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観た映画の感想など

奥様は魔女

2005-08-28 | 新作

魔法の力に頼らずに「私には君が必要だ」と言われてみたいと思っている魔女、イザベル。そこへリメーク版「奥様は魔女」のサマンサ役が舞い込む。ダーリン役のジャックは落ち目の元人気俳優で、「奥様は魔女」を復活のきっかけにしたいと思っていた...という設定。単純な「奥様は魔女」のリメークではなく、リメーク版「奥様は魔女」を劇中劇として使ったラブコメディ。

観る前からニコール・キッドマンはサマンサにピッタリだと思っていたが、期待通りだった。イザベルの父親が妙に可愛いのも笑えた。どこでもドアみたいなセットから登場したり、スーパーの棚で箱に印刷されたキャラクターに混じっていたり、撮影現場で知り合った魔女の婆さんに恋したり。

公式サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/bewitched/
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評価:★★★★

容疑者 室井慎次

2005-08-27 | 新作

警視庁管理官、室井慎次が捜査の指揮をとった事件で、被疑者が取り調べ中に逃走し事故死してしまう。室井は捜査の強引さを問われ、逮捕される。その背後には警視庁と警察庁の幹部による権力争いがあった...

柳葉敏郎が演じる室井は何の面白みもない堅物。理不尽な展開にも無言で耐えてしまい、闘う姿勢を見せない。彼を追いつめる弁護士の灰島はキモチ悪い法律オタクで、見るに耐えない。代わって彩りを豊かにしているのが新米弁護士役の田中麗奈。まだ未熟だけど頑張ってます、みたいな役柄で、イイ感じ。哀川翔が演じる刑事も型破りでよかった。チンピラみたいな振る舞いで、そんな刑事いねえよ、と思わずツッコミたくなった。

ストーリーはチマチマした展開で、ドラマらしいドラマはない。「踊る2」もそんな感じだったから、シリーズの悪弊なのかもしれない。事件よりも警察組織に焦点を当てているのが原因か。

公式サイト:http://www.odoru-legend.com/suspect/
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評価:★★★

リンダリンダリンダ

2005-08-05 | 新作
高校の文化祭へ向けて練習を重ねていたガールズバンド。直前に抜けてしまったボーカルの代わりを探し、韓国からの留学生を引っ張りこむ。日常会話もままならない彼女が歌うのはブルーハーツ。

というわけで、「スウィングガールズ」みたいな展開をイメージしていたが、音楽が中心の映画ではなかったようだ。文化祭を中心にしてありふれた高校生活が描かれている。なかなか友達が作れなかった留学生の、バンドに誘われた嬉しさ。好きな同級生に告白したいが、勇気が出ない感覚。夜中に学校に忍び込むときの奇妙な高揚感。

留学生役のぺ・ドゥナが最後に歌うブルーハーツはまずまずだった。日本語であれだけ歌えれば合格点といったところか。ただ、日本語がたどたどしい分、演技までたどたどしく見えてしまったのは残念。

香椎由宇はミスキャストのような気がした。ルックスが女子高生ばなれしすぎている。「終戦のローレライ」のときのような強烈なキャラクターじゃないと合わないんじゃないだろうか。次はもっと大きな作品に出てほしい。

それと、最後の演奏シーンで直前に本職のミュージシャン(湯川潮音、山崎優子)を歌わせたのは失敗だったように思える。主役の女の子たちの演奏はしょせん高校の文化祭レベルだ。プロの後に歌うと見劣りがしてしまうのはどうしようもない。

公式サイト:http://www.linda3.com/
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評価:★★★

メタリカ 真実の瞬間

2005-08-04 | 新作
ヘヴィメタルのナンバーワンバンド、メタリカが『St. Anger』を制作する過程を撮ったドキュメンタリ。

単なるメイキングではない。この時期、メタリカはメンバーの不和で解散の危機にあった。ベーシストのジェイソン・ニューステッドが脱退して新しいバンド「エコーブレイン」で活動を始める。残った三人のメンバーのうち、ボーカルのジェームス・へットフィールドとラーズ・ウルリッヒは事あるごとにぶつかりあい、ラーズがジェームスの鼻先で「ファック!」と叫ぶ。そしてジェームスはある日からスタジオに出てこなくなってしまう。エコーブレインのライブへ行って「エコーブレインは未来だがメタリカは過去だ」と頭を抱えるラーズ...そんな混迷が克明に記録されている。

こんなドキュメンタリをよく発表できたものだ。普通なら見せたくない部分だろうし、ファンとしても見たくないだろう。しかし、危機をのりこえてアルバムを完成させ、「待ってたぞメタリカ!」と横断幕を掲げるファンの前に登場する姿は感動的。

