今回は、ユーモア・コラム。時事風刺コラムと言った方が適切でしょうか。
いつもの論考ではなくて、フィクションです。
書かれた時点は2029年とされています。すなわち、今から4年後の、トランプ政権
第2期も終了し、新しい大統領の下で政権が活動を開始したばかりの頃。
書き手とされる人物は、国連大使に任命され、喜びを抑え切れない様子で、新たな
任務に邁進しようとしますが …… 。
原文タイトルは
Approaching the End of Liberal Internationalism
(リベラル・インターナショナリズムの終わりに向かって)
(ちなみに、Liberal Internationalism(リベラル・インターナショナリズム)とは、
ウィキペディアによると、「国際機関、自由市場、協調的安全保障、そして自由民主
主義を支持する外交政策教義」です)
書き手は John Feffer(ジョン・フェファー)氏。
原文サイトは
https://www.counterpunch.org/2025/06/17/approaching-the-end-of-liberal-internationalism/
(なお、原文サイトに載せられている写真や文中のリンクの処置は、以下の訳文では
省略させていただきました)
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2025年6月17日
Approaching the End of Liberal Internationalism
リベラル・インターナショナリズムの終わりに向かって
John Feffer
ジョン・フェファー
「われわれは戻ってまいりました」。そう、私は部屋の人々に告げた。2029年1月21日
のことで、私は興奮をほとんど抑え切れなかった。「アメリカが帰ってきた」。
歓呼の声が返ってくるかと思っていたが、部屋は沈黙。
私はもう一度、声を高めてこう言った。「4年もの時を経て、アメリカがついに帰って
まいりました。国際的な責務をよろこんでまた引き受ける所存です」。
国連の人権理事会のメンバーたちはいろんな方角をながめやっていた ----- 私の方以外の。
と、スーツの袖を引っぱる感触がある。視線を落とすと、モロッコの代表が一片の
紙切れをわたそうとしている。
紙切れには数字が書いてあるだけ。「これは …… 請求書 ……かな?」。
彼女はうなづく。「貴君の言う『国際的な責務』です」。
「520億ドル?」。
「国連分担金の4年間の未納分です。端数は丸めています」。
「こりゃまた、大変な …… 」。
彼女はさえぎった。「貴国があたえてきた損害については、これに含まれておりません。
そちらの方の請求書は、目下、準備中です」。
「場の空気を読め」というのがいわゆる「外交のイロハ」である。しかし、国連本部の
この部屋では、そんな必要はなかった。明々白々だったからだ。場の空気は無関心か、
押し殺したクスクス笑い、まごう方なき敵意だった。
人権理事会の進行役は韓国の紳士であったが、せき払いをし、座るようしぐさで私に
合図した。そして、会議は続いた。私のこうむった屈辱も終わりまで胸中から
去らなかった。
おっと、万が一おわかりでない方がいるかもしれないので言っておくと、私はアメリカの
新しい国連大使。最初、この任務につくことにワクワクしたものだ。これまでずっと
外務職員一筋で生きてきた身としては、この地位は出世階段の頂点である。トランプ
政権の第2期が始まるまで、私は領事やマラウイ共和国の大使から始め、中南米担当国務
副次官に就任するまで、粛々と職務をはたしてきた。トランプが大統領に返り咲いた後で
さえ、私は依然として「国際社会」の断固たる信奉者であった。もっとも、それが厳密
には何を意味するのかと問われると、いささか困惑してしまうのであるが。
ずっと昔に、私は「リベラル・インターナショナリズム」に忠誠を誓ったのだった。
目下のアメリカでは、それはまるで自分がシェーカー教徒か錬金術師であると認める
ようなものだけれども。変わったやつだと言われるかもしれないが、私はこれまで
ずっと、世界はいくつかのルールや規制項目にしたがう必要があると信じてきた。
われわれは皆、交通規則にしたがうではないか。われわれは自分の個性を主張して、
