無駄記

徒然なるままにモニタに向かひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば死ねばいいのに。

8月分

2020年09月05日 21時54分29秒 | 感想
8月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:5002
ナイス数:91

幻色江戸ごよみ (新潮文庫)幻色江戸ごよみ (新潮文庫)感想
解説絶賛してたけど、神無月のあーゆーラストを読者に投げる体なのは、巧さで言ったらちょっとテクニックが鼻につく計算も見えてあんまし好きじゃなかった。海外ミステリの巧い作品と言われる系の習作とも取れる感じ。個人的には、作品の出来の一つ一つは多分珠玉なんだと思うんだけど、この道の先にある三島屋百物語から遡行して読んでるんで、すべてがそこに行きつくまでの試行錯誤や宮部さんに脂が乗って世界に染み渡る過程って見方をしちゃうんで、色々やってるなぁと思った。昔話に行く着く前の小説。
読了日:08月01日 著者:宮部 みゆき
天地の螢 日暮し同心始末帖4 (祥伝社文庫)天地の螢 日暮し同心始末帖4 (祥伝社文庫)感想
6月あたりに読んだらしいんだけど、登録忘れてたらしいw
読了日:08月01日 著者:辻堂 魁
日暮し同心始末帖 逃れ道 (祥伝社文庫)日暮し同心始末帖 逃れ道 (祥伝社文庫)感想
割とフツーの辻堂作品の王道って感じ。過去を隠した女の一時の幸福を奪う、過去から来たクソヤロウ共。女に協力する主人公と、捨てた過去を使って、奪われた今のため復讐者と化す女。安定の読み味。個人的にはこのシリーズに限らず、割と辻堂さんのは家族との繋がりがクローズアップされることはあって、その中でも父と子ってのが割とメインになってるんだけど、最初の方でちょっとあったワイフとの絡みみたいのももう少し見たかったかなw
読了日:08月03日 著者:辻堂 魁
縁切り坂 日暮し同心始末帖 (祥伝社文庫)縁切り坂 日暮し同心始末帖 (祥伝社文庫)感想
まぁいつも通りのクソヤロウなんだけど、クソヤロウになるに至った同情しうるに足る何かはあったんだけど・・・って感じでは一応あったか。まぁそれはともかく、この奉行所同心共のヘタレっぷりはどうだw こんだけ醜態晒して逃げ傷は切腹くらいの侍道あってもいいんじゃね?とまでは言わないけど、おまえら普段コケにしてたその日暮らしに恥ずかしくないの?ってゆーか。厚顔無恥でもねぇと町方同心なんかやってられねぇってかw つか、もう夜叉萬カメオでもいなくなっちゃったの?などメインと関係ない部分で思ったw
読了日:08月04日 著者:辻堂魁
父子の峠 日暮し同心始末帖 (祥伝社文庫)父子の峠 日暮し同心始末帖 (祥伝社文庫)感想
一応は「その日暮らし」ではなくなったてことでシリーズ完てことなのかしら。最初はいつも通りのVSクソヤロウかと思ったら、まぁこう犯罪者であっても親子や夫婦の情はあって遣る瀬無い切羽詰まって行き場のなくなった感情の発露みたいなのもあって、ややスッキリ感は低かった。主人公父子と敵役の父子との対比ではあって、ラストに主人公父子の爽やかさで一抹の爽やかさがあったということなのか。敵役の死んでしまった父と子の血が、お楽に新たに生まれる子への明るい未来も感じさえるというのもあったのかな。
読了日:08月06日 著者:辻堂魁
桜ほうさら桜ほうさら感想
あースッキリしねぇw 落ち着くところに落ち着いて大団円とは言えないまでも、そんな悪くはないEDではあるんだけど、どうにも主人公のへなちょこさっぷりがねw へなちん野郎の中折ちんこでもやってやれないことはないけど、イッてないよね?というか。薄い本かよw 太陽の牙頑張ったけど結局事態はダグラムと離れたところで、連邦政府とデロイアの政治家の間で話がつきましたってのが、もうなんか。親父の死がどうにも報われてない感あるし、くそ兄貴とクソ母も放置プレイだし、クソ代書屋の闇に葬られ手打ち感も、なんだかなぁなんだよなぁw
読了日:08月09日 著者:宮部 みゆき
堪忍箱 (新潮文庫)堪忍箱 (新潮文庫)感想
落語というか、人情ものの語りという印象。昔話ではないね。その源流は感じられたけど、オチではなくヒネリがある感じ。スーパーナチュラル系のタイトルの「堪忍箱」と「十六夜髑髏」はなんか据わりが悪いかなぁ。オチがスッキリしないとかそういうんじゃなくて、投げっぱなし感がアカンのかなぁ。他のは割と藤沢作品から、女性作家の系譜に連なるようなスタイルの市井ものなのかな。ちょっとヒネリの方向が宮部さんらしいとは思う。
読了日:08月10日 著者:宮部 みゆき
わるじい慈剣帖(1)-いまいくぞ (双葉文庫)わるじい慈剣帖(1)-いまいくぞ (双葉文庫)感想
シーズン2w 味見方の方もそうだけどシーズン2とかのが数字と風野さんの書き心地とかいいのかしら。まーでも極道大名はアレだったんで、風野節そのものよりもシーズン全体の流れとかキャラなのかなぁ。ドラマ化してもこっちのが今の時代は動かしやすそうとかw 特に何ということもなくシーズン1と変わらず、火事で焼け出されて珠子桃子親子が引っ越ししたくらい。秘剣の方はそのままだったけど、今回は事件と慈しみの剣というのがシャレになってるのねw 安定。 
