kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

文字怖いよー

2008年01月02日 23時46分34秒 | 末路話
IYAAAAA@kirekoです。


>文字怖いよ

この数時間で文字が凄く嫌いになったので、他の人の文字を見て楽しくなろうと思います


残り時間…17時間…ドクンッドクンッ!


>kirihitoりん

安井健太郎・・・?誰だか知らないがプロなのか?
まあプロに似てるってのは嬉しい事でもあり、
逆にいえば俺がまだまだ戦闘シーンについて甘いということだろうな。
だいたいの戦闘シーンは、想像して文字化するのが苦手だから
漫画ベルセルクの動きを参考に、読者の想像にお任せ風だわ。
とにかくそれよりも今は・・・短編!!

短編:死亡フラグ村

2008年01月02日 23時28分28秒 | 短編
≪読む前に注意≫
この物語はフィクションです。
実際に存在する団体名、役職名などは一切関係ありません。
描写に関してあえて端折ってる部分がありますが
そこは想像で保管してください。

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短編:『死亡フラグ村』

とある山村で事件が起こった!
まるで何かに取りつかれるように連続的におこる殺人事件!
村の人々は恐れて一つの集会場に集まった
が、なんと犯人は村人の中にいるかもしれないという
情報が村長によって言い放たれた。

誰が犯人なのやらわからず、すでにこの集会場に忍び込んでるかもしれない。
村人たちの精神は常軌を逸した。
もともとこの村は精神的に弱い人間達が多く
小さなショックでも心臓麻痺で死んでしまうほど
こういう特殊な条件下では死亡事例が多かった。


「俺、この事件が終わったらこいつ(恋人の写真を見ながら)と結婚するんだ」
いきなり写真を見つめながらビリーが死んだ。
どうやら犯人はやはりこの集会場に忍び込んだようだ。

「ゴーストだと!?んなもんこの世に存在しやしねえんだよ!」
ビリーが殺された後、宗教家のバーバが叫んだで死んだ。
窓枠に手を触れた瞬間、階段から転げ落ちて死んだようだ。

「うわあ!殺人鬼と一緒の部屋にいられるかよ!!俺は自分の部屋に帰るぜ!!!」
バーバが殺されたところで飛行機のパイロットだったジョンが部屋に帰った。
数分後、沈黙するジョンの部屋を見に行った数人が彼の死体を発見した。

「ここは俺に任せて、お前は先を急げ! なーに、すぐにでも追いつくからさ・・・。行け!」
ジョンの死に気が動転した床屋のポピンスは何かに駆られるように
村人を外へ誘導させて自分だけが集会場に残って無駄に死んだ。

「帰ったら、みんなで一緒にうまい酒でも飲もう」
山道を歩く過程で、酒屋のフレッドが陽気に自分だけの酒を出して
スキットルを飲んで酔ったとたんに山から転げ落ちて死んだ。

「俺達、お似合いのカップルだよな?」
「そうね、帰ったら高いダイヤモンドの指輪かってよね」
逃げる最中に告白などしてたディランとブレンダが
抱き合っているところの岩が急に落ちて足を滑らせて死んだ。

「大丈夫、俺なら死なねえから先いってろ! 」
狩猟動物用の罠にかかって足を怪我したマイクが村人達に叫んだ。
次の瞬間大岩がマイクの体にかぶさるように落ちてきて死んだ。

「で、出口だ!!さっさとこんなとこからオサラバしようぜ!!」
ジェイジェイが山道の終わりが見えたのか皆に陽気に振舞うが
ジェイジェイの向かった先は高圧電流が流れておりジェイジェイは死んだ。

「様子を見てくる。お前たちは残れ」
よせばいいのに村長の息子のアドルフがジェイジェイを追っていった
もちろん、ジェイジェイと供に高圧電流に触れて死んだ。

「イヤァ!私は死にたくないの!こないで!!!」
アドルフの死に、山をこだまさせるジャンヌの声が聞こえた。
しかし狼の群れに声を聞かれて、ジャンヌは食い殺された。

「俺一人ならここを突破できる!」
「だから先に行っててくれ!」
「必ず脱出してみせる。」
「無事に逃げられたら二人で静かな場所で暮らそう。」
ウェイン、アルフ、ウッド、ラインの仲良し四人組が狼の群れに飛び込んだ。
狼は去ったが、全員仲良く食い殺された。

「みろジャック!こいつはここまでの人間だ! 」
ジャックの恋人のメイが泣き出して動かなかったためアントニーが侮辱した。
アントニーはジャックの手斧にかかって死んだ。

「貴様何故生きている!?完全に倒したはず・・・」
ジャックはそういうと、息を引き取ったはずのアントニーを見た。
彼の目はまるで野獣のような口と爪でジャックを引き裂いた。

「いいかここを動くなよ。5分たってもおれがここに来なかったら、ここから逃げるんだ。」
アントニーの豹変振りを見ていたジャックの友人メリックが
アントニーの後を追った。…そしてジャックの後も追った。

