かぶ作品(実際もほぼ近い年代の作品です)。読みやすかった」
「70年以上前の作品というが、そんな古いものとは思わなかった。残酷なバラバラ死体や肉片のシーンは怖かった。親子の関係や描写もよく書かれていた。また、他の作品も読んでみたい」
「この作品については、久しぶりに読ませてもらった。本格ものとして、犯罪の証拠となる花屋のことや、豚を殺した動機など伏線も張られていていい作品。ただ、葬儀の習慣など、昭和初期の風俗や、風習を知らないとできない作品。
「作者は列車が好きで、列車の描写が好きという印象を受けた作品。豚の死体描写は難しく、起承転結がむずかしかった」
「江戸川乱歩以前の作家ということで、名前だけは知っていて、作品ははじめて読んだ。豚をどうやったらつないでおけるのかとか、何故、豚を殺さないといけないのか、何故豚でないといけないのか、ホワイダニットのミステリだが、今の新本格の作家なら登場人物の間でディスカッションが行われそう。最初黒豚で次白豚というのに何か意味があるのかと思ってしまった。動機が都市伝説となっている」
「動機が悲しさをそそる作品。都筑道夫さんによればホワイダニットがモダンミステリだが、「とむらい機関車」にはそれがある。ディスカッションこそはしていないが、「なぜか」をメインにしているのが良い。同じ動機の某ミステリを昔読んで感動したが、それと同じだと思った」
「何故殺したのが豚でなければならなかったか、豚を殺さないといけなかったのか。人を殺したのでは、足がつきやすいですし、警察の取り調べもあり、あとがやっかいです。動物の故殺なら昔も今も法律上は器物損壊罪程度ですみます。それと、何故先に豚を殺して線路に放置しておかなかったか、それでは、事故死というより、最初から作為的に轢かせたとわかり、足がつきやすいとも考えたからではないかと思います。では、何故、犬や猫ではなく豚でないといけなかったのか、これはひとつには、犬や猫では、体が小さく、よく見かける通常道路で轢かれて死んで転がっているのとは違い、列車でバラバラにさてもよくわからないこと。豚は、ある程度体も大きく、組織や肉は人間によく似ているとされ(CSIシリーズでも検視で、死体に傷をつける実験などで、吊るした豚の死体にナイフを指して傷口のできかたを見るシーンがでてきます。)実験に使われています。

◆近況報告
読んだ本 『絹靴下殺人事件』「偶然の審判」(バークリー)『七つの海を照らす星』『アルバトロスははばたかない』(七河迦南)『少女たちの羅針盤』(水生大海)『日本の書評』(豊崎由美)『名探偵に薔薇を』(城平京)『ドグラマグラ』(夢野久作)『隠蔽捜査2』『震度0』(横山秀夫)『シナン』(夢枕獏)『ダイスをころがせ』(真保裕一)『夜明けの街で』(東野圭吾)『悪人』(吉田修一)『クジラの彼』(有川浩)『八日目の蝉』(角田光代)『ルパンの消息』(横山秀夫)『沈むさかな』(式田ティエン)『少女たちの羅針盤』(水生大海)『阪急電車』(有川浩)『新日本の七不思議』(鯨統一郎)『白骨の語り部』(鯨統一郎)『プライド』(石田衣良)『ゴーストハント4巻』(小野不由美)『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉)『プリーストリーの問題』(A・B・コックス)
ドラマ「探偵Xの挑戦状」「CSI第10シーズン」
映画は「ボーン・シリーズ」「デイオブザデッド」「ソウザファイナル」「アリスインワンダーランド」「八日目の蝉」「パイレーツオブザカリビアン」「ブラックスワン」「遺留捜査」「英国王のスピーチ」
ドラマ「デスパレートの妻たち第5シーズン」「LOST」「CSI」「マルモのおきて」
ゲーム「ボンバーマン」「ぷよぷよ」


