kirekoの末路

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第四十四回『起挙平明 調挙探謀 名瀞軍儀、兵謀あって暫く挙せず』 

2008年01月17日 22時20分55秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第四十四回『起挙平明 調挙探謀 名瀞軍儀、兵謀あって暫く挙せず』


スワトが業物の刀槍『真明紅天』を手に入れて陣に戻ってから二日後、
キレイ官軍隊の陣は慌しく軍儀を始めた。
何を言うまでも無い、名瀞平野を境に対面対峙する
四天王軍団の陣屋に計略を孕んだ兵の動きが、
キレイによって立てられた小高い櫓からうっすらと見えたからである。

こう着状態を打破するために鬼謀ソンプトが仕組んだ計略『虚変実撃』の計。
それに対して着々と準備を整えていた名謀タクエンの計略『後虚車実』の計。

今まさに神算鬼謀の策士同士の戦いは、最終段階へと進んでいた。

官軍隊キレイの本陣 幕舎

合戦の前の静けさを薄々感じ取るように広い幕舎には
ピンと張り詰めた緊張感と強張る武将達の顔が今や騒然と並んでいた。
官軍キレイ軍団の諸将とミレム軍団の諸将が左右に別れ、
首座にキレイ、右方にオウセイ、左方にタクエン、キイ。
首座近くの机には敵味方の兵を表す駒と名瀞平野の地図が置かれ、
軍儀は開かれようとしていた。

「各々方、今日諸将に集まってもらったのは他でもない。我らが今までしてやられた四天王軍団との対局、その勝敗を決める決戦を、私は決心したからだ」

「「「おおっ!」」」

「では参軍のタクエン、決戦の戦略を版図を持って将軍らに説明申せよ」

「ははっ。不肖タクエン、ご説明させていただきます」

湧き上がる将軍達を前にしてキレイは落ち着き払った態度で
左手にいるタクエンに指図すると、タクエンは両手を中央で組み礼をし、
名瀞平野の映る地図の上に配置された各将軍達の名前が書いてある駒を動かし、
諸将に伝わるようにゆっくりと、それでいて大きな声で話した。

「此度の敵の四天王軍団の動きは、古書兵法の計略『虚変実撃』を要して、我らの虚実に騙され続けた猜疑の心を利用し、それを助長させて、本来陽動である虚の部隊を実に見せる計略なのです。おそらく敵が我が兵糧庫を狙う振りをして本陣に攻め入るという情報は、我らの判断能力を妨げる計略の一部でしょう」

「な、なんと!」
「そのようなことであったのか!」
「では陽動の軍が来ると聞いたが、それこそが実働部隊なのか!」

驚きを隠せない官軍の将兵達。
タクエンはそれを見て、再び語り始めた。

「これを今まで諸将に話さなかったのは、敵の策に我らがのったように見せるためでございます。敵を騙すにはまず味方、その通りといった風に四天王軍団は、今痺れを切らして我が軍を攻める算段をしています」

「で、では四天王軍はやはり攻めてくると!それでは対応せねば…」

「ご安心なさいませ、兵法、策、謀には正邪の法がございます。表があれば裏もあり…今回は『虚変実撃』の計のその裏『後虚車実』の計をとります。虚変実撃が猜疑を計り判断力を劣化させる計ならば、後虚車実とはその逆。騙し計ろうとする判断に乗ったようにみせて敵の油断を突き、逆に大反撃を用いる策にございます」

「な、なんと後虚車実の計!」

「すでに敵兵が動いたとなれば我が計略の5割は完成したことになります。あとは我が軍団の布陣の問題ですが…」

そう言うと、タクエンは名前の書かれた駒を手に持ち
まず名瀞平野の映る地図の中央、平野に数個の駒を置いた。

「まずは名瀞の中央、敵陣から1里の場所を押さえ、左右に2百歩の距離を置いて将兵を4千ずつ、合わせて8千の兵を置きます。おそらくここは敵も陽動を察せまいとして、強力な兵を置きます。つまり今回の決戦では一番の激戦区、長丁場の修羅場となります。ここには、とかく勇猛な将軍を配したいのですが…」

バッ!
タクエンの言葉が途切れるや否や
左右の列から将軍達が手を上げて立ち上がった!

「それがしにお任せくだされ!蘇ったそれがしの武器とそれがしの力さえあれば、きっと目覚しき戦果をあげてみせることが出来るでござる!」

「俺に任せろ!野賊隊の勇敢さなら知っての通り、どの隊にも負けやしない!やつらに煮え湯を飲まされ、殺された部下達の恨みは俺が晴らす!」

「いいや、わしに任せよ!我が鉄槍の凄み、兵の統率!勇猛さでは誰にも負けぬわ!」

豪傑スワト、野賊の長クエセル、猛将ガンリョが声をあげてタクエンを見る。
血気に満ちたその目は、決戦と聞いて疑いようも無い武将の目であった。

だが、疑いなき武将の目も命をとして慌しく変動する合戦になれば変わる。
タクエンは彼等の燃える闘志に釘を挿すように、三人をジッと見ると、
駒を置くのをためらうように、コツコツと地図の上で小突き、
わざとらしく少しため息をつくそぶりをして、気持ちが萎えたように
眉をひそめ、声を小さくして三人にこう言った。

「あなた方の勇猛さはわかりますが、今回の決戦は実質四天王軍との総力戦です。判断を誤り、命令を無視するような将軍では、策も策として使えません。先の戦いでも将が勝手に追撃などをしかけ、我が軍に被害がでました。本音を言わんとすれば、あなた方にこの大事を預けることが少し不安です」

「武将を軽んじられるか!それがし等は兵を預けられれば武将でござる!」
「素行の悪さは認めるが、俺らはもう賊じゃねえ。立派な官軍の兵だ!」
「将として無能で敗北を喫するなら、我らを斬罪にでもかけてくだされ!」

三将のその言葉。その態度。
四天王軍団と幾度と無く戦った武将達の心には、おごりなど無く
ただ純粋に合戦に出る将軍としての輝きに満ち溢れていた。
敗北につぐ敗北、その連敗を続け、辛酸をなめさせられ続けた武将達、
その戦いの全てが彼等を成長させ劇的に変えていたのだ。
タクエンは武将達の言葉を聞いて安心したようにこう言った。

「良いでしょう。では右方の4千の内、歩兵部隊2千をガンリョ将軍、野賊隊1千をクエセル将軍、槍兵隊1千をスワト将軍に任せます。あなた方は正面の兵を引きつけつつ、たとえ何が起こってもそこを守り、絶対に退かないでください。勝手に動けば、この策の意味は潰えます。わかりましたね?」

「「「はっ!必ず」」」

次にタクエンは地図の左手にある駒三つを動かす。

「そして2百歩置いた場所の左方4千の兵。ここにはオウセイ将軍を大将に騎馬隊1千、ドルア将軍に長弓隊1千、リョスウ将軍に歩兵隊2千を配し、敵と対峙します。おそらく敵は少数の兵で参りますので、適当に戦ったら、あえて負けた振りをして、一方の敵が味方陣へ進行しても無視してください」

「負けた振りをするのですか?失礼ながら、陽動の軍が味方陣に動いているのならば、ここは疲弊しようとも抜かれるのも…」

「ドルア将軍、策や兵法は時に自らの物を犠牲とする時がある。敵が鬼謀の者なら、その油断を誘うため、なおさら重い犠牲が必要となるのだ。陣は気にせず、ただ命令に従って戦うのだ、それしか我らに勝ち目はない」

タクエンはドルアの進言を聞いたが、それを言葉で一蹴した。
そして再び大きく息を吸い込むと、静かに戦略を語り始めた。

「敵が囲いを突破し、通り過ぎたと思ったら北に移動して、ガンリョ達の軍と合流し、その場を死守してください。英名山から煙があがったのが見えたら、それぞれ戦を止めて兵糧庫のある琶遥谷に向けて駆けてください、必ず逃げ帰る四天王軍が現れますのでそこを叩いてください」

「琶遥谷に向かって敵兵がおらなかったら如何する?」

今度はオウセイが質問した。
しかしタクエンは、顔の表情、その皺一つも動かさずに冷静に答えた。

「その時は、再びニ隊に別れ、全力で味方陣を攻める敵を押し返してください。もし敵がその攻撃で退くようであればそのまま追撃して、なるべく足止めをしてください。英明山に火の手が上がったとき、その時こそ敵を全力で押し返し、見事に追い払ってくだされ」

「わかりもうした。我が隊の身命を用いて策を完遂させましょうぞ」

質問に対して的確、それでいて自信たっぷりに答えるタクエンを見て
オウセイは投げかける次の言葉を失い、そのまま納得した。

タクエンは、次に三つの駒を味方陣のある平野地帯に置いた。

「ここへはミレム将軍の小弓隊1千を味方陣屋の後ろに、ポウロ、ヒゴウ将軍の工作隊1千を各味方陣屋に置きます。まずポウロ、ヒゴウ等は味方が出陣したら陣屋の全ての柵に燃えやすい薪と油を塗った藁を放り、味方の軍を突き破り抜け出してきた敵が来たら一斉にミレム隊にほうへ逃げてください。ミレム将軍は工作隊が逃げ出すのを見て、後ろ手の丘から火矢で味方陣屋に火をつけてください」

『味方の陣屋を燃やす』
その言葉にはミレムをはじめ、並んだポウロやヒゴウまでも驚いた。
策のためとはいえ、自分達の帰る場所を炎上させて
退路を塞ぐなど、今までの兵法ではありえない作戦であった。

「なんと!味方の陣屋を燃やすのか!それはどういう事ですか!?」

驚くミレム達に、タクエンは駒をくるりと回転させて
地図上にパシッとおくと、冷静な口調でこういった。

「そうです。なるべく多く燃やしてください、そのほうが敵も混乱し慌てます。そうして、敵が慌てて陣を出て行ったら真っ直ぐに名瀞平野を駆けて敵の英名山の前の陣屋を同じく火矢で程ほどに攻めてください。おそらく守り手は守り上手なキュウジュウの兵。苛烈に攻めて、攻め落とそうとは思わず、適当に戦って陣屋に煙があがったら逃げてください」

「ふむむ、おかしな命令じゃが…しかたあるまい」

タクエンは、不思議そうに顔をしかめるミレムを見てフフッと笑うと
今度はゲユマの方を向いて、地図の南方、重要地点である
味方の兵糧庫にある琶遥谷に駒を置いた。

「琶遥谷にはゲユマ将軍が小弓を持った手練の射手3千の兵を潜ませてください。谷の上に潜んで、決して前面や後方に多くの守備兵を置かないこと。敵の武将が怪しがっては策に支障をきたします。必ず谷の上に潜み、敵に体を隠すように勤めてください。敵が怯んだら兵糧庫に1千の守備兵を残し、そのまま英名山の武赤関のほうへと向かってください」

「ははっ、お任せあれ」

ゲユマが手を組んで礼をするのを確認したタクエンは
最期にキレイの駒とキイの駒、そして自分の駒をとって、
北方の英名山へと連なる湿地帯『拭徐野(フクジョヤ)』へ駒を二つ
南方の英名山へと連なる原野帯『望明野(ボウミョウヤ)』へキイの駒を置いた。