「お、お前・・・まさか・・・・うわあああああああああああああああああ」
メリックの弟マリックがカードで遊んでいるところに
アントニーの毒牙が再び襲い掛かる!猟銃で抵抗したがマリックは死んだ。

「ちくしょう、遭難しちまった。とりあえず今日はこの山小屋で一晩過ごそう」
登山家のナッシュは一足早く村人をつれて山小屋に入った。
しかし、ナッシュが入ると山小屋が爆発してナッシュは非業の死を遂げた。

「勇者達は逃げ出した!しかしまわり込まれてしまった!」
お得意のRPGの台詞を使いながらヘレンは、文字通り
死に際のアントニーの毒牙に回り込まれて死んだ。

「お前はもう死んでいる・・・」
北斗七星の横の星が見えたショックでバレリーは死んだ。

「明日テストだけど何にも勉強してないや。」
のんきなこといってた農家の息子ギリアムは
来週の通信簿返却の事を思うと精神的に辛すぎて死んだ。

「おい!動けよ!動けって!!」
ギリアムの友人のボブは死んだフリじゃないかと思ってギリアムを起こすが
ボブも来週の通信簿のことを思い出して死んだ。

「私はソ連に亡命する」
険しい山道を帰りはじめたビレースコフは
国際政治の荒波の中にいる自分を想像して死んだ。

「謀ったなシャア」
ガルマは山道を登りながら気持ち的に
ホワイトベースにガウで突っ込んで死んだ。

「おまえともっと早く会いたかったよ。」
最期の台詞をメリッサに吐きながらピーターは
山道を車椅子を押されながら老衰で死んだ。

「帰ってきたら豪勢な夕飯を奢れよ!」
小太りのコスギが山道を登る途中で心筋梗塞で死んだ。

「お、俺はただ幸せになりたかっただけなのにーー!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁああああああああああああ」
御曹司だったはずのインペラは金持ちを夢見たあげくに
実は金持ちだったという己の不運を嘆いて山道から落ちて死んだ。

「ねんがんのアイスソードを手に入れたぞ!」
わけのわからないことをいいながら剣を片手に
聖戦士のガラハドは夜盗に撲殺された。

「ブ、ブレーキが利かない!!!!」
電動車椅子のブレーキが壊れて、山道をすべりだいにして
老人マッサーカーが転落して死んだ。

「皆で一緒に帰ろう・・・・」
「絶対、みんなで帰ってこような!」
村長と村一番の長老のブラウがそういうと傷口に毒虫の毒が回り込んで
泡を吹きながらその場に倒れて死んだ。

「ビートマニアをしていて、ギャラリーに話しかけ始める」
盤の数の多さに死んだ。

「悪い、ちょっと先に行っててくれ…寄りたい所があるんだ」
スティーブは村人達と離れてなんとはなしに寄り道をすると、
その山道の外れにいた、いたちの群れに襲われて死んだ。

「ここがお前の墓場だ!」
ついに犯人か!?とっさに飛び出したエディーは散弾銃で
村人を狙おうとしたが、とっさに銃が暴発して死んだ。

「バイバイみんな!」
いきなり地雷を踏んでモールが死んだ。

「ヒャッハー!!ここは通さねぇぜ!!!」
「待て、話せば分かる。」
「問答無用!」
エディーの仲間のバンとモクが悪徳商人のマックスを撃ち殺した
だが、その後分け前の問題で争いが起きて二人とも銃を撃って死んだ。

「ん? おい、そこにだれかいるのか!」
山の頂上につくころには村人はすでに4人になっていたが
頂上にたどり着いた時、何かを発見したブランディは
何者かにナイフを突きつけられて死んだ。

「ばからしい俺は帰るぞ…つり橋が…切られてる………電話線も切られていた」
ライフラインの全てをたたれてゲイリーは死んだ。


「わかったのよ…この事件の犯人が!でも今は言えない…明日またここに来てくれるかしら?」
明日まで待てなかったのでヨーコは死んだ。

「でも私、本当にお兄ちゃんのことがすきだったよ!」
ヨーコの友人のメアリーは自分が犯人であると告白すると最後に残った
ヨーコの恋人のシェイドに向かって叫んだ。

「1・2・3で振り向いてズドンだ。1・2・・・・」
シェイドはなぜかメアリーと西部劇さながらの早うち大会を行った。

ズドン

「おめーならやると思ってたさ。」
メアリーのマグナムに撃たれてジェイドは死んだ。

「なぁ…俺たち、もっと別の出会い方をしてたら親友になれたかなぁ?」
ジェイドの最期の言葉を聞いてメアリーは銃を口に含み自殺した…。

村人は全滅した…

短編:『死亡フラグ村』完


=====あとがき====
二作目、もし死亡フラグだらけだったらを予想して書いてたけど
やっぱりストーリーにするのは難しいや。
参考にしたのはこの記事。
http://news4vip.livedoor.biz/archives/50503800.html

今から仮眠をとろうとおもいます・・・。

短編:もらうセールスマン

2008年01月02日 22時15分05秒 | 短編
≪読む前に注意≫
この物語はフィクションです。
実際に存在する団体名、役職名などは一切関係ありません。
描写に関してあえて端折ってる部分がありますが
そこは想像で保管してください。