第33回例会「冬の鬼」読書会

2024年06月15日 19時03分47秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第33回例会は2011年4月23日、参加者は9名で「冬の鬼」(道尾秀介)の合評をしました。
道尾さんは2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー、『向日葵の咲かない夏』が本格ミステリとして注目を浴び、文庫版が70万部を超えるベストセラーになりました。4度直木賞候補になり、2010年5回目の『月と蟹』で受賞しました。今回は2009年の短篇集『鬼の跫音』の中から「冬の鬼」を読んで皆さんの感想をお聞きしました。
・1月8日からスタートして、日が戻っているのでどんなストーリーかと思ったが、(略)。時間があれば後から読んでみたい。
・日付に気付かずスラスラ読んだ。どんどやきに1人で行ったり、身体を洗ってやったりという場面が後でなるほどと思った。
・日付が逆になっていて、最後カーと来る。
・結果がわかってから読み返すと、伏線が意外な意味を持ち、違う意味になっている。1月9日以降どうなるのか。
・1月1日から読んでいくと1月8日はとてもこわい。聞きたくないこととは何か?後からわかるという仕組みが面白い。
・今読んでもわからない。途中から逆行していることに気付いた。
・達者で頭がいい作家。文が磨いて書いてあり、実力のある人だと思う。トラップが仕掛けられているが、(略)の箇所がフェアでない。1月8日は何? この先はおどろおどろしい悲劇に?
・初め読んで谷崎潤一郎かと思いながら、あれあれあれ。日付に気付かなかったが、後から読み返して気付いた。ここでは言えない漫画を思い出した。
・これは私小説に不気味な粉を振ってホラー仕立てにしてみたという感じ。怪しい感覚を描くのが流行りなのか。人間を描いているか。
・跫音(あしおと)、鴉の漢字が何か意味があるのか。
・音が一番こわい
等々感想が話されました。ちなみに女性の一人称の日記なので女性の方々にいかがですかとお聞きしたら、誰も好きではなかったけれど、上手だというご意見でした。最後に1月8日の日記の解釈に関していろいろな意見が出ました。


ちなみに担当はこれを読んでクリストファー・ノーラン監督の映画「メメント」を思い出しました。ストーリーを終わりから始まりへ、時系列を逆向きに映し出していき、意外な真実が暴き出されます。また夢野久作の「瓶詰地獄」も無人島からの手紙が時系列によりインパクトを与えるという点で思い出されました。道尾さんのミステリは騙しのテクニックが見事で、『向日葵の咲かない夏』『シャドウ』『片耳の猿』『ラットマン』『カラスの親指』と是非読んで騙されていただきたいと思います。本格好きな方には怪奇現象もすべて論理的に解決される『骸の爪』がオススメです。


◆近況報告
『鬼流殺生祭』(貫井徳郎)『毒入りチョコレート事件』(バークリー)『夢を吐く絵師・竹中英太郎』(鈴木義昭)『鹿男あをによし』(万城目学)『アルバトロスは羽ばたかない』 (七河迦南)『雑司ヶ谷RIP』(樋口毅宏)『パーフェクトブルー』(宮部みゆき)『阪急電車』 (有川浩)『池袋ウエストゲート』(石田衣良)
『長い廊下のある家』(有栖川有栖)『犯罪ホロスコープ』(法月綸太郎)、戸板康二の中村雅楽シリーズ、剣持鷹士『あきらめのよい相談者』、柴田よしき『クリスマスローズの殺人』、『淑女の休日』、『マギンティ夫人は死んだ』、『死者のあやまち』、『ヒッコリー・ロードの殺人』、『鳩の中の猫』
ドラマ「ウェイキング・ザ・デッド」「迷宮事件特捜班」「ハンチョウ」「BOSS」「マドンナヴェルデ」「JIN」「探偵Xからの挑戦状」「遺留捜査」「ガリレオ」「江」「CSI」
まんが「茶色い服を着た男」「鋼の錬金術師」
アニメ「花咲くいろは」