「ここ北方拭徐野には、キレイ様と私の歩兵4千を置きます。キュウジュウの守る陣が煙があがり、慌しくなりはじめたら、一気に山塞の壁を昇り、味方の反乱や何かの理由をつけて、偽報を叫びながら火をかけて関を攻めてください。混乱し、守りの薄い武青関をその勢いをもって一気に攻め落とします」

「わかった。偽報で油断している敵の肝を冷やしてやろうではないか」

「そして望明野のキイ様は2千の兵で待機して、武赤関へと走るゲユマの兵と供に四天王軍の兵を装って武赤関を攻めてください。一方の関がやられるとなれば、敵兵も情報に踊らされるでしょう。しかし、必ずキレイ様が武青関を落とした後に移動してください。敵がキレイ様のほうへ集中して、関が手薄になったほうが確実に攻め落とせます」

「なるほど。承知した」

最期の駒を置くと、首座にいるキレイが立ち上がり発言した。

「では決行は明晩とする!各将、敵に気取られぬように動いて決戦に挑め!それでは解散!」

「「「ははーっ」」」

こうして術策を背負った全ての駒が戦場へ配り終えると、
いつの間にか名瀞平野の地図は駒で一杯になっていた。

命令を聞いて、幕舎を後にした将軍達は合戦を前にして、
それぞれの気持ちの高ぶりを抑え、今までの敗戦の苦々しさを思い出しながら
タクエンから託された戦略を胸に、そして頭に焼き付けていた。



そして秋風が吹く名瀞平野に再び嵐が吹き荒れる。
兵は闇を味方にして異動し、将は熱を帯びて夜明けを待ち
合戦前の静かな夜は明けるのだった!
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第四十三回『飛士鋼翔 固粋無頼 名工、豪傑の瞳に光を見る』

2008年01月16日 20時29分07秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第四十三回『飛士鋼翔 固粋無頼 名工、豪傑の瞳に光を見る』



四天王軍団鬼謀ソンプトが放った『虚変実撃の計』を見抜き
キレイ軍団名謀タクエンは、その裏をかく『後虚車実の計』を進言し
計略を気づかれてはならぬと、ゲユマやオウセイといった軍団の
主だった面々を秘密裏に集めては、幕舎で慎重に軍儀を重ねていた。

一方その頃、官軍の一翼を担うミレム軍団のスワトは失意に暮れていた。
ミレムと出会い、ポウロと出会い、勇士を集めて村を出立する時に鍛冶屋に造らせ、対峙する賊や猛将たちを一刀の元に斬ってきたその自慢の大薙刀を失い、また同時に四天王コブキとの一騎打ちで人生初めての敗北を知り、スワトの心は豪傑としてのそれを失っていた。

余りに高まりすぎた豪傑としての自負心の崩壊は、恐怖の種に火を灯す。
スワトは繰り出すコブキの破天馬哭の一刀、その一刀を思い出しては
焦燥感に苛まれ、次の戦で出くわせば、また負けるのではないかという、
らしからぬ矮小な心情に怯えていた。

そのため寝所に行っても、ろくに眠れず、食事になっても、ろくに食えず、
心配したミレム達の労いや、問いかけの声も、スワトの耳にはおぼつかないまま、ただボーっと、黙って外にでるかと思えば狂ったように剣をふる毎日をおくった。

朝は闇の帳が上がる前から、晩は松明を焚いては煙で月星が陰るまで、
重い甲冑を身につけ、何本もの槍、何本もの剣を重りを括り付けては振り、
戦に焦り、恐れる自分を振り払うように己の武技を磨いた。

しかし、いくら豪傑といえども、
そんなことを続ければ体調も悪くなるというもの…
豪傑を支える堂々たる肉は痩せ、骨は軋み、目の下は黒くクマを作り、
顔はそれまでのスワトからは考えられないほど暗く、疲労していた。
そして、そんな状況でいざ戦の時となった時のスワトは、
常人のそれよりは強いとはいえ、兵をまとめる指揮能力や判断能力も落ち、
今まで通りの戦果はあげられなかった。

ミレム達はそれを見ては心を痛め、何かしてやりたいと色々な方法を試したが、
スワトは気まずそうに毎度断っては、剣を振り回す日々を続けた。

そして秋風が吹き、再びスワトの失意の朝がやってくる。

名瀞平野 西方 ミレム軍団陣

ビュンッ!ビュンッ!

「…ッ!…ッ!…ッ!」

昇りあがった朝日を半身に受けながら、スワトは瞳を滲ませ、
土塁を築くために用意された砂袋を手につけて、二本の槍を振っていた。
振り下ろし、振りあがる剣は風と音をたてて空を斬ってはスワトの手に軋み、
すでにスワトの全身には噴出すような汗が流れ、顔は疲労に歪んでいた。

「ふわあぁ…もう始まっておったか」

「そのようにございますな」

自分達の幕舎の中から起き上がるミレムとポウロ。
毎日、朝日に疲労の顔を照らされ、汗は甲冑からはみ出る着物に滲み、
眩しい光を影に必死に剣を振りながら、焦りの表情を浮かべる豪傑の姿は、
二人の心を少し悲しげにさせた。

そこへ、すでに支度を終えたヒゴウがいそいそと駆け込んでくる。

「ポウロ殿、前談の名工の居場所が突き止められましたぞ。千吟芦(センギンロ)の西へ離れた所だそうです」

「おお、見つかりましたか。それは良き報せだ。今のスワトに再び自信を持たせるには、これしかないでしょうからな。それにしても流石ヒゴウ殿は目が利くな、この少ない時間で見つけるとは大した物ですぞ」

「いえいえ、情報集めだけが私の取り柄。そう褒めてもらうこともありません」

ヒゴウの情報を聞いて安心したポウロは、ミレムに言った。

「ミレム様、相談した案件はキレイ将軍に通りましたか?」

「ああ、あのことかポウロ。お前に言われたようにキレイ将軍に、数日間スワトを外出させる許可をとっておいたが。本当にスワトを回復させられるんだろうな?もし今以上にスワトが駄目になると、俺の進退にも関わる。あとはお前達にかかっておる、豪傑のスワトの復帰を頼むぞ」


「ははっ、お任せくだされ」


そう言ってポウロは朝の眠気眼を払い、旅支度を始めた。
しばらくの間が経つと、ポウロが6頭の馬と荷車、そして2個の堅い樽を用意し、
未だ剣を振り続けるスワトに近づくと、ポウロはニヤッと笑いながら
スワトに言葉をかけた。

「当代の豪傑!スワトよ!貴殿に良い薬を持ってきたぞ!」

ビュウッ!ビュウッ!

しかしスワトは言葉が聞こえなかったように剣を振るのをやめない。
その姿に若干の苛立ちを覚えたポウロだったが、言いたい事を我慢して
今度は大声でスワトへと話しかけた。

「スワト!剣を振るのをやめて聞け!薬だ!薬!」

ビュウッ!ビュウッ!

「豪傑殿!聞こえんのか!」

ビュウッ!ビュウッ!

「この!聞けったら聞け!」

ビュウッ!ビュウッ!

張り上げるポウロの大声も聞こえないのか、スワトは未だ剣を振り続ける。
ついにポウロは内から湧き上がる怒りに我慢できずに、今まであげたことも無い
大声でスワトにこういった。

「ええい!やめないかスワト!ご主君ミレム様直々のご命令であるぞッ!!聞かねば不忠ぞ!」

ビクッ!

「お、おお…ぽ、ポウロか。すまん、それがし剣を振るのに夢中であった…」

スワトは剣を振るのをやめると、砂袋を腕から解き、
剣を地に置くと、蒸れた甲冑を解き、汗だくの着物を脱ぎ、
秋風の涼しさに身を通しながら、新しい自分の服に袖を通した。

「…それでポウロ殿、それがしにミレム様直々の命令とはなんでござる?」

「コホン、最近お主は疲れており、ろくに眠らずに毎日剣ばかり振って体調がよろしくないとミレム様が心配されてな。良く効く特効薬を用意されたのだ」

「…おお、そこまでミレム様が…して、その薬とは?」

ゴロン…ポウロが後ろの二つの巨大な樽をさす。
樫の木目と鋼鉄の止め具から察するに、相当頑丈な樽のようだ。
巨大な樽はそれを納める大きな荷車に詰まれていた。

「これだ。神仙の神通力が入ったこの樽。これに入っておればたちまち直るぞ」

「なに、この樽にそれがしを入れるというのか?」

「少しキツイかもしれんが、ミレム様のご命令である。耐えねば不忠者ぞ」

「わかった。それがしも不忠者にはなりたくない。入ろう」

ゴロン…
スワトは主君ミレムの命令ならばと、自らの巨体の上下に樽を覆いかぶせると、
荷車のスワトの体がすっぽりと頭から足まで入ったのを確認して、ささっと現れた
ヒゴウがその樽の四方にある鋼鉄の止め具をギュッと締めて、硬く止めた。

「ふふ、では行くかヒゴウ。豪傑殿を乗せて千吟芦へとな!」

「ははっ!」

ガラガラガラッ!!!

そういうとポウロは荷車をつけた6頭の馬に鞭をいれ、
後ろで静かに樽に入った豪傑スワトを連れ、一路、
名瀞平野を抜けて、千吟芦へと急いだ。


千吟芦 樹圭庵

千吟芦の西の離れにある樹圭庵。
縦書きで『樹圭庵』と書かれた鉄製の下げ札、それにかかる鉄の門。
鳳凰をあしらった飾りが門を彩り、純度の良い鉄は光に当たり鈍い明かりを放つ。
しかしそのような見事な門や下げ札とは反対に、周りの人家は
人っ子一人住んでいる様子はなかった。
人家の壁や支柱は、長い年月の雨や虫のせいかボロボロに朽ちかけて
耕していたのであろう田は荒れ、集落の外にある見事な外観からは
想像も出来ない場所であった。

ガラガラガラッ!

「幽霊でも出そうな雰囲気だのう。本当にここにいるのですかなヒゴウ殿?」

「ははっ、確かな情報にございます。この樹圭庵は今でこそ寂れていますが、昔は良い鉄の出る産地で、燃料である木々の採取場所も近くにあって、武器や飾りなどで名工と呼ばれた職人達が集まり、沸いたといいます。ですが、良鉄の産出が少なくなると、一人、また一人と去っていきました」

「それでこの有様か…」

「今や住んでいるものはたった五人とか。しかし、その中に当代の名工フロンテイアが居ると…おお、あの家ですぞ!」

カンッ!カンッ!

ヒゴウたちの目の前に白い煙の昇る家屋が見える。
鍛冶屋らしい鉄を叩く音が、あたりにこだましている。

「さて、そろそろ豪傑殿を自由にせねばな」

ガチャッ!ガチャッ!