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短編『もらうセールスマン』

私の名前は喪白貰蔵。
私は人呼んでもらうセールスマン。
今日も今日とて白いスーツで、世間をひしめき歩いては
心のスキマが生じた人からスキマをもらうんです。
ええ?お金は一銭も頂きません。
この世は老いも若きも男も女も心の寂しいスキマだらけの人ばかりです。
今回のお客様は…


オーッホッホ…

T都 S区 十七本木ヒルズ

高層ビルやオフィス街の多いこの町で、一際目立つ建物がある。
そう、この春に改築された複合型豪華マンション十七本木ヒルズ。
60階あるマンションの一室に、一人の男が暮らしていた。

「社長が亡くなられた!?」

俺は専務から来た携帯電話をとると歓喜の声をあげた。
人が死んだというのにまったく不謹慎な奴と思われガチだが、
なんせ喜ばしい人が死んでくれたのだ。これほど喜ばしいこともあるまい。

「そうか、葬儀は二日後か…ああ、出席するよ…」

ピッ、ガチャン。

「やったあああああああ!!」

俺は思わず嬉しさのあまり、携帯を放り投げ、
嬉しさのあまり思わず空中にジャンプして三回転半!
ふかふかの超高級羽毛のベッドに寝転んで、
思わず飲みかけだった高級シャンパンのシャブリを口にくわえて
枕代わりにして昨日数えたばかりの札束の海へと飛び込んだ。

なんでこんなに喜んでいるのかというと
世界第二位のシェアを持つ自動車会社の前社長(現会長)の息子であるこの俺をさしおいて、整備工場のそれもバイトから入った職人上がりのバリバリワンマン社長だった、あのいけすかない野朗!売利真・来留男(53歳)がついにくたばりやがったんだ!

あの野朗、俺のパパが社長から退いて息子に受け渡そうって時に
役員を抱きこんで俺の変わりに社長に入りやがって、
しかも俺はちょうどその時、海を越えてアカプルコにバカンスで
一ヶ月ほど出張していて居ない間にあいつは社員たちの心まで奪いやがった。

おかげで俺は東京工場の工場長に左遷!
毎日、めんどくせえが部下に命令して、俺は自室でクソうまくもねえ
カステラと三流紅茶セットで暇な八時間労働を毎日もすることになりやがった!

この俺はこの大会社の御曹司なんだぞ!
こんなヒルズとは名ばかりの狭苦しい空間に閉じ込められて、
くだらねえ酒と、くだらねえ食い物と、くだらねえ女なんてものの3Kを
はべらせて、つまんねー暮らしをするのも飽き飽きだ!

はは!あの憎たらしい社長の野郎が死ねば
ホームレス一歩上の今の屑みてえな生活とおさらばできるぜ!

本場ビバリーヒルズにこの俺の新居を構えてやんよ!
もちろんそこには金髪のねーちゃんをはべらせて、極上の食事と
極上の金風呂に入って、82年もののシャトーブリアンで
極上の夜を明かすのさ!

二日後のあのクソ野郎の葬式さえすめば、この俺の極上生活が
今目の前にあるのも同じだぜへへへへへへへへへへへ!!

トントンッ!

「はっ?!なんだ!?俺様は今超ハッピーだから強盗とマフィア以外は誰でも入って良いぜ!」

「わたくしはセールスマンです」

「はっ!ケチくせえセールスマンたあ驚きだ!ほら今あけてやるからはいんな!」

ピッ…ガチャッ

オートロックが解除されて入ってきた奴。
白のスーツに如何わしい白の帽子。
ニヤッと白い歯を出しながら、こっちを見て大事そうなケースを
抱えてやってきやがる。
はっ、どうせここに住むクソ成金どもを相手にして
お高いツボでも売りに来たんだろう!
へっ、今日は世界一充実して気分がいいからな!
なんでもかってやるよ!さあいいな!セールスマン!

「わたくし、喪白貰蔵(モシロモラゾウ)と申します。ボランティアでこういうものをやっています」

「へえボランティア?うすぎたねえコゾウどもに金でもばらまけっていうのかい?」

貰蔵が差し出した名刺にはこう書いてあった。

「心のスキマもらいます…?」

「はい。これは現代に鬱屈するスキマだらけの人達を相手にやっているセールスでして、この部屋を通り過ぎる時、ちょっとスキマの匂いがしましてね…」

「ほう、この充実した俺に向かって心のスキマがあるっていうのかい」

「ええ、自分から見て充実でも、他の人から見ればスキマだらけ。そんなものですよ人間というものは」

このセールスマン、いちいち白い歯を見せてニカッと笑いやがる。
やけに話がうまいが新興宗教の誘いか?
ボランティアってのがきな臭いが、話のうまさにつれられて
こいつの話を聞いてやる事にした。

「では、心のスキマを貰いますよ」

「ああ!いいぜ!どんとやってくれ!」

「では…」

ドーン!!!