自分の好きな車を選ぶ。けれどもまた、赤信号では車を止める、みだりに車線変更は
しない、あるスピードを維持する、等々の決まり事は遵守する。違反者は罰せられる。
「国際社会」も似たような指針を持ち合わせている。国家はその国固有の旗をそよがせ、
カラフルな切手を発行し、晴れやかな国歌を斉唱してみずからの国家主権を主張する
ことができる。しかし、一方でまた、われわれは ----- 少なくともわれわれの大部分は
----- ある種の行路上の規則にしたがう。すなわち、他国に侵攻しない、自国の軍に
子供を強制加入させない、自国民を殺害しない、あるいは少なくとも、その相当の
割合を国外退去させない、等々のルールである。ところが、国際的な罰則措置にも
かかわらず、あまりにたくさんの国々がみずから「ならず者」であることに固執して
いるのである。
国連大使に任命されるというのは、ルールを策定する委員会に入るようなものである。
いったい誰がワクワクせずにいられるだろうか。
そう、まさしく私はワクワクしたのだ ----- この職務についた最初の日は。
もちろん、今後、困難が増すことになるだろうとは承知していた。この4年の間、
つまり、第2期トランプ政権の間、アメリカは「インターナショナル」なる言葉が
付されたものはすべてないがしろにしてきた。この4年間は私にとって、また、他の
多くの人々にとっても、ある種の侮辱であった。イーロン・マスク氏の悪名高い
DOGE(政府効率化省)のおかげで、私はアメリカの「外交もどき」に関与しなくて
すんだ。つまり、私の同僚の多くと同様、私もまた、この「政府効率化」の期間に
追放された。早期退職を余儀なくされたのだ。ワシントンのシンクタンクにささやかな
居場所を得て、それからずっとトランプ政権のおぞましい進撃とそれに対する反動を、
恐怖とシャーデンフロイデ(他人の不幸をよろこぶ感情)の入りまじった気持ちで
ながめてきた。
この4年間、われわれ「リベラル・インターナショナリズム」の信奉者は、自分たちが
政府当局に舞い戻れたあかつきに、どうやって物事を正常に戻すかについてあれこれ
頭をひねってきた。
なんと無邪気なことであったろう。
[トランプの海外政策]
トランプの行動は当初、想定内のものに収まっていた。2025年の1月に大統領執務室に
戻ると、おなじみの聖歌集から歌い始めた。すなわち、気候変動に関するパリ協定や
国連人権理事会、世界保健機関(WHO)、UNESCO(ユネスコ)などなどから脱退した。
国連分担金の支払いを停止した(これによって、数多くの機関が経済的に困窮し、
平和維持活動が世界規模で実質的な停止状態におちいった)。ロシアのプーチン大統領
やサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン首相等の独裁的指導者と親しく交わろう
とした。大胆な約束 ----- 就任して24時間以内にウクライナの戦争を終わらせる、など
----- をして、(驚くべきことではないが)その約束を反故にした。
それから、トランプは想定外のことに着手した。
相手かまわず関税を課し始めたのだ。カナダのような同盟国、中国のような想定敵対国
から、レソト王国のような信じ難いほどの貧困国、無人の地であるハード島とマクドナルド
諸島に至るまで、である。米国のわずかばかりの産業を守るためなら、世界経済を
ズタズタにすることも辞さないと言い放った。しかし、米国経済の将来有望な部門を
奨励・刺激する産業政策は持ち合わせなかったので、結局、大統領の関税戦争は自国の
消費者と生産者のいずれにも打撃をあたえるというさんざんな結果に終わった。
むろん、わが新政権はこれらの関税のほぼすべてを撤回した。しかし、もうあまりに
手遅れだった。「ねえ、ご同僚」と、カナダの大使は私に言った。「私たちはつきあいを
多様化したのだよ。新しい取り引き相手を見つけた。また、おかしなことにつきあわされる
のはご免こうむりたい」
また、一方で、「海外援助に対する攻撃」も前代未聞のレベルだった(いやはや、この
言葉がトランプ時代に何度使われたことだろう!)。政権の最初の4ヶ月だけでも、
大人の9万7000人超、子供の20万人が、海外援助のための資金拠出の停止と米国際開発庁