「おお、豪傑殿。お目覚めはどうですか」

「…中で少し寝たが、やはり駄目じゃ。神仙の樽も今のそれがしには効かなかったようでござる」

「ふふふ。そうですか、では神仙の樽の次は神仙の名工に会っていただこうか」

「なんじゃと!?」

そういうとスワトはポウロに連れられて、鍛冶屋の家屋の中へと入っていった。
トボトボと元気がなさそうに歩くスワトの目の周りは未だ黒いものに覆われ、
背筋や体は弱弱しくだらんと伸び、衰弱したようにも見えた。

鍛冶屋

三人が鍛冶屋の家屋の中に入ると、そこには
おびただしいほどの武器や見事な甲冑が立ち並んでいた。
その剣、槍、甲冑、どれも飾りたてた晴れの日を思わせる
うっとりとしてしまいそうなほど芸術的で、どれもが手に握れば
煌びやかな飾り、鉄の鈍い光とともに合戦の鋼鉄の息吹にそぐう代物であった。

鍛冶屋の中には五人の人間がおり、いそいそと作業をする中
一際熱い火の入った炉の前に、じっくりと座る人物がいた。
そう、この男こそポウロやヒゴウの言う名工フロンテイア、その人である。

カンッ!カンッ!

ポウロは作業をする男に話しかけた。

「お初にお目にかかる。我等は信帝国官軍キレイ軍団旗下で兵を預かるミレムの臣、ポウロとヒゴウ。そして豪傑のスワトである。名工フロンテイアのおられる鍛冶屋というのはここか?」

「名工かどうかは知らないが、俺がフロンテイアだ。帝国の兵隊さんが何をしにこの辺ぴな集落まで?」

「この当代の豪傑にそぐう武器甲冑を作って欲しい。値はいくらでもつけてくれてもいいぞ」

「豪傑・・・?」

フロンテイアはつぶやくと、ポウロの後ろに居たスワトを見て
不機嫌そうに炉にくべた剣を出し、話の腰を折るように大きな音を出し
特性の金槌で思いっきり叩いた。

カンッ!カンッ!

「ふん、やなこった。どんなに金を詰まれても、そいつにそぐう名剣、名槍があっても、あんた達には鉄屑の一つもくれてやらないよ。俺は嘘をつかれるのが嫌いだ。その後ろの大木が当代の豪傑だって?冗談じゃない!死んだ鯉のような目をした豪傑がどこにいる、子どもでもわかるような嘘をつくんじゃない。帰れ帰れ!」

不機嫌な表情を浮かべて、一瞬スワトを蔑むような目で見て言うフロンテイア。
一平民でしかない彼が、帝国の兵士を前にして不遜な態度、
その態度はポウロたちの目に、傲慢な鍛冶屋のように映った。

「なんと無礼な!これにいるスワトは、たしかな豪傑であるぞ!かの頂天教の乱では敵兵3百人を見事に討ち取り!汰馬城の合戦では並み居る猛将を討つ働きをしたのだ!」

「はっはっは!並みの武器でそれほどの成果が望めるのなら、なにも俺に頼まなくても、良い鍛冶屋がおるだろうに!俺は負けることを許せぬ真の豪傑の武器しか作りたくない!そのように体も痩せ、心も衰弱していては、いつか合戦の露と消えるのがわかるわ!」

「心が衰弱しているとはなんと申すか!」

「その通りのことだ!俺は何十年もの間にそれこそ百人を超える武者達に会ってきた。だからこそ見ればわかるのだ!あんたが豪傑と言うその男の、その目、その顔は、負けに焦り、敗北に怖れるあまり衰弱しきった顔だ!心が折れ、戦に怯える奴など豪傑ではない!」

「なんじゃと鍛冶屋!たしかにここにいるスワトは負けた!だが、この男が当代の豪傑たる資質を秘めているを、お前は知らん!先の合戦では、あの四天王最強の武人コブキと対等に渡り合い、負けはしたものの退かずに立派に戦った!その力、その技、その度胸、どれも当代の豪傑たる資質は十分に秘めておる!彼に足りなかったのはコブキの武具『破天馬哭』に相当する武器なのだ!」

カンッ!

その言葉を聞いて、フロンテイアは驚いた表情で金槌を横へ置いて立ち上がった。

「なんだと…?また嘘をついておるのか!?」

「豪傑の前で恥となる嘘などつけるものか、当代の豪傑が敗れることとなれば、それほどの達人が相手となるのは必然ではないか!」

「あのコブキと破天馬哭と渡り合って生き戻ったのか!?」

「あのコブキ…?コブキと知り合いなのか鍛冶屋!ならば奴の実力もわかろう」

「十字の刀槍『破天馬哭』は我が師ファウトスが作り、俺が仕上げをした最強の業物!コブキに渡って見せたその強さ、その力は目に焼きつき忘れるはずはない!あ、あれとやりあって生き残ったと…?ばかなッ!もう一度その男の顔をよく見せてくれ!」

フロンテイアは立ち上がると、大男スワトの顔を見るために
空を見上げて、その目と顔をまじまじと見入った。

「…鍛冶屋殿、それがしの顔に何かついてるでござるか?」

「むむむ…信じられんことだが、うっすらと見える。お主の目には光がある。あのコブキと破天馬哭と渡り合うというのも嘘ではないかもしれん…!おいスワトとやら!こっちにこい!師の最期の名作を見せてやる!」

ガッ!

力強く思いっきり手をつかまれ、スワトは炉のある部屋から移動させられ、
鍛冶屋の家屋の奥にある薄暗い武器倉庫へと向かった。

カッ!

じめじめとした暗い空間に、フロンテイアが火打ち石と種に火をつけ
松明に明かりを灯すと、陰湿な感じのする部屋は一気に明るくなり、
鈍い鉄の光が反射して、武具は息吹くような呼吸をし始めた。
ギラリと目の前に光る巨大な一本の槍とも薙刀ともいえる巨大な業物。
えもいわれぬ業物を前に、武人であるスワトの目は輝いた。
それは情熱的なほど美麗で、見て高鳴る心臓の音をスワトの耳に焼き付けた。

ギラリッ!

「な、なんと巨大で見事な業物!こ、これはそれがしが持っていた大薙刀のそれを一枚も二枚も超えておる…おお、なんと美しいものでござる…武骨で荒々しさを秘める中、この光る鋼のたくましき事…!」

「これは我が師ファウトスの最期の刀槍。名を『真明紅天(シンミョウコウテン)』。コブキの破天馬哭と同じ良質な鉄を何度もたたき上げられた鋼を組み合わせて作られ、武器としては互角かそれ以上と思われるが、その武骨すぎる巨大さ、余りの重さに振り回せる使い手がおらず、仕える豪傑もなく、寂しくしておった。だが、どうだ。久々に明かりを灯して、おまえのような目を持った豪傑を前にして、この真明紅天も輝きおったわ!」

ガシッ!

スワトは思わず許しも得ずにその武器を手に取った。
巨大で武骨な手に武骨な武器が握られるその時、差し込む光明、
反射する鉄の光、そしてスワトの顔が見る見るうちに輝いていく。
天を突き破らんとする巨大な刀槍、真明紅天が今!
当代の豪傑スワトの手に握られたのだ!

「不思議な事だ!さっきまで焦りと恐れで打ちひしがれていた、それがしの気持ちが、この武器を見ると落ち着くでござる!鍛冶屋殿!これは運命でござるか!」

「運命なんてものは、よくわかりません。ですが臣が主君を選ぶように、武器が主人を選ぶならそれも運命なのではないのでしょうか?それにどうでしょう、今、真明紅天を握ったあなたの顔!みるみるうちに先ほどの曇りが消えていくではありませんか!豪傑たる資格!その真明紅天の輝きがなによりの証拠!豪傑殿!受け取ってくだされ!さあさあ、今夜には火を入れて武器の仕上げを致します。さあ誰か来ておくれ!」


そういうとフロンテイアの鍛冶屋にいた四人の男達が作業をやめ
その晩は全員総出で、炉に真明紅天をくべ、その武骨な鉄の塊に
再び息を吹き返させるように、火を入れて何度も金槌で叩き付けた!


カンッ!カンッ!


鍛冶屋の音は、夜が白み朝が明けるその時まで樹圭庵に響いた。
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一人称と三人称の使い方

2008年01月15日 23時39分20秒 | 末路話
どっちにしたって中身が問題@kirekoです。


>一人称と三人称の効果的な使い方を教えて

http://news4vip.livedoor.biz/archives/51113268.html

一人称 俺
三人称 彼 彼女

一人称は人物の目線と心理描写が一つってイメージがありますね。
話す全てが『自分』から始まるから、主述の一貫性さえあれば物語が進みます。
主人公が考え込む=『俺は○○が好きで、それを考えたらフットーしそうだ!』
場の解説=『いてて、○○に殴られた。きぃーくやしい!』
動作や台詞=『避けられない!!俺は○○を覚悟した!』と、
まあこんな風にシーンごとに艶っぽい状況説明もできて楽です。
キャラクターの思考バイオリズムを読者に読ませて
主人公がどうしてて!?どうなってて!?どういう奴なのか!?
というキャラクター達の設定を理解させるのが簡単ということが利点ですかね。
他の人物への無駄なエピソードを主人公の内面の台詞で言えるので、
問題があるとすれば、その人物の心に最期までなりきって考えられるか!?
が問題ですかね。

昔の文豪達がよく使った手法ですけど、やはり人間が
端的に面白いと思うのは、こういう一人称の手法だと思いますね。
高樹のぶ子の『光抱く友よ』とかは、一人称で語りながらも吸い込まれていく
連続的状況説明がヤバイです。

一方、三人称は多人数の動作と心理描写が一動と動かせるが、
全てをまとめきる構成力がいるイメージがありますね。
情景描写、台詞描写、動作描写、そして理解をさせる解説。
また、それ以外にも設定の難しさがある。
読者をダラけさせないために限られた話数で各人物の描写が必要となるため
無駄な部分が一切かけない。エピソードに印象的な部分を盛り込めないことや、
設定にブレが生じると、さもすればキャラクターの破綻に繋がります。
ただし出てくる多くの登場人物のエピソードや、心理描写があるため、
読者に多方面的感情=よりマルチなドラマ的感情を抱かせる事ができる。

時代を描く歴史物とか戦記物はこういうの多いですよね。
山岡荘八の『新太平記』とかも三人称が多いんですが、やっぱり三人称の権化は
吉川英治大先生でしょうな。司馬遼太郎の三人称はドラマティックな場面よりも
脱線した知識文化の披露が多い気がしますので割愛ww

で、逸脱しましたが、こういうのが小説のメリットとデメリットかな。
しかし正直なところ、完全に三人称描写となると文章が面白くないというか
心理や感情をやぶさかには書けないという所から、色んな場面場面で
読者に理解を求める部分が多すぎて、面白くないと思なあ。

ちなみにkirekoはキャラクター達の気持ちが入るところは一人称、
冷静に場景を説明したり、スケールを大きく描きたい時は三人称を使ってます。

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シィビルヴァーグ

2008年01月14日 23時06分18秒 | 我流ロボットデザイン
スティーブンスピルバーグ@kirekoです。


>銀幕のスーパーレンジャー救助隊!それが銀猿!



季節が寒すぎるという罠を掻い潜ってやってきました銀猿部隊!
書いた自分さえ謎の武器をもって雪山を縦横無尽に活躍するぜ!
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日テレリメイク版ヤッターマン!タツノコ凄すぎる・・・!