セールスマンの大声で俺はびびった!
思わず座ってた椅子から転げ落ちて、ペルシャ製の高級絨毯にふんぞりかえった。
今世紀最大のハッピーマンなのに、こんなびびりかた格好が悪いぜ!

「うげげー!お、おいセールスマン!今なにをやりやがった!」

「おまじないです、そろそろ効果が現れますよきっと。それでは私はこのへんで…」

ガチャッ

「な、なんだったんだあのセールスマン。言いたい事だけ言って帰りやがった!」

トゥルルル、トゥルルル

うっ、携帯電話…?なんだ誰かと思えば専務じゃないか…
何か急用でもあったのか?

ピッ

「おめでとうございます社長!役員会での買収の結果、あなた様が社長でございます」

「なんだと!よし!でかした!」

「それにもう一つ!前社長の遺族が自社株の11%を次期社長に譲りたいと!」

「おいおいこれ以上喜ばせないでくれよ!そりゃまじか!」

ついてるというか、もう今世紀最高のラッキーというべきか
驚くべき快進撃を続ける俺のラッキーぶりは止まるところを知らない
即本社復帰で、即社長就任、譲渡による即筆頭株主なんて
まったく世間様は俺の苦労をわかってるぜ!
へへっ、もしかしたらさっきのセールスマンのおまじないの効果か!?
だとしたらとんでもねえ運を俺は掴んじまったみたいだぜ!


ヒルズの外

「オーッホッホッ、これであの社長。スキマをなくしましたよ」


二日後 前社長葬儀

「惜しい人を亡くしました…」

ケッ、社員一同参加って感じか?
参列者はまるで悲しみにくれていやがるが、それにしても
葬式だってのに、にやける顔が抑えられないほど俺は運がいい。
この後は社長の座が待っている。

「では新社長よりご挨拶を…」

「ああ、俺の番か」

ガッ

俺はマイクをとると、得意の調子で声を張った。

「俺が新社長になったからにはお前らにも贅沢をさせてやろう!給料は五倍、ボーナスは八倍だ!これからも俺の会社のために頑張ってくれよ!」

いやー我ながらナイステンションアップ作戦!
まさに社員一丸となってが完成したわけだこれで!
あん?専務の野郎なんかいってるな?
まあかまうめえ、どうせ社長になったら仕事なんてしねーんだからな!



「心のスキマのなくなった彼はどうなるんでしょうねえ…」



一日目

ついに俺も社長だ!
まずは自前のカーゴから特別に高級なワインを用意して祝い酒だ!
それに秘書は美人で、仕事の出来るいわゆるキャリアウーマン。
おもしれえほど仕事を片付けてくれるぜ!

まっ、きつい仕事は部下と専務とこの秘書に任せて
俺は高級アイスを食べながら書類に是の判子を押し続ければいいわけだ。
まったく社長は簡単だぜ!


二日目

社長になって二日後。
いつもと変わらない楽しい一日の始まりだ!
社長になったからとりあえず、米のケンタッキー州の
全てのゴルフ場を社内株の売買で買ってみたぜ!

専務がおもしれえぐらいに悲鳴をあげてたが
かまうめえ!さっ、今から社内を見学して金でもばらまくか!
なんせ金はたんまりあまってるし、これからは湯水のごとく
わいてくるんだからな!

三日目

なんだかこの俺の生き方に文句を言いやがる輩とか
意見を言うえらそうな奴が増えてきたから
ガーガーわめく社員とその役員の半分を見せしめに解雇した!
ケッくだらねえ、この俺が社長だってのがまだわかんねえのかよ!
今日は美人秘書に300坪の豪邸を買ってやった。
たかだか10億ぽっちであんなに喜ぶなんざ、まだまだ甘いねぇ!


四日目

「ふざけんな!てめえら何様だ!」

取引先との会談があった。
なんだかしらねえけど英語でむちゃくちゃいいやがって
腹が立ったんで交渉決裂と言って全ての提携会社との縁を切った。
また専務がギャアギャアいってるので、専務を副社長待遇にしたら黙った。
断られた外人どもは、まだ顔を真っ赤にしてわけわからん英語で怒ってやがる
ケッ、ケツを蹴られて騒ぐ前に自分の頭を冷やしやがれってんだ!

その日の夜、なんだか専務が血相変えて電話してきた
「わが社の商品に欠陥が見つかった」だと?そんなことしるか!

五日目

「おい専務、疲れたから肩をもめ」

「は、はい社長」

相変わらず気合が入ってねえもみ方だが、他に社員がいないんじゃしかたない
うん?社員がいない?どういうことだ?

「専務、そういえば社員達はどうした。今日は金曜日だぞ」

「そ、それが…」

専務の野郎相変わらず顔色がさえねえ。
まったくこの俺の社長就任の日だってのに
なんだってそんな暗い顔をしやがるのか理解できねえぜ。

「社員が全員H田グループに引き抜かれてしまいました」

「な、なんだって!!」

H田グループといやあ業界最大手の自動車会社じゃねえか
くそあのやろうやりやがったな、まんまとうちの有能な社員を引き抜きやがって
まったくやってくれるぜ。

「それに…」

「なんだ!辛気くせえ顔しやがって」

「わが社の株価が暴落しています。どうやら先日の提携破棄による相場信頼の低下かと…」

「なんだと!じゃあ今の会社の株価はいくらだ!」

「…」

専務の奴だまりやがった、この俺をみくびりやがって!
おちるったって今持ってる株が1億か2億減るだけだろ!
ちょろいもんだぜ!そんな程度!

