無駄記

徒然なるままにモニタに向かひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば死ねばいいのに。

10月分

2018年11月02日 13時59分11秒 | 感想
10月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4473
ナイス数:100

神剣 人斬り彦斎神剣 人斬り彦斎感想
志士という言い方するとカッコイイけど、でも基本はテロリストなんよね。テロルがクーデターとなり革命と名を変えると綺麗事になるように、所詮は「勝てば官軍」という歴史は勝者が紡ぐものというそのまま。ただテロリストであっても個人の思惑や主義主張をどう感じるかってのもそれはそれでまた別の話で、合理を取って変節をした新政府よりも、旧態であっても義を貫いた彦斉に「潔さ」があるのもまた事実。と、まぁこれはこの作品での話だけどw 葉室さんの作品はほとんど読んでないけど、ちょっとこう綺麗に過ぎる感じがするのよね、とは思った。
読了日:10月01日 著者:葉室麟
小籐次青春抄 品川の騒ぎ・野鍛冶 (文春文庫)小籐次青春抄 品川の騒ぎ・野鍛冶 (文春文庫)感想
前に小兵衛の若い時の剣客商売外伝読んだ時も思ったけど、元々の爺侍の主人公の本編年齢から遡行して若い時を描くと、既に出来上がった人格からの逆行した設定作りを外伝エピソードと本編との擦り合わせをしなくちゃで、その時の違和感てのはそれなりにあって、本作でも当然のようにそれじゃ感じられた。特に品川の事件は一応本編でもちょっと触れられてるからソコとの齟齬を来たさないような配慮があるんだけど、野鍛冶の方はこのペースで本編同様の揉め事解決してたら、到底御鑓拝借以前に名前が売れちゃうでしょwという感じだった。
読了日:10月03日 著者:佐伯 泰英
失踪症候群 新装版 (双葉文庫)失踪症候群 新装版 (双葉文庫)感想
んー古い。古いってのもあるんだけど、前に慟哭読んだ時もちょっと思ったけど、何かウソっぽいんだよなぁ。まぁ事件そのものはあてもおかしくない話ではあるけど、ヘンテコバンドにもリアリティないし、動機も陳腐過ぎるし、こんなショボい事件をよく分からない経緯で特別扱いされた秘密捜査班みたいなのがやることかしら?って。チームの一人の家族に焦点当てるのもなんかよく分からん感じ。失踪するのには理由がある、ってのはそりゃそうだろうけど、全体的にはピンボケな感じだったかなぁ。続きは読む方向だけど。
読了日:10月07日 著者:貫井 徳郎
リカバイヤー(奪還者)〈上〉喪失れた女神 (幻狼ファンタジアノベルス)リカバイヤー(奪還者)〈上〉喪失れた女神 (幻狼ファンタジアノベルス)感想
作者の神野さんが同世代で嗜好も似てるのか、思春期前後の読書遍歴的に菊池秀行・夢枕獏が必須だったオタ世代としてニヤリな感じ。初めて読んだのに懐かしくもあるw 物語の設定としては八頭大のトレジャーハンターに近いのかな。あと薄い本ぽい描写はアリなんだけど、もっと針振り切っちゃった方が面白くなったと思うんだよね。懐かしのエロスとバイオレンスのハードアクションロマンて感じでw まぁ出版レーベルの都合やご時勢もあるのかなぁなど大人の事情も鑑みつつ下巻へ。
読了日:10月09日 著者:神野 オキナ
リカバイヤー(奪還者)―喪失れた女神〈下〉 (幻狼ファンタジアノベルス)リカバイヤー(奪還者)―喪失れた女神〈下〉 (幻狼ファンタジアノベルス)感想
んー惜しい、という感じ。やっぱり針は振り切った方がよかったんだろうけど、レーベル・編集・作家色々悩んだ結果この流れであったという大人の事情は想像するしかないワケだけど、でもエロとバイオレンスに塗れたらこの主人公像だとちょっと違うものにもなっちゃうだろうからそう考えると、現状、続きがないことを考えて、勿体無いってのが一番近い感想かなぁ。好きな洋ドラがシーズン持ち越ししないで放送局キャンセルされたってのに近いw
読了日:10月11日 著者:神野 オキナ
切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫)切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫)感想
動機がなぁ。ちょっと杜撰というかリスクの計算出来てないじゃんwて。実はドナーは生きてたけどとかそのくらいのアレさのがらしいとは思った。古手川かなり成長してて、犬養とのコンビいいね!って感じだったけど、舐めたらウソが分かるくらいの特技全然活きてないなら何で設定したの?って。あと、いくら囮捜査が禁止されてるからつったて、実際にやるならGPSとか無線とかレコーダーは本人に(無断でもw)つけるべきだし、スマホ持たせてんならクローン化くらいしとけよ無能デカっちゅう話やんね。班長出せばもっと早く解決してね?とかw
読了日:10月15日 著者:中山 七里
坂本龍馬殺人事件 歴史探偵・月村弘平の事件簿 (実業之日本社文庫)坂本龍馬殺人事件 歴史探偵・月村弘平の事件簿 (実業之日本社文庫)感想
まぁ相変わらずの風野調という感じ。現代の事件と歴史の事件をリンクさせるのは中々アレだけど、珍説にしてはまぁ一理あるくらいの龍馬暗殺の余地って感じで、現代のはやっぱ軽い感じの読み物はパズル感が出ちゃうなぁってのはあるかな。つっても、警察関係者ならともかく、フツーの人間がそんな殺人事件なんて一生にそう何度も巡り合わないし、そんな軽い気持ちではいられないでしょうってリアル考えたら、パズルくらいがちょうどいいってのはあるのかもなぁってw