2008年01月14日 19時43分10秒 | 末路話
作画と声優の頑張りにあやうく昇天してしまうところであった@kirekoです。


>日テレのヤッターマン
はい、というわけで前に言ってた日テレリメイク版ヤッターマンの放送見ました。
とりあえず一言。

タツノコプロさん生意気な口きいてすいませんでした。最高です。

なんといっても三悪の声優陣とロボットアクション作画が凄かったです。
東京タワー発進エフェクトとお助けメカのメカニズムをしっかりやるあたり
ほんとタツノコプロさんには頭が上がりません。
流石に裸はありませんでしたが、ドロンジョ様の「すかぽんたん」
ドクロベーのお仕置き、命令をいったあと爆発して
三悪のコスチュームがボロボロになっちゃったり、
BGMが全て山本正之の「ヤッターキング」「ヤッターマン」などの
インストゥルメンタルだったりと、とにかく全てが豪華すぎる!
メカ爆発の作画が若干しょぼかったですが、爆発がドクロマークであったりと
とにかく旧作ファンを喜ばせるところが随所に盛り込まれててよかったです。
小ネタの連続もやばかったですね、高速道路をマッハ号が走ったり
銅像のある場所にあくびとハクション大魔王の象があったり
演出、キャラ関連、ドラマ脚本の余計なグダグダが無くて
とりあえず今のところガンちゃんの声優が「甲高くて熱血な男声の女性声優でなくてやる気の無い最近流行の鈍感系男性声優」というところ以外文句なし!
これは久々にヒット!おさえるところを全部おさえてて面白い!

来週からこれは必見というところですかな。
ただナレーションが山ちゃんで寂しいのと
ヤッターワンが喋りすぎるのはどうかと…
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第一回スワット会、罰ゲームサバゲー

2008年01月14日 00時49分13秒 | サバゲー
あの大名行列はなんだったんだ@kirekoです。


>とりあえず今日は疲れたので罰ゲームの中身だけ…
もしこれ以上知りたい人がいれば掲示板にアクセスだぜ!
とにかく風が寒かったです!あと人が多かった!
マガジンのゼンマイが途中でぶっ壊れた!
エアコキ武器庫がなんか強かった!
そして埼玉からくる大名行列にびびりらくりまくりすてぃ!!!


■今回使った(ゲーム系以外未使用無し!)罰ゲーム内容


フルオートのみ(ただしトリガーひきっぱなし)
次ゲームずっとしゃがむ(移動もしゃがみ)
草むらを暴れまくる(動画or写真)
フルオート禁止
シャドーサバゲー(30秒)
かくれちゃいけないよ
最初の動画一人リプレイ(1分)
マガジン10発
次ゲームずっと叫びながら参加(声はれよ)→声はイエェェェァ!
ぼーなす、自分以外フルオート禁止
今まで自分が動画をやってきた中で一番うけたと思う動画をやる(思いつかない人は面白い事を動画)
次ゲーム一分間武器使用禁止
ウェイトを逆手に二個つける、銃は逆に持つ×2枚→スワット罰二倍ワロタ
凄い熱そうなフリをする
弾十発でがんばれ
次ゲーム4対1(ビリ)
利き手と逆の手で銃を持って戦え(二挺の場合は利き手禁止二挺で)
一人でストⅡのキャラの動きをする(初期の八人)動画
次ゲーム一度もしゃがんではいけない
ぼーなす、自分以外武器チェンジ
次のゲーム移動はスキップ




基本的にスワットの考えた罰ゲームが鬼畜すぎるwwww
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ひ、ひかりだ!もっとひかりを・・・!

2008年01月12日 22時58分29秒 | サバゲー
サバゲーは翌日へ繰り越されました@kirekoです。


>ひかりだ!もっと俺を照らすのだー!(ジャコウ的な意味で

降水後で戦う悪路の問題・・?へっ、むしろ機動力を売りにする武器庫やポロ野朗を倒すことができるチャンスが増えるだけだぜ!見てろ、俺は今までのタンタンじゃない。あの場所なら俺が最強だと言うことを思い知らせてやるぜ!おまえら明日は蜂の巣だからな!



当日は、お手柔らかにお願いします^^;
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第四十二回『虚変実撃 妙策反謀 鬼謀の妙策、虚に見えて実にあり』

2008年01月11日 22時54分59秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第四十二回『虚変実撃 妙策反謀 鬼謀の妙策、虚に見えて実にあり』



参謀タクエンの叱咤に励まされたキレイ官軍隊だったが、
それからの2ヶ月間は毎日が苦汁をなめる戦の日々であった。
名瀞平野を境に続く高家四天王軍団との競り合いは、
流石に一筋縄ではいかず、いかに有才の将、智者豪傑の力があっても、
その思惑通りにとはいかなかったのである。


英名山にそびえる二つの要塞、武赤関、武青関の守りは堅く
なおかつ守将が四天王の一人、鉄壁のキュウジュウともあれば
統率された守備兵は一糸乱れず、その守りは分厚い鋼鉄の壁の如く、
芯の通った歴戦の守りには、寸分の狂いもなく、付け入る隙もない。
これを力押しで破るのは不可能であった。

力押しで攻め取れないと思えば策でとるしかない。
キレイはあえて偽情報を流しては、誘引、陽動の部隊を繰り出し、
左へ右へと策を飛ばすが、四天王の一人、鬼謀と謳われたソンプトに
心を見透かされるが如く、出す策は見破られ、その時、その場所を問わず、
キレイ軍団の兵は瞬く間に敗北の辛酸をなめることとなる。

幾度となく野戦で引き分け、または小さな敗北を積み重ねると
被害も大きくなり、攻めあぐねるともなれば持久戦になる。
しかし、官軍隊が本陣をとられまいと出陣せず守備を固めたと思えば、
四天王速攻のステアは、風の如く多くの兵を走らせ、先手を打って
山の麓の数箇所に四天王軍団の陣を構えてしまう。

慌ててキレイ軍団が四天王の陣を攻めるが、そこに待っているのは
武において四天王最強を誇る、常勝将軍、烈炎のコブキである。
黒毛の馬に黒衣の武者、武器のそれを逸する破天馬哭を片手に
目の前の大軍に物怖じもせず、ただ迫る兵を強烈な技と力でなぎ倒す…
キレイ軍団の猛将オウセイ、ゲユマ、ガンリョ、クエセルでさえ
その修羅の如き働きを見て、引き分けるのがやっとという有様であった。


しかし、キレイ軍団も、ただただ指をくわえてやられていたわけではない。
金を出し渋らずに持久戦を見越して兵糧の確保し、敵の情勢を逐一知るために
密偵を忍び込ませて偵察をかかさず、辺りの地理に詳しい者を兵の端に加え、
本陣近くに敵の遠方を視るために、目渡しできる範囲に守備の陣と高い櫓を
数箇所組んで、敵の動きを監視した。

そして、ホウゲキ討伐軍として官軍の片翼を担う大将メルビ、チョウデンの軍に援軍を頼み5千を兵に加えて、かたや後詰めの弟キイに与えた援軍兵も吸収し、キレイ軍団は四天王軍に敗北を続けたいうのに、その兵数は増強に増強を加え、今や2万もの大軍になっていた。


そのため、勝利に勢いのある四天王軍も易々と攻めきれず、
戦は、にらみ合いを続けたまま膠着状態へと陥っていった。


英名山の麓 高家四天王の陣

季節は湿度の高い熱風が吹きすさぶ夏から、湿気の無い秋風が吹き、
葉は色を茶色にそめて、山はそよぐ風にその赤茶けた姿をなびき始めていた。

九月の初旬、初戦から官軍に対して負ける事の無い連戦連勝、
まさに破竹の勢いである四天王軍団は、麓に築いた陣屋に集まり、
その首を今一同に返して策を戦い合わせた。
主君ホウゲキの天下を描き、目の前の膠着状態を打破し、
完膚なきまでに官軍を倒し、一気に西の都へ上洛すべきと、
鬼謀のソンプトを中心に軍儀を重ねていた。

「オホホッ…アチキの智謀にかかっちゃ、官軍もたいしたことないわねえ。官軍には有能な策士がいないのかしら?それともアチキが出来すぎちゃうのかしら。出す策、出す策、全部アチキには見え見えで、謀をするまでもないわ。正直言って、ちょっとは強くないと戦はつまんないわよねえ。陣と兵だけ増やして手配して、あとは怯えすくんで耐えているなんて、あれじゃまるで亀だわよ!」

「フフッ、そうはいうがね。亀は亀なりに必死だよ。事実この1ヶ月、僕ら四天王が方向はどうあれ攻めあぐねているんだからね。まっ、僕らがこうやって戦っている間にホウゲキ様の本隊が南方から西へ進行しているなんて、彼等は気づかないだろうけどね」

「なあに、そのうち敵がしびればきらして攻め込んでくるでゴワスよ!そん時に、おい等四天王の力ば見せりゃあ。官軍恐るるにたりんでゴワスよ。なあ、そう思うじゃろコブキ将軍」

「………俺は『恐ろしい』という感情は持ち合わせていない…」


バタバタッ…バタバタッ…


厚手で白い布が風を防ぐ音が、大将用に立てられた大きな幕舎に聞こえる。
幕舎の中には、名瀞平野の地図を真ん中に四つの机に四つの席、
南は、紫の冠をかぶり薄ら笑いを浮かべる紫の衣のソンプト、
西は、流暢な言葉と含み笑いを浮かべる黄色の甲冑のキュウジュウ、
東は、手を空に躍らせながら大きな声で笑う褐色の鎧のステア、
北は、座す姿は威風堂々にただ寡黙を貫く黒衣と白色の甲冑のコブキ。
その後ろには四天王軍の各直属の配下の将達が立ち並んでいた。

しかし、この軍儀と席の位置関係にはいつも法則性があった。
いつもソンプトは『生』を意味する南に座り、ステアとキュウジュウを横にし、
黒衣で寡黙なコブキをいつも疎ましく対面、『死』を意味する
北向きの席に設置し、決して隣には座らせなかった。
それと同じにステアはソンプトとコブキを隣にするが、
キュウジュウの隣には絶対に座らなかった。
この法則は『同じ方面の軍を率いる』という立場でも同じであった。
関を守る時でさえステアとコブキは武赤関、ソンプトとキュウジュウは
反対側の武青関と言う風に、故意とも思えるほど分け隔たれていた。


そう、同じ君主を仰ぐこの四天王の中にも実は確執があったのだ。


「はっはっは!感情がないとはコブキ将軍も役得でゴワスな!恐れる物を知らんという事ほど武士としては立派でゴワスよ!」

「ふんっ、あーやだやだ。これだから筋肉と暴力で話をする学識の低い人間は嫌いよ。それになんなの?ふんっ、喜びも悲しみも感じないで、よく兵隊の声が聞こえるわねぇコブキ将軍?あんたの部下がかわいそうで仕方ないわ。あ、ごめんなさい!感情がわからないのよねえ?かわいそうに!」

「………」

黒衣の豪傑コブキは、目の前であざ笑うソンプトの言葉に対してただ黙り、
その表情を変えることもなく、下卑た笑みを浮かべるソンプトを見た。
コブキの後ろ将軍達は、自分達の上官に対して侮辱の言葉を並び放つ
紫の衣に、苦々しく歯を軋ませ、拳を握り、その怒りを露にしていた。

「あらら図星かしらねぇ?だまっちゃって。オホホ、あなたの後ろの部下達を見てみなさい。みんなかわいそうに怒りを溜めて、アチキを見てるわ。オホホッ、でも束ねる大将殿がこんな奴じゃねぇー」

「………」

ソンプトはそれら将軍達の無言で怒る姿を見て、
未だ寡黙を貫くコブキを見て気に食わず、そのまま侮辱の言葉を並べ立てた。
部下達の怒りもそのままに、コブキはただ黙ってソンプトを見た。

スッ

「フフッ、少し無礼だよソンプト。僕だって今の言い方をされたら怒るさ。フフッ、そういえばこの前、僕のあからさまな偽手紙にも気づかないで、帰ってきて怒る人もいたね。フフッ、馬鹿はいいよ。簡単だから。偽情報に踊らされて、僕の思惑通りに早がけして策を完成させてくれる…そう名前はたしか、四天王さんだったけな…?フフッ」

ソンプトの前へと手を差し伸べたのはキュウジュウであった。
しかしキュウジュウも、ソンプトの侮辱の言葉に続けと
ステアのほうをみて、上目線で下卑た笑いを投げかけた。

ガッ!

