金沢ミステリ倶楽部

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第47回例会『ある閉ざされた雪の山荘で』読書会

2024年06月28日 18時47分54秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第47回例会報告は2024年6月23日、参加者は9名で東野圭吾さんの『ある閉ざされた雪の山荘で』読書会を開催しました。
新本格派全盛の頃の印象が強烈(実は新本格派の設定とは微妙に違うという意見もありますが)。理系の特質か、論理的な組み立て、硬質な文章が好きだったように思います。トリックもの、科学もの、学園推理もの、スポーツものなど、幅広いジャンルが特徴ですが、直木賞受賞と前後して人間ドラマ寄りになり、最近は"魂ふるえる“系(帯文)がほとんど。「上手くできているんだけど、前とはすっかり違うな~」と思っていたので、今回の例会を機会に以前出された作品ガイドを参照して、作風の変化を考えてみました。同じクローズドサークルの『白馬山荘殺人事件』(1986)と『仮面山荘殺人事件』(1990)の自作解説を読むことによって、批評や売れ行き、出版社の要求による作家の葛藤が見えたような気がします。
新本格やトリック重視の作品あるとは知らなかったという人が多く、ベストセラー作家となってからのイメージの大きさを再確認しました。作風の変化はあれど、自分にとってはこれからもずっと読んでいく作家だと思います。
「内容はまったく忘れていたので新鮮な気持ちで再読。意地の悪い人物の描き方も楽しい。最後のどんでん返しで驚いたのはもちろん、もう一度読んでみると細かな伏線があり、何度か読んで楽しめる作品だと思った」
「東野圭吾の作品は、近年の何冊かを読み映像作品をみている程度で、新本格派とは思っていなかったので意外だった。それなりに面白く読めた。平易な間取りの中で密室が起こったのでより際立ったのでは。本格物を書く作家はいわゆる通俗(?)に行くという流れがあるのかと。」
「『容疑者Xの献身』を読んだのみ。1ページ目からなんとも言えない違和感をおぼえた。乱歩賞作家ということを初めて知った。」
「乱歩賞受賞時から読んでいるが、上手い作品と好きな作品は自分にとっては違う。人間ドラマに寄っている最近の作品は確かによくできているが、好きな作品とは違う。昔の作品には登場人物にいや~な人間が多くて、女性の描き方も一方的。しかし、だから面白いのです。」
「読みやすく入りやすい。最近のものも好きだが昔の作品はやっぱり面白いなと思った。」
「山荘の管理人のおじさんがエロい。一気に読めた。法月綸太郎の解説がいつものようにくどくて、深読みとこじつけが相変わらず面白い。」
「『白夜行』を奥さんにすすめられて読んだ程度。人間描写がなくて好きではない…。嫌われる人物が出てこないのがまず良くないのでは。ストーリーは良くできていて、頭の良さを感じる。好きなものを書きたいが売れないという葛藤があり、作風の変化となるのだろう。出版社が売り出したくなるものを書ける人。」
「トリックが好き(ですが、深くは語りません)。類似のトリックが最近の映画にもあったような(深くは語りません)。東野圭吾は正確に言うと新本格派というカテゴリーではなく、違ったものを書かなければということから現在のような作風にたどり着いたのでは。」
「忙しくて例会に来る電車の中で読み始め、まだ途中。文章が好きではないかな…。」
 最後にクローズドサークルのおすすめ作品をあげてもらいました。
 『星降り山荘の殺人』(倉知淳)『霧越邸殺人事件』『鬼面館の殺人』(綾辻行人)というか、館シリーズ。『そして二人だけになった』(森博嗣)『扉は閉ざされたままで』(石持浅海)『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)『双頭の悪魔』『孤島パズル』『女王国の城』『月光ゲーム』(有栖川有栖。学生アリスはどれもクローズドだ!)『そして扉は閉ざされた』(岡嶋二人)『六花の勇者』(山形石雄)『天帝』シリーズ(古野まほろ。まほろもクローズドだ~)『夏と冬の奏鳴曲』『蛍』(麻耶雄嵩)などでした。


◆近況報告
読んだ本 『黒後家蜘蛛の会』(アイザック・アシモフ)1巻~5巻、『六枚のとんかつ』(蘇部健一)『ミステリアスショーケース』『怖い絵』(中野京子)『燃焼のための習作』(堀江敏幸)『卵をめぐる祖父の戦争』(デイヴィッド・ベニオフ)『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(東野圭吾)『玩具店の英雄』『トラップハウス』(石持浅海)『ピース』(樋口有介)『危険な童話』(土屋隆夫)『悪夢喰らい』(夢枕獏)『神の手』(望月諒子)『化人幻戯』(江戸川乱歩)『アウトリミット』(戸梶圭太)『殺人鬼フジコの衝撃』(真梨幸子)『乱歩彷徨』(紀田順一郎)『作家の旅』『江戸川乱歩作品論』(宮本和歌子)『鬼面館の殺人』(綾辻行人)『忌館』(三津田信三)『閉じた本』(ギルバート・アデア)『はだかの太陽』(アイザック・アシモフ)
ドラマ「ボディオブプルーフ」「レベル7」「塔馬教授の天才推理」「三毛猫ホームズの推理」「ATARU」「リーガルハイ」
漫画「狂四郎2030」(徳弘正也)「JOJO」「ジョジョリオン」「アイアムヒーロー」「外天楼」(石黒正数)
映画「姑獲鳥の夏」「男たちの挽歌」「スカーフェイス」「ある夜の出来事」「下町ロケット」「テロリストのパラソル」「ジャッカルの日」「MI4」「ファイルデッドブリッジ」「ドライブ」「おとなのけんか」「トゥルーロマンス」