メニューを聞いて料理を一通り持って行った。
エリは、私の事など何とも思ってない様子だった。カズミも今の彼氏とラブラブのようでいい事だった。
問題はヨリコだった。まさか今この時間にファミレスに来る事は誰が予想しただろうか。自分の胸に聞くと本当に正直でヨリコの前だけドキドキと胸が苦しくなっていた。心拍数が高くて倒れようとしたが、何とかこらえた。
「ありがとうございました。」挙動不審の男は、ダッ . . . 本文を読む
偶然が重なる時があるって言う事はこのことだ。
私は、今ファミリーレストランでバイトをしている。
フロアーに出て「いらっしゃいませ」とぎこちない挨拶をして、サービスをお客さんに提供している。
朝の一時。この時間になるとお客さんは少なくなる。変なお客さんがくる事が多い。
まず最初に入って来たのは、歳は四十代くらいで男同士で手をつないでいるカップル。同性愛者でいつも見つめ合って手を握りあってい . . . 本文を読む
秋といえば読書の秋という事で家で読むのもなんだから、ファミレスで小説を読むことにした。小説のタイトルは「愛の物語」私にはいかにもって感じだが、何も読むものがなくて、これになったというわけだ。
ファミレスに入るとあまり客は入っていなかった。午前二時という事もあったからだろう。奥の窓際の席に男が二人。トイレの方向に若いカップルが手を握って見つめ合っていた。今の時間に来る客は、飲み屋帰りか、若いカッ . . . 本文を読む
秋の雨はなぜこんなにもせつないのだろう。冷たい風に吹かれて雨がポツリポツリと降っていた。私は近くの家の屋根で雨宿りをしていた。隣には若くて背が高いジーパンがよく似合う女の人がいた。まつ毛が長くて目が透き通るように薄い茶色の女の人だった。私と目と目が合うと話しかけてきた。
「雨ひどいですね。」
「そうですね。」何気ない会話だったが、私はその女の人に好意を抱いてしまった。目が大きな彼女にうっとり . . . 本文を読む
風邪をひいて熱が出た時必ず母親の手を思い出す。
私が子供の頃、風邪でダウンして、水枕にタオルを頭に乗せていた。喉もグチャグチャになっていて、喋るのも億劫だった。
明日は、大事なイベントがある時に限って熱が出るのだ。この時は確か運動会の前の日だった。
「大丈夫かーい?」母親が優しい言葉をかけてくれる。私はウーンウーンと顔を真っ赤にして熱にうなされていた。母親はそっと頭のタオルをのけて、自分の . . . 本文を読む
男の気持ちと女の気持ちはシャボン玉のようにフワフワと浮かんでは消えていく。次から次へと新しいシャボン玉が出来上がるがみんな消えていく。
男も女もシャボン玉のように壊れやすい生き物だ。一人の女性がシャボン玉のようにまた消えていった。
リュウジは彼女の後ろ姿を見送った。新しい彼氏が出来たらしいのだ。部屋にあった荷物を全部まとめて出て行った。
部屋にポツンと一人になって孤独という一文字が頭に浮か . . . 本文を読む
私は、おばぁちゃんが大好きだった。
家に入ると線香の鼻につんとした香りが広がっていて、おばぁちゃんは裁縫箱の入れ物を枕にして寝ていた。
その時必ず名作劇場のアニメを見ていた。
私が「こんばんわ」と言うとおばぁちゃんは太った体を起こして「来たかい」と振り向いて言った。
いつもご飯を食べて帰るのだが、父親のふざけた冗談に笑っていた。笑顔がかわいいおばぁちゃんだった。太っている事もあり、笑転げ . . . 本文を読む
キヨシは、最近悩んでいた。花屋の店員に恋をしているからだ。彼女はエプロン姿で長い黒髪を後ろで一つに結んでいた。街を通る人に愛想よく挨拶する姿に好意を抱いてしまった。
母が入院していたのでお見舞いの花を買いに行く時に必ずその店員さんに包んでもらっていた。
名前はカオリだった。エプロンについているネームプレートを見て確かめた。花屋にぴったりの名前で印象深かった。
今日もカオリから花を包んでもら . . . 本文を読む
私は今までずっと愛を探していたような気がする。
愛とは何か。親子愛。友達愛。恋人同士の愛。夫婦愛。ペットの愛。愛は数えれないくらい莫大な財産だ。
皆さん愛をたくさん使おう。
使って使って消費税がかかるくらい使ったら愛が溢れて住みよい世の中になると思う。
最近思ったんだが、愛というものは相手の為に思いやり、見返りを求めないのが愛なのではないか。
ただ側にいるだけで幸せになるような、その人 . . . 本文を読む