「…おそらく、価値にすれば同じ重さの紙以下でしょう…」

「な、なんだってー!」

オージーザス!
まじかよ!そりゃねえぜ!おい!
紙ってなに!?パルプ!?和紙工場でつくったあれのこと!?

「社長!」

おうなんだい俺のビーナス美人秘書!
なんかいい案でも考えたのならいってごらんよハニーボイス!
聞いてあげるぜニャンニャン声を!

「今日限りで辞めさせていただきます!」

オーゴッド!
おいおいそりゃねえぜマイブレストフレンド!
マイバンブーブレードウーマン!

「社長、これまでです。私もこれで辞めさせていただきます」

なああああにいいいいい!そりゃねえぜ専務よぉぉおぉお!
それじゃあ副社長待遇にした意味がねえじゃねえかよ!
けっ、じゃあいいぜ!俺は一人でも社長だ!
社長を貫いて見せるぜ!


二週間後 監獄


「社長さん。どうです?スキマの調子は」

豪華な秘書も、黙って従う専務も部下も、家具も何もない、
そんな誰も居なくなった鉄格子の社長室で白いセールスマンが現れた。

けっ、今頃なんだっていうんだ。俺は社長だ!
社長が社長で社長だからスキマなんてねえよ!

「ほほ、これはずいぶんスキマの無い生活ですね」

うるせーこの生活がスキマのない生活だと?
ふざけんな、今の俺は社長で、ここは俺の会社だ!
充実してないわけはないじゃないか!

「充実…?そうですか。社長という椅子がスキマの無い充実の証ですね。こりゃ結構。本当に充実している。金も女も酒も人間関係さえも超越した孤独の支配者。憧れますよ」

お前もそう思うだろセールスマンよ・・?
俺は金が欲しかったんじゃない、スキマのない生活がしたかったんだ。
ありがてえぜ、こんなにスキマの無い生活をくれたあんたに感謝したい。
何か欲しいもんはあるか?かといって贈れるものなんて何も無いが。

「いえいえ、もう十分に貰っていますよ。あなたの心のスキマ。つまり欲求という名のスキマをね…」

へへ、ありがてえ。実に楽しいぜ、俺からスキマを奪ったあんたは神様だ。



セールスマンは彼を見るとニィと笑い、格子のついたドアを眺めてその場を去った。





「人間の心のスキマというのは欲求から生まれます。ですが満たされない欲求が強い人からスキマを奪うのには、今まで辛いと感じた事を甘いと感じるように向けてやる事なんです。少しの幸せで最大に満ち足りたような感覚になり、それを生かせる場所を得ればスキマなんて生じるはずないですよねえ?でも心のスキマは、人生のある程度満ち足りない現実の不満を抑えるブレーキの役割でもあるんですよ。それを失った彼は、現実での幸せはスキマなのかもしれません。本当の意味でスキマの無い人間ですねぇ彼は…オーッホッホ」



『もらうセールスマン』完


====あとがき====

一作目でやることに時間がかかりすぎてオチが
微妙な事になってますがそこは勘弁してください
やりたかったのはもちろん笑うセールスマンのパロディです。
さあ怒涛の二作目いくぜ!

24時間耐久マラソン短編特集

2008年01月02日 20時02分34秒 | 短編
なんとはなしに無茶をしたくなったので
とりあえず今から三日の夜12時まで、
ネタを描き続けられるだけ
駆け抜けて見せるぜ!
よっしゃ!
おらおらいくぜこのやろう爆走だ!!

※ルール
1、24時間以内に短編を何本かけるか勝負。
2、書いた本数はプライドエネルギーに変換。
3、本当は48時間だったが流石に三が日すぎたら無理。
4、飯とトイレ以外は書きまくる
5、資料探しはOK
6、身内ネタはあり
7、タレこみ、相談はあり。
8、BGMは全てロックマン
9、10本以下なら爆死
10、11本以上なら頑張った自分への褒美スイーツ

第三十九回『撃力放技 刀合刃交 鬼将の天、英名山に主の破を哭く』

2008年01月02日 16時18分57秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第三十九回『撃力放技 刀合刃交 鬼将の天、英名山に主の破を哭く』



英名山の麓

日は西の空に傾くが、焦がす夏の陽と吹く山の風は未だに止まりを知らず。


英名山の麓に進む官軍隊の前へ突如として現れた黒衣の男。
男は先んじた多くの野賊兵達を驚くべき武器と、風のような早技と
急所を打ち破る見事な力で殺傷し、その光景はまさに人のものではなく
修羅魔道の仕業であった。

