無駄記

徒然なるままにモニタに向かひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば死ねばいいのに。

12月分

2014年01月03日 19時27分10秒 | 感想
2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4494ページ
ナイス数:51ナイス

辻斬り (新潮文庫―剣客商売)辻斬り (新潮文庫―剣客商売)感想
何度かシリーズを読み返して、ランダムに読むようになると1巻の「剣客商売」がまだかなりこなれてないのがよく分かる。この巻あたりもまだシリーズの世界観が拡張している最中なので未だ色々安定してない。キャラの成長というよりも、決まってないが故のゆらぎがそこここに見て取れる。が、それでも全然面白く読める。そして、それが実に(心地よい)のである。的なーw それにしてもこの巻は話の内容がランダムで、それでいてテイストは整っていて、読む度にベスト1は変わるんじゃないかってくらい、どのエピソードも名作揃いだと思う。
読了日:12月1日 著者:池波正太郎
鬼平犯科帳〈8〉 (文春文庫)鬼平犯科帳〈8〉 (文春文庫)感想
途中まで読んで、しばらく剣客商売読んでたんで、続きを読むと同じ作者であるのに、当然といえば当然なんだけども(やはり味が違う)これである。鬼平の方がどちらかというとドライでハードボイルドな印象かな。話の種類としては、小兵衛が自分の親友のために何かするとか、ひょんなことから盗めの話に関わるとか鬼平にしたって同じシチュエーションなんだけど、キャラの年齢の所為か性格の所為か、あるいはその役職故なのか、そこら辺は中々微妙な部分もあるとは思うけど、それでいて面白いんだよね。キャラが光ってる。
読了日:12月3日 著者:池波正太郎
待ち伏せ (新潮文庫―剣客商売)待ち伏せ (新潮文庫―剣客商売)感想
待ち伏せというタイトルで思い出すのは、石川ひとみのアレだったりする世代なのは措いといてw この巻は比較的「剣術遣い」の生き様についての話が多かったかな。小兵衛と大治郎を通じて、その他世の剣術遣いたちのあれこれ。とはいえ、切ないというか遣る瀬無いというか、しみじみするような方向のばっかで、到底「剣豪」的なズバーンとした爽快感てのはなくて、作中およそ無敵ではある小兵衛ですら、老いぼれのしょぼしょぼした日常を送ったりもするのだから、(およそ剣術遣いなどというものはそのようなものである)このことである的なw
読了日:12月4日 著者:池波正太郎
剣客商売十番斬り (新潮文庫)剣客商売十番斬り (新潮文庫)感想
「密通浪人」「浮寝鳥」「十番斬り」あたりは、小兵衛のお節介がいつも通りいい感じに実を結んだ話。とはいえ、「十番斬り」の村松さんの生き様は剣術遣いとしては全うではあるけれども、他にもっと幸せになれる生き方もあったろうに・・・的な部分はやはり残る。反対に「逃げる人」では果たして小兵衛のお節介にが果たしてよかったのか。剣術遣いとしての修行とか言って丸投げしちゃったという感じもしなくもなくw ラストの「罪ほろぼし」は「辻斬り」事件のその後の顛末といった爽やかな一編だった。
読了日:12月6日 著者:池波正太郎
薄毛の秋-新・若さま同心 徳川竜之助(3) (双葉文庫)薄毛の秋-新・若さま同心 徳川竜之助(3) (双葉文庫)感想
もう完全にライト時代劇ノベルって感じ。かなりコメディタッチが強いんで、耳袋秘帖っぽい流れは期待しない方がいいのかなw 今回「老い」とか「ハゲ」とかそーゆー方向のキーワードがチラホラしてはいるけど、別段そのコトがテーマになってるというほどでもなく、スラッと読めちゃう感じだった。まぁ主人公がまだ若いんで、「大江戸~」とかみたいな実感はないんでしょうね。とはいえ、このオチは自業自得ではあるものの、若干忍びないものもあったかな。
読了日:12月9日 著者:風野真知雄
雪融けの夜 八丁堀育ち3 (朝日文庫)雪融けの夜 八丁堀育ち3 (朝日文庫)感想
甘酸っぺぇな!つーか、前巻からの続きだったけど、ちょっとどのくらいのピンチだったのか忘れてましたw この巻は、取り敢えずの危機を脱したものの、本筋絡みの環境の変化の中での、町内少年少女探偵といった何気ないエピソードがメインだった。オトナへの道へと外堀が埋められていく中での主人公2人の幼馴染と、かつての幼馴染みとしての絆を失わないためにオトナの世界で生きてる黒幕との対比もまた、甘酸っぱい。
読了日:12月10日 著者:風野真知雄
剣客商売 波紋 (新潮文庫)剣客商売 波紋 (新潮文庫)感想
この巻の、というかシリーズ全体を通して「夕紅大川橋」はひとつのポイントになるのかな。剣術遣いと普通の爺さんの二重性というか、シフトというかの小兵衛の葛藤。同じ友の死ではあっても、嶋岡礼蔵の死は剣術遣いとしての死で、それはある意味小兵衛の今までの人生で散々見聞きして来たことだった。でも自らの半身とまでいわしめた内山文太の死は、ただの老人としての死、剣術遣いの死ではなかったという打ちのめされ方。孫に自分のもぐもぐ餌付けしてるその日常との対比。シリーズ中の名篇と言われてるっぽいけど、その読後感はしょんぼりだねw
