愚民党は、お客様、第一。塚原勝美の妄想もすごすぎ過激

われは在野の古代道教探究。山に草を踏み道つくる。

小はん殺し結城純一郎の演説  (1) 【新潮新人賞小説部門 第1次予選落選】

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
【第38回(2006年度)新潮新人賞小説部門応募投稿 第1次予選落選】


 
第1次予選落選となりましたので、ネットに公開させていただきます。
題名を「結城純一郎の演説」から「小はん殺し結城純一郎の演説」に改名いたしました。








(1)~(29「最終回」)まであります。




     プロローグ

 結城純一郎は漆黒の闇に溶けて眠っている。変更線の午前三時。朝はまだ来ない。首相
公邸の寝室。彼は悪夢のなかでうなされていた。性交をしながら首を絞めて殺した新橋芸
者小はんが暗黒に踊っている。結城純一郎は悪夢から脱出するために叫び声をあげた。
「うあああああおおおおおお」

 全身からの叫び声は現実に帰還するために必要な夜の儀式だった。眠らなくては明日が
もたない。総選挙の告示日は迫っていた。明日からは全国各地候補者への応援演説が日程
に組み込まれている。彼は部屋の電気をつけ、睡眠薬の錠剤に手を出した。そして水差し
からガラスコップにウーロン茶を入れた。

 睡眠薬を飲んでも結城純一郎は眠りに入ることはできなかった。本を読めば自然に眠く
なるだろう。彼はベッド脇のイントレ引き出しから本を取り出した。アンダーグランド界
で話題になっていた小説であると云われている。それは自分と同じ名前の人物が登場する
ふざけた怪文書の小説だった。結城純一郎は読み出した。時間は夜と夜の夜、奈落の暗黒
から狂気の紫が来訪する。変更線の歪んだ地平、永田町は漆黒の魔界に呑まれていた。

 
       1
       
 満腔一年一月十七日、九段会館において国家生活党大会は華々しく開催されていた。報
道各社スッタフがカメラとマイクをかまえる。異常な熱気が会場やロビーそして外にあふ
れている。大会は昼食休憩となった。会場から出た片岡さつきはさっそくインタヴューを
受けた。彼女は財務省国家生活党支部代議員だった。「日本の明日を語る国家道の女性こ
こにあり」片岡さつきの映像は、すぐさま臣民のリビングに電波送信されるはずである。
国家社会主義の深淵をなし、臣民の心の琴をかき鳴らす情感はテレビによって創造される。
居酒屋で批評を試みるインテリジュンスは新聞の国民言語によって創世される。

 ロビーに鳴り響くベルは、午後の部大会開始五分前の合図だった。片岡さつきは席に戻
った。緞帳が上がる。結城純一郎総裁が演壇に登場する。さっちゃん、彼の演説はどうし
ようもなく長いから眠らないでね、隣の席から北海道の代議員である竹部が脂ぎった顔で
そう言った。そして竹部は脂ぎった手を片岡さつきのスカートの上に置いた。

 こんなとことで痴漢するなんて、ふざけないでよ! さつきは竹部の手に小指の爪を突
き刺した。いたた……竹部が歯軋りしながら、女の爪に刺された自分の手を見た。そして
傷を癒そうと舌で舐めた。結城純一郎総裁の演説が始まった。

 来賓のみなさん。突撃隊である国家青年同盟員諸君。文化革命を推進するメディア音楽
団員諸君。そして国家生活党の同士諸君。わが党は六月二十三日、一九九四年からの小選
挙区比例並列選挙制度改革以降初めての衆参同時選挙によって奇跡的躍進をとげることが
できた。(なりやまぬ拍手)

 国民は衆院二枚、参院二枚、計四枚を投票箱に入れる複合国政選挙に、もっともシンプ
ルな政党を選択したのであります。(熱狂的な拍手)

 わが国家生活党は国民の圧倒的支持により、国会ゼロ議席から一挙に衆議院二百四十一
議席と参議院六十三議席の獲得した。これに中曽根靖男君、渡辺美智子君らのグループを
賞賛党員として迎え入れることに成功し、衆議院二百九十名の単独政権党として出発する
こととなった。(拍手)

 野党は中曽根靖男君を風見鶏などとキャンキャン攻撃しているが、このような非難は無
力な負け犬の泣き声にすぎない。(大爆笑)