「おいどんを侮辱するつもりでゴワスか!」

「おやおや、僕は四天王といったんだけどね。フフッ、そういう所直さないとホウゲキ様の四天王でいられなくなっちゃうよ。君の特技は乱暴なのと、兵を進ませるのが早いことだけだからね。もっと思慮深くならなきゃぁ駄目だよ、フフッ」

「なんじゃと!おいどんに思慮がたらんというでゴワスか!」

ステアはそのキュウジュウの投げかけに机を叩いて怒った。
キュウジュウは激昂するステアの言葉に対して「ふふん」と言わんばかりに
再び見下ろすような上目線で含み笑いをしながら無礼な態度で言い返した。

ポンッポンッ

「オホホ、今のでいい策が思いついたわ!」

ニヤニヤとする顔を浮かべながら、ソンプトが声をあげた。
するとキュウジュウはステアの顔を見て、それまでの上目線をやめ
深深とステアの前でお辞儀をした。

「おっ。フフッ、ステア将軍をからかうのも終わりか。フフッ、将軍どうも失礼しました。今のは僕が意図的にやったことで、僕が悪かったということでいいですよ。さっ、恨みは忘れて仲良く軍儀に臨もうではありませんか。ソンプト将軍が今ので何かを考え付いたみたいですよ。フフッ、僕はだめだなあ。普通に話そうとするとどうしても偉そうに聞こえちゃう。フフッ、もうしわけありませんでしたねステア将軍」

「なんちゅう慇懃無礼な奴でゴワスか…!」

ステアやその部下達はキュウジュウの言葉にさらに怒った!
だが、流石に四天王軍団の一翼として、軍儀の最中に我を忘れて
怒りだすわけにもいかず、それぞれ苦虫を噛み潰すような顔で
ただ下唇を内に噛み、拳を強く握り、黙ってその感情を抑えた。


「そんで、その策っちゅうのは、なんでゴワスか!」


声をはりあげてステアがソンプトに問う。
ソンプトは肩を上へあげ、ニヤッと笑うと、
紫の衣の腰に手をつけて立ち上がり、逆の手は空にあげ
声を大にして、四天王の座の前で自慢げに話し始めた。

「オホホ…官軍は増やし続けた兵員を養うために、莫大な兵糧を置く兵糧庫をどこかに隠しているはず…。アチキは密偵を忍び込ませて、その場所が名瀞平野の西南の『琶遥谷(ハヨウコク)』近くの盆地にあると睨んだわ」

「へえ、でも琶遥谷は30里も先にあって、攻めるにも敵の監視櫓からは見え見えだよ」

「やーねぇー。何も正々堂々と馬鹿みたいに突っ込んでいく奴なんかいないでしょ?敵はアチキの智謀で何回も煮え湯を飲まされているわ。だからその猜疑心を煽って、いつもの虚を実に見せかけて、それを突くために兵を出して実を奪うのよ。いくら官軍だって、何回もやられてれば気づく奴が一人や二人いるでしょうからね。堂々と正面きって、わざわざ兵数の少ないアチキ達が危険を冒してまで兵糧庫を襲うはずがないと思うでしょ?」

「フフッ、そうか、その官軍の虚を突くわけだね?でも何度も負けている敵に虚を実と思わせるにはそれなりの算段が必要だと思うけど?」

「オホホ、鬼謀といわれたアチキにかかればそんなことわけないわよ。まずは敵にありったけの偽情報を流すの。四天王軍は勝利に酔い始めているとか、反乱が耐えないとか、兵糧がなくて餓えてるとか。情報が相手に伝わったところで、敵の兵糧庫を襲う四天王軍の大々的な陽動作戦を言いふらすわけ」

「フフッ、いつも負けている敵は『いつも逆の手を考える鬼謀ソンプトの罠』と思って、その虚が実に見えてしまう。なるほど名案じゃないか」

「オホホ、わざとらしく敵をひきつけるために陽動の兵を少なくして敵陣の周りに配置すれば、兵の大部分は兵糧庫に向かわせられるしね。時間がたって実が、どこにあるか官軍が勘付いて移動すれば、陽動の兵と合わせて挟み撃ちにもできるし。あとは、今日から守備の兵には空腹の毎日を送ってもらうことくらいかしらね。どこで敵の密偵が見ているかわからないからね。この情報を敵に知らしめて、最期に…これこそ『虚変実撃の計』よ…うふふふ」

幕舎の中でソンプトの鬼謀の計略が着々と動き始め、
その夜、計略を任せられ情報を流すように脱走兵を装って、
一人、また一人と四天王軍の陣屋から人が抜け出して言った。
その次の日から、官軍の陣屋へと一つ、二つの噂話として
四天王軍の偽の情報が流され充満し始めた。



官軍 キレイ軍団本陣

三日後、官軍隊キレイ軍団の陣屋は慌しく動いていた。
勝利を続ける強き四天王軍の弱さを突く情報が、
次々と毎日脱走兵によって舞い込んで来る。
情報は、すでにキレイの耳に届き、四天王軍団を相手に負け慣れたキレイは、
ソンプトの計略の意図にまんまとはまるように、その猜疑心を煽られ、
的確な判断を下せず、どれか虚かと迷い始めていた。
迷い悩んだ末、キレイは他の部将に気づかせないよう
秘密裏に信頼のおける参謀のタクエンと将オウセイを呼び、
誰にもわからぬよう陣の幕舎で軍儀を開いていた。

「お前達に集まってもらったのは他でもない。ここ数日の四天王軍の妙な情報に関して迷い、その答えを率直に尋ねたいのだ。敵の陣屋から連日脱走する兵の情報といい、敵の兵糧事情の漏洩といい。普通ならば千載一遇の情報であるのに、敵が四天王…特に鬼謀のソンプトとなると、まるで見え見え陽動策が実に見えてくるではないか。これをどう思う」

「若、あれほどに策知に富んだ将であれば、拙者とてその迷いはありまするが、忍び込ませた密偵からの情報によると、たしかに守備兵は、食べる物も無く痩せてきており、空腹の毎日を送っているとか…」

「ううむ…敵が琶遥谷の兵糧庫を襲う算段をしているという噂もあるしのう」

キレイはオウセイの言葉を聞いてさらに迷った。
怪しい、怪しすぎる。実に見せて虚、まるで誘っているかのようにも見える。
その姿は虚か、実か。猜疑に悩み続けるうちに、計略によって著しく低下した
キレイの判断能力は、今にその許容を超えるほどであった。

「ふふふキレイ様、何をお悩みなされるのか。智謀を売りにするこのタクエンも、立て続けての敗戦の中で学びました。たしかに局地的に私達は負け続けました。しかし、兵数、将才、どれをとっても大局としてみればまだ互角。四天王軍がなぜ今になって兵糧不足になるのか、それをよく考えなされ」

「しかし、密偵の情報と四天王軍の情勢を考えれば虚とも…」

「落ち着いてくだされ。どのような敗北を体験しても、戦は心が折れてはいけません。いつでも冷静に目の前を静観する目をもってすれば、この計略、見抜けぬはずはありません」

「たしかに…。敵が強敵と思ってしまうからこそ、情報が錯綜して判断が鈍る。頭を真っ白にしてよく考えれば、敵は我らより少数。敵の兵站も考えれば英名山の関からではなく、別路から来ている物と思えば…たしかにおかしいぞ…!これは虚をついた実計なのか…?」

「そのとおり。小さな敗北の積み重ねで、心の折れそうな我らほど、警戒しその判断を誤り、見える虚計を実計と思わせられる者はおりますまい。これは敵が我らの心理の隙ついた妙策でございます」

タクエンは自信満々にそう言った。
キレイはその言葉をつらつらと聞いて、今までモヤのように
かかっていた頭の雲が、澄み切った青空に抜けていく感じがした。

「ということはタクエン!やはりこれは虚に見せかけた実か…!」

「私も実戦の中で確認するのは初めてですが、これは古書兵法に昔からある『虚変実撃の計』です。虚を実に見せかけ、慌てて兵を動かす我らの喉元を掻っ切る算段でしょう」

「虚変実撃の計…!むう、四天王ソンプトめ、なんと恐ろしい計略だ!」

いつになく弱気なキレイの言葉を聞いて、タクエンはフフッと笑った。


「なぜ笑う。どちらにしても敵の計略に動く軍団が差し迫っているのだぞ」

キレイは、タクエンにその笑いの意味を尋ねると参謀のタクエンは
ゆっくりと口を開き、場に居合わせたオウセイにも聞こえるよう
声を大にして言った。


「キレイ様、ご安心なさいませ。敵に『虚変実撃の計』あれば、こちらには『後虚車実の計』があります」


「なにっ…!後虚車実の計!?」


その後、キレイとオウセイは、タクエンの計略を聞きながら
日が暮れれば松明を燃やし、噂が続く陣の幕舎の中で、
初秋の風の吹く闇の帳に包まれながら、長い一夜を軍儀で明かした。
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やったのかやらないのか

2008年01月11日 17時56分51秒 | 末路話
松下電器がパナソニックに社名変えて、なんとなく悲しいな@kirekoです。


>そうかGOOの悪戯か

というわけでアクセス数は元に戻りました。
若干くすぶってますが、下がって安心安心ふぅ。
だが心のどこかで少し寂しい思いがしたようなしなかったような、
しかしナンだったんだろう、あのアクセス数の原因が知りたい所。
というわけで今日から通常営業に戻ります。


>ファンタズィー!

短編マラソンが終わったあと思ったのですが
なんとなく書く事が苦痛だと感じなくなりました。
やっと現実逃避の娯楽の感覚の域に入ったのかと正直嬉しいぜ!
というわけで、凄くモチベーションがあがってきてます。

>サバゲー

明日なんですが、豪雨よりは豪雪がいいです。
バッテリーは三本目を充電し終わりました。
ソノキレイナカオフットバシテヤルゼ。

>動物

キリンさんよりもゾウさんが好きです、でも、よく童話で出てくる
キリンさんやゾウさんの末路は悲しいものですな。
幸せになるのはいつもか弱い愛玩動物ばかり!
亀さんがかわいそう?馬鹿めが!
ウサギがもう少し冷静で、狡猾であれば
あのように、ぬかることなどないわ!