読了日:08月15日 著者:風野 真知雄
わるじい慈剣帖(二)-これなあに (双葉文庫)わるじい慈剣帖(二)-これなあに (双葉文庫)感想
シェアワールドは明言されてないけど、壮年時の桃太郎と根岸肥前の奉行時がちょっと被ってるらしいので、そこから類するするとこのイケ好かない感じのクソ与力はそのまま鳥居の腹心とになる流れ?とか思ったけど、この時点での奉行の筒井和泉守の就任期が実に20年以上にもなるらしいので、そう考えると桃太郎は水野の天保の改革期のアレな世の中は見ないで済んだ可能性は高いよなぁ、なんてw この与力がシーズンのラスボスじゃなくて、サクッとやられちゃう中ボスってことも風野作品なら全然あるよねw
読了日:08月16日 著者:風野 真知雄
夜叉萬同心 もどり途 (光文社時代小説文庫)夜叉萬同心 もどり途 (光文社時代小説文庫)感想
日暮同心の方で夜叉萬カメオしてんじゃんと思って続きどうだったかなーと検索したら他社から続きが出てたようで。前に読んだのほぼほぼ忘れてたんだけど、内容的にはあーまー辻堂作品よねって感じではあったんだけど、もうちょっと夜叉萬が主人公らしくガツガツ行くのかと思ったら、割と地味に調べてるうちに状況が煮詰まってって感じなのがちょっと意外だったw 事件は2つあって、どっちか言うたらフツーの事件の方はどってことなくフツーに解決なのがいいけど、メインの殺し屋家業の方が、
読了日:08月17日 著者:辻堂 魁
新装版 暁のひかり (文春文庫)新装版 暁のひかり (文春文庫)感想
こう言っちゃなんだけど藤沢さんの作品は割と暗い。どっかの解説で誰かが言ってたような気がするけど、出身地とか私生活のあれやこれやがあるんじゃないかとか分からなくもないとは思ったけど、初期のは暗めよね。平四郎とか立花登とかの明るみがない。海坂藩ものの一抹の爽やかさと明るさみたいのが、多分一作だけ傾向の違う「しぶとい連中」にはコメディ的に表れてるのかな。ただ、暗めつってもあっちゃー↓なのは全6編の内3編で、表題作と「馬五郎焼身」なんかは暗いけども、救いがないワケではないので、1冊丸々どんよりではないw
読了日:08月18日 著者:藤沢 周平
夜叉萬同心 本所の女 (光文社時代小説文庫)夜叉萬同心 本所の女 (光文社時代小説文庫)感想
主人公が追う事件は今巻も二つ。夜鷹殺しと手代殺しはまぁゲス野郎ではあるので、事件の詳細が分かるとゲス野郎ににはゲス野郎なりの理由はあって、それには首尾一貫してるけど、その理屈はやっぱり自己本位であるという犯罪のよくある動機でしかないってのは普通の捕り物。なんだけど、ソコよりも、実はお甲のちょっと関わった茶屋の元武家の子女仇討ちの凄まじさ潔さの方が花があったよねw お甲の来し方にも行く末にも、幸せになって欲しいよなぁなどと、そういや萬の旦那も独り身だろうwなんて思ってみたりなwww
読了日:08月21日 著者:辻堂 魁
あかんべえあかんべえ感想
何だろ、山本一力的な店屋の繁盛記みたいなのを少女視点でやりつつ、それに店舗にまつわるスーパーナチュラルを解決していくってのハイブリッドなのかな。まぁ商売の方は子供は関わらないので、そういう店の内部事情ってってことなんだけど、女性作家らしい雇主と使用人の人間関係なんかがメインか。それにスーパーナチュラルとの関係も絡む。一応大団円で終わるので後味はいいんだけど、ちょっと前半のモタつきがあったかな。おりんが年の割にトロいって感じしたんは、頭の回転は悪くはないけどやっぱり糖衣環境にあったのかもなぁなんて、
読了日:08月24日 著者:宮部 みゆき
禁裏付雅帳十 決別 (徳間文庫)禁裏付雅帳十 決別 (徳間文庫)感想
前巻の流れからそのまま松平定信と切れるのが決定→完全に敵対するのと、上田さんの大好きな小物の闇支配成り上がり系wの流れ。どっちもそれなりに絡みつつ、史実で家斉に定信が切られるよりは時期が早いので、ソコまで行かず、紫衣⇔大御所トレードも失敗は動かさないので、主人公がどのあたりに落ち着くかってのをオチに据える、一応はシリーズのクライマックスではあるのかなぁって感じ。一応闇支配銭ゲバ商人のチンピラ珍団は手勢も増えた自家兵で殲滅成功。定信からの刺客とさらなるチンピラ珍団とのVSがどう転ぶかが以下続巻か。
読了日:08月26日 著者:上田秀人
夜叉萬同心 風雪挽歌 (光文社時代小説文庫)夜叉萬同心 風雪挽歌 (光文社時代小説文庫)感想
事件は今巻も一応は二つ。ふたつとも実は同じ捕物で、ただ時間だけが違う。まだ若き主人公が定回りに抜擢されたばかりの頃に紙一重で犯人に逃げられ未解決だった事件と、腕利きの臨時回りになってから上州でかつての苦い思い出と共に追捕する事件。事件の犯人は武家社会の薄暗がりにある因習で性根が歪んでしまったという悲しさはあるものの、やはり罪人の科は許されるものでなく。ただ今巻も、一番のクソヤロウ共は過去のも現時のも犯人がブッコロしてんので、主人公には遣る瀬無い思いがつき纏ったまま決着を見るというのは変わらずなのよね。
読了日:08月30日 著者:辻堂 魁

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