 中曽根靖男君は東京地検特捜部にて青春を過ごし、その精神は一環として国家主義者で
あり、わが党が迎え入れることにはいささかの異はないのであります。(拍手)

 同士諸君、尊皇攘夷の満腔維新はここに成功したのである。国体防衛に尽力する公明党
や民主党とも閣外協力を結ぶことができた。もはや米国奴隷の自民党や、国体変革の共産
党や社民党などは、日本の政治になんら影響力をもたない弱小野党にすぎない。だが諸君、
警戒心をといてはならないのである。

 自民党は政権奪回をねらい全国列島で策動を強めている。地下にもぐった合衆国統一党
と共産主義革命党は武装闘争を準備している。さらにCIAの援助を受けながら日本国体
をアメリカの五十一番目の州にしようと、合衆国統一党の陰謀は財界や官僚組織に浸透し
ている。合衆国統一党の思想である革命的ヤンキー主義は自衛隊にまで浸透している。国
家生活党はこれら売国奴党派との政治闘争である党派戦争に勝利しなければならない。全
国の党組織と同士諸君は今こそ国家のために国家生活防衛のために尽力してほしいのであ
ります。(拍手)

 それでは満腔一年党運動方針をのべる。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (2)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
      【満腔一年国家生活党運動方針の基調】

              【わが政権党の責務】

 満腔一年、そして二十一世紀、2015年体制への出発に向かって、われわれは、今、
大きな歴史の転換点に立つ、新しいシステム改革を迎えた。

 わが国をめぐる内外情勢はますます厳しさを加えつつあり、直面する政治課題は山積み
している。こうしたなかにあって、昨年の六月に行われた衆参同時選挙の結果は、わが党
にとってきわめて輝かしい勝利であった。臣民は二十一世紀初頭の指導者をわが党に託し
たのである。

 われわれはこの臣民の期待に応え、自ら厳しい政治倫理を実践しながら、尊王攘夷、満
腔維新の旗を高くかかげ、国家を運営するという、党に課せられた重責を果たしていかね
ばならないのである。(なりやまぬ拍手)

 いま、わが党を洗う時代の潮流は烈しく、逆まく試練の怒涛は高く激しく押し寄せてい
る。しかし、わが党は国家政策の責務をやりとげ、この困難に打ち克ち、謙虚な反省のう
えに臣民とともにつき進んでいこう。国際新秩序はいまや、日本の双肩にかかり、指導力
を全世界から求められている。これこそが満腔1年の試練としての苦行である。

 わが党は、この歴史的な試練の時代に際し、党をあげて一致団結、中曽根康雄君、渡辺
美智子君をはじめとする新しい同士とともに日本民族の輝かしい発展のために力強く前進
を開始するものである。臣民の英知と勤勉と行動力を背景にすれば、日本は米国と中国と
そしてロシアという大国のはざまで生存できる。

 次に具体的な運動目標についてである。

 われわれは運動方針の主題に「国際社会で生存できるたくましい国家」を築こうと掲げ
た。具体的な方針の第一は、激動する国際社会のなかにあって、米国を叩き落すなかで平
和を守り、名誉ある国際的な地位を堅持していくため、いま何をなすべきかである。

 本年における国際情勢はあまりにも緊張し、ストレスが爆発寸前である。わが党の政策
により、すでに安保条約は破棄され日本占領軍である在日米軍は撤退を開始した。ヤンキ
ー・ゴー・ホーム、憎しみに燃えた民族の叫び声が米軍基地を包囲し、占領軍は日本から
撤退せざるをえない。

 同士諸君、起立してもらいたい。

ここで、衆参同時選挙翌日未明、全国十ヶ所にわたり、同時多発、米軍基地突撃に殉じた、
党軍兵士に黙祷をささげたい。わが党の戦士は鮮明な政治方向のもと、米軍基地にダイナ
マイトを積んだトラックで突っ込み、基地施設を破壊炎上させ殉死したのである。これは
全国の茶の間に敵が誰であるのかをあきらかにした、選挙勝利とともに偉大な軍事闘争の
勝利である。

           【全員起立 一分間黙祷】

 日米安保条約を破棄された米国は極東覇権の足場を喪失し、米国大統領は日本への復讐
を米国議会で宣言した。米国のまきかえし策動を許すことなく、東アジア平和維持の問題、
そして世界経済の再建にわが国がいかなる貢献をなしうるかという問題、わが国が国際社
会で果たす役割がますます重大となりつつある。国際社会の平和を実現するため、ますま
す外交努力を傾注していかねばならない。

