無駄記

徒然なるままにモニタに向かひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば死ねばいいのに。

9月分

2014年10月03日 15時18分11秒 | 感想
2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:7685ページ
ナイス数:43ナイス

遺痕―徒目付久岡勘兵衛 (ハルキ文庫 時代小説文庫)遺痕―徒目付久岡勘兵衛 (ハルキ文庫 時代小説文庫)感想
事件の方はほぼ七十郎のみという感じで、日常描写のが多かったような。事件そのものの顛末もそうなんだけど、難事件の主犯を簡単に凄腕の殺し屋に投げちゃうのはどうだろう。とはいえ、早々職業的殺人者でもないのが堪兵衛の周囲にしょっちゅう出没する方がおかしいと言えばそうなんだけどw 本来そこそこ込み入った事情であっても、そこらを聞いて回るとスジが解れるってのはリアルなんだか適当なんだか。先に「相討ち」を読んじゃってたんで修馬と夕希の事を知っちゃってたのが残念。それにしても、早苗の好感度みるみる下がったわw ナイわー。
読了日:9月1日 著者:鈴木英治
妾屋昼兵衛女帳面 六 遊郭狂奔 (幻冬舎時代小説文庫)妾屋昼兵衛女帳面 六 遊郭狂奔 (幻冬舎時代小説文庫)感想
今巻はまた別のエピソードでVS吉原戦。きっかけは商家のボンクラ若旦那のゴリ押しだったんだけど、身の程を弁えない欲深なのが数人絡んで遊女屋VS妾屋という体になったものの、昼兵衛の立ち回りと、もはやバックに出羽守(&上様)がいる状態なので、浅薄な企みはガンガン潰されてくと。とはいえ、オチは次巻にヒキ。思い切りの悪い新兵衛もそろそろ八重との関係に決着付ける気にはなったのかな。まだ武家とはどうのとかグダグダ言ってるけどw 次巻で吉原編が終わったら、最後はまた幕府の政策絡みで伊達藩とも決着なのかしら。
読了日:9月2日 著者:上田秀人
天狗面―徒目付久岡勘兵衛 (ハルキ文庫 時代小説文庫)天狗面―徒目付久岡勘兵衛 (ハルキ文庫 時代小説文庫)感想
天狗面事件と道場の試合の話が絡み合って、堪兵衛と七十郎の探索が時に交錯しつつもって感じだけど、天狗面事件は七十郎サイドの事件なんで道場の試合絡みの事件はミスリード的なサブ事件て感じなのかな。さすがにココまで読むと作者のクセもそれなりに掴んでるんで、味として楽しめるようになってきてるw 事件の前フリで犯人丸分かりなのは、ミステリもののシリーズで有名俳優がクレジットされてるとすぐわかる的なのか。ところで読んでてずっとこう、テングメンてヴィランが連続殺人をしてるって感じが抜けなかった。アメコミの見過ぎだw 
読了日:9月3日 著者:鈴木英治
女剣士―徒目付久岡勘兵衛 (時代小説文庫)女剣士―徒目付久岡勘兵衛 (時代小説文庫)感想
事件(話)そのものはいーんだけど、若干構成に難アリという気もしなくもなく。まー散々フラレっ放しの主馬にこのフラグが生きるのならそれはソレでありなのかなw 鈴木作品は、シナリオや着想がよくても、構成でアレ?って思うことがソコソコある気がして、探索の末に犯人が見つかるのも平坦過ぎたり、急に時代劇作法的な予定調和に結んだりとか、面白いのに引っ掛かりを感じるコトもママあるんだよね。テレビ的にはアリなのかもなーと思わなくもない、結びが全部地の文での叙述とかも、ナレーションの説明と捉えればすごくTV的だしね。
読了日:9月4日 著者:鈴木英治
騒擾の発: お髷番承り候 八 (徳間文庫)騒擾の発: お髷番承り候 八 (徳間文庫)感想