光景をみていたクエセルは怒ったが、ガンリョがそれをとめた。
とめたガンリョの手も、とめられたクエセルの肩も少々震えていた。
今まで、その武を頼りにしてきた武将だからこそ感じえる
黒衣の男への恐怖、畏怖とも思える震えが二将を包んでいたのだ。

そんな二人を押しのけるように前へ進む大男が一人いた。
山肌に照りつける熱を含んだ風を薙刀で斬り、歩を進めたのは
当代の豪傑、ミレム軍団随一の猛将スワトであった。

ゴォォォォ…

近づく二人の間に轟音めいた熱風が差し込む。
兵の前に出て重厚な大薙刀を持ちながら堂々と歩くスワト。
血なまぐさい匂いの熱風を纏いながらも沈黙を貫く黒衣の男。

ゴクリ…

熱風を間に二将を見ていた兵達は固唾を呑んで見守った。
英名山の麓に漂う異常な緊迫感を前に、先に口を開いたのはスワトであった。

「それがし信帝国軍キレイ軍団旗下、ミレム軍団の将スワトと申す者でござる。そこにおる黒衣の荒武者に勝負を挑む!いざ尋常に我が願いを受けられい!!」

「………」

「黙っていてはわからん!返答を頼もう!」

「………」

「武人の習いに従ったそれがしを愚弄するおつもりか!?返答を!」

「………」

「まだ黙るか無礼者ッ!その返答なき無礼!それがしに首をはねられても文句は言えぬぞ!」

「…お主、怒っておるのか?」

「おう!やっと喋ったな無礼者め!再三の武士同士の打ち合いの申し込みを無言で帰すような、武士の風上にも置けぬ奴を怒らぬは武門の者にあらず!生かしておいては武門に生きる者の恥じゃ!貴様の見標(みしるし=首の事)!手柄の一つにもらってかえろうぞ!」

「…そうか、怒っておるのだな。俺にはわからん。だが命はやれん。我が主君の大望のため、ここを通るものは一人として通さん…!」

「減らず口を!そのような短剣でそれがしの大薙刀を受けれるか!!」

ジリッ…

黒衣の男はスワトと対峙すると、足をハの字型にして両方へ踏ん張り、
黒衣をサッと翻すと、黒衣に隠れた背中の大きな鞘のようなものを
胸から腰周りの甲冑に密着させ、未だ血がしたたる両手に持った短剣を構え
スワトとの距離を詰め始める。

ゴォォォォ…!

熱を帯びた山風が再び二人の間に通る。
汗が乾いて皮膚と服にピタりとつき、張り詰めた緊張感が場を包む。
その時、土埃の後にヒラリと緑茶けたの葉が一枚上空に舞い上がった。

二人はその葉を見つめながら決戦の瞬間を感じ取り
枝から途切れた葉が落ちる前に声をかけあった。


「首と胴体が離れる前に、名前だけは聞いておこうではないか!」

「主君ホウゲキが家臣、高家四天王の一人…烈炎将軍コブキ…」

パサッ…一言、そう言い
二人の前に葉が落ちたその瞬間であった。

バッ!!!

最初に飛び込んだのは黒衣のコブキであった!
地に付けた足を蹴り上げ、体を軸に右回りに黒衣を翻し
大地にニ、三度足をつけて距離を詰めると、両手に握った短剣をスワトの喉元に
向けて、山を駆け抜ける熱き熱風の如き強烈な連撃を放った!

ヒュッ!ヒュッ!!カンッ!カンッ!

「ぬっ!どりゃああああ!」

ブゥン!ブゥン!カキンッ!カキンッ!

右へ左へ、急所を狙って目にも留まらぬコブキの短剣の連撃を
大薙刀の長い柄を使って巧みに交わすスワト。

「…ッ」

ヒュッ!ヒュッ!ガッガッガッガッ!

「どぇぇえぃ!」

ブゥン!カキン!カキンカキンッ!ガキン!

「…!」

ヒュッ!カキンッ!ガキガキッ!ヒュッ!ブゥン!

「ええいこのッ!」

甲冑をかすめる上段斬り、下段斬り、横払い、斜め斬り、叩き落とし!
黒衣を翻し両刀を使った、正面突き、唐竹割り、回し斬り、篭手落し!
受けて流しては放つを繰り返し、スワトの死角を突くコブキの短剣は、
その刀身と黒衣が距離を近づけるほど威力を増し、衝突すれば力を抜いて
横へ流し、スワトの大薙刀の反撃をひらりと避けて返す刃の二段、三段目は
人間のそれを超越したコブキの腕力と速度と技がなせるものであった。

スワトはコブキの短剣を見て大薙刀の長い柄を良く使って
死角を突かせないように間合いをとって、打ち返して反撃した。
だが、数々の猛将を相手に、かほども響く事もなかったその鋼鉄の響きは
大薙刀ごしにスワトにピリピリとした緊張感と敵の強さを伝えていた。

「……」

バッ!!

「素早しっこい奴だ!だがこれならどうだ!そりゃ!そりゃ!どりゃああああ!」

ブゥン…!ブゥン!ブゥン!ブゥン!

「…チッ」

カキーン!!カッカッカッカッ!!