 第二はたくましい文化国家日本を築くことである。

やがて到来する高齢全体社会、高度に管理された情報社会、セックス価値観の多様化する
新世紀に対処していくとともに、ロボットを家庭に普及させながら、個性豊かな、そして
文化の香り高い健全な国家社会主義によって統制された地域社会をつくりあげ、われわれ
の子孫に誇りうる祖国、日本として引き渡さねばならない。そのためにも施策を着実に実
行していくことである。

 満腔一年の運動方針は、以上の基本方針を中心として策定し、党員、党友の総力をあげ
て取り組み、臣民のご理解とご協力を得て、明るい日本の将来を切り開いていく指針とす
るものである。

      【国際社会をリードする国家】

 第二次世界大戦後の六十年間を支配した世界基本秩序は、米国の相対的低下と新興勢力
の登場により、崩壊寸前である。いまや世界は米国という一極から多極化に移行しようと
している。紛争国はその数を増し、すでに世界は一触誘発の戦争状態にあるといっても過
言ではない。加えて世界経済も石油危機に起因する経済の停滞による不況は依然として深
刻な状態にあり、またわが国と欧米諸国との間の通商摩擦の激化と、それに対抗する保護
貿易主義の抬頭は世界経済の動向に不安定化の度合いを深めている。不均衡衝動理論にそ
って二十一世紀世界経済はたえず揺らぎのなかにある。さらに国際金融動物は諸国家と諸
国民を人質にとり、収奪を拡大している。国債は国際金融動物の頭であるロスチャイルド
が発明し、日々国際金融動物は収奪のための金融システムを発明していることに危機感を
もつ必要がある。

 さらに米国との関係は日米安保条約の破棄により開戦前夜的な不均衡状態にある。米国
はCIAスパイをつかい、合衆国統一党を援助し、国内かく乱工作を進めている。

 しかし同士諸君、米国は世界の嫌われ者である。多極化する世界経済の発展のためにも、
米国は地獄に落ちてもらわねばならない。わが党は米国によるこれまでのわが国に交渉し
てきた植民地政策を全面的に情報暴露する。世界はこれまでの日本が米国の完全植民地で
あったことに驚嘆するであろう。

 米国による再侵略を阻止するためにも、憲法を改正し、自衛隊を国防軍へと昇格させる
必要がある。これまで自衛隊は在日米軍の指揮下にあり、在日米軍の下請け機関であった
が、わが党は自衛隊の組織と軍思想を抜本的に改変する。日本を占領していた米国駐留軍
を日本列島からたたき出し、制空権と制海権を日本に奪還し、実質的な日本独立をいまな
しとげることができるのは国家生活党のみである。同士諸君の党生活は日本独立防衛戦争
でもある。(なりやまぬ拍手)

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (3)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
    【たくましい文化国家の建設】

 責任政党たるわが党に課せられた今後の重大な使命と責務は、不断の反省を重ねながら
厳しい政治倫理を実践し、この輝かしい尊王攘夷の政治体制をたくましく守り育て、永い
民族の繁栄を築く土台を固め、そして誇りをもってこれを子孫に引き継いでいくことであ
る。

 われわれは今こそこの国づくりの確たる信念に基づき、厳しく課せられた試練としての
苦行の嵐を乗り越えて、この満腔1年から、ただちに、たくましい文化国家を築いていく
ため、新たなる挑戦を開始しなければならない。防衛体制こそが、科学と文化を発展させ
てきた、これがわが党の基本観点である。

 最重要課題の第一は、社会悪の追放である。自民党による長期独裁政治は、日本社会を
スキャンダラスとなし、精神の器を台所のゴミ袋としてしまった。第二次世界大戦後、日
本を占領した米国の高度な植民地文化制度は、セックス、スクーリン、スポーツの三S政
策であった。わが民族精神は米国のハリウッド・ハンバーガー文化によって破壊され、米
国の土足によって踏み荒らされてしまった。なんとしてもこの精神の植民地から独立精神
へと気高く脱却しなくてならない。