(USAID)の解体のおかげで、命をおとすことになった。その後も含め、結局、4年の
任期の間に、毎時間100人を超える人間が、トランプとマスク両氏によるUSAIDその他の
破壊的な廃止によって、死亡した。とどのつまり、トランプ政権の間に世界で30万から
40万の人々が亡くなった計算になる。
この数字は、言うまでもなく、ジェノサイド(大量虐殺)の名に値する。これは、
実質上、ナチスがドイツ国民のうちから病人や老人、身体障害者などを間引きした
政策の帰結と異ならない。ただし、トランプの場合は、世界全体が対象だった。
トランプ政権によるこれらの人命の損失すべてに関して ----- 地球に対する環境面
での打撃すべてもあわせて ----- 、国連がどれほどの額の損害賠償請求書を私に手わたす
か、私にはよくわからない。ただ、額がどれほど巨大であっても、それはただ象徴的な
価値しか持ち得ないだろう。アメリカにそんな金はないからだ。いや、率直に言って、
そんな賠償金など払う意思はないからだ。
このような金銭的な計算の対象にならないものは、トランプが国際的なルールを顧慮
しないことによるデモンストレーション効果である。他の国の強権的な指導者たち
----- たとえばトルコやインド、アルゼンチンなどの ----- は、当然のことながら、
トランプのやり方にならった。ちょうどトランプがハンガリーやロシアからヒントを
得たように。プーチン大統領によるウクライナ侵攻はまちがいなく2027年のトランプ
によるグリーンランド強奪をうながした。そして、この世界最大の島の違法な獲得
----- わが新政権はこれを撤回しようと決意しているが ----- は、やはり確実にイスラエルの
ヨルダン川西岸地区とガザ地区の併合、ロシアのモルドバの吸収、中国の台湾領有の
試み、等々の推進力となったのだ。
国際機関に対するトランプの攻撃は、国際間協力の慣習をみごとになしくずしに
してしまった。各国はこぞって鉱物資源を求め、海底の探索に血まなこになって
いる。ほとんどの国が国際刑事裁判所(ICC)の発行した逮捕状に見向きもしない。
有名なセリフをもじって言えば、「大国は自分の欲することをおこない、弱小国は
自分のできることをおこなう」に至ったのである。
英国の元首相マーガレット・サッチャーの「『社会』などというものは存在しない」
というセリフはよく知られている。トランプは、「国際社会」が存在することをも
否定して、サッチャーよりさらに上をいった。みずからの行動を通じて、そしてまた、
世界中の強権的支配者と手を組むことにより、トランプは「国際社会」に引導を
わたし、ほぼそれをほうむり去ってしまった。
[トランプの国内政策]
トランプ政権が米国内でおこなったことも、むろん、国外に対しておこなったこと
よりましだったわけでは決してない ----- もし自分が裕福な白人男性でないとしたら、
いよいよそうである。たとえば、必要書面を欠いた移民への措置として始まった施策が、
外国人に対する全面的な攻撃へと変貌した。完全な市民権のない人間はすべて有罪と
見なされて、無差別に検挙され、紛争地域もしくはエルサルバドルの収容所へと送られた。
また、国境では、「密輸」あるいは似たようなナンセンスを理由として留め置かれたり、
さらには、パレスチナの人々の殺害に抗議する発言をしたことで罰せられたりする
ありさまであった。くわえて、アメリカで勉強しようとやってくる学生たち -----
中国人を筆頭として ----- の入国を禁止する政策も実施し始めた。
「ハーバードやイェール、スタンフォード、かつてはこれらが私たちの聖地メッカ
でした」。韓国の大使はつい先頃、私にこう言った。「今は、私たちは自国の学生に
米国以外の国を選ぶよう勧めています」
「でも、アメリカは帰ってまいりました」。私は弱々しく同じセリフをくり返した。
「いつまで続きますか」と彼はたずねる。「私たちにどうやってわかるでしょう、
新しい政権がふたたびトランプ政権の終了したところから着手して新たな暴虐を
ふるうなんてことはない、と」
実際のところ、多くの米国民も同じ疑問を抱いている ----- メディケア、メディケイド、
社会保障制度、退役軍人給付金、等々の削減をこうむった後では。彼らは今や、
連邦政府を疑いの目でながめている。あたかも、インチキの賭けトランプで、最初の
