金沢ミステリ倶楽部

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2024年7月20日『貴族探偵』読書会 開催します

2024年06月29日 19時37分53秒 | 例会
2024年7月20日(土)13:30~ 石川県立図書館で
麻耶雄嵩さんの『貴族探偵』読書会を開催します。
『貴族探偵』は2010年に発売され、主人公は探偵ですが、推理は使用人にさせるという驚きの設定で2013年に続編『貴族探偵対女探偵』が発売されました。
 2017年には嵐の相葉雅紀さん主演でドラマ化されました。
『貴族探偵』には「ウィーンの森の物語」「トリッチ・トラッチ・ポルカ」
「こうもり」「加速度円舞曲」「春の声」の5つの短編が入っていますが、それらすべてを読んで来て、感想を語り合います。
参加希望の方はお知らせください。

第47回例会『ある閉ざされた雪の山荘で』読書会

2024年06月28日 18時47分54秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第47回例会報告は2024年6月23日、参加者は9名で東野圭吾さんの『ある閉ざされた雪の山荘で』読書会を開催しました。
新本格派全盛の頃の印象が強烈(実は新本格派の設定とは微妙に違うという意見もありますが)。理系の特質か、論理的な組み立て、硬質な文章が好きだったように思います。トリックもの、科学もの、学園推理もの、スポーツものなど、幅広いジャンルが特徴ですが、直木賞受賞と前後して人間ドラマ寄りになり、最近は"魂ふるえる“系(帯文)がほとんど。「上手くできているんだけど、前とはすっかり違うな~」と思っていたので、今回の例会を機会に以前出された作品ガイドを参照して、作風の変化を考えてみました。同じクローズドサークルの『白馬山荘殺人事件』(1986)と『仮面山荘殺人事件』(1990)の自作解説を読むことによって、批評や売れ行き、出版社の要求による作家の葛藤が見えたような気がします。
新本格やトリック重視の作品あるとは知らなかったという人が多く、ベストセラー作家となってからのイメージの大きさを再確認しました。作風の変化はあれど、自分にとってはこれからもずっと読んでいく作家だと思います。
「内容はまったく忘れていたので新鮮な気持ちで再読。意地の悪い人物の描き方も楽しい。最後のどんでん返しで驚いたのはもちろん、もう一度読んでみると細かな伏線があり、何度か読んで楽しめる作品だと思った」
「東野圭吾の作品は、近年の何冊かを読み映像作品をみている程度で、新本格派とは思っていなかったので意外だった。それなりに面白く読めた。平易な間取りの中で密室が起こったのでより際立ったのでは。本格物を書く作家はいわゆる通俗(?)に行くという流れがあるのかと。」
「『容疑者Xの献身』を読んだのみ。1ページ目からなんとも言えない違和感をおぼえた。乱歩賞作家ということを初めて知った。」
「乱歩賞受賞時から読んでいるが、上手い作品と好きな作品は自分にとっては違う。人間ドラマに寄っている最近の作品は確かによくできているが、好きな作品とは違う。昔の作品には登場人物にいや~な人間が多くて、女性の描き方も一方的。しかし、だから面白いのです。」
「読みやすく入りやすい。最近のものも好きだが昔の作品はやっぱり面白いなと思った。」
「山荘の管理人のおじさんがエロい。一気に読めた。法月綸太郎の解説がいつものようにくどくて、深読みとこじつけが相変わらず面白い。」
「『白夜行』を奥さんにすすめられて読んだ程度。人間描写がなくて好きではない…。嫌われる人物が出てこないのがまず良くないのでは。ストーリーは良くできていて、頭の良さを感じる。好きなものを書きたいが売れないという葛藤があり、作風の変化となるのだろう。出版社が売り出したくなるものを書ける人。」
「トリックが好き(ですが、深くは語りません)。類似のトリックが最近の映画にもあったような(深くは語りません)。東野圭吾は正確に言うと新本格派というカテゴリーではなく、違ったものを書かなければということから現在のような作風にたどり着いたのでは。」
「忙しくて例会に来る電車の中で読み始め、まだ途中。文章が好きではないかな…。」
 最後にクローズドサークルのおすすめ作品をあげてもらいました。
 『星降り山荘の殺人』(倉知淳)『霧越邸殺人事件』『鬼面館の殺人』(綾辻行人)というか、館シリーズ。『そして二人だけになった』(森博嗣)『扉は閉ざされたままで』(石持浅海)『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)『双頭の悪魔』『孤島パズル』『女王国の城』『月光ゲーム』(有栖川有栖。学生アリスはどれもクローズドだ!)『そして扉は閉ざされた』(岡嶋二人)『六花の勇者』(山形石雄)『天帝』シリーズ(古野まほろ。まほろもクローズドだ~)『夏と冬の奏鳴曲』『蛍』(麻耶雄嵩)などでした。