 臣民の精神領域に加えられた侵略により、日本民族はむしろ意識的に、自分自身の手で
自らの歴史や価値、自然に対する侮蔑と抹殺を行ってきた。組織的な歴史と文化への大破
壊行為を、忘我において無自覚において推進してしまったのである。

 同士諸君、見るがいい。占領軍とその傀儡政権であった自民党の悪政によって加えられ
た、わが民族の悲劇を。

            照明は暗転となり、舞台天井からスクリーンが降下する。
            スライド写真が投影される。
            家庭崩壊殺人事件、町内崩壊殺人事件、農村崩壊殺人事件、
            学校教育殺人事件。
            自然虐殺、アメリカ国際金融動物による買収殺人事件。
            無惨な写真スライドが次から次へと投影される。
            伝統ある美しい日本はもうそこにはなかった。
            あまりにも傷ついた日本……
            暗転の会場からすすり泣く声。
            水を打ったように沈黙が重力となって支配する会場に
            悲しみの泣き声は広がっていった。
            突然、シュプレヒコールがあがる。
              おにちくしょう  アメリカ つぶせ つぶせ
              おにちくしょう  アメリカ つぶせ つぶせ
              おにちくしょう  自民党  つぶせ つぶせ
              おにちくしょう  自民党を処刑せよ 処刑せよ

 暗転の会場に轟くシュプレヒコールは外に陣取る報道スッタフにも聞こえた。

「はじまったわね」

 フジテレビのアナウンサー伊藤ゆかりがカメラマン小泉に準備起動をうながした。

「なかには報道2001の白岩さんがおるけん、大丈夫だんべよ」

 カメラマン小泉はリラックスしなよ、とあいさつがわりに伊藤ゆかりの乳房をコチョコ
チョと人差し指で愛撫した。すけべ!と伊藤ゆかりは小泉の手を払いのけた。

 結城総裁を刺す政治少年テロリスト山口音矢が会場に侵入している情報は警視庁から産
経新聞にリークされていた。伊藤ゆかりたちスッタフの仕事は、会場が混乱し、警視庁機
動隊が会場に突入する場面をしっかりとカメラで捉え伊藤ゆかりが実況中継することだっ
た。


 国家生活党は昨年の六月に政権を獲得したが、いまだ権力機構の掃討作戦はなしきれて
いなかった。東京地検はアメリカCIAの下請け機関だった。そして警視庁もアメリカC
IAの下請け機関だった。これらの権力機構を民族主義によって更新するためには、壮大
な時間がかかると英国フィナンシャルタイムズが報じていた。

「揺らぎ」「不均衡」「衝動」、政治ニュースは祭りのように興奮し、日々更新されてい
た。

 スクリーンはすでに舞台天に飛んでいた。国家生活党大会代議員たちのシュプレヒコー
ルもおさまり、再び照明が明るくなったときである。正面通路を会場の奥から走ってくる
男がいた。政治少年山口音矢だった。音矢は学生服にアイボリーのコートを着ていた。そ
のコートが翼のようにひるがえっている。音矢の疾走はまっしぐらに舞台階段を上がって
いた。彼はズボンのバンドに手をやり、そこにあったドスを抜いた。「天誅!」と叫びな
がら結城純一郎の腹をめざしていった。そのとき、木刀が音矢の背に衝撃を与えた。会場
前列に陣取っていた国家生活党の防衛隊であった。音矢がよろけたとき、防衛隊の先頭が
音矢の足を両腕でタックルした。音矢は倒れこみそこに何人もの防衛隊が飛びこみ、政治
少年音矢は羽交い絞めされ舞台袖へと連れ去られていった。すでに結城純一郎総裁は舞台
袖にいた。その周りを防衛隊が囲んでいた。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (4)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 会場は騒然となった。自民党が送り込んだテロリストだ! 誰かが怒鳴った。静かにし
ろ! 防衛隊の隊長が両手を広げ制動する。会場の外と中はわれわれ大会防衛隊がしっか
りと防備している、安心して大会を続行していただきたい! 隊長は演壇のマイクを握り、
代議員たちに訴えた。やがて舞台袖から再度、結城総裁が登場した。彼は代議員に手をふ
っている。会場からうなる拍手。舞台中央の演壇、隊長は結城総裁と大会代議員たちに礼
をし、舞台袖へと去っていった。隊長、演壇を舞台奥のほうに設定していてよかったです
ね、と防衛隊員が袖でいった。隊長がうなずいた。自民党と警視庁はまだつながっている
からな、機動隊が会場に押し寄せ、大会ができなくなるようにするのが敵の狙い、最後ま
で防備戦争の貫徹だ! 隊長が防衛隊に喝を入れた。隊長は戦争の基本は防備だとあらた
めて思った。


