男を騙すには相応しくない格好だと言われて、黒服の男から服を買ってもらった。
胸を強調している白のワンピースだった。黒の下着が透けていて、恥ずかしかったが、男を騙すには恥ずかしがってはいい仕事は出来ないと感じた。
ただ、騙す男が妖艶でしかも純な人が好きだという難しい情報が入ってきた。だから私は純で妖艶な服装を心がけないといけないのだ。
純のわりに胸を出すのはどうかと思った。
紺色のジーンズ . . . 本文を読む
順子は、お金がなかった。
ホストのケンジに時計や洋服、高級車を買ってあげたのが間違いだった。金融会社から500万円ほど借金をしていた。
利子が利子を産んで気づいたらあっと言う間に500万円になった。一日一日利息に追われる日々だ。
この多額の借金をどうしろというの。
季節は温かい春だというのに、財布の中は氷河期だった。
そんなある日、知り合いのBARで飲んでいた時に黒服の男と出会った。
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彼に嘘をついた。ほんの些細な嘘。
出会い系サイトで知り合った男の人と一度だけ浮気をした事がある。彼とうまくいかなくて、喧嘩ばかりしていた時に優しく声をかけてくれたのがきっかけだった。
一夜だけの恋。戻る事が出来ない恋。
抱かれながら夜の闇へと落ちていった。
彼は今日も知らずに優しく声をかける。私は心の奥の方がむず痒くなる。
ほんの些細な嘘。自分に嘘はつけない。
時には残酷な嘘になる。 . . . 本文を読む
会社を辞めて随分と時間が経った。会社をリストラされ、ホームレスになるくらいなら、石焼芋でも売って食っていくだけあればいいと思った。
愛想すかして嫁と子供は家を出て行った。白状ものだといいたいが、私はそれほどいい男ではなかった。
「いしやきいも。ほかほかのおいもだよ。いかがですか。」軍手をはめ、バンダナをして、寒い街中を車で一周するのだ。外は凍るように寒いが、冬は稼ぎ時で寒いからこそ売れるのだ . . . 本文を読む