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観た映画の感想など

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長江哀歌

2007-09-20 | 新作
中国の三峡ダム建設で沈みゆく街が舞台。ハン・サンミンは、16年前に別れた妻子を探しに来る。しかし手にしていた住所はすでに水没していた。サンミンは建物の解体作業で生活費を稼ぎながら妻子を探す。一方、シェン・ホンは2年間連絡がない夫を訪ねてくる。夫の軍隊時代の友人に協力してもらい、夫の現在の職場を突き止めるが、別の女と深い仲になっているらしいことが分かる。

人探しの二人のストーリーを軸に沈みゆく街で生きる人々が描かれている。主人公の二人は寡黙で、感情が表に出ない。劇的な展開もない。結末もあっさりしている。一歩間違えば眠くなるだけの作品だが、独特の空気があった。サンミンが解体作業の仕事仲間に炭坑の仕事の話をするシーンが一番印象に残った。賃金が高い、と聞いて男たちは「今の仕事が終わったら行こう」と言い出すが、サンミンが毎年10人ほど死者が出ていると言うと沈黙してしまう。「七人の侍」で、勘兵衛が侍たちに「出世したいと思ってもがいているうちに、いつのまにか髪が白くなっていた」と語り、沈黙させてしまうシーンを思い出した。

公式サイト:http://www.bitters.co.jp/choukou/
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評価:★★★★★

公共の敵2

2007-09-14 | 新作
ソル・ギョングが主演するシリーズの二作目。熱血検事のカン・チョルジュンが実業界のエリートの裏を暴く。

私学財団の後継者サンウに関し、疑惑が生まれる。父親が死に、その二週間後に長男が事故に遭い、サンウは後継者の地位を得た。サンウは財団が経営する学校を次々に売り払い、資金を海外に移していた。そして長男の事故に関して検察に再調査を依頼していた財団のアン理事が突然行方不明となり、事態は急展開する。

一作目が最高だったので、二作目も是非見たいと思っていた。シネマート六本木の「韓流シネマ・フェスティバル2007」でやっているのに気づき、やっと見れた。

しかし、一作目に比べて普通の映画になってしまっているように感じた。ときに法を無視してでも悪を追及、というカン・チョルジュンのキャラクターは基本的に同じなのだが、一作目のほうが豪快にデタラメだった。今回はただの熱血検事になっているように見えた。前回はカン・チョルジュンだけでなく同僚もデタラメだったのに今回はみんなイイ奴ばかり。アン理事を演じたピョン・ヒボンやカン・チョルジュンの上司を演じたカン・シニルは善悪の二面性がある役回りでよかったのだが、後半にかけて予定調和へと向かってしまった。

三作目は一作目の続編として作られるようだ。二作目は失敗だった、という認識があるのだろう。三作目も「韓流シネマ・フェスティバル」でしか上映されないかもしれないので、見逃さないようにしなければ。

公式サイト:なし
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評価:★★★★

HERO

2007-09-10 | 新作
木村拓哉主演のテレビドラマの劇場版。

東京地検の検事、久利生公平が同僚から傷害致死事件の検事を引き継ぐ。被告人が肩がぶつかっただけの相手を殴り倒し、死亡させたという単純な事件。しかし被告人は公判で供述を覆し、無罪を主張した。また、同じ時刻に起こった別の贈収賄事件に関して大物国会議員のアリバイを証言していた。アリバイ証言が事実だとすれば傷害致死事件では無実ということになり、傷害致死事件の犯人だとすればアリバイ証言は虚偽となる。単純だったはずの事件は世間の大きな注目を引きつけていく。

裁判が始まった時点では証拠らしい証拠は存在せず、無罪の主張を受けて久利生は一から証拠集めに走る、という設定で、裁判よりは証拠集めがストーリーの中心。法廷シーンには緊張感がまるでなく、証拠集めで動きをつけているだけ。どうみても刑事ドラマでしかない。贈収賄事件は無視して傷害致死事件にこだわる、というのが久利生の姿勢なのに、結局は贈収賄事件との関わりがストーリー展開の要になっていて、贈収賄事件が大きく展開すると傷害致死事件はあっさり終わってしまうのも拍子抜けした。とってつけたように韓流スターが出てくるのも安っぽさを増幅させている。

よかったのは松たか子があいかわらず初々しいことだけ。

公式サイト:http://www.hero-movie.net/
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評価:★★★★
コメント (1)

シッコ

2007-09-05 | 新作
マイケル・ムーア監督がアメリカの医療保険制度の問題点を抉り出した作品。

ほかの先進国とは異なり、アメリカには全国民をカバーする医療保険がない。代わりに民間企業が医療保険を提供している。その結果として信じられない事態が起こっている、というのがこのドキュメンタリの基本的な主張だ。医師の診断にしたがって治療しようとしても、保険会社が医療費の支払いを認めないので治療できず、結果として命を落としていく人たち。医療費を支払うために高齢でも働かざるをえない老人。入院費が払えなくなり、病院から連れ出されて道端に捨てられる(!)人たち。

監督は他の国の医療制度を確かめに出かける。カナダ、イギリス、フランスでは、病院へ行ってもカネを払う必要は一切ない。医師は治療費を考えずに最善の治療を施す。さらに、キューバのグアンタナモ基地では収監者に対して最高の医療が提供されているという政府の説明を聞き、アメリカでは十分な医療を受けられない人たちとともにキューバへ向かう。基地の医療を享受することはもちろんできなかったが、代わりにキューバの病院で十分な診察を受ける。

「ボーリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」と同様、悪者として攻撃される対象はハッキリしている。保険会社と、その意を受けて動く政治家。代表はもちろんブッシュだ。とはいえ、この作品では悪者を攻撃するよりは実際に苦しんでいる人たちの声を取り上げるのが中心になっている。保険会社の幹部に監督が自ら突撃取材するシーンはない。結果として過去の作品より良質なドキュメンタリになったと思う。

日本の医療はアメリカ型へ向かって「改革」されてきている。患者の自己負担率は現在3割。病院で高額を請求されて驚くことも多い。この作品を見て「アメリカの制度はヒドイ!」と怒ったり笑ったりするだけでは済まない。

公式サイト:http://sicko.gyao.jp/
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評価:★★★★★
コメント (2)