 同士諸君! 満腔一年国家生活党運動方針の基調を続行します。(九段会館が割れんば
かりの拍手)結城純一郎総裁の演説は再開された。

 政治少年山口音矢による暗殺が失敗したことは、報道2001の白岩から外に陣取って
いた伊藤ゆかりに携帯メールで知らされた。

「失敗だって!」

 伊藤ゆかりがカメラマン小泉にいった。

「ケ!なんてざまだ、失敗かよ、最高の場面にみんな準備していたのに!ちくしょう!」

 カメラマン小泉は呪詛した。

「警視庁機動隊にいって次に何が起こるか聞いてくるよ」

 報道クルーキャプテンの中村がそう言って機動隊の車両へと歩いていった。


 愛知県本部名古屋支部の代議員藤田真紀子は結城総裁にケガがなくて安心した。彼女は
カリスマ主婦とメディアから命名されていた。夫は自民党の参院議員で名を藤田公孝。彼
女は夫と離婚して昨年六月の選挙で名古屋から衆議院に立候補し当選をしたのだった。真
紀子は菓子をつくる料理研究家でもあった。おいしい菓子を結城総裁に届けようと彼女は
母性本能で思った。

 佐賀県本部代議員広田素子も結城総裁がテロリストの手にかからなくてよかったと安心
した。彼女の仕事は会計士であったが東大医学部を卒業しているので応急手当ができた。
さきほど防衛隊に「わたしは医学の心得があります。なにかあれば言ってください」と志
願してきた。素子に隊長が応じた。

「自民党が大会つぶしを仕掛けてきているので、今日は何があるかわかりません、そのと
きは医療班でお願いします」

「わかりました」

 素子は了解し席に戻った。
 

 演壇の結城純一郎は声を張り上げこぶしを振り上げた。

 同士諸君、わが日本の傷口はあまりにも大きい。この責任の一切は、占領軍である在日
米軍とこれまで政権を担当してきた自民党にある。わが党はたくましい文化国家を建設し
なくてはならない。そのためにはまず、自民党本部の執行部幹部どもを断固として処刑せ
ねばならない。

 すでに自民党本部ビルは、わが党の突撃隊である国家青年同盟によって占拠した。何故、
占拠が必要であったのかは言うまでもなく、資料データーの保存のためである。自民党は
アメリカからの要求どおりに日本を植民地として運営してきた。その数々の資料を自民党
本部は証拠隠滅しようとした。その情報は自民党本部職員としてもぐりこんでいたわが党
の秘密情報党員によってもたらされた。わが党の突撃隊はすぐさま自民党本部ビルに押し
かけ自民党職員をビルからたたき出し占拠したのである。(なりやまぬ拍手)

 米国の下請け機関である東京地検と警視庁は違法行為であると国家青年同盟に対して、
自民党本部ビルからの立ち退きを要求しているが、自民党本部ビルは現在、三百名の勇敢
な若き戦士たちによって、占拠闘争が今も貫徹されている。この偉大な占拠闘争を支えて
いるのが国家婦人同盟である。国家婦人同盟による食料差し入れは連日、突撃隊を励まし
ている。(拍手)

 すでにわが党は新宿駅西口広場に処刑場を設定した。自民党本部の幹部という悪徳政治
家の公開処刑は、NHKと民放によって現場からテレビ中継され、その電波は全国列島各
地に住む臣民の茶の間に届くだろう。「永田町の自民党本部幹部を処刑する議案」は岐阜
県本部の佐藤聖子代議員から提出され、わが党の中央委員会はこれを了承し運動方針とし
たのである。(拍手)

 臣民の目の前でこれまで自分たちを支配してきた売国奴の政治家、財界人、国家官僚ど
もを公開処刑することによって、植民地支配の精神的権威を壊滅させることができる。ギ
ロチンこそ独立の第一歩である。