「そりゃそりゃそりゃ!!」

ガッガッガッヒュッガッ!!

「…ッ!!!」

短剣で仕留めきれず、その必殺の間合いにも踏み込めなかった
コブキは、地を蹴ると一度距離をとって後ろへ下がった。
だが、すかさずコブキの体めがけてスワトの大薙刀が
熱風を切り裂く烈風を伴って激しく打ち込んでくる!

下段横払い、上段正面払い、振り落とし、切り落とし、振り回しての大上段!
スワトの暴風のような力と相まって、鈍く光った巨大な鋼鉄の刃は
燦々と陽が射す山の大地、熱風が舞う虚空を切り裂き、コブキの体をかすめる。

「そこだ!くらえーい!!!」

ダッ!!ブゥゥゥゥン!

「…ッ!」

ヒュッ!ヒュッ!ガキャァァーン!!

「ぬっ!!」

降りかかる大薙刀を紙一重で避けていたコブキは一瞬の油断の隙を突かれた!
目の前のスワトの巨体が大地を蹴ると、巨体は驚くべき跳躍力で飛び上がり、
ブンッと空に振り上げられた大薙刀を振り下ろすスワトに対処できなかったのか、
自らも後ろに下がり跳躍し、両手の短剣を握り締めると体をねじり、
後退の反動を利用して目の前に迫る薙刀の刀身に交差させるように投げると、
迫り来る大薙刀の切っ先に剣が当たり、その軌道をずらしたのだ!

…ドサッ!…ドサッ!

間合いを広げ、再び距離を離した二人は、あの荒々しい攻撃の後だというのに
肩もあがらず、息も乱れることなく、両極の場所へ対峙した。

人間の者とは思えないほどの反射神経、そして力と技。
山肌の熱に晒されながら、並ぶ豪傑スワトと鬼将コブキ。
この二人のどれをとっても人の到達できる物でなく
まさに修羅の仕業であった。

「はっはっは!流石は名高い四天王コブキ将軍ッ!それがしの太刀をここまで避けるとは…これは、面白くなってきたでござる!」

「………」

「ふふっ、声もでないか!それがしの太刀が恐ろしかったか!?」

スワトはクイッと薙刀を構えながら、黒衣のコブキに対して
ニンマリと笑い、挑発にも似た笑い声をあげた。
対するコブキは表情も兜に隠れ、両手の短剣を失ったことで構えもとらず、
翻った黒衣は薙刀により数箇所破かれ、内部に隠されていた
白に近い灰色の甲冑がそこから見え隠れする。

そして今度はコブキがスワトに呟くように声を放つ。


「……スワト…とか言ったな…お前は…今…面白いか…?」

「なんじゃと?」

コブキはもう一度、スワトに呟くように声を放つ。

「…今…お前は俺と戦って楽しいと感じたのか…?それを聞いている…」

「それがし、戦を楽しいと思ったことはござらん!だが、今が楽しいかと聞かれれば、正直言って生涯出会ったことのない強敵を目の前にして少し怖いでござるな!」

「…そうか…」

スワトがそう答えると、コブキは再び黙り
先ほど甲冑にくくりつけた大きな鞘のようなものに手をかけると
そこに挿してある、長く巨大な十字の中心の柄の部分を持つと、
十字に巻きつけられていたなめし皮の鞘のようなものを剥ぎ取り
黒衣に包まれた、その十字の武器の全貌を明らかにした。

ガッ!ドサッ…!!!

そこに現れたのは十字形の槍…というのには異形すぎる鋼鉄の武器であった。

猛々しい龍をあしらった鋼鉄の柄の先につく刀身の部分は
鮫の歯のように短くギザギザした重苦しく灰色に鈍く光る刃と、
切れ味の良さそうな、弾く銀色を放つ長く分厚い斧のような鋼鉄の刃が
短いほうが前、長いほうが後ろと、二枚重なって長短の二又に分かれていた。
まがまがしいほどの十字の槍の付け根には重厚な列を組み合う鎖と、
鋼鉄の止め具のような施しがされており、槍の刃の前へと繋がっていた。

ガシャッ…ガシャッ…

重苦しい音をたてながらコブキは槍の鋼鉄の止め具と鎖を使って
素早く十字の槍の柄の長さを調節し始めた。

「なんと面妖な…それがコブキ将軍の武器か!」

「…使うのは久々だが…お前のような…豪傑が相手ならば…我が渾身の武器…使わざるおえないだろう…」

「それがしを買ってくれることは嬉しいが、武士の対決を前にして、武人の手入れを許すほど、それがしは甘くないぞ。おぬしが武器を組み立てる間に、この大薙刀が首をはねているわ!御免ッッ!!!!」

ブゥン!

「…来るがいい…すでに勝負は決まっているが…!!!」

ガキーン!!!!

山にこだまする一音の金属音。
それと供に止まったはずの熱風が吹き荒れる。


ゴォォォォ…


バタン!!!

