恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

6.コンプレックス

2006年05月26日 | せつない恋
 ブヨブヨした腹。三重アゴ。細い目。それを囲んでいる分厚いメガネ。歩いている時、ショーウィンドウに自分の体が映った。何度見ても嫌になる。自分の事だから誰にも文句は言えない。  そんな僕だが、一目惚れをしてしまった。よく行く喫茶店の彼女にだ。メイドの服が似合いそうな彼女が私の方を見て、「いらっしゃいませ」と声をかけてくれたのが初まりだった。  僕は、恥しくて下を向いて、イソイソと案内されたテーブルに . . . 本文を読む

5.不倫

2006年05月21日 | 大人の恋
 テーブルを囲んで家族三人で朝食を食べていた。  旦那が新聞を広げて、テレビを見ていた。私の隣には、高校生の長男タケルがご飯とおかずを交互に食べている。  私は、じっと二人の顔を見ていた。  テレビのニュースで話題の芸能人が結婚したと流れていた。  旦那は、「へぇー結婚したんだ。」とタケルに話しかけると、また新聞を読んでいた。  「お父さん。やっぱり好きなんだ。」沈黙が少し流れた後、タケルが答えて . . . 本文を読む

4.恋の妖精

2006年05月19日 | 幻の恋
 とても大きいしっかりとした木がポツンと真ん中にある。樹齢何年だろうか。千年くらい経っているのではないだろうか。  木を囲むように美しい湖があった。辺りは、薄い霧がモヤッとかかっていて、神秘的にボンヤリと輝いていた。  私がいつものように木にぶら下がっているブランコに乗っていると、白いドレスを着た小学生くらいの女の子がスキップしながら近寄ってきた。  まるで踊りを楽しむかのようだった。  「また、 . . . 本文を読む

3.踏切

2006年05月18日 | 身近な恋
 どんよりとした曇り空だった。もうそろそろ雨が降り続く梅雨に入るのだろうか。ジメジメとした日々をこれから過ごさなければならないかと思うと、ウンザリしていた。  「何か良い事ないかな」と呟いていると、踏切の遮断機が下りて立ち止まった。 この遮断機は一度下りたら二十分くらい開かない「開かずの踏切」で有名な場所だった。  カンカンカンカンと音が鳴り響いた。  踏切で待っている間、どんよりとした空を見てい . . . 本文を読む

2.雨の恋

2006年05月17日 | 雨の物語
 会社帰り、外に出ると雨が降り出していた。折りたたみの傘を広げようとすると、隣には好きな人が傘を忘れて、駐車場の車を止めている所までどうやっていこうかと、立ち往生していた。  雨の中見る彼女は、更に美しかった。雨の季節に咲く紫色のアジサイの様な感じがした。  私は傘を持っていたので「一緒に入っていかない」と言って、傘をかっこよく広げた。  彼女は、「いいんですか。」と言って私に寄り添って来た。近寄 . . . 本文を読む

1.バス停

2006年05月08日 | 若い恋
 告白していたヨリコに返事をもらう為に町外れにあるバス停を目指していた。ヨリコの家の近所のバス停は、最後のバス停だから乗っていたら分かると言われていた。バス停の椅子に座って待っているからと家の電話で待ち合わせをしていたのだ。  何日の何時に着くバスで必ず行くから待っててと念を押して言っておいた。  乗ること約一時間、随分遠くまで来たような気がする。  ヨリコは、中学の途中で転校して行った。転校する . . . 本文を読む

20.ギャンブラー 4

2006年05月06日 | ギャンブラー
 車の中で、ミドリがどういう生活を送っているのか聞いた。ミドリは大学生で、バイトをしながら通っているという話しだった。  40分くらい話していると、明りがボンヤリついているクラブの前に着いた。このクラブには、友達とよく踊りに来ると言っていた。  俺は車を駐車場らしいジャリ道に止めて、ミドリと店に入る事にした。  だぼっとしたパンツを履いて、バンダナをはめている愛想いい男がドアの前に立っていて、金を . . . 本文を読む

19.ギャンブラー 3

2006年05月02日 | ギャンブラー
 カフェの近くにあるパチンコ屋で、約三万円勝った。  77番台の数字とナンパに成功した女神がついているって事か。  これはミドリとのデート代にしよう。  今日は、何から何までついているようだ。もうそろそろ夜の十時になる。ミドリは仕事が終わったのだろうか。  家に置いてある車を取りに行った。中古で買った古い軽自動車だ。ワイパーが壊れた時に限って雨が降る。  今日は、晴天なのですんなりワイパーが動いて . . . 本文を読む

18.ギャンブラー 2

2006年05月01日 | ギャンブラー
 ノリコは、エリートのヨウジに連れられて、赤いスポーツカーでカフェを出ると、夜景が見えるレストランに来ていた。  ビルの七階にあるそのレストランは、ジャズの生演奏があっていた。店の従業員も鮮麗された人ばかりだった。  私にぴったりの場所。私の様な女が来る所のような気がした。音楽に耳をすましていると、目の前のヨウジが話しかけて来た。  「結構いい店だろ。友達が経営している店なんだ。」  「あら。そう . . . 本文を読む