>のらみみ

勧められたので見ました。
とりあえず、駄目なめがねじゃなくて、ジャイアン的な性格だけど
どこぞのド根性カエルより

ポケット抜きでもいいから、俺に青だぬきを紹介してくれ。

奴とは大人になってから出会ったほうが楽しそうだ。
コメント (2)
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なにこれ・・・?何が起こってるのGOO・・?

2008年01月10日 18時56分48秒 | 末路話
編集画面ひらいたらワロタ@kirekoです。


>gooブログ、アクセンスランキング

なんだか知らないけど編集画面でアクセス数みたらいつもの四倍あった。1000位までが表示されるこのGOOブログ全体で、昨日のアクセス数が616位(932559 BLOG中)だと…?なんだ?GOOめ!いつもの仕返しにきたのか?何が起きたGOO!応答しろGOO!

すごく猜疑心を揺さぶられるんですが、これって
いわゆるアクセス捏造って奴ですかね・・・?
もう怖すぎるんですけどGOOさん…。

昨日更新したこと・・・?まさかラルクで引っかかったってオチかー!


>生演奏ロックマン

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1993851

ギターとドラムの疲れっぷりが尋常じゃない!
ワイリーステージのギターの鬼畜っぷりがやばい!
そしてクラッシュマンステージがスパークマンステージでワロタ
そうかと思えばワイリーステージも3だし
混ざりすぎなのかサービスなのかわかんねえよ!www
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季節はーほらーメッセージ!

2008年01月09日 00時29分40秒 | 末路話
昔のラルクは音がシャンシャンしてたな@kirekoです。


>季節の匂いを感じる

http://news4vip.livedoor.biz/archives/51110608.html


これはたしかに感じるなぁ…
なんともいえない匂いっていうか、感覚のようなもの。
四季がはっきりしてる風土に住む、日本人ならでは感覚なんだろうな。
季節の匂いというか感覚をよく表すのは枕草子なんかが、それっぽいね。

秋の地下鉄のホームの匂いと、冬の朝の匂いは格別。
春の匂いはちょっと萌芽の土臭さが溢れるから駄目だな。
初夏か、秋手前のどっぷり暑い夏の夜に窓をあけて
そこから流れてくる少々の風の匂いが心地よくていい。

冷房?暖房?季節感を味わえない奴は死んでしまえ!
石油ストーブは常備だろうがー!
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でかいキャンパスに描く!

2008年01月08日 21時56分57秒 | 我流ロボットデザイン
そしてキャンパスサイズやべえ@kirekoです。


>でかいキャンパスに描く



おのずと文字もでかくなる!
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第四十一回『謀夫当怒 敗論常説 名謀、敗戦の理に龍を叱る』

2008年01月07日 23時43分07秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第四十一回『謀夫当怒 敗論常説 名謀、敗戦の理に龍を叱る』



帝国官軍と四天王軍の初戦、名瀞平野の戦は
終わってみれば攻め手であった官軍の圧倒的敗北であった。
兵数の違いもあったが、当初の目的であった一行三月陣の陣形は崩壊し
四天王ソンプトの軍略によって、あわや本陣を奪われる所であったことは
勝利に酔っていた官軍の兵達に少なからず動揺を与えた。

各所の陣の守りの要であったミレムの陣が、
四天王キュウジュウの軍に破壊されたことにより、
ステアの猛攻を立派に死守したオウセイの先頭の陣も、守り手を失い
挟撃される被害を恐れて、キレイの本陣への撤退を余儀なくされていたのだ。

日が沈み、夜の帳が辺りを完全に包む頃。
英名山の要害、四天王軍の居城である武青関、武赤関は
官軍撃破に酒宴が開かれ、どの者も主君ホウゲキを褒め称え、
四天王軍強しと盃を重ね、初戦の勝利に湧きかえっていた。


苦々しく、遠めでそれを見る官軍の兵士達。
振り返れば傷つき、敗れた将達が肩を落として本陣の幕舎に集まっていた。

四天王コブキに敗れた豪傑スワト、猛将ガンリョ、クエセル。
四天王キュウジュウに敗れた気運ミレム、知者ポウロ、ヒゴウ。
四天王ソンプトの鬼謀に敗れた龍将キレイ、猛将ゲユマ。
唯一、四天王ステアと引き分けたオウセイ、ドルアでさえ、数々の傷を負い、
率いられて撤退してきた2千余りの兵達も満身創痍であった。

危機を察して後詰めの軍を引き連れて現れたリョスウとタクエン
そしてタクエンにくっ付いて来た僧のジニアスは、敗北に傷つき、
自信を無くし始めた将兵達を見て、不安を感じながら
幕舎の中へと入っていった。

官軍本陣 幕舎

幕舎の中は敗北の鬱屈した空気に飲み込まれていた。
タクエンが幕舎に入って見て驚いたのは、立ち並ぶ将のどれもが
ガックリと肩を落とし、灯火の前で浮かない顔を下へ向けていた事だ。

「・・・(連戦連勝で上がった意気が、かえって敗戦の色を濃くしたか)」
タクエンは並ぶ将達を見ながら、心の中でそう思った。

戦の後となれば褒賞と手柄に必ず嬉々とするミレム、ポウロ、クエセル、
威風堂々と立ち、自分の武の誉れを喜ぶスワト、ゲユマ、ガンリョ、
いつもは自信満々な顔で迎える首座のキレイでさえ、その例外ではなかった。

場を見て不安を覚えながらリョスウが席につくと、
タクエンは一計を案じ、僧のジニアスを呼び耳元で何かを話した。
ジニアスは「判った」といった感じで頷くと、自席につく前に
わざとクチャクチャと口で音をたてて悪態をつき、そのまま
場にいる全員に聞こえるように、そう張ることもない大声でこう言った。

「へっ、名瀞にすすり泣く夜草の溜まり場か?ここはよ!人斬り侍も負けると、とたんにくだらねえ生き物になるなぁ!」

「むッ!いきなり出てきて無礼だぞ僧風情が!控えよジニアス!」

首座キレイの近くに座っていたゲユマが声を出す。
しかしジニアスは悪態をつきつつ、また言った。

「ケッ!いつもは偉そうに人を斬っただの殺しただの胸をはってわめく侍どもが、まったくどいつもこいつも、締りのない!だらしのねえ顔しやがって!」

「な、なんだと・・・!」

ジニアスの悪態ぶりは、ゲユマだけではなく、
沈むガンリョやミレム、ポウロなどにも苦々しく見え始めた。
しかしジニアスの言葉は終わらない。

「認めたくねえかもしれねえがな!てめえらはクソのように負けたんだよ!驕って、必死さを忘れて、惨めに負けたんだ!そこは認めなきゃならねえ!だがな、てめえらも一端に人斬りの商売をやってんだ!顔沈ませる前に目の前の戦が迫ってることを思い出せよ!」

「くっ…このお・・・」

ガリッ・・・ガリッ・・・ギュッ…ギュッ・・・

ジニアスの言葉を苦々しく聞き続ける将達。
イラだたしさは歯を軋ませ、握った拳からは血がでんばかりであった。
しかし、放たれたどの言葉も心に響くほど正論であり
諸将は反論できなかった。

そして、ジニアスは最期にこう言った。

「ハッ!少しは頭を切り替えろよボケども!!やい、そこの人斬り大将!てめえもそうだ!この前は自分が神だなんだと大言を吐いておきながら、合戦で負けたら小人のようにすくみあがりやがって!実に小せえ男だな!!」

ギチギチ・・・ッ!!

その言葉に父親キレツ譲りの癇癪持ちであるキレイは怒った!
それまで沈んでいた顔は血色を取り戻し、首筋は血管は浮き立ち、
目は見開いて釣りあがり、眉間は皺で埋もれ、それが幾重にも重なって
皺の溝は影を造るほど深くなり、アゴは張り、歯は軋み、
音を立てる口からもれるのは、怒気を孕んだ怒りの吐息であった。

「はっはっは!そうだな人斬り侍の大将がこれじゃ!負けて当たり前か!」

バンッ!

「おぉ!おのれ腐れ坊主!黙って聞いていればぬけぬけと!許せん!衛兵!こやつを侮辱の罪で捕らえ!そうそうに首をはね・・・」

座の前の机を思い切り叩くと、キレイは座を離れ立ちあがり
無礼な言葉を羅列するジニアスにググッと力強く指を指し、
ついに怒りは言葉となって幕舎を駆け抜けようとする・・・その時であった。

キレイの言葉を止めるべき手が一つ。
その主は、傷つきながらも、この場に居合わせたオウセイであった。

「若、落ち着きなされ。先ほど幕舎に入る時に拙者は見申した。おそらくジニアスの言葉は、負けに歪み、沈む我らの心を奮い起こさせるためのタクエンの策でしょう。しかし、ジニアスの言葉は至極真っ当です。もし彼に虚偽の罪があり、首を斬られるとするならば、我々も敗戦を喫した罪で首をはねられねばなりませんぞ」

「む、むむ…そうなのか…くっ、ジニアス。今度だけは許そう!早く席につけ!」

「ケッ、あんたも大変だな。オウセイさんよ、まったくご苦労なこったぜ」

キレイは言い放ち、用意された一杯の酒をグイッと煽ると、
首座にドカッと音を立てて座った。
その表情はいつもの冷静さを欠き、怒りや悔しさに歪み、
心は、さまざまな憤りを抱えて、頭は機能を失い、真っ白になっていた。

「若、どうされたのです。いつもの冷静さをもって会に臨みなされ」

とっさに出たオウセイの一言、その意味は理解はできたものの、
なぜ自分がこうも罵られねばならないのか、その悔しさに思わず
溜まりきった怒りの矛先をタクエンに向けて放った。

「むうううう!それにしてもタクエン!お主ほどの者が、恐将と名高いこの私になんたる無礼を行うのだ!このキレイを怒らせて何を利とするのか!説明せよ!」

ザッ・・・

ジニアスが席に座ったのを確認したタクエンは、
用意された酒の杯を持つと、キレイの前へ持っていった。


「こういうことにございます」


ポタッポタッ・・・ジョロジョロジョロ・・・ボタボタッ!

なんとタクエンは諸将の見守る中、キレイの前で、杯を右へ徐々に傾け、
中に入った酒を幕舎の下、つまり乾いた土の待つ大地に注いだのだ。

「なんのつもりだ…?タクエン!」

その光景にキレイの怒りは最高潮へと達した。
タクエンへと向けられたキレイの視線は
突き刺さる刃物のような睨みをギロリときかせ、
声は猛禽の動物の鳴く声の如く震え、低く響いた。

「………」

「酒を…地に!?」
「な、なにをしておる!」
「タクエン殿!」

黙るタクエンを尻目に、首座近くに居たゲユマや、
中央を囲んで配置されていたミレムやポウロ、
ドルアやガンリョ、クエセル達は目を開いて驚いたが、
諸将の中ただ一人。首座近くのオウセイだけは
驚かずに落ちる酒が全て無くなるまでタクエンを見ていた。

バンッ!!!

