ジングルベルの音が聞こえてくる12月24日クリスマスイブ。
2階の部屋にいるケンタが枕元に靴下を置いて、寝る準備を始めた。窓からは、ヒンヤリとした空気があり、雪がフワフワと降っていた。1階では、サンタに扮した父親がプレゼントを押し入れから出して、椅子の上に置いて準備をしている。
夜中を0時回った頃、もうそろそろ寝ただろうと思い2階の部屋のドアを少し開けると布団にくるまっているケンタの姿が見え . . . 本文を読む
リビングに長いテーブルが真ん中にあり、クリスマスケーキが置いてある。
妻がキッチンの方にいて、ゆうたが隣に座っている。
私は、向かいに座って見ていた。ケーキの隣には、さっき食べたチキンの残骸が残っている。
私がケーキの上にろうそくを立てて、火を点けた。それを見た妻が電気を消して、ゆうたが、息を吹きかける。ろうそくの火が全部消えた。
「メリークリスマス。」と言うと、妻が部屋の奥からプレゼン . . . 本文を読む
コロナが少し治まり始め、うちの店もやっとお客が戻りつつある。国の助成金を申請しているが、なかなか下りない。政治家たちは、何もしなくても、一日百万円の臨時交通費などが支払われていて、ムカついていた。
暖簾をくぐり、作業着をきているごつい男の人がスキンヘッドにタオルを鉢巻をして、店に入ってきた。
「いらっしゃいませ。一名様ですね。」
「兄ちゃん、定食いっちょうね。」とカウンターに座り、頼んだ。 . . . 本文を読む
雪が今にも降りそうな夜、
「子どもが幼稚園の教室に入らなくて困ってるのよ。」母親が心配して父親に話している。
「そうだな。せいやは人見知りで、友達がいないのが心配だな。明日朝、俺が幼稚園に送りに行って様子見てくるよ。」
次の日の朝、せいやがいきたくなさそうな顔をして、俯き、靴箱の前に座っている。
何とか手をつなぎ「真っ赤なお鼻のトナカイさんは~」と歌を歌いながら、幼稚園に向かう。
先生に挨拶をして . . . 本文を読む
毎年毎年なんで、クリスマスイブに、働かなければならないんだ。
しかも一年に一回って、どれだけブラック企業なんだ。
年々太っている髭面のサンタを乗せて、引っ張って行かなくちゃならない。いつも首がもげそうである。
しかもエサが段々経費ケチって、その辺の草になっている。
もうこうなりゃ、ボイコットしてやる。
12月23日サンタが寝始めたころ、トナカイは、荷物をまとめて、机の上に【お世話になり . . . 本文を読む
クリスマスイブの日に何でいつもアルバイトをしなければならないのだろう。
きっと、独り身だからいけないのではないのだろうか。
町中を見渡せば、カップルだらけで嫌になる。
ラブホテルもたくさんの人が入ってて、この日ばかりは、ホテルが傾くと例えるほどだ。
店内でも、ラブソングがたくさん流れている。
広瀬香美に山下達郎って、いつの時代の歌だよと思いつつ、浸ることができるのはなぜだろう。
昔 . . . 本文を読む
夜になると町中が光り輝き、ビルとビルとの間には、点灯している巨大なツリーが飾ってある。
そのツリーを見上げる男の子と女の子、二人とも赤いマフラーを巻いて、黄色のニット帽をかぶっている。
隣には、若い20代のカップルが手を握ったり、肩を抱き寄せあったりして、ツリーを眺めている。
通りかかった女性3人組は、ツリーをバックに、スマートフォンを取り出して、カメラで自撮りをしている。
「インスタに . . . 本文を読む
深夜3時、目覚まし時計が鳴り響いて止めた。寒くなってきて、起きるのが辛い。
一時、ボケっとして、ダウンジャケットを着る。
自分の原付に前と後ろに朝刊を載せて、家を回って、配る。