 次に処刑台におくられるのは、マスコミ界の仕掛け屋どもである。マスコミ界からの内
部告発によって、わが党はすでにギロチン名簿を作成した。六十年間にわたり神聖な臣民
の茶の間に、精神破壊の毒素をたれ流し続けた、マスメディア権力の罪悪は重大である。
 マスメディア権力によって、青少年がどれだけ、悪に蝕まれてきたかはかり知れない。

世界で優秀な日本民族の息子、娘たちをここまで弱体化させてきたのは断じて許すことが
できない。日本マスメディアの役割は占領支配政策の柱として、日本民族の精神支柱を壊
滅することであった。日本文明の全的滅亡を内部から実行してきたのが日本マスメディア
権力であったのである。仕掛け屋と実行者は処刑の実行という事実の前に突き出される、
売国奴たちに断固した運命を提示する、それが公開処刑である。(九段会館が割れんばか
り拍手)

 たくましい文化国家を築くためにこそ、日本民族の子供たちに、売国奴たちがいかなる
末路をとげるのかを、事実をもって教育する必要がある。徳川幕藩体制の寺小屋教育、そ
こでのからだと心を鍛える原点から出発しよう。

 マスメディア権力どもの処刑をえてこそ、この恐怖によって、現代のタレント、テレビ
俳優、歌手、コメディアンたちがわが党に忠誠を誓わせることができる。テレビなどで親
しんできた芸能人による、国家生活党への賛美宣言こそ、臣民は時代が変換したことを肌
身で感じることができるのである。

 同士諸君。日本文明の全的滅亡から不死鳥のごとくよみがえった日本臣民道をいまこそ
全世界に提示しようではないか! アメリカ、西欧同盟、そして全アジア諸国は、全世界
は、「野蛮なサムライが二十一世紀に復活した」と、満腔維新の日本を非難するであろう。
しかし動揺してはならない。世界はすでに部族戦争に突入している。どの部族、どの民族
の遺伝子が二十一世紀世界で生存できるのかの壮絶な死闘に突入していることは明白なの
だ。日本民族は二十一世紀に生存する! これが全世界への回答であり満腔維新の宣言で
ある。(熱狂的な拍手)

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (5)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
      2

 飯田勲首相秘書官のオフイスはもちろん首相官邸にあった。あらゆる国会議員の情報は
内閣情報調査室と東京地検、警視庁公安部から飯田勲のデスクに上がってくるシステムは
確立されていた。飯田勲は警視庁公安部を自民党議員の動向調査に差し向けていた。自民
党議員の弱みや恥ずかしい情報を握り、それで自民党議員が首相官邸の奴隷になるべく恫
喝をするためである。

 さらに自民党議員の二十四時間動向はそれぞれの女性秘書によって、メールで首相官邸
の飯田勲デスクにあるコンピュータに報告されるシステムも確立していた。自民党議員の
女性秘書はほとんど統一教会信者であった。飯田勲は情報収集の多重化システムを採用し
ていた。すなわち警視庁公安部からの情報と女性秘書からの報告である。そのふたつの情
報源を付き合わせることによって情報の裏がとれると飯田勲は確信していた。議員を叩き
落すときは、メディアにリークするのである。

 そのリークほしさに飯田勲のところには、政治家のスキャンダルを売り物にしている週
刊誌記者が群がってくる。飯田勲は議員たちの女性秘書に命じて、全自民党国会議員が使
用するパソコンにメールスパイソフトをわからないようにインストロールさせておいた。
議員がメールを送信すれば、その内容はただちに飯田勲のコンピュータに送信されるとい
うシステムが成立していた。議員たちは自分が打ったメールが相手の他に、まさか飯田勲
のパソコンにまで送信されているとは誰も思っていなかった。自民党国会議員は飯田勲に
丸裸にされていた。もはや誰も首相官邸には逆らえなくなっていた。

 しかしこれでも不十分だった。携帯メールをどうスパイするかの課題が残っていた。多
くの国会議員は携帯メールで連絡をとっているからである。飯田勲はNECに携帯メール
スパイソフトの開発を急がせていた。

