近美の場合
今回は現代木彫の潮流(創造と回帰)北海道立近代美術館 の出品リスト・展示状況、教育普及活動などを考察し、企画展のあり方を考えたい。今回の展覧会は美術館同士のコレクションを借り入れして行われた。特に道立旭川美術館、旭川市彫刻美術館の豊かなコレクションが中心である。そしてコレクション中心の展覧会では見ることの出来ない新世代の作家たちの作品の展示も含めて日本の現代木彫の多様な展開を紹介する。企画展は美術館の日頃の研究に基づく展覧会として意義深いものである。展覧会は、個人や特定のグループの業績を回顧する回顧展、あるテーマによって作品と作者を選別するテーマ展など、美術館の主体的な企画力が試される展覧会 このように多彩な展覧会企画は、たとえ同じ作家と作品を対象としても、担当学芸員によって違った展覧会となるといわれるように、企画者の能力によって展覧会の充実度は異なる。 この企画展では2つの章に別れての展示である。第一章1960年代から90年代までの動向を抽象・象徴・具象という3つの傾向に分けて展示している。木による立体表現の「これまで」を小清水漸 、舟越桂 戸谷成雄、砂澤ビッキ、神山明らの作家によってたどり、第二章ではここ1・2年を中心として2000年代以降に制作された最新鋭の作家達の木の彫刻表現の「これから」を紹介する。北海道立近代美術館は開館以来「北海道の美術」を収集や調査研究活動等の柱の一つとしてきました。現在、この分野の収蔵作品は1790点にのぼる。全体の41%(合計4336点)を占めている。
出品リスト:北海道近代美術館3作 旭川美術館蔵27作 旭川市彫刻美術館4作ギャラリー蔵6作 個人蔵6作 作家蔵4作 合計50作 旭川美術館・彫刻美術館からの借り入れ31作 約半分を占めている。ということからも旭川美術館の方向性との整合性を感じられるが、北海道近代美術館蔵が3作というのが不満であるが、この企画展が収蔵作品との関連や系統を考慮した展覧会の展示内容・美術館の方向性との整合性を考慮して出品リストかと言えば疑問があるが、北海道として作品を所蔵しているという観点からは納得がいく(両館ともに道立の美術館)、しかし若手作家の作品が作家蔵というのも最近の収集予算減少という状況からは仕方が無いことであるが、これからの美術界を担う若手の保護・育成も美術館の大きな役割であるという課題も見える。
そして今回の展覧会の教育普及活動はギャラリートーク期間中2回担当学芸員による展覧会の解説(30分)のみであり、ワークショップなどの取り組みがない現代木彫への興味・関心を底上げする目的で開催しているのならば、作家による木彫教室など親子で学べる時間を作るべきではないかと課題がみえる。展示状況では落ち着いて見やすい章分けであり、木彫の芸術の近年の動向が会場を歩くと解り展示内容になっている。最後の作品は観客が作品を会場ないで探すという、受け身での鑑賞から能動的な鑑賞へと試みがあり観客がより積極的に作品への関心を増す流れに構成された展覧会である。
とこんな事を叩き台に只今レポートまとめ中・・・( 汗 )
次回の企画展 北海道の若手作家の未来展?も楽しみです。
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必ず見に行きますからね