上田作品のアレな部分として、状況語りが先に立っちゃってキャラが置いてけぼりくらっちゃうってのがママあって、しかもそれが主人公の場合が多々あるってのがやっぱ問題だと思うんだよね。シリーズが進行してくとそれがより顕著になったりもして、プラスでこの作品の主人公はさらにあんまし成長しないんだよね。くらった説教が身になってないw まー説教する側も全部言わないでしばらく放置するから余計に始末が悪いというか。脇にいるのがバカと小物とボンクラばっかとはいえ、しっかりしろ賢治郎w 取り敢えず綱重サイドは負けムード。
読了日:9月5日 著者:上田秀人
新兵衛捕物御用 夕霧の剣 (徳間文庫)新兵衛捕物御用 夕霧の剣 (徳間文庫)感想
沼里の藩主どうにかされすぎだろw 暗殺されるわ拉致られるわ、改易にならなのが不思議だっつの。前巻と大体同じ構成で、ちょっとした町内の殺人事件を辿っていくと、過去の類似事件から藩を揺るがす大事件に繋がっていくという感じなんだけど、今巻はちょっと印象が和らいだかな。中間の源治やお松との会話なんかのキャラ描写がこなれてきたってのと、あとやっぱ新兵衛のラブ話が出てきたのが大きいか。結構ハードな印象だったんだけど、このまま他のシリーズなんかと印象は重なるのかしら。つか口入れ屋用心棒シリーズとの重なりのが気になるなw
読了日:9月7日 著者:鈴木英治
からくり五千両―徒目付久岡勘兵衛 (時代小説文庫)からくり五千両―徒目付久岡勘兵衛 (時代小説文庫)感想
物語冒頭で事件の核心はもう触れられてるのはいつも通り、その後七十郎サイドと別件からスタートした堪兵衛サイドが交錯し、事件の謎が解れ二つの事件が其々、あるいは収斂して解決と。合間のキャラの日常描写が増えていってるのはシリーズものならではなのか、あるいはミステリとしての事件性の弱さをソッチで補ってるのかw 堪兵衛の暗殺とかもうパターン通り越してギャグにもなってる感もあるから、作者の予定調和の世界観になっちゃってるのかしら。シリーズも残り2冊と考えると、マンネリズムが失速させたと見るよりはやっぱり残念に思うw
読了日:9月8日 著者:鈴木英治
待伏せの渓―口入屋用心棒 (双葉文庫)待伏せの渓―口入屋用心棒 (双葉文庫)感想
豚侍・豚ノ介w こういう軽みがこのシリーズの魅力のひとつなのは確かで、長く続いてるが故サブキャラも味があってよくなってきてるのはあるんだけど、それでもやっぱり、舞台が別の場所で事件も別で、おまけに視点もまた変わったりすると、かなり散漫な印象にならざるを得ないような気がした。江戸で富士太郎サイドでのキャラ整理に関する事件がひとつ、直之進が舞台を移しての第三部は沼里編かと思ってたら意外に早く決着が。この巻は主人公活躍せず、作者の佐之助盛りもいよいよって感じw しかし鈴木作品は刀での受けがすごく多いよな。
読了日:9月9日 著者:鈴木英治
荒南風の海―口入屋用心棒 (双葉文庫)荒南風の海―口入屋用心棒 (双葉文庫)感想
あー沼里編は独立でなく、あくまで腐米事件の第二部の話の範疇だったのねって一応の第二部完。当面佐之助を殺さない方向でキャラ立てして(最終的には直之進かばって死んだり的なフラグはアリか?w)、事件の発端とも言える中西道場関係者はキレーに整理されて、おきくとのラブ方向での伏線張って、事件も解決と。それにしても、時の老中首座をサクッとぶった斬るとかムチャするわw テッキリその編は史実なのかと思ってたけど、ソコも含めて完全にフィクションだったのね。モデルは幕末の佐倉藩主で老中の堀田正睦なのかしら。そして第三部へ。
読了日:9月12日 著者:鈴木英治
罪人の刃―徒目付 久岡勘兵衛 (時代小説文庫)罪人の刃―徒目付 久岡勘兵衛 (時代小説文庫)感想
序盤の七十郎がハメられて身動きが取れなくなるあたりはよかったんだよね。こう焦燥感とかじれったさ(時代劇的予定調和というか現代でも日本のドラマは無実の人は動かないという定形があるけど良くも悪くも他人任せなのはスッキリしないなw)もあったんだけど、後半に畳み掛けるようにというか、広げた風呂敷を巧く畳み込めてないような感じもあったと思う。あれだけの罠張ってたのに詰めが甘過ぎるというか、バカなの?って。つか、主馬はフツーに切腹だろうにw 徒目付なのに、自分が病気しちゃうと麟蔵ですら馴れ合うのか!とかどうなのw
