金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。
第33回例会は2011年4月23日、参加者は9名で「冬の鬼」(道尾秀介)の合評をしました。
道尾さんは2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー、『向日葵の咲かない夏』が本格ミステリとして注目を浴び、文庫版が70万部を超えるベストセラーになりました。4度直木賞候補になり、2010年5回目の『月と蟹』で受賞しました。今回は2009年の短篇集『鬼の跫音』の中から「冬の鬼」を読んで皆さんの感想をお聞きしました。
・1月8日からスタートして、日が戻っているのでどんなストーリーかと思ったが、(略)。時間があれば後から読んでみたい。
・日付に気付かずスラスラ読んだ。どんどやきに1人で行ったり、身体を洗ってやったりという場面が後でなるほどと思った。
・日付が逆になっていて、最後カーと来る。
・結果がわかってから読み返すと、伏線が意外な意味を持ち、違う意味になっている。1月9日以降どうなるのか。
・1月1日から読んでいくと1月8日はとてもこわい。聞きたくないこととは何か?後からわかるという仕組みが面白い。
・今読んでもわからない。途中から逆行していることに気付いた。
・達者で頭がいい作家。文が磨いて書いてあり、実力のある人だと思う。トラップが仕掛けられているが、(略)の箇所がフェアでない。1月8日は何? この先はおどろおどろしい悲劇に?
・初め読んで谷崎潤一郎かと思いながら、あれあれあれ。日付に気付かなかったが、後から読み返して気付いた。ここでは言えない漫画を思い出した。
・これは私小説に不気味な粉を振ってホラー仕立てにしてみたという感じ。怪しい感覚を描くのが流行りなのか。人間を描いているか。
・跫音(あしおと)、鴉の漢字が何か意味があるのか。
・音が一番こわい
等々感想が話されました。ちなみに女性の一人称の日記なので女性の方々にいかがですかとお聞きしたら、誰も好きではなかったけれど、上手だというご意見でした。最後に1月8日の日記の解釈に関していろいろな意見が出ました。
ちなみに担当はこれを読んでクリストファー・ノーラン監督の映画「メメント」を思い出しました。ストーリーを終わりから始まりへ、時系列を逆向きに映し出していき、意外な真実が暴き出されます。また夢野久作の「瓶詰地獄」も無人島からの手紙が時系列によりインパクトを与えるという点で思い出されました。道尾さんのミステリは騙しのテクニックが見事で、『向日葵の咲かない夏』『シャドウ』『片耳の猿』『ラットマン』『カラスの親指』と是非読んで騙されていただきたいと思います。本格好きな方には怪奇現象もすべて論理的に解決される『骸の爪』がオススメです。
◆近況報告
『鬼流殺生祭』(貫井徳郎)『毒入りチョコレート事件』(バークリー)『夢を吐く絵師・竹中英太郎』(鈴木義昭)『鹿男あをによし』(万城目学)『アルバトロスは羽ばたかない』 (七河迦南)『雑司ヶ谷RIP』(樋口毅宏)『パーフェクトブルー』(宮部みゆき)『阪急電車』 (有川浩)『池袋ウエストゲート』(石田衣良)
『長い廊下のある家』(有栖川有栖)『犯罪ホロスコープ』(法月綸太郎)、戸板康二の中村雅楽シリーズ、剣持鷹士『あきらめのよい相談者』、柴田よしき『クリスマスローズの殺人』、『淑女の休日』、『マギンティ夫人は死んだ』、『死者のあやまち』、『ヒッコリー・ロードの殺人』、『鳩の中の猫』
ドラマ「ウェイキング・ザ・デッド」「迷宮事件特捜班」「ハンチョウ」「BOSS」「マドンナヴェルデ」「JIN」「探偵Xからの挑戦状」「遺留捜査」「ガリレオ」「江」「CSI」
まんが「茶色い服を着た男」「鋼の錬金術師」
アニメ「花咲くいろは」
道尾さんは2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー、『向日葵の咲かない夏』が本格ミステリとして注目を浴び、文庫版が70万部を超えるベストセラーになりました。4度直木賞候補になり、2010年5回目の『月と蟹』で受賞しました。今回は2009年の短篇集『鬼の跫音』の中から「冬の鬼」を読んで皆さんの感想をお聞きしました。
・1月8日からスタートして、日が戻っているのでどんなストーリーかと思ったが、(略)。時間があれば後から読んでみたい。
・日付に気付かずスラスラ読んだ。どんどやきに1人で行ったり、身体を洗ってやったりという場面が後でなるほどと思った。
・日付が逆になっていて、最後カーと来る。
・結果がわかってから読み返すと、伏線が意外な意味を持ち、違う意味になっている。1月9日以降どうなるのか。
・1月1日から読んでいくと1月8日はとてもこわい。聞きたくないこととは何か?後からわかるという仕組みが面白い。
・今読んでもわからない。途中から逆行していることに気付いた。
・達者で頭がいい作家。文が磨いて書いてあり、実力のある人だと思う。トラップが仕掛けられているが、(略)の箇所がフェアでない。1月8日は何? この先はおどろおどろしい悲劇に?
・初め読んで谷崎潤一郎かと思いながら、あれあれあれ。日付に気付かなかったが、後から読み返して気付いた。ここでは言えない漫画を思い出した。
・これは私小説に不気味な粉を振ってホラー仕立てにしてみたという感じ。怪しい感覚を描くのが流行りなのか。人間を描いているか。
・跫音(あしおと)、鴉の漢字が何か意味があるのか。
・音が一番こわい
等々感想が話されました。ちなみに女性の一人称の日記なので女性の方々にいかがですかとお聞きしたら、誰も好きではなかったけれど、上手だというご意見でした。最後に1月8日の日記の解釈に関していろいろな意見が出ました。
ちなみに担当はこれを読んでクリストファー・ノーラン監督の映画「メメント」を思い出しました。ストーリーを終わりから始まりへ、時系列を逆向きに映し出していき、意外な真実が暴き出されます。また夢野久作の「瓶詰地獄」も無人島からの手紙が時系列によりインパクトを与えるという点で思い出されました。道尾さんのミステリは騙しのテクニックが見事で、『向日葵の咲かない夏』『シャドウ』『片耳の猿』『ラットマン』『カラスの親指』と是非読んで騙されていただきたいと思います。本格好きな方には怪奇現象もすべて論理的に解決される『骸の爪』がオススメです。
◆近況報告
『鬼流殺生祭』(貫井徳郎)『毒入りチョコレート事件』(バークリー)『夢を吐く絵師・竹中英太郎』(鈴木義昭)『鹿男あをによし』(万城目学)『アルバトロスは羽ばたかない』 (七河迦南)『雑司ヶ谷RIP』(樋口毅宏)『パーフェクトブルー』(宮部みゆき)『阪急電車』 (有川浩)『池袋ウエストゲート』(石田衣良)
『長い廊下のある家』(有栖川有栖)『犯罪ホロスコープ』(法月綸太郎)、戸板康二の中村雅楽シリーズ、剣持鷹士『あきらめのよい相談者』、柴田よしき『クリスマスローズの殺人』、『淑女の休日』、『マギンティ夫人は死んだ』、『死者のあやまち』、『ヒッコリー・ロードの殺人』、『鳩の中の猫』
ドラマ「ウェイキング・ザ・デッド」「迷宮事件特捜班」「ハンチョウ」「BOSS」「マドンナヴェルデ」「JIN」「探偵Xからの挑戦状」「遺留捜査」「ガリレオ」「江」「CSI」
まんが「茶色い服を着た男」「鋼の錬金術師」
アニメ「花咲くいろは」