メタリカをクビになり、メガデスを結成して成功したデイヴ・ムスティンが「俺はしくじった、メガデスはしょせんナンバーツーだ」と告白したり、顎ひげを伸ばしたラーズのじいさんがメタリカの曲を聴いて「この曲はダメだ、アルバムに入れるな」と忠告(?)したり。細かい部分でも強烈なシーンが多い。

公式サイト:http://www.paramount.jp/metallica/
トラックバック先:奇妙な日々。
評価:★★★★★

チーム★アメリカ/ワールドポリス

2005-08-04 | 新作
少数精鋭の組織、チーム・アメリカがテロリストと戦う人形映画。

まずはパリでアラブ系テロリストと対峙。エッフェル塔、凱旋門、ルーブル美術館を破壊しつつテロリストを殲滅する。次はカイロでテロ計画を練っているテロリストを急襲し、ピラミッドやスフィンクスを破壊しつつテロリストたちを全員殺害。そしてテロリストに大量破壊兵器を供給している黒幕、金正日との直接対決に突入する。金正日はハリウッドの著明な俳優が所属する有名俳優協会と組んで平和式典を開催し、同時に世界各地を大量破壊兵器で攻撃する計画を進めていた...

ひとことで言って、バカバカしいだけの作品だ。世界の警察を気取るアメリカが風刺されているわけではない。むしろそういうアメリカに批判的な映画人に鉾先が向けられている。アレック・ボールドウィン、スーザン・サランドン、ショーン・ペンなどといった面々がチーム・アメリカによって惨めに殺されていく。首が吹きとび、胴体がちぎれる。

これは高度な風刺で、傍若無人なチーム・アメリカを描くことで結局はブッシュ政権を風刺しているのだろうか。いや、そんな高級な思想はなさそうだ。人形がファックし、ゲロを吐く。この下品さが作品の本質のように見える。

「良心的」映画人がブチ殺されるだけではなく、ベン・アフレックの大根役者ぶりが嘲笑されたり、マット・デイモンが自分の名前しか言えないアホとして登場したりもする。なんだかハリウッドの内輪ウケを狙っているようで白けてしまった。

公式サイト:http://www.teamamerica.jp/
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評価:★★★

砂の器

2005-08-02 | 新作
東京で身元不明の男が殺される。手がかりは東北弁の「カメダ」のみ。しかし丹波哲郎と森田健作が演じる刑事は執念の捜査をつづけ、事件の真実に迫っていく。そこにあったのは犯人が心の底に封じ込めていた哀しい少年時代の記憶。

有名な作品だが、私は今回はじめて見た。前半は刑事たちによる謎ときの面白さに引き込まれ、後半は明らかになった犯人の過去の重さがズッシリとのしかかってきた。とくに老人が刑事に対して「そんな人知らねえ!」と叫ぶシーンにはハッとさせられた。数十年の思いが凝縮された、嘘なのに真実をあざやかに映し出す叫び。

全編を通じて流れる重々しい音楽は作品にピッタリ合っている。物語の展開とともに出てくる日本各地の情景は美しかった。


公式サイト:http://www.shochiku-eigakan.com/suna/
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評価:★★★★★

亡国のイージス

2005-08-01 | 新作
海上自衛隊のイージス艦「いそかぜ」が乗っ取られる。犯人は北朝鮮の工作員と自衛官からなるグループ。彼らの手には特殊兵器「GUSOH」があった。いったん艦から降ろされた「いそかぜ」乗組員の仙石は、艦を取り戻すべく一人で戻っていく。

イージス艦は強力だが、それで守るだけの価値が日本という国にはあるのか? という問いかけで始まる。平和ボケした日本人に「覚醒」を迫る右翼映画かな、と思いながらみていた。しかしどうも違ったようだ。出てくる日本人がどいつもこいつも弱すぎる。人に銃を向けても引き金を引けない。冷酷にぶっ放す北朝鮮の工作員たちとは対照的。で、そんな腰のすわっていない日本人たちが結局は肯定される。同じ阪本順治監督の「KT」に「狼は死ね、豚は生きろ、だ。豚で何が悪い」というセリフがあった。今回の作品のメッセージも似たようなところに落ち着くようだ。

ただ、北朝鮮の工作員と自衛官がなぜ手を組んだのか、というあたりは説明不足。彼らの日本政府に対する要求もなんとなく中途半端だった。新型兵器の争奪戦という設定は「シュリ」、主人公がテロリストに一人で立ち向かう設定は「ホワイトアウト」と同じで、あまり新鮮味はない。最後のほうで出てきた手旗信号には思わず「アホか」とつぶやいてしまった。

公式サイト:http://aegis.goo.ne.jp/
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評価:★★★★

追記(2005/08/04)

私が理解に苦しんだ部分をズバリ書いてくれているレビューがあった。
ストーリーと演出がすれ違った「いびつな映画」(清水節)
原作者の意図と監督の意図がすれ違っている、とのこと。同感。