無駄記

徒然なるままにモニタに向かひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば死ねばいいのに。

11月分

2015年12月02日 15時42分44秒 | 感想
2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2626ページ
ナイス数:22ナイス

よろづ情ノ字 薬種控 (光文社時代小説文庫)よろづ情ノ字 薬種控 (光文社時代小説文庫)感想
んー面白かった。随分昔にこの作家の作品読んだ時、何だかやけに「無頼気取ってる」のがちょっと鼻についた感じだったんだけど、あれから随分経って作家の変化なのかこちらの変化なのか、そーゆー部分がスッと力が抜けて、アウトローでございという力みがなく真っ当な人間でない連中の「面白み」が飄逸な軽やかさとなってる気がした。話のスジやオチもよくエログッズなんかの薀蓄も面白かったけど、まぁエロかったり情が濃い描写の巧さはあるとは思うけど、提灯記事っぽい解説はアレだけど、やっぱりエロスであってエロじゃないんだよね。続巻乞う。
読了日:11月1日 著者:花村萬月
花鳥の夢 (文春文庫)花鳥の夢 (文春文庫)感想
現代的価値観の中での小説って感じだったのかしら。まー学校の歴史で習った程度しか知らないんだけどw あれだよ、一番病w 間違いなく天才であっても同時代の同じ天才には嫉妬するというね。安倍龍太郎の等伯は読んでないから彼のキャラクター性が水木先生っぽいワケではないんだろうし、実際この作品でもそうではなかったけど、永徳ってのは天才の類型として、手塚先生型なのかなーとかちょっと思ったw 基本的には山本作品の職人シリーズは職人という体だけど、芸術家描写なので、職種が違ってもやってることは大体一緒なのよね。
読了日:11月6日 著者:山本兼一
密約 百万石の留守居役(五) (講談社文庫)密約 百万石の留守居役(五) (講談社文庫)感想
前半はちょっと主人公らしかったな。ボンクラ共に拉致られた現場でのハッタリはいい感じだった。後はもうなんかいつもの上田作品の「お使い主人公」で要領を得ない「はぁ」とかいう生返事してお遣いと説教という方向に行っちゃうのかなぁってw 堀田備中の4年天下の到来的なwところでどうやって加賀藩が幕府の魔の手から生き残れるかっつー部分を、この主人公は大して何も出来ないよね?感がさらに高まる。最初がよかっただけに、シリーズタイトルの正式任命後がちょっとなぁ。シェアしてないにしても、奥医師の方と被り過ぎてるってのもあるか。
読了日:11月11日 著者:上田秀人
猫鳴小路のおそろし屋 (2) 酒呑童子の盃 (角川文庫)猫鳴小路のおそろし屋 (2) 酒呑童子の盃 (角川文庫)感想
前巻の続きだけど、今巻は現代のおそろし屋は登場せず、女主人の謎をちょっと匂わすだけで、骨董にまつわる意外な曰くを風野流歴史解釈で語るオムニバス。しかし、あれだね、忠臣蔵好きだねw 忠臣蔵と鳥居はよく出てくるわー。
読了日:11月15日 著者:風野真知雄
等伯 上 (文春文庫)等伯 上 (文春文庫)感想
山本版永徳と色んな意味で対極なのかなぁ。あっちはアーティスト永徳だったけど、こっちは人間・等伯って感じだったかな。押しに弱い癖して変なところで逆ギレして悶着抱え込む性格はむしろボンクラと言ってもいいようなw 明らかにキャラクターメイキング時にボーナスポイントの振り分けを絵に乗っけ過ぎたかっつー。あとあれね、当たり前だけど絵以外の資料が極端に少ない中で人物としての肉付けしてるから、あっちとは性格もそうだし、特にこの作品では重要な宗教とワイフの話が全く別物。そこが描写されてるが故の人間・等伯なんだと思う。
読了日:11月25日 著者:安部龍太郎
等伯 下 (文春文庫)等伯 下 (文春文庫)感想
思った以上に永徳クソヤロウw 不思議なのは等伯も永徳も別々の作家が全く別のアプローチしてるのに、人物造詣の色合いは似た方向になってるってこと。一次資料の渉猟なんてしてないから分からないけど、彼らの人となりがそんなに残ってるとは思えないんだけど、作品その他の文献からキャラが透けて見えるってことなのかしらね。この時期の絵師ってのはパトロンありきが前提だけど、そうした権力との迎合阿り反骨添い遂げ方とかも面白かった。でも、沢庵和尚とかの文献から人物像みたいなのは分かってたのね。愚直なまでに絵描きとかって。
読了日:11月27日 著者:安部龍太郎
損料屋喜八郎始末控え (文春文庫)損料屋喜八郎始末控え (文春文庫)感想
んー今イチすっきり感に欠ける気がしたのは、最初敵だという方向で始めた「悪徳札差」ってのが、実はそうじゃなくて棄捐令とか武士階級とかそういう社会全体の歪みがどうのってになったのはいいんだけど、そのどれにもうまくピントが合わなくなっちゃったコトなんじゃないのかな。初期作品てコトなんで、まだ山本作品としてのコナレがない故か。説明不足とか文書の硬さなんかもあったのかな。あと役回りの所為もあって、主人公が後ろに引き過ぎてる気がした。キャラの立ちはいいのが、この後の作品なんかにガンガン活きて来るんだろうね。
読了日:11月30日 著者:山本一力

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