読了日:9月15日 著者:鈴木英治
徒目付失踪―徒目付久岡勘兵衛 (時代小説文庫)徒目付失踪―徒目付久岡勘兵衛 (時代小説文庫)感想
アレだ。やっぱ敵が詰めが甘いんだよね。遣い手という実績や調査結果があっても所詮福助野郎ってナメられてるんじゃないかって思う。ソコが日本の悪しきドラマ的予定調和って側面なんじゃないかなーとか。黒幕はともかく手下の殺し屋が情け容赦ない奴、他シリーズの殺し屋とかだったら家族から仲間から全殺しなんじゃね?とか。まー要人物はあっちの方でも殺されてないから、そーゆー部分は突っ込まないお約束なのかw ま、そーゆーヌルさも含めて面白いシリーズでした。つか、伏線回収しきれてないんだよな。哀れNTR修馬よw
読了日:9月17日 著者:鈴木英治
新兵衛捕物御用 白閃の剣 (徳間文庫)新兵衛捕物御用 白閃の剣 (徳間文庫)感想
沼里藩主狙われ過ぎw 主人公の新兵衛も大概アレだけど、藩主も大変だなw 新兵衛活躍させるために毎回(最初は死んだしw)偉い目にあってるなー。でも、前巻あたりで新兵衛のラブ話にもポイントが置かれ始めてるんで、ハードさはあんましなくなったかな。毎回ダイハード新兵衛ではあるんだけど、TVドラマ的な予定調和になった感があってドキドキはしなくなったんだよね。それはそれで時代劇的様式美として受け取れるとしても、その分毎回悪運強くとかでなく、切り抜け方をもう少し工夫して欲しい気はする。
読了日:9月18日 著者:鈴木英治
乳呑児の瞳―口入屋用心棒 (双葉文庫)乳呑児の瞳―口入屋用心棒 (双葉文庫)感想
第三部開始というか、ちょっとインタールード的な?前巻のラストにやや強引なヒキが入ってたその事件を追うのが主筋で、直之進サイドからと口入れ屋連続勾引し事件として富士太郎サイドからそれぞれそれ事件解明に迫りつつ、直之進の隠し子騒動とか、富士太郎へのニューBLキャラの乱入など。このシリーズはもう肩の凝らないお気楽時代劇ドラマって感じ。20年くらい前なら高橋英樹、里見浩太朗主演とかでやってそうw 樺太郎、豚ノ介とかの会話もいい。あと鈴木作品は焼き魚定食食いたくなる。白飯が喉にグッて詰まる感じでがっつきたいw 
読了日:9月18日 著者:鈴木英治
新兵衛捕物御用 暁の剣 (徳間文庫)新兵衛捕物御用 暁の剣 (徳間文庫)感想
今巻は事件が小ぶり。今までは沼里藩主に絡むあれやこれやだったけど、今巻は町の同心が扱う普通の殺人事件。とはいえ、全くの他人でなく、主人公の知人の失踪からスタートするんで、緊迫感はあるはずなんだけど、てめぇの女との関係が巧く行ってない所為か、気もそぞろな感じが無きにしも非ずw 最終的には事件も解決、同時に面倒臭くなりそうな人間関係もCO出来て、更にはようやく正式な婚約関係になれて大団円てはなってるけど、本人のダイハードっぷりはともかく、ストーリー進行上でのキャラ整理が杜撰な気はするかなw
読了日:9月19日 著者:鈴木英治
腕試しの辻 口入り屋用心棒(15) 双葉文庫腕試しの辻 口入り屋用心棒(15) 双葉文庫感想
前巻同様第三部開始って感じはあんまりしない。ワイフから現在の情人探し頼まれて引き受けるとか人がいいというよりも、もはや魯鈍と言っても差し支えない気がする直之進w まぁ佐之助を活かしたいてのは分かるけど、このワイフの設定やっぱ完全にしくってると思うんだよね。まぁ、今巻でソコにはスパッとけじめは付けたんだけど、つーか今まで何故離縁状書かなかったんだろうかw キャラ全体が煮え切らないとか、悪役なのに詰めが甘いとか、ストーリー進行のさせ方にキャラを遠慮させてるから、モタついてる感じがしちゃうのかな。