一瞬の熱風の後、何かに吹っ飛ばされるように
巨大なスワトの体が大地に叩きつけられるように着地する。
スワトは何が起こったのか混乱に似たものを頭で感じていたが
目と体は、コブキとスワトの間にあった、その刹那を焼き付けていた。

「ば、ばかな…それがしの大薙刀をそれがしごと弾き返した…ッ!?」

「………」

まさに一瞬の出来事であった。
スワトの薙刀の一撃が決まったと思えたその瞬間、
コブキの十字の武器が組みあがり、その力と技でスワトを弾き飛ばしたのだ。
一刀で何人もの敵を持ち上げ、触れれば甲冑がひしゃげるほどの力を持つ
スワトの一撃を跳ね飛ばし、なおかつスワトの巨体ごと空中に
放り投げるなど、常人には考えられないことであった。

「…我が渾身の武器『破天馬哭(ハテンバコク』の業…冥土の土産にその身で味わうがいい…」

「なにっ!!」


ダッ!!!ビュウッ!!ビュウッ!!ガッガッ!

コブキは両手に握った破天馬哭をスッと構えると、
息つく間もなくスワトの体目掛けて鋭い突きを放った!

ビュウッ!ビュウッ!ガッガッガッ!ガキッッ!

「こ、これは!!くっ!!ぐぬ!!!」

ビュウッ!ビュウッ!ガッガッカキンカキン!

「な、なんと!い…う!!!」

スッガッガッガッガ!!

「太刀筋が…まるで…!!!」

長柄となった十字の切っ先から繰り出される驚くべき速さの技、技、技。
撃ち付ける雨のような連続突きもさることながら、伴う力も凄かった。
コブキの放つ一撃、その一撃は先ほどの短剣の速度、力そのどれもが
倍以上のものであり、流石のスワトも大薙刀で打ち返そうと思っても
まるで隙の無い連撃の前では防戦一方であった。

ガキッ!ガキッ!ガキッ!ガキッ!ガキッ!

「ぐ!受けきれるか…!!」

二!四!八!十六!三十二!
方向死角の隙を突き、ありとあらゆる方向から強烈に攻めかかる
コブキの破天馬哭は、スワトの大薙刀と触れるとカッと火花を出して柄を削り、
ギリギリと音を立てて、その巨大な鋼鉄をきしませる。
スワトの握る右手は打ち合いするにつれて、すでに感覚がなくなっており、
左手も痛覚の前のジンジンと響く痺れを覚えていた。


「…ハッ!!!!」

ビュウッ!

「おッわッ!」

スワトの疲労を感じ取ったコブキは、破天馬哭を払いの態勢から
鋭い突きの態勢に変えて、下段から中段を突き抜けて伸び進むと
スワトの喉元を狙った。

バギャアアンッ!!

スワトは感じるよりも早く、とっさに右足を破天馬哭の柄にぶつけると、
喉を狙った切っ先は軌道がずれて、スワトの兜の横にあたり、
スワトの兜はひしゃげ吹っ飛んだ!

だが、反撃を受けたその余勢で態勢の崩れたコブキを見たスワトは、
まだ感覚の残っている左手をグッと握ると、最後の力を振り絞り、
手に持った大薙刀を上空にあげ、一撃必殺の太刀を振り下ろした!!


「これで終わりじゃあああ!!!」

「………ぬ!」


ブゥン!!ガキーンッ!!!!!!!!!!!!


その時、英名の山肌に鈍い銀色の物が光った。


ドサッ!!!


「あ…あ…そ…そんな馬鹿な…」


スワトの目の前にあったのは、態勢を崩しながらも
破天馬哭をスワトの横へと振り切ったコブキと、
刃が弾けて柄が壊れた自分の大薙刀の亡骸であった。

「…勝負あったな…命を頂こう…」


ドドドドドドド!

その時、武赤関のほうから空を響かす幾数もの大太鼓の音がした。
コブキはそれを聞いて、態勢を立て直すと、目の前で愕然とし固まる
スワトを見ながら何をするでもなく、小さくこう呟いた。

「…スワトとか言ったな…この勝負はお預けとする…武器を替えてまた戦おうぞ…さらばだ」

そういうとコブキは武赤関へ向かって走っていった。
豪傑スワトが敗れた今、誰もそれを追うことはなく、
また誰もコブキを追おうとはしなかった。

「あの陣太鼓、まさか我らの陣に何かあったのか!?」

「へ、へっ。敵もいなくなったことだし陣に戻ろうぜ。これ以上追うこともあるめえよ!」

ガンリョ、クエセルがそう言って兵を退却させようとすると
今まで黙り、固まっていたスワトは自分の手に残った大薙刀の柄を
大地に思い切り突き刺し、虚空に向かって大声で嘆いた。



「…うおおお!!…うおおおお!…オオオオォォォッ!!!」



「「「………」」」

刃を折られ、心も折られ、技も力も腕も何も、完敗を喫した豪傑は
とうとう声にならない声をあげ、天に向かって悲しげに吼えた。
空に浮かび上がるスワトの悲しみの姿に、ガンリョやクエセル、
それら率いる兵達まで黙って下を向いた。


いつの間にか、あたりの熱風は止んでいた。