◆近況報告
読んだ本 『黒後家蜘蛛の会』(アイザック・アシモフ)1巻~5巻、『六枚のとんかつ』(蘇部健一)『ミステリアスショーケース』『怖い絵』(中野京子)『燃焼のための習作』(堀江敏幸)『卵をめぐる祖父の戦争』(デイヴィッド・ベニオフ)『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(東野圭吾)『玩具店の英雄』『トラップハウス』(石持浅海)『ピース』(樋口有介)『危険な童話』(土屋隆夫)『悪夢喰らい』(夢枕獏)『神の手』(望月諒子)『化人幻戯』(江戸川乱歩)『アウトリミット』(戸梶圭太)『殺人鬼フジコの衝撃』(真梨幸子)『乱歩彷徨』(紀田順一郎)『作家の旅』『江戸川乱歩作品論』(宮本和歌子)『鬼面館の殺人』(綾辻行人)『忌館』(三津田信三)『閉じた本』(ギルバート・アデア)『はだかの太陽』(アイザック・アシモフ)
ドラマ「ボディオブプルーフ」「レベル7」「塔馬教授の天才推理」「三毛猫ホームズの推理」「ATARU」「リーガルハイ」
漫画「狂四郎2030」(徳弘正也)「JOJO」「ジョジョリオン」「アイアムヒーロー」「外天楼」(石黒正数)
映画「姑獲鳥の夏」「男たちの挽歌」「スカーフェイス」「ある夜の出来事」「下町ロケット」「テロリストのパラソル」「ジャッカルの日」「MI4」「ファイルデッドブリッジ」「ドライブ」「おとなのけんか」「トゥルーロマンス」


第46回例会『黒後家蜘蛛の会』「実を言えば」読書会

2024年06月27日 20時07分56秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第46回例会は2021年5月19日、参加者11名で『黒後家蜘蛛の会』の一編「実を言えば」(アイザック・アシモフ)を合評しました。
「正直なところがトリック。自分も嘘をつかない。都合の悪いところははぶく。やましいから嘘をつく。自分と一緒だと思った」
「本当のことを言わない。この人はくびだろう」
「○○さんの顔が浮かんだ。嘘を言うことがあるが、社交辞令的に言うことがある。ゲストがなぜ悩んでいるのかと疑問に思った」
「「もしくは」「および」がピンと来なかった。ゲストはどういう目的で来たのか。(←相談して無実という言い訳を探しに。食べられないのは悩んでいる振りでは)」
「こじゃれた短編。アメリカ人好み。こういうレトリック物は多い。集まる会もよくあり、ここで話されたことは門外にもらしてはいけない。クラシックで、結論はandとorだけでチャラっと終わっている。一休さんみたいな話」
「面白かった。オチもこんな感じか。メンバーの会話も面白い。短くて読みやすい。給仕のヘンリーが慇懃な感じでズバッと言う。余談やご飯の内容」
「すーっと読んだ。ゲストがあつかましい。『Rのつく月には気をつけよう』(石持浅海)も飲み会にゲストが来て似ている」
「面白く読んだ。ネタはそんなところ。前半セリフに人の行動をはさんでキャラを印象づけて、後半セリフだけで進む。ヘンリーのラストの言葉が皮肉。決着のつけ方が面白い。乱歩に似たような集まりの話が。(←「赤い部屋」)」
「ヘンリーのキャラが面白い。クラブを作るのが面白い」
「ヘンリーに興味を持った。ウッドハウスのジーヴズを思い出した。問題があった時、執事と主人の関係がひっくり返る。上下関係がはっきりしている」
「日常の謎で多重推理で安楽椅子探偵で面白い。でも一番面白いのは、アシモフのあとがきで、編集者とアシモフの短編のタイトルの変更の攻防や、ネタについて書いてある」

◆近況報告
読んだ本『さよならドビュッシー』(中山七里)『少女に向かない職業』(桜庭一樹)『看守眼』(横山秀夫)『アリスミラー城殺人事件』『ギロチン城殺人事件』『瑠璃城殺人事件』(北山猛邦)、上遠野浩平の事件シリーズ、『ベルリン飛行指令』(佐々木譲)『使命と魂のリミット』(東野圭吾)『アルバトロスは羽ばたかない』(七河迦南)『団十郎切腹事件』(戸板康二)『別冊黒い画集』(松本清張)『マスカレードホテル』(東野圭吾)『邪馬台国はどこですか』(鯨統一郎)『悪女について』(有吉佐和子)『ミステリージョッキー』『罪悪』(フェルディナント・フォン・シーラッハ)『ビブリア古書堂の事件帖』(三上延)近藤史恵の掃除人キリコシリーズ、『団十郎切腹事件』(戸板康二)
映画「ブラックサンデー」「豆腐小僧」「魍魎の匣」「グル―の月泥棒」「大奥」「スターシップトゥルーパーズ」「大統領の陰謀」「ジャッカルの日」「へんげ」「ピナ・バウシュ 夢の教室」「人生はビギナー」『密室殺人ゲームマニアックス』(歌野晶午)『天使が開けた密室』(谷原秋桜子)『まもなく電車が出現します』(似鳥鶏)『水没ピアノ』(佐藤友哉)『シンフォニック・ロスト』(千澤のり子)『ユリゴコロ』(沼田まほかる)『殺人鬼フジコの衝動』(真梨幸子)『約束』(フリードリッヒ・デュレンマット)『母の遺産』(水村美苗)『迷走パズル』(パトリック・クェンティン)『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ)
漫画「ジョジョリオン」「はじめの一歩」99巻、「荒野の少年イサム」
ドラマ「三毛猫ホームズの推理」「ダメージ」第3シーズン「クレオパトラの女たち」「梅ちゃん先生」「ミス・マープル」「鏡は横にひびわれて」