「答えよタクエン!なんのつもりかと聞いておるのだ!」

キレイは怒りに怒った。
机を蹴り上げ、胸倉を掴まんがばかりのキレイの勢いを見て
タクエンは冷ややかな目でキレイを見下し、らしからぬ凄みのある声で
キレイにこう言い放った。

「今ここにある杯が、我が軍のことだと気づきませぬか!」

「な、なに…!」

凄みを利かせたタクエンの言葉はキレイに響いた。
目の前で憤る自分を見下し、冷ややかな目で冷静に語るタクエンを見て
キレイは真っ白になった脳を硬い鈍器で殴られるような思いがした。

「私はいつもキレイ様に申しておりました。冷静であれ、驕ってはならぬ、と。それがどうでしょう。勝ち戦に驕って敵の能力もよく理解しないまま戦をしかけ、軍は被害をだし陣は奪われ負け戦。有能な将を持ちながら大将が侮って判断を誤る。杯が将、酒が兵、持つ手が大将だとすれば、この結果は杯を傾けて酒を大地に吸わせるが如き行いでしょう」

「・・・」

タクエンに言われ動かず黙ってしまったキレイを見て、
いてもたってもいられず、右手からゲユマが声をあげる。

「タクエン殿!たしかに結果として我らは負けました!しかし四天王軍を前に立派に戦いました!それに勝敗は兵家の常!勝つこともあれば負けることも有りましょう!」

「ゲユマ将軍。あなたはキレイ様の家臣として、将として付き従って何が大事と考えますか?ただ敵を倒し、将の首をとればいいのですか?こたびの戦で、あなたは的確な判断をもって兵を平野に中座せず、陣に帰る事を進言したと聞きます。だがキレイ様は聞かなかった。聞いていればオウセイ将軍の攻めの腱も失わず、そこから無尽に策を飛ばす事もできました」

「し、しかしそれは…主君の・・・」

「キレイ様は有能だが若い。だから間違えもする。間違っていると思えば、その時に体を張ってでも諌めるのが真の家臣であり将であろう!違うのか!」

「うう…」

ゲユマは言い返せず、押し黙ったまま、力なく下を向いた。
それを見て、庇うようにクエセルが声をあげた。

「やい!聞いてれば知識ぶって、立派に戦った将を蔑むとはなんだ!このやろう!戦ったのは俺達だ!お前じゃない!結果を見て話をするな!」

「だまらっしゃい!!」

タクエンは声を張り上げて、腕を横へと動かして
手をスッとさしだし、一指し指をグイッと突き出すとクエセルに向けた。
クエセルはその態度に怒りを露にした。

「なんだと!」

「お主やガンリョ、それにスワトはオウセイの陣の守兵として動いていたというのに、陣を放棄して守ることもせず、考えもなしに敵に追撃をかけて、待ち伏せた四天王コブキの力を見誤り、勇敢な野賊の兵達をあたら無碍に殺してしまったではないか!」

「そ、それは…」

クエセルはタクエンの言葉に何も言い返せなかった。
しかし今度はそれを庇うようにガンリョが立って物申した。

「しかし!豪傑のスワト殿すら適わなかった、あのような相手に我等がどうかできましょうや!戦いを生業とする武人に逃げよと申されるか!」

「そういうのを匹夫の勇というのだ!引き際を知るのは将の勤めであろう!」

「むむむ・・・」

ガンリョは隣に座っていた敗北に沈むスワトを見ながら、
剣も合わせずに引き返した自分を考え、タクエンへ言い返す言葉が出なかった。

「それにミレム将軍!」

「は、はい」

「守陣を奪われたとはいえ、キュウジュウの大軍団を察知して、最終的に本陣を無傷の兵で守った功績は大きい。あなたのような将がキレイ様の横につけば、我が軍も敗北する事は無かったでしょう」

「え?てっきり怒られると思いましたが。そ、そういわれるとなんだか照れますなあ」

「しかし守るべき陣に兵を残さず抜け出した罪は重い!将として反省しなされ!」

「え、ええ、ああ、はい」

ミレムは褒められたと思った後に怒られたことが理解できなかった。
横に座るポウロ、ヒゴウはミレムの対応に面食らったように下を向いていた。

ダッ…

皆が沈む顔を浮かべてタクエンの言葉を聞くその時、
首座のキレイが立ち上がった。

「もうよい…わかった。タクエン。今、私は冷静になった。もう将達を蔑むことをやめてくれ。タクエンに言われる中で私は理解した。全ての将への蔑みは大将である、この私の驕りが原因であると」

キレイの顔は、さっきの赤みが抜け、むしろ青ざめていたが
口調の震えは直り、すっかり冷静さを取り戻していた。

「やっとお分かりになられましたか。それでこそ我が君。かかる臣タクエンの無礼はお許しを…」

そういうとタクエンは、キレイに向かって
グイッと両の手を中央であわせ、深深と礼をした。

ジィ…

キレイはそれを見て、信頼する股肱の将オウセイに目をやった。
オウセイはキレイの視線に気づくと、その擦り傷がついた顔で
目を閉じ、小さくニコリと笑い、再び無言で前を向いた。

キレイはそれを見て、再び自分の中に湧き上がる自信を感じ取っていた。
そして、その心の回復の手始めに、諸将に向けて揚々と言葉を放った。


「敵の四天王の強大な力を侮り、有能な将を持ちながら急いて戦をしてしまった。それはタクエンが言ったように、まさに傾杯の酒を地にたらすような無益なものであった。能有る諸将よ。私が驕り、その油断を突かれ判断を誤ったことを許してくれ。今、諸君らの前で私は誓おう、驕りを抱き、二度とこのような敗北を喫する事のないように!」


キレイの勇壮で真摯な言葉に、将兵達は沈んでいた顔をあげた。
夏の夜風に包まれる官軍の陣、その幕舎の夜は長く、
灯火は煌き、多くの影は動き、言葉は消えず、その軍儀は
まだまだ続くようであった。
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第四十回『龍将戦負 気運逃勝 龍将才を驕り、計を侮り遠謀を見ず』

2008年01月06日 18時49分49秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第四十回『龍将戦負 気運逃勝 龍将才を驕り、計を侮り遠謀を見ず』



名瀞平野 キレイ隊

一行三月陣の攻めの腱である山の麓の陣は完成した!
だが守将のオウセイが傷つき、豪傑のスワト隊が敗れたのを
未だ知らないキレイは敵軍の動きを伝令から聞き、兵装の準備を整えると、
オウセイの陣を守るため、騎馬隊5百を先頭に弓隊、足軽隊と
あわせて2千5百の兵を率いて、猛将ゲユマと供に
名瀞平野の中腹へと出陣していた。

ドドドドドドドッ!

しかし、先を行く騎馬隊に対して歩兵隊の足は遅かった。
距離をどんどん離されていき、陣形の崩れとバラつきに
一抹の不安を感じたキレイは、沈む兵達を高揚させるために
グイッと天に向かって手を伸ばし、兵達全員に聞こえるように大声を放った。

「急げ!我が攻めの腱を失ってはならん!陣に一番に入った者から特別に十俵の米と三金の褒美をだすぞ!二番の者は米七俵!三番の者は米五俵だ!」

「こ、米十俵と金三つじゃと!?」
「さすが御大将は太っ腹だ!わしが一番乗りだ!」
「お前に米と金を渡してなるものか!」
「どけいどけい!わしが一番のりだ!」

ドドドドドドッ!

兵達は褒美の言葉に目がくらみ、誰に負けじと早足を見せた。
身に着けた鎧、持っていた剣や槍、体に乗りかかる重たい武具など何のその、
駆ける足は吹く風の如き軽やかさで、土草を踏む足は叩く鉄槌の如く力強く
騎馬隊と歩兵隊の差は縮まり、一軍の陣形は一つとなり
みるみるうちに整えられていった。

「ふっ、それみたこと。もう騎馬隊の行軍が見えたぞ!」

自身の馬の手綱を握りながら、自分の言葉によって早まる兵の足に
自信満々な笑みを浮かべ、後軍の兵達を率いて先を急ぐキレイ。
そこへ先軍の騎馬隊の指揮をとっていたゲユマの伝令が駆け込んでくる。

「伝令!キレイ様!ゲユマ様の物見の情報で、陣を攻めた敵の先鋒隊の将がわかりました!四天王のステア直々の兵3千です!」

「何だと…山駆けで疲れた兵で夜明けにろくな休息もとらず、たった3千の兵で仕掛けたか!一見無謀だが敵の大将がステアならやりかねんことか・・・」

攻め手の将の名前を聞いてキレイは少々の焦りを感じた。
いくら自分の信頼のおける将軍オウセイでも、どこぞの部将ならともかく
猛将と名高い四天王ステアが直々に率いた兵とぶつかれば被害甚大、
さもすれば一気に敗北の予感もしたからだ。

「うむ…だが、まてよ…兵数が3千?腐っても四天王、噂や実績からすれば、なうての名将であるステアが力を頼みに驕ったとしても、何かおかしい・・・」

しかし、キレイの脳裏に一瞬何かが引っかかった。
キレイは冷静な心を取り戻すと伝令にこういった。

「それで被害は甚大か?」

「お味方に被害はでましたがオウセイ将軍以下兵達の必死の働きによって、これを見事に撃退!逃げるステア軍を援軍のスワト、ガンリョ、クエセル隊が追撃中とのこと!」

「むっ、退けて追撃したか。で、その後ステア軍に何か変化はあったか?」

「いえ、ただ追撃の途中、武赤関からけたたましい陣太鼓の音がなりました」

「そうか。陣太鼓の音が…」

バッ!

キレイは右手を天に向かってあげて、再び兵達に号令した。

「全軍足を止めよ!とまれ!とまるのだ!この場で一時休息せよ!敵の出方を伺うのだ!」

「はぁはぁ…止まると言う事は褒美は無しか」
「ひぃふぅ…む、むむう、頑張ったのにおしいのう…」
「はッはッ…ま、守る陣が無くなったんじゃ、し…仕方あるまい」

兵達は褒美が出ないと判るとガッカリと肩を落とし、
汗水に濡れた顔をぬぐい、走り抜けた疲労を表すように、
その場にへたりこみ、足を投げ出し、土に体を預けて休んだ。
するとそこへゲユマが駆け込んできた。

「キレイ様!オウセイ将軍の陣は守りきったというのに、なぜ前後の陣で帰陣しないのですか?兵達もあのように疲れ、陣で体を休めたほうがいいと思われますが…」

「ふふっ、ゲユマよ。これでいいのだ」

「何故です?」

「おそらく武赤関から出てきたステアの軍は、オウセイの陣から兵を出すための敵の囮であろう。いくら我らの動きを察知して陣を攻めるとしても、名将揃いの四天王が集まっていると言うのに、初戦の攻め手がステア率いる3千の一隊だけというのは不思議だ。おそらくステアを追った部隊の後ろにも敵の増援がおるだろう」

「なんですと!?では追撃部隊をすぐに救わねば!」

手綱を握り、踵を返そうとするゲユマに対し
キレイは待てといわんばかりに左手をスッとゲユマの前にだし、
ゲユマの進行を止めた。

「ふふ、慌てるな。追撃部隊にはスワトを始め、ガンリョやクエセルなどの猛将揃い。たとえ四天王がいくら有能な将を出そうとも、すぐさま突破できるような将ではない。むしろ兵の少なくなった後陣のオウセイとドルアが危ない」

「あっ・・・」

「ふふふ、そういうことだ。おそらくオウセイの陣を狙って次の四天王軍が来るだろう。奴らがオウセイの陣を狙ったその時に、側面をきって戦えば良い。攻めの部隊が敗れれば、猛将たちを囲む山の部隊などもひとりでに消えよう」

「しかし、追撃部隊がやられては元も子もございませぬぞ!せめて我が隊だけでも援軍に・・・」

「はっはっは!ゲユマよ!歴戦の我が猛将たちが、負けるはずがあるまい!」

「ですが・・・」

「我らの将に自信を持て、信頼を置くのだゲユマよ。我が股肱の猛将の杞憂などみっともないぞ。なあに、次に来る四天王の部隊を退けたとなれば、後は守るだけだ。一度勝ち、士気の上がるまま完成した一行三月陣の布陣の特性を利用し、堅い守りを貫き通せば、いかなる強敵の兵が攻めかかっても一筋縄で陣を落とす事は出来まい。そのうちに父上たちの別働隊が攻め入れば、やつらめ慌てふためいて動き、万事休すだ!」

ドドドドドドッ!!

