恋愛について語ってきました。人を好きになるという事を忘れないでほしいと心から願います。
お年寄り、女子高生、渋い男、道路工事のおじさん、コックさん、少年、姉、色々な人が恋をしています。恋をしない人は、世界中誰一人いません。いつも誰かが側にいてくれてます。
少年犯罪が多い最近のニュースを見て暗い気持ちになっています。
自分は独りだと思っている人がいたら、そっと周りを見てください。きっと誰 . . . 本文を読む
ジッポライターを取り出して、カチッとすばやくタバコに火をつけた。そのしぐさが渋い。一つ一つの仕草が絵になる。
カウンターで一人タバコを吸っている男がいた。タバコを一息吸い、煙を吐き出し、グラスに入っているブランデーを一口飲んだ。
私は絵のような男の姿に見入ってしまった。アルマーニのスーツをバシッと着て、スラットした体格で、目が二重だった。
その男はマスターに語りかけていた。ユーモアを交えて . . . 本文を読む
ミーンミーン蝉が鳴いている。頭の中でこだました。どうも最近蝉の声がとれない。まるで、頭の中に一匹いるみたいに鮮明に聞こえてくる。
毎日毎日嫌になるほど働いている。一応ホテルのコックをしている。料理が好きな訳でもないが、働く口が無く仕方なくしている。
最近、お客が多い。夏はビアガーデンと言って、ビールを飲む為だけの広場が設置してある。人が、どこから湧いて出たのかと思うほど多い。家のゴキブリ以上 . . . 本文を読む
携帯を首からだらしなく下げて、ミニスカートを履き、ルーズソックスがブカブカとずれ落ちている。公園の広場でいつもの様にトオルと会う約束をしていた。
「超だりー。まだ来ねぇのかよ」マリは退屈そうに空を見上げて呟いた。トオルとは、友達の紹介で知り合った。前はカラオケ屋で働いていたが、店長が変わって、よく怒られるようになってからは辞めて、今は飲み屋で働いている。
小心者な所がある。歳は、七つ離れてい . . . 本文を読む
ワッショイ、ワッショイ。威勢のいいかけ声が響いた。今日は一年に一度の夏祭り。
この日の為に炭坑節の踊る練習を一生懸命していた。不器用だったタケシは振り付けを憶えるのに三ヶ月くらいかかった。町内で一番やんちゃなタケシだったが、隣町のカオルが来るということもあり張り切っていた。
カオルは、今年高校三年生。ハッピ姿が似合っていて、粋な感じがする。祭りではいつも太鼓を叩いていた。その姿を見て、タケシ . . . 本文を読む
私が海沿いを歩いていると、女の人が手を振っていた。初めは、誰に手を振っているのか分からなかった。よく見ると近くにゴールデンレトリバーがいた。大人のレトリバーだ。目がトロンとして、退屈そうに飼い主を見ていた。
女の人は、ジーパンに白いTシャツを着ていた。髪は後ろで一つに結んでいた。
犬を置き去りにしようとして冗談で、手を振っているみたいだった。犬も分かっているらしく、退屈そうに前足で顔をかいて . . . 本文を読む
私には姉が一人いる。三十三歳で独身だ。いわゆる女で言う負け組というやつだ。
しかし、姉はとても頭がよく、趣味も豊富だ。
旅行が趣味で、ニューヨーク、香港、バリ島など海外によく行っている。海外に行っているかと思えば、毎週行きつけのクラブで踊ったりもしている。
姉は、踊るのが好きなようだ。家で悲しいときやうれしい時はいつも踊っている。
この前、朝っぱらからマリアカラスのオペラを大音量で聞いて . . . 本文を読む
私が二回目の恋をしたのは、高校生の頃だった。彼女はバスケット部で、クラスの人気者だった。いや、学校中の人気者だったかもしれない。
私は、その彼女とは三回しか話した事がない。
一回目は、後輩のクラスに遊びに行っていた時の事、バスケットの勧誘に来ていたのだ。彼女はバスケットのユニホームを着ていた。さわやかで、ショートカットが印象的だった。私はその姿を見て恋をしたのだ。なんて素敵な人なのだろうと心 . . . 本文を読む
夏の前には必ず雷がなり、大雨が降る。
照りつける太陽が、黒い雲で覆いかぶさる。
ワシワシ鳴いていた蝉が急に鳴き止み、シーンと音が無くなる。まるで、世の中の音という音が消えてしまったかのように静かになる。
雲の向こうから雨がポツリポツリと少しづつ降ってきて、いきなりザーと本格的に降り出す。夏に入る前には必ずある一時の時間。雨を見ると憂鬱になる私達。
彼女と出会ったのも雨の日だった。私は傘を . . . 本文を読む
私の家は喫茶店をしている。喫茶店とは言っても定食屋みたいなものだ。自宅まで電話一本あれば配達もしている。子供の頃、配達の母親に付いて行くのが好きだった。ワゴン車に乗って、知らない演歌のカセットを聞きながら配達の場所に行くのが好きだった。
いつもの場所に車で向かっている時、必ず道路の脇の石段に座っているおばぁちゃんがいた。しわくちゃの白髪頭のおばぁちゃんは、私の顔を見ると必ず手を振ってくれた。
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今日は、一年に一度の花火大会。ヒトミと出会ったのも花火大会の日だった。
その時、浴衣姿で、彼女は友達と一緒だった。俺は、友達とはぐれて探しているところだった。花火が打ちあがる頃、彼女とぶつかった。彼女は綿菓子を食べていて、綿菓子が通路に落ちた。
「ちょっと、何するの?」ヒトミよりも先に隣にいた友達が、うるさい口調で言った。俺は素直にごめんと謝った。
「ごめんで済むなら警察はいらないわ。」尖 . . . 本文を読む
俺は、今年で五十歳だ。いい年こいて、何だけど、人生くいはねぇ。仕事も道路に穴を掘る仕事だけれども、とても満足している。
真夏の暑い日に掘る穴は死ぬほど暑い。想像もつかないくらいに暑い。ジリジリと照りつける太陽とフライパンのような道路、二つ仲良く揃ったら、そりゃ暑いだろう。
暑い道路を掘っているとなマボロシっていうか、蜃気楼というか。夢みたいな出来事がたまにあるのよ。どうだ。知りたいだろう。教 . . . 本文を読む