読了日:9月20日 著者:鈴木英治
裏鬼門の変ー口入屋用心棒(16) (双葉文庫)裏鬼門の変ー口入屋用心棒(16) (双葉文庫)感想
初あとがき。シリーズの最終巻とかでなく途中でってのは珍しい。そこで今巻はいつもと違ったヒキをしますよとあったので、今巻ラストがクリフハンガーなのも納得。富士太郎と直之進両サイドからそれぞれ事件に迫るも、主犯や事件解決は次巻に持ち越しと。左之助はもうピッコロさんとかベジータみたいな感じだw そして奴までもが豚ノ介というw こないだ老中首座ぶっ殺したクセに、幕府の要人を殺す訳にはいかないって言ってるコトがおかしいぞ直之進。無防備でノコノコ敵の仕掛けた罠に入ってくとか、やっぱりちょっと足りないのかもしれないw
読了日:9月21日 著者:鈴木英治
新装 餓狼伝〈the Bound Volume 1〉 (FUTABA・NOVELS)新装 餓狼伝〈the Bound Volume 1〉 (FUTABA・NOVELS)感想
餓狼伝Ⅰが出た当時読んで、その頃読んでた魔獣狩りやキマイラなんかと若干方向性が違って、当時好きだった伝奇の要素がなかったんで、この続きはシリーズが終わってから読もうと思って、もうなんか来年で30年だっつーのにまだ終わってないんだというw 厚くなってまとまってたんで(シリーズ完結はもうどうでもいいからw)読んでみた。あの当時の熱量が、陰陽師で枯れた味わいすら出てる今の夢枕獏にあるのか!?という問いかけはともかく、あの当時のこれは面白かったのだな、という感慨と共に続きが読みたくなった。
読了日:9月25日 著者:夢枕獏
新装 餓狼伝〈the Bound Volume 2〉 (FUTABA・NOVELS)新装 餓狼伝〈the Bound Volume 2〉 (FUTABA・NOVELS)感想
あと二巻で終わる終わるサギとかw まーまだ面白いと思う。20年以上も前の作品だから、総合格闘技というジャンル確立以前と考えるとやっぱり凄い。そういう潮流はあたにせよ、そのジャンルを(実際のものとは違うけど)作品として成立させてるのってかなり面白いと思うし。ただ、こういう合本になっちゃうと、同じ描写のコピペなんじゃね?的部分はやっぱり煩わしく感じちゃう。それがあってこその、獏イズムなんだとは分かってはいてもw
読了日:9月26日 著者:夢枕獏
陰陽師 蒼猴ノ巻陰陽師 蒼猴ノ巻感想
安定の酔っ払い二人組の妖し見聞録w 博雅の「ゆけぬ」は初めてじゃあるまいかw いつもは一緒にイってるのにな!(BL的意味でなくw)ただ、一篇ごとのページ数が少ない。そーゆー部分に作品の良くも悪くものマンネリズムも合わせて、枯れた味わいが出て来てるのも含めて、作者の年齢を感じざるを得ない気がする。他作品でも特に思うのは、かつてあったごりごりとした灼けつくようなパワーや勢いを感じなくなってる。陰陽師は多分それでもいいシリーズなんだけど、それが作家としての変化ではあっても、やっぱり少々寂しくも思う。
読了日:9月29日 著者:夢枕獏
闇の目 下っ引夏兵衛 (講談社文庫)闇の目 下っ引夏兵衛 (講談社文庫)感想
サブタイトルに下っ引きってあるけど、まだ下っ引きにはなってないようなw 堪兵衛シリーズも徒目付になるまで間があったしな。過程も含めてのことなんだろうけど、シリーズものにするのが(契約上)最初から決まってたのか、伏線は張ってあっても今巻で回収する必要がなかったという所為もあってか、捕物についても人間関係にしても決着がつかないままで、全体に散漫な印象がある。主人公が剣術遣いじゃなくて、柔を使っての殺陣になるってのが、今後面白くなるのかしら。
読了日:9月30日 著者:鈴木英治

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