「「「ワーーーーーーッ!!!」」」

その時、オウセイの陣左手方向に鋭い馬蹄の音と鬨の声と供に
黄色の甲冑を身に纏った大軍団が現れた!その数、およそ5千であった!

「ふふっ、早速来たぞ。飛んで火に入る夏の虫とは奴らのことだ!さあゲユマよ!我らの戦を見せようぞ!全軍進めッ!それっ!ひともみに!もみつぶせ!」

「ははっ!我が兵の強さ見せましょうぞ!」

「「「オーッ!」」」

ドドドドドドッ!

名瀞平野を駆ける2千5百の兵達はキレイの指揮に従い
敵の5千の軍団の側面へと突っ込んだ!
その忠心で自信満々で笑い、自分の策の見事さを語る若きキレイの心には、
すでに戦の『もしも』『敗北』という言葉が欠落していた。


名瀞平野 ミレム陣

日は西の空の半分ほどに傾きを見せ、空は焦げた朱色をはらむ。

その頃、オウセイの陣の近くに陣を張っていたミレムは
スワトを先鋒隊として出撃させ、その後を追うように
ポウロ、ヒゴウと供に1千5百の兵を率いて、オウセイの陣へと進んでいた。

しかしオウセイの陣に向かうミレム率いる兵の進軍速度はなぜか遅く、
歩く兵達は槍を持ち歩きながら、片手間に私語で話し合い
疲れるそぶりなどは微塵もなかった。

「ミレム様、陣をほぼがら空きにしてしまいましたがいいのでしょうか?」

「ヒゴウ。戦は目の前で起こっているのだから我が陣が襲われることもあるまいて。なあに前には無敗の豪傑スワトがいるのだから安心じゃないか。我らは狩で言えば勢子のようなもの。それよりも戦の後の褒美を考えようじゃないか」

「ふふふ、その通り。キレイ将軍について回れば勝利は確実。四天王を破った将軍達!というだけで我らの名も上がるというもの。帝からの信任も厚くなりましょう。それに、なにもわざわざ我らが傷つかなくても、オウセイ将軍をはじめ、戦上手は軍にごまんといますしね」

「流石はポウロ。わかっておるのう」

兵を指揮するミレムは官軍隊の連戦連勝にすっかり驕っていた。
キレイの言うとおりにすれば勝てるのだから、別に自分達が
頑張らなくても勝てるものだと、つい数ヶ月前の汰馬平野での必死さなど忘れ、
戦功稼ぎはスワトに任せっきり。ミレムは完全に合戦をなめきっていた。

「ふわぁ・・・早く帰って酒でも飲みたいのう」

戦場で、のんきにあくびをするミレム。
兵達の指揮もとらず、ただ前へトボトボと進む軍団。
しまりのない軍が名瀞平野を進む。

「「「ワーーーーッ!!!」」」

しかし、そんなミレム軍団へ天罰でも降るように
はるか後方の自分の陣から大勢の声と供に兵達がなだれ込むのが見えた。

「み、ミレム様、我らの陣が!」

「なんじゃポウロ。うん戦の真似か?あれ、あんなに兵を残したかのう?」

「真似などではございません!遥かに見えるあの軍とあの声・・・う!あ、あれは敵の旗です!」

「そんな馬鹿なことがあるか・・・うん?なんじゃ?夕日にしてはちと赤いのう」

西日になっている太陽を見て、陣を振り返るミレム。
寝ぼけていた目と頭は、赤すぎる自分の陣を見て、
恐怖と供にその光景の意味をだんだんと理解した。

「陣が燃えている・・・?おお!?燃えているではないか!」

敵軍の別働隊、その旗印は四天王キュウジュウの軍団であった。
燃え盛る自分の陣地を見て、ミレムとポウロ、ヒゴウさえ
頭が真っ白になるほどだった。

「ど、どうしますミレム様!戦いますか!」

「ひ、ヒゴウ殿!よくみられい!おぼろげながら見えるあの敵の数!1千や2千ではありませぬぞ!スワト殿もいない我らにあそこが守れようか!」

ミレムは慌てふためく二人と燃える自陣を見て愕然とする
1千5百人の率いた兵を見て、つぶやくようにこう言った。

「ぜ・・・ぐ・・・ん・・・・・げろ・・・た・・・きゃく」

「?ミレム様いかがいたしますか!」

「ぜ、全軍逃げろ!キレイ将軍の陣まで退却だ!」

なりふり構わずミレムの軍団はキレイの陣まで兵を引いた。
作った陣は油を塗った矢に灯された炎に煽られ、壊滅し
残っていたわずかな守備兵はキュウジュウの大軍団に散々討ち取られた。

「ひぃひぃ!ポウロ!ヒゴウ!兵達も逃げよ!逃げるのだ!」

ドドドドドドッ!

「しょ、しょうぐんにつづけー退却だー!」
「こ、こんなところで死んでたまるか」
「ひ、ひええ、助けてくんろー」

手綱を握り、ミレムの情けない声が名瀞平野をこだまする。
不幸中の幸いだったのは、ミレムの率いる兵達は疲れていなかった事だろう。
どのものもキレイの後陣へ向かって一目散に進み、
疲れたといって逃げる足を止めるものがいなかった。

「ははは!臆病な官軍達を笑ってやれ!ははははは!」

遠くに見える四天王キュウジュウの兵達の笑い声が
かすかに聞こえたが、ミレム達はその声さえ恐怖に感じ
左手で片耳を塞ぎ、手綱をギュッと強く握りながら乗る馬に体を密着させ、
何かに祈るように目を瞑って馬を走らせた。

敵兵の笑い声が聞こえなくなった頃、日は完全に地平線に差し掛かり
夕暮れ時の西の空は炎のように赤く燃え盛っていた・・・。


こうして、息も絶え絶えに走り続けたミレム軍団は
5百の兵が守るキレイの陣へと駆け込んだ。
兵は守備兵以外一兵も減ることなく、無事に帰陣を終えたのである。


名瀞平野 キレイ隊

その頃、四天王ソンプトの部下トウサ率いる敵の5千の兵を相手に
平野で戦うキレイ隊は、側面攻撃の不意を突いたこともあったが、
キレイの巧みな用兵術と指揮能力、そして何といっても
勇敢な猛将ゲユマの力もあり、2千5百の兵で優勢を保っていた。

押しに押したキレイ軍団の攻めに、この局地戦の勝敗が見えてきた時、
敵将のトウサは不適な笑みを浮かべて腕を振り上げて大声で叫んだ。

「ふふ、時間稼ぎは出来た。いい頃だろう。全軍ひけーっ!ひけーっ!」

敵将トウサの号令によって、今まで血で血を洗う激戦を続けていた兵達は
その疲れもほどほどに、一目散に英名山へ向かって退却していった。


「キレイ様!追撃しますか!」

「いや、ここで深追いをすれば一行三月陣にも『ほころび』が生じよう。我が陣に帰り、守りを固めるのだ」

「ははーっ」

キレイ軍団の将兵達は意気もそのままに自分の陣へと帰陣の準備を始めた。
この局地戦の勝利とともに、未だ自分の才能に笑みがこぼれるキレイは
自分の馬を陣に向けようとするとそこに見えた光景に目を疑った。


「な、なんだ!?なんだあの兵は!」


ジャーン!!!ジャーン!!!

キレイ軍団の陣が見える遥か遠くに銅鑼を鳴らしながら突如として現れた大軍団。
旗の色は紫、四天王ソンプトの別働隊4千の兵であった!!!
山の手に逃げるトウサの兵と、その光景を見てキレイは察した。

「は、謀られた!!誘き出されたのは我らのほうだったのか!退路を断ち、その先の本陣を狙うつもりで!くそっ!このままでは兵站をとられて負ける!全軍急ぎ陣へと駆けよ!駆けるのだ!!」

「キレイ様!ここからでは、到底間に合いませんぞ!」

「くそっ!急げる者だけでいい!駆けるのだ!!」

しかしキレイ、ゲユマの焦る声も指揮する声もむなしく、
すでに兵達は行軍による駆け足と動き回った合戦の後で
心身ともに疲れきっていて、それどころではなかった。
どのものも負傷し、槍や剣、足を引きずるものも多く、
進軍は一向に早まらなかった。

「こんなところで負けるわけにはいかんのだ!走れ!走れ!」

キレイは焦燥感に包まれながら両手で手綱を握り、馬の腹を蹴りながら、
脳裏に焼きついた、さっきまで笑う驕り高ぶった自分を思い出していた。

「・・・(くそっ!このザマはなんだ!己の傲慢!才能の驕り高ぶり!それが天下に覇を唱える英雄の禁だと知りながら!こうもしてやられるとは・・・なんと自分の無様なこと!!今は駆けよ!一瞬でも!一歩でも早くッ!陣へ!陣へ駆けよ!)」

自分達が戦ってきた相手の敗北の理由を今、苦々しく噛み締めながら
キレイの乗る馬は名瀞平野を駆けた!


しかし、その時、遥か前の敵軍がサーッと引いてゆく。
不思議な事に敵軍は方々の体で陣を離れ、旗は山の手に向かって
一目散に逃げていく。

ジャーン!!ジャーン!!

キレイは、自分の陣から放たれるドラの音を聞き
駆ける馬を止めて遥か先に見える自分の陣を見て再び目を疑った。



そこにはミレムの軍団の旗と、後詰め部隊であったタクエンの旗が
意気揚々と掲げられ、陣のいたるところへと立ち並んでいた。


「……ああ…ああ・・・ッ!!!」


日が西の空に完全に沈み、暗闇の帳があたりを包み始めた時、
キレイは、彼らしからぬ喜びの表情を震わせて遥か先を見続けた。
口をあけ、目を潤ませ、風にたなびく味方の旗に声にならない声をあげ
暗闇に滲む心の喜びを胸に抱きながら、ゲユマと供に自分の陣へと帰陣した。
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思い出にかえるほど、色あせちゃいない

2008年01月06日 15時27分09秒 | 末路話
アニメ横山光輝三国志の二期EDはやはりいいな@kirekoです。


>傷つけてーだきあってー

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1568157

英雄達の栄枯盛衰の様が、後ろに流れる歌と相まって素晴らしいよ。
使いまわしやおかしな設定も多かったけど、やはり名作だよなぁ、これ。
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