何回かは勝つことを許されても、結局、最後にはすっからかんにされたカモのように。
われわれは、もちろん、環境にやさしいテクノロジーを優遇するバイデン政権時代の
産業政策を復活させた。が、トランプのMAGA(「アメリカを再び偉大な国にする」)
の政策はなおも命脈をたもっている。この政策を阻止しようとする動きはまだ裁判で
争われており、裁判所の方は、連邦政府の「権限拡大」を罰することにあまりに熱心な
状態だ。依然しょうこりもなく共和党支持者の多い州 ----- 2028年の大統領選挙が
予想外に接戦であった州でさえ ----- では、知事が連邦政府に「クソッタレ」と言おうと
手ぐすねを引いている。これを書いている今、2028年の選挙をめぐり、例の「票を
盗むのをやめろ」のスローガン(訳注・1)をかかげた集会が暴力的なものに転じつつ
あるし、きわめて用心深い人々は「非常時用持ち出し袋」に手を伸ばそうとしている。
また、ある地域では、連邦政府に対し、大規模な不服従の挙に出る話が盛り上がりを
見せている。
(訳注・1: 原語は Stop the Steal。「不正選挙を阻止せよ」の意で、最初期のトランプの
敗北に納得できない一部のトランプ支持者が、票の集計で不正行為があったと主張し、
このスローガンをかかげて集会やデモを開催した)
トランプ時代の前からレッドとブルーの対立は確かにあった(訳注・2)。しかし、
最近のアメリカでは、この2色の戦いが全面的、徹底的なものになる寸前という様相を
呈している。MAGA派の言によれば、「彼らの側につくか、つかないか、2つに1つだ」
(そして、もう一方の側も、まるっきり同じことを考えている)。パープルはどうした
だって?。われわれの語彙からはその色は姿を消してしまった。
(訳注・2: 「レッド(赤)」は共和党を、「ブルー(青)」は民主党を象徴する。大統領
選挙などの報道で、テレビ局が地図で全米の州のうち、共和党支持者の多い州を赤に、
民主党支持者の多い州を青に色分けして示すことが慣習となっていることに由来する。
この後に出てくる「パープル」は、どちらとも言い難い州を示す)
[連邦政府の縮小を求める動き]
われわれは、退却する軍隊によって破壊された都市さながらの政府を引き継いだばかりだ。
政府機関はめちゃめちゃにされた ----- はらわたを抜かれた国務省、機能不全におちいった
教育省、学術分野の研究・開発向け連邦支出にかかわる骨抜きにされた機構、等々。
だが、それだけにとどまらない。政府に対するシニシズム(冷笑的態度)が全米に浸透
した。トランプ時代の前でさえ、「政治」は次第に「汚い言葉」になりつつあった。が、
それは今や「有害ゴミの投棄場」である。
わが新政権は、むろんのこと、以前よりもすばらしいアメリカを築くと約束した。
しかし、トランプのおかげで、アメリカ国民は、自分たちの生活もしくは自国の運命
に関して、政府が何らかの役割をはたすべきだとはもはや信じていないらしく思われる。
海外援助を積極的に支持する選挙民はいなくなった。海外の民主主義闘争や平和維持
活動、気候変動に取り組むための協調行動などを支援することは少なくなった。国内
では、移民がどうしても求められなければならない ----- とりわけ、農産物の収穫、
ビルその他の建設、レストラン等の給仕仕事などだが、そのほかにもいろいろある。
しかし、必要書類を持たない移民に対する態度はいよいよきびしくなっている。
アメリカ国民はあやういほど政府機関の民営化に慣れてしまった。NGO(民間非営利
団体)と裕福な財団法人がUSAID(米国際開発庁)の仕事を肩代わりした。米国郵政
公社とアムトラック(全米鉄道旅客輸送公社)の業務を運営しているのは今や私企業
である。金融サービス会社は社会保障制度をカジノに変えてしまった。連邦政府は、
かつては「小うるさい乳母」と馬鹿にされたものであるが、現在では「不法侵入」の
罪を犯していると見なされるしまつである。
選挙民は確かに政治腐敗にうんざりしている。だからこそ、今回、彼らはトランプと
その一派をホワイトハウスから追い出したのである。しかし、これまで何十年と
政府を腐敗行為に結びつけてきたおかげで、多くの米国民は今ではできるかぎり
政府を小さいものにしたがっている。
