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恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

1.夏の陽炎

2008年08月22日 | 夏の物語
 君は私の事を覚えているだろうか。
 あの夏の日、君はキャップをかぶって、道を歩いていた。
 私は夏の光と君の歩いている姿を好きになってしまった。要するに一目惚れと言うわけだ。
 今になって思い出してしまう事がおかしいと思う。この暑さのせいで頭が狂ったのだろう。
 街を歩いていると、ショーウィンドゥに君が眩しそうに太陽を見ている姿がある。私が横を通りすぎると、君はいつの間にかいなくなっている。
 まるで夏の陽炎みたいに君は現れては消えていく。
 スーパーでレジに並んでいる時も私のすぐ後ろに君は並んでいる。
 店員さんにタバコを無邪気に頼んでいたが、君はタバコは吸わなかった。多分私の思い過ごしだろう。
 プールで泳いでいる時も白い水着を来ている君が横を静かに歩いて行く。
 私は、そんな君を見て、いつも何をしているのかと疑問がよぎる。
 君がこんな所にいるはずはない。
 夢か幻を見ているならそれでもいい。
君に何も害は加えない。
 君を好きになった事には訳があるのだろうかと暑い中、深く考えてしまう。
 君の大きな瞳や可愛い笑顔を思い出すだけで心が安らいだ。
 ただ、本当に街角で会って、もし君に彼氏がいたり、婚約者がいたのなら私の事を見ないでほしい。
 勝手な事かも知れないが勘違いをしてしまうから。
 その時は、話しかけず、後ろを向いて去って欲しい。
 目が合いそうになったらそらして欲しい。
 私もそらす。
 私の事を見て後ろを振り返り、去ったとしても、あとは追いかけない。
 その時は、あなたに素敵な人がいるんだなと思う。
 私は少しだけ寂しくなるけど、あなたの幸せをただ願っていたい。
また、歩いていると石段の所で座っている君を見付けた。
 これで何人目だろう。
 君はいつも私の側にいるけど、私は君の側にいない。
 太陽を睨み、早く涼しくならないかと石段を後にした。
 石段の君は、夏の陽炎のように、跡形もなく去って行った。
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