読了日:12月12日 著者:池波正太郎
剣客商売 春の嵐 (新潮文庫)剣客商売 春の嵐 (新潮文庫)感想
何だろう、シリーズ初の長編てことでオールスターキャストにしちゃったのかなw 特に不満があるわけじゃないけど、別に杉原手裏剣お秀は出さなくてもよかったような? これ読んでたら、前もそうだったような気がするけど、鬼平との時代のかぶり方がよくわかった。松平定信のこのキレ方がいいように味方すると、鬼平みたいないい人事もするんだよね。あと、田沼時代の見直しみたいなのは作品執筆当時としては中々に新鮮だったんじゃないかな。ガキの頃習った日本史でも田沼時代=賄賂老中って印象強かったしw
読了日:12月14日 著者:池波正太郎
決戦 奥右筆秘帳 (講談社文庫)決戦 奥右筆秘帳 (講談社文庫)感想
ようやくシリーズ完結。とはなったけど釈然としなかったw あんましクライマックスからの大団円て感じじゃなかったからかしら。特に、オチの持って行き方が何となく、自作へ引き継ぐ感じを匂わせ過ぎなヒキを感じさせたのもあるんだけど、やっぱVS冥府戦が残念ながら尻切れトンボっぽかったのもあるんのかな。つーか、ソコはまぁ一種のケジメは着いてるからいいとしても、話のメイン筋が主人公と関係ないところで親子面談でサクッと終わっちゃってるんだよね。ダグラムか!w ハナから親玉同士で政治的決着的に語り合え!とかねw
読了日:12月16日 著者:上田秀人
別れ船 女だてら 麻布わけあり酒場7 (幻冬舎時代小説文庫)別れ船 女だてら 麻布わけあり酒場7 (幻冬舎時代小説文庫)感想
北斎が舞台から去り、市井の謎解きは小粒で平常運転。鳥居サイドにも大きな変化はなく、紅蜘蛛小僧について多少の展開のトバ口がひらいたのかな?くらい。かな。クライマックスに向けての停滞?嵐のまえの静けさなるかw
読了日:12月16日 著者:風野真知雄
梅安乱れ雲―仕掛人・藤枝梅安 (講談社文庫)梅安乱れ雲―仕掛人・藤枝梅安 (講談社文庫)感想
ホームズワトソンとかもそうだけど明確にホモではないにしても、まぁBLとかそーゆーのでなく男同士の友情という意味では梅安と彦さんもそうではないにしてもそうしたものを感じさせなくもないワケで、いや、腐ってるとかではなくw 意外と池波さんのはその手の話は多くて、そういう部分も含めて「人間という生き物というやつは~」っていう何だろ、善悪をも含めて、人間讃歌的な「面白み」をテーマとして扱ってるんだろうね。途中で読んだままゴミ箱の底から救出して飛ばして読んでた白子屋暗殺エピソードようやく回収出来たw
読了日:12月20日 著者:池波正太郎
いちばん嫌な敵    妻は、くノ一 蛇之巻1 (角川文庫)いちばん嫌な敵 妻は、くノ一 蛇之巻1 (角川文庫)感想
正直特に続きが読みたい作品ではなかった。いや、つまらないとかそういうコトでなく、きっちり収まりよく終わってたから、何も付け足さなくもいんじゃねぇの?というか。ま、読んでみればソコはフツーに面白かったんだけどもw ただ、前シリーズ知らない人も含めての紹介部分や、構成上の過去の回想と、現在進行形でのアメリカの話が入り乱れてるんで、読み難いということではなく、散漫な印象だったかな。個人的には前作からの引っ張りを利用した回想は、変態忍者の紹介という導入以外はなくして、アメリカ編をメインに据えて欲しかった。
読了日:12月21日 著者:風野真知雄
幽霊の町    妻は、くノ一 蛇之巻2 (角川文庫)幽霊の町 妻は、くノ一 蛇之巻2 (角川文庫)感想
回想部分での変態忍者は舞台から消え、これでようやくアメリカ編に集中するのかなぁ。どうだろうw 正直、構成上のわかりにくさはともかく、前シリーズの続きというのなら、時系列的にアメリカ以後をメインに据えて語るのが本筋のような気はするんだけど、いや、江戸の話はない方がいいとかそこまでは思わないけど、ソコはやっぱりもう終わったコトだしさ的なw 次巻からはそうなるのかなーと思いきや、フツーに変わらないみたいで、表紙がそれを語ってるw ゆーてもアメリカ編のみが語られるとなると、時代劇じゃなくなっちゃうんだよねw
読了日:12月24日 著者:風野真知雄
鬼平犯科帳〈14〉 (文春文庫)鬼平犯科帳〈14〉 (文春文庫)感想
この巻はやっぱ伊佐次の死亡が一番大きいのかな。同心、与力、剣友、密偵、鬼平にかかわる死は色々あるけど、初期の頃から粂八ほどのエピソードはなかったような気はするけど、ずっと火盗改のために立ち働いていた古参だったんでしょんぼり。ただ、何というか、「敢えて」だとは思うけど、捕物の最中でいわばクライマックスの部分でではなく、このエピソード内では完全死亡フラグ決定のみで、死そのもののシーンは描かれずにサブタイトル「五月闇」が暗澹たる思いを語るのみなのが印象的。
読了日:12月25日 著者:池波正太郎
二十番斬り―剣客商売 (新潮文庫)二十番斬り―剣客商売 (新潮文庫)
読了日:12月30日 著者:池波正太郎

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