第44回例会映画「シャーロック・ホームズ2 シャドウゲーム」鑑賞&第45回例会会誌vol.4合評

2024年06月26日 19時03分43秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第44回例会は2012年3月18日、映画「シャーロック・ホームズ2 シャドウゲーム」を劇場で鑑賞し、打ち上げ会を開きました。

第45回例会は2012年4月21日、参加者9名で、◆会誌vol.4を合評しました。参加者の作品を中心に感想を言いました。
◆近況報告
読んだ本『ユリゴコロ』(沼田まほかる)『犯罪』(フェルディナント・フォン・シーラッハ)『ウォーキングデッド』『開かせていただき光栄です』(皆川博子)『猫柳十一弦の後悔』(北山猛邦)『天山の巫女ソニン』(菅野雪虫)『九つの殺人メルヘン』(鯨統一郎)『パラドックス学園』『ソフィー』(ガイバード)『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉)『家族八景』(筒井康隆)『三毛猫ホームズの推理』(赤川次郎)『映アムリタ』『パーフェクトフレンド』(野崎まど)『ガーデンロスト』(紅玉いづき)『小説の技巧』(ディビッド・ロッジ)ローラ・チャイルズの『あつあつ卵の不吉な土曜日』『チェリー・パイの困った届け先』『ほかほかパンプキンとあぶない読書会』、牛島秀彦の『もう一つの昭和史』、『禁断のパンダ』(拓未司)『白夜行』(東野圭吾)『ネジ式ザゼッキー』(島田荘司)『ウルチモ・トルッコ』(深水黎一郎)『ちゃれんじ?』(東野圭吾)『ジョジョの奇妙な名言集』『高原のフーダニット』(有栖川有栖)『アルバトロスは羽ばたかない』(七河迦南)『厨子家の悪霊』(山田風太郎)『マドンナ』(奥田英朗)『虚言少年』(京極夏彦)
ゲーム「逆転裁判」のアンドロイド版「江戸探」
映画「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」「スペースシップヤマト」「サバイバルオブデッド」「30デイズ・ナイト」「トロンザレガシー」
ドラマ「ウォーキングデッド」1・2話、「鍵のかかった部屋」「都市伝説の女」「ハンチョウ」「CSI11」「デュボア」「フリンジ」「奇術探偵ジョナサン・クリーク」「リーガルハイ」

第43回例会「東野圭吾のすべて」

2024年06月25日 19時00分59秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第43回例会は2012年2月18日、参加者10名で県立図書館の「東野圭吾のすべて」に参加しました。
東野圭吾は高校生までまったく本を読まない少年でしたが、ミステリファンの姉から小峰元の『アルキメデスは手を汚さない』を渡されて、そこからミステリにはまりました。
次に松本清張の『高校殺人事件』を読むと、高校の時に清張はほとんど読んでしまったそうです。
就職して二年目に、長井彬の『原子炉の蟹』の後ろに乱歩賞の応募要項があることをみつけて、そこから乱歩賞への挑戦が始まりました。
3度目の正直で『放課後』で受賞しました。
この『放課後』というタイトルは金沢に旅行で来た時に、駅前にあった喫茶店の名前からつけたそうで、それがどこにあったのか、調べてみました。
昭和50年の住宅地図には「茶房放課後」という喫茶店が出ていて、現在のライブワンの「はしもと」という本屋の場所にあったことがわかりました。
『放課後』で乱歩賞を受賞したのは良かったのですが、その後出す本出す本、売れなくて、一年間本を出さないことにし、ようやく出したのが『秘密』で、話題になり、映画化もされました。直木賞候補にもなりましたが、落選し、その後『容疑者Xの献身』で受賞するまで5回も落選しました。
それには某選考委員の私怨があったそうです。
『容疑者X』は「このミス」など様々なタイトルを総なめで五冠を達成しましたが、『容疑者X』は本格か否かという論争が起きました。
多くの推理作家や書評家を巻き込んで論争されましたが、東野圭吾は「それも勲章。本格かどうかは読者が決めればいい」と涼しい顔でした。
「このミス2005」のインタビューで
「「東野圭吾」という名前を信頼できるブランドにしたい。
別に大ブームにならなくてもいいから、「こいつの小説を買っときゃ損はしないだろう」という信頼性を勝ちとりたいなと思っています」
と語っていましたが、それ以来ずっと東野圭吾ブームは今でも続いています。