[甘言と暴力]
米国政府に対する信頼感の急落は、同様に国際レベルでもうかがえる。
「私たちは貴君をタイムアウト・コーナー(訳注・3)に座っていただくことに
しました」。こう、マレーシアの大使が私に告げた。「アメリカが適正なふるまいが
できることを証明できるまでです」。
(訳注・3: 子供などが問題行動を起こした際に、一時的に隔離して反省させるための
場所のこと。通常は部屋の隅など)
私は抗議した。「8年前のことを思い出してください。バイデン政権は国連とうまく
やったじゃないですか」。
「その後はトランプの第2期に突入しました。第1期よりもはるかにひどかった」。
「4年間も部屋の隅になんか座っていられない。世界にそんな余裕はないはずだ」。
「ラッキーだと考えていただきたいところです。一部の国はアメリカを北朝鮮と同じ
ようにあつかいたがっています。制裁を課したり、封じ込め手段に出たり、隔離措置を
採ったり、などなど。MAGAウイルスの伝染を食い止めるためです」。
「だが、諸君はそんなことはできない。われわれは …… 」。
「われわれは超大国だ、とおっしゃる。国際社会に復帰するという貴君の発言のあれこれ
の中で、貴君はまだ謝罪の言葉を述べておられません」。
「トランプはわれわれの側の人間ではなかった」と私。「われわれ新政権はまっとうな
人間たちです」。
「ドイツ人はナチスのしたことを謝罪しましたよね」。
彼女の言には一理あった。が、それを認めるわけにはいかない。「外交のイロハ」の
もう一つの教えには、こういうのもある。すなわち、「アメリカは謝罪する必要など
全然ない」だ。
われわれは今や、国連のすべての機関に再加入した。国連分担金の未納分も支払う
つもりだ(そう、少なくとも肝心の費用分は)。プーチンがもしおろかにも米国の
領土に足を踏み入れた場合は、国際刑事裁判所(ICC)に送還すべく、捕縛し、
収監するつもりである。いや、ちょっと待て。アメリカは、「国際刑事裁判所ローマ
規定」を批准する政治的意思は実際のところ持ち合わせていない。アメリカ人が
進んでやることには限度があるのだ。
「これについては、私に手を貸していただかなければ」と、私はマレーシアの大使に
言った。「貴君の国、また、同様の中所得国が、もし私の居場所を部屋の片隅から移し、
いくらかの敬意を示さないならば、あのMAGA連中が、このおおっぴらな恥辱行為を
逆手に取るでしょう。そして、次の選挙に勝利する。そうなれば、貴君のもっとも
恐れていることが現実になる。MAGA連中の3度目の治世が、まさに恐れているとの
発言通りに、形になるのです」。
「私たちも時には思い切ったことをやってみなければ」。
私は魅惑するような笑みを浮かべた。「石油と天然ガスの輸出代金を割り引くことも
できますよ」
「太陽光パネルや風力の方が安くつきます」と彼女。
戦術転換の要あり、だ。「中国について、いささかご心配なのでは?。南シナ海での
貴国の領土権を擁護するにあたって、多少の手助けがご必要なのではと推察します」。
「貴君はニコニコしていらっしゃる」と彼女。「ですが、これって、実際は脅しです
よね」。
「助力を申し出ているのです」。
「いえ、助力しないことをほのめかしておいでです。ちょうど、前の政権が台湾を
助けなかったように」。
私の笑みは、今や、歯をむき出した、敵意をまじえたものに変わった。「外交のイロハ」
の究極の一手を使わねばならない。「甘い言葉で達成できないことでも、空母を使えば
たいていは達成できる」だ。
「言いませんでしたっけ?」。私は彼女に思い出させる。今度ばかりは明るい喜びを
もってではなく、きびしい決意をにじませながら。「アメリカが帰ってきた。そう
言いましたよね?」。
本文章は『トム・ディスパッチ』からの転載。
書き手のジョン・フェファー氏は、アメリカのシンクタンク『フォリン・ポリシー・
イン・フォーカス』の所長。本文章の初出は、このシンクタンクのウェブサイトである。
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なお、ケアレス・ミスやこちらの知識不足などによる誤訳等がありましたら、
遠慮なくご指摘ください。
(今回の訳出にあたっては、機械翻訳やAIなどはいっさい使用しておりません)