読了日:10月17日 著者:風野 真知雄
日雇い浪人生活録(五) 金の邀撃 (時代小説文庫)日雇い浪人生活録(五) 金の邀撃 (時代小説文庫)感想
やっぱアレよね。一言語ると、今このシーンに関係ないよね?って薀蓄が1ページくらい付いてきて、そのこと自体は時代小説に馴染みのない人上田作品を読み込んでないひとにはサービスであって、多分売りになってる部分ではあるんだけど、馴染みの読者には不要なのかなぁってのはあるのかな。今後の上田作品との付き合い方で重要な案件かも。後半主人公動かずの状況語りで小物役人のせせこましい暗躍って感じだけど、一応緩めにピンチになってるのか。身分としては女中さんとってのが相応だけど、話的にはくの一の婿のが面白いかw
読了日:10月20日 著者:上田秀人
泣き虫弱虫諸葛孔明〈第3部〉泣き虫弱虫諸葛孔明〈第3部〉感想
途中まで読んでしばらく放置してたのは酒見節に胸焼けした所為かなwなんて。ここまで読んでるサンゴクシシャンwはもうアレなんだろうけど、第一部で激怒して投げたひとともいるかのなぁwなんて思わずにはいられない劉備軍&孔明のヒドさw この巻は三国志の一大イベント赤壁を中心に呉軍と蜀との関わりが語られる感じ。個人的には孔明含めて胡散臭い蜀軍よりも、分かり易い魏曹が好きなんでだけど、やっぱりロクデナシ軍団に関わった故に?悲壮感溢れる最期になった周瑜が残念でならない感じかな。
読了日:10月24日 著者:酒見 賢一
極道大名2 窮虎、将軍を嚙む (幻冬舎時代小説文庫)極道大名2 窮虎、将軍を嚙む (幻冬舎時代小説文庫)感想
前回のヤクザサイドと大名サイドがそれぞれ別かと思ってたら今回は、ヤクザも実は・・・という感じになってきたのかな。反撃の狼煙は上がってグイグイ迫ってはいるけど、敵wは時の絶対的権力者・将軍なんでさてどうなるかっていうのはあるのかな。つか、それにしても、吉宗像も大岡像もヒドイなw かつてのマツケンや加藤剛の面影はなく、権力者としてというよりも陰謀大好き小悪党への矮小化は、主人公のヤクザ像を世間のカスと言わせつつもかっこよく見せる演出にしてはズルイかなぁと思っちゃうねw
読了日:10月24日 著者:風野 真知雄
幸せスイッチ (光文社文庫)幸せスイッチ (光文社文庫)感想
巻頭の超限探偵Σ以外は、キチガイとバカがピントのズレた会話をしてる内に救い様のないオチにって感じ。常人ならそういう思考展開しない方向にバカは向かうし、キチガイはハナからまともな進行なんぞしないから、余計にキチガイに引っ張られて泥沼に。キチガイに付き合って正常な判断力を失うってのは現実にママあることなので、その辺はリアルっちゃリアルだけど、基本小林文脈に添っての上なんでモヤモヤとかイライラはあって、ソコを笑える位のブラックさを飲み込めないと気持ち悪いまま終わっちゃうね。一応ラストに世界観は収斂されるのかw
読了日:10月26日 著者:小林 泰三
墨龍賦(ぼくりゅうふ)墨龍賦(ぼくりゅうふ)感想
多分コレは好みの問題なんだろうなという現時点での結論として、やっぱ葉室さんの主人公はキレイ過ぎる感じ。清廉てのとはまた違ったヨゴレのなさで、良い言い方すると理想だけど、正直リアルな人間味をあまり感じさせないというか。話は海北友松という「絵師」の話ではなかった。以前読んだ同時代の狩野永徳や長谷川等伯のような絵師の話でなく、彼の目から見た、彼の関わることの大きかった本能寺の変をクライマックスに同時代人を描いたというか。絵師成分少なめで(資料がない部分をフィクションで補正してたのだけど)、期待とちょっと違ったw
読了日:10月28日 著者:葉室 麟
血とバラ 懐しの名画ミステリー―赤川次郎ベストセレクション〈10〉 (角川文庫)血とバラ 懐しの名画ミステリー―赤川次郎ベストセレクション〈10〉 (角川文庫)感想
多分赤川次郎読むなんて中学生以来。図書館のリサイクル文庫のところにあったから何となく手に取ったんだけど、まぁ昔だなぁとw 本が出たのも昭和だし、元ネタ?になってる映画も当然その当時でも古かったらしいんで、さすがに何もわかりませんて感じ。内容も新本格や海外小説のケレンや緻密なパスルに比べるとあっさり風。当時はそこが評価されて爆発的な人気だったんだろうなーとか、ジュブナイルではないんだけど、こう(昭和の)中学読書入門書って雰囲気あるのかなぁ。
読了日:10月29日 著者:赤川 次郎
転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿感想
ミステリとして読むと一人称である主人公のミスリードや情報の提示がない感じもあったりでそこはどっちかゆーたら、謎解きではなく主人公の語りを聞くという点でハードボイルドなのかなぁとか。まぁ正直革命がどうのとかそーゆーのの語りはあんまし要らないんだとは思う。そこなくても、密室ミステリとか老人の郷愁みたいなので話にはなるから。ただ、解説のひとが笠井史観て面白いこと言ってたけど、そういうメガネの着用ってのは、「笠井作品」には必要で、ソレを着用することこそが笠井作品を読む意味であり、楽しみでなんだとは思う。
読了日:10月31日 著者:笠井 潔

読書メーター

11月1日(木)のつぶやき

2018年11月02日 05時08分04秒 | 感想