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世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

4.夏の海

2011年08月19日 | 夏の物語
お盆が終わり、海にクラゲが出る頃、さゆりは彼氏と別れた。
毎年この季節が来ると必ず別れ話が出てくる。
きっと夏の終わりは、恋も終わっていくのだろう。
友達のエリと気晴らしに海にやってきた。
澄んだ空、これでもかと照らす太陽、遠くではヨットが浮かんでいる。
「あんな茶髪の彼氏と別れて正解だよ。」エリが海の中から出てきて、砂浜へと歩いて思い出すように言った。エリの白色のビキニが憎いくらいに似合っている。
「だよね。あんなチャラ男こっちから願い下げだわ。」砂浜にタケシと指でなぞった。
「未練ありありじゃん。」エリがその姿を見て、笑いながら言った。
「違う。今から×って書くところだよ。」
「そうなの。それならいいけどね。」また、エリが海の中へと泳ぎにいく。その後にタケシと書いた文字の上に×と書いた。大きなため息が出た。出会ったのは去年の夏、一年続いたのが奇跡に近いと思う。女たらしで、一緒に歩いているとすぐ女の子に目が行くような男だった。
そんなタケシの姿は、まだかわいい方だった。別れた理由は、彼氏の家に行ったら偶然、サングラスをかけた女にばったりあったのだ。もうその場で、別れてやった。
ボンヤリ海の方を見る。サーフィンをしている男の人が楽しそうにしている。
筋肉モリモリのいい男たちだ。
私も、いい女になってサーファーをゲットだぜと考えを巡らせていると、エリが貝殻を拾ってきた。
「なにそれ。」
「貝殻だよ。さゆりが落ち込んでるから、拾ってきたよ。」
「久しぶりに見た。」
「ねぇ知ってる。ふられた分の貝殻を拾って、海に投げ込むの。そうすれば、また新しい恋にいけちゃうって話し聞いたことがない?」
「そんな話しはじめて聞いたけど。」
「いいから、試しにやってみなって。」エリから貝殻を受け取ると、思いっきり海に投げた。モヤモヤした気持ちがすっとした。
「今、何投げたの?」後ろを振り返ると、さっきまでサーフィンをしている男がそこにいた。筋肉フェチじゃないけど、腹が割れている。

新しい恋は、夏の終わりでもある。

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