誕生日。
今日は用事も兼ねて実家に帰って来た。
誕生日に実家に帰るのは40歳の誕生日以来。
そうじゃなくても普段実家にはめったに帰らない。
車で2時間かかる実家。なかなかめんどくさい。
それに実家は商売をしているので、帰っても忙しくて落ち着かない。
でも今日は帰った。
仕事を今月からほぼ辞めた形なので、時間にも余裕ができたし、
なんとなく今日は故郷に帰りたい気持ちだった。
用事を済ませ、実家に行くと、やはり母は忙しく働いていた。
実家は地元の小さいスーパー。そして宴会や仕出し弁当もしている。
今日は宴会が入っていて、母はオードブル等を作っていた。
それでちょっと盛り付けなど手伝っていこうかなと思った。
手伝いながら、
「今日で56歳になっちゃったよお母さん」
と言うと、母は笑っていた。
どういう意味で笑ったのかな。
ちょっと手伝うつもりが、結局最後まで手伝った。
「じゃあ帰るからね」
「うんうん、気をつけて」
(あ、もしよかったら誕生日ご祝儀…)
と心で呟く娘56歳。
しかし母は忙しそうに片付けをし始めた。
待ってたら(何を待ってるんだ自分)帰りが遅くなるので帰って来た。
今年80歳になる働き者の母。
中学を卒業して集団就職で上京し、帰って来て商売をしている家に嫁ぎ、働き通しの人生。
そんな母の娘なのに、こんなダメな娘で申し訳ない。
と言いつつ、あとで何かお祝いが送られてきたりして、と、まだちょっと期待している娘56歳。