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亡国のイージス

2005-08-01 | 新作
海上自衛隊のイージス艦「いそかぜ」が乗っ取られる。犯人は北朝鮮の工作員と自衛官からなるグループ。彼らの手には特殊兵器「GUSOH」があった。いったん艦から降ろされた「いそかぜ」乗組員の仙石は、艦を取り戻すべく一人で戻っていく。

イージス艦は強力だが、それで守るだけの価値が日本という国にはあるのか? という問いかけで始まる。平和ボケした日本人に「覚醒」を迫る右翼映画かな、と思いながらみていた。しかしどうも違ったようだ。出てくる日本人がどいつもこいつも弱すぎる。人に銃を向けても引き金を引けない。冷酷にぶっ放す北朝鮮の工作員たちとは対照的。で、そんな腰のすわっていない日本人たちが結局は肯定される。同じ阪本順治監督の「KT」に「狼は死ね、豚は生きろ、だ。豚で何が悪い」というセリフがあった。今回の作品のメッセージも似たようなところに落ち着くようだ。

ただ、北朝鮮の工作員と自衛官がなぜ手を組んだのか、というあたりは説明不足。彼らの日本政府に対する要求もなんとなく中途半端だった。新型兵器の争奪戦という設定は「シュリ」、主人公がテロリストに一人で立ち向かう設定は「ホワイトアウト」と同じで、あまり新鮮味はない。最後のほうで出てきた手旗信号には思わず「アホか」とつぶやいてしまった。

公式サイト:http://aegis.goo.ne.jp/
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評価:★★★★

追記(2005/08/04)

私が理解に苦しんだ部分をズバリ書いてくれているレビューがあった。
ストーリーと演出がすれ違った「いびつな映画」(清水節)
原作者の意図と監督の意図がすれ違っている、とのこと。同感。