凍てつく寒さに体が震える。軍手をはめていても、手がジンジンと響く。
こんな寒いのに、新聞を待っている人もいる。
新聞をポストに入れたと同時に向こう側で、引っ張る人がいてビクッとする。
一時間くらい配ったところ . . . 本文を読む
金曜日の夜、久しぶりに居酒屋に寄り道をして、課長と酒を少し飲んだ。
部下の愚痴を言い合いしたのを思い出しながら、電車に乗る。家までは、特急で二駅だ。暖房がきいた電車から降りると、ヒンヤリとした北風が吹きつける。コートの襟を立てて、改札口を出た。
それに輪をかけたように、粉雪がちらついている。
自宅まで歩いて帰る。人気がない山道をいくと、大きな池がある。昔は、河童がいたと父親からきいた事があ . . . 本文を読む
昨日は、クリスマスイブという事もあり、豪華なパーティーで盛り上がった。
シャンパンをがぶ飲みし、頭が痛い。飲み過ぎた。リビィングを見渡すと、クリスマスツリーが倒れて、コップとケーキの皿がザンバラに散らかっている。
ベッドでは知らない女が、いびきをかいて寝ている。
窓のカーテンを開けると、陽射しがまぶしくて、目を細めた。目の前の道路をゴミ収集車が通ってて、走ってサンタクロースが空き缶やゴミを . . . 本文を読む
中野一男は、天然パーマの髪をスプレーの白で塗り潰し、100円ショップで買ったサンタセットの服を着て、帽子を被り、白髭をつけ、眉毛も白のテープを貼って、鏡を見た。
「オッほっほー。私はサンタのおじさんだよ。」ポーズをすると同じように鏡に写り、自嘲気味に笑った。
今日は、イブなので、サンタの格好をして、彼女の家にプレゼントを持っていく事にしていた。真夜中12時に彼女の家の窓から忍び込み、枕元にプ . . . 本文を読む
深夜の工事現場。今日はクリスマスイブなので、監督をはじめ、ヘルメットの上に、サンタの赤い帽子を被り、作業着も赤と白で統一している。トナカイの角をヘルメットに着けている者もいる。
交通誘導員も帽子は赤い帽子と長い白髭をつけて、車を誘導させている。誘導棒も赤と緑、グルグルと光っている。
約600メートルの道路は、オレンジや茶色、色とりどりのランプが四方八方で垂れ下がり、北風が吹くとランプを揺らし . . . 本文を読む
30代半の中野一男は、天然の髪を肩まで伸ばし、人から聞かれたら「ドレッドをしている。」と答える様にしていた。
今まで、パーマをあてた事もなく、髪の先がクルクルと回ってて、ドレッドをしているように見えない事もなかった。
雨の日は、ドレッドどころではなく、アフロみたいに髪が爆発して、「キノコ爆弾みたい。」や「昔の井上揚水やつるべぇみたいだね。」等と笑われたりもする。
鏡で髪の毛を見れば、曇りと . . . 本文を読む
北の方にある小さな町にサンタクロースが働いている所がありました。もうすぐクリスマスとあって、忙しそうです。
「これで、全部か。プレゼントたりるのか。」メガネをかけた細身のサンタAが言いました。三人グループのリーダー的存在です。
「たりると思うわ。」トナカイのソリに荷物をひもでまとめているのが、女性のサンタBです。穏やかな口調で話します。
「ウホッーホッーホッ。」大きな体で、おっちょこちょい . . . 本文を読む
12月になり、慌ただしく車も通り過ぎ、人々が忙しそうに歩いている。一年を振り返り、何かを忘れてるかのような気持ちになり、夜になると街のイルミネーションが煌びやかに点灯しはじめる頃、二人は寄り添うようにティファニーの店内を見ていた。
「わーこのネックレスかわいい。」彼女が様々な品物から一つを指差して、子供の様に嬉しそうにはしゃいだ。
その声を聞いた女の店員が、待ってましたとばかりに駆け寄 . . . 本文を読む