 深夜0時が過ぎていた。飯田勲はデスクでうとうとと疲れから眠っていた。「おまえを
殺してやる」声が聞こえた。首相官邸には幽霊が出るとの噂は第二次世界大戦終了後から
あった。兵隊の幽霊が出現するのである。時の首相を金縛りにして「おまえを殺してやる」
と兵隊の声が首相の寝室に木霊するのである。一九四五年から六十年間……何人もの総理
大臣が兵隊の幽霊に悩まされた。新しい首相官邸が建設され、しばらく兵隊の幽霊は出な
くなったのだが、「おまえを殺してやる」声のみの幽霊が最近出るようになった。ついに
首相は最近、「おれは殺されるかもしれない」などと口走るようになってしまった。飯田
勲は声のみの幽霊に覚醒した。また……兵隊が出たか……そうため息をついた。飯田勲は
戸棚からスコッチを取り出した。そしてグラスにとくとくとついだ。自分でも飲みすぎだ
と思っている。からだも肥満度を増している。首相官邸を仕切る飯田勲は影の総理大臣と
命名されていた。酒の力をかりて眠らなくてはならない。しかしと飯田勲は思った。権力
の味は最高だな……手放すことはない……できるだけ権力の座を保守しなければなあ……
そのためにおれは横須賀のあの男を総理大臣の位置に押し上げた。永久権力は可能なのだ
ろうか? 飯田勲はスコッチを飲みながら仕掛けのアイデアを考えていた。

 デスクの上にはアンダーグランド小説が置いてあった。飯田勲は睡眠誘導のために読み
はじめた。自分と同じ名前が出てくるふざけた怪文書小説だった。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (6)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 飯田勲隊長は舞台袖から再開された結城純一郎総裁の演説をしばらくながめていた。防
衛隊員にあとをたのむと任せ、袖から楽屋口へ歩いていった。防衛隊の控え室には、政治
少年山口音矢が椅子に縛られていた。

「これから打ち合わせをする、ヤツは別の部屋に移動させ監視しておけ」

 隊長は防衛隊員に指示を出した。ふたりの防衛隊員が椅子に縛った音矢を持ち上げ、部
屋から移動する。

 控え室にはそれぞれの防衛部署からキャップが続々と集結してきた。防衛隊員の制服の
ズボンとジャンパーは黒色だった。布の素材は機動隊の制服と同じ仕様だった。それぞれ
が黒い野球帽をかぶっていた。上から下まで黒衣装だった。情報チームのキャップが切り
出した。

「靖国神社境内には続々と旧右翼が集結しています。国家生活党大会撲滅集会が午後一時
から開催されています。主催は旧右翼の連合ですが、自民党青年部の杉山大蔵が連帯あい
さつで来ております。旧右翼連合による集会開催は、自民党幹事長の武部勤による策略で
あることは間違いありません。自民党は旧右翼を使い国家生活党大会が中止に追い込まれ
るよう画策しております。午後四時からデモ隊が出発します。コースは靖国通りから駿河
台に向かいお茶の水駅で流れ解散となっておりますが、旧右翼連合はわれわれの大会会場
である九段会館に突入してくると推測されます。すでに旧右翼の街宣車は三十台ほどが靖
国神社の門の前に並び、国家生活党を皆殺しにしろとマイクでがなり上げております。街
宣車の中には日本刀や長ドスなどが準備されております。武器に刃物を使用することは間
違いありません。街宣車もろとも九段会館に突入してくることは十分に予測できます。靖
国神社で定点観測しているルポからの報告によりますと、現在の集会参加者は約二千人、
デモ隊が出発する頃には三千人にふくれあがると推測されます。他方、左翼ですが駿河台
明治大学アカデミーコモンにおいて午後一時からファシズム国家生活党大会粉砕集会が開
催されています。ルポ報告によりますと全国大学全共闘、全国反戦青年委員会、全国反帝
高校生評議会による主催です。屋内アカデミーホールで一千名、屋外明大スクエア(広場)
にて一千名、合計数およそ二千人。デモ出発は午後五時です。コースは駿河台から靖国通
り、新宿駅解散です。新宿駅において暴動をたくらんでいると推測されます。左翼過激派
は靖国通りから九段会館に突入してくる推測されます。武器は火炎ビンを使用することは
間違いありません。集会参加者が占拠したアかデミーコスモの中に火炎ビンが入ったケー
ス箱が外から運ばれたのを定点ルポが望遠鏡で確認しました。旗竿部隊は五百人ほどです。
竹竿によって九段会館に突入してくると推測されます。鉄パイプで武装した決死隊の存在
はまだ未確認ですが、おそらく一〇号館か一四号館に待機しているのだと推測します。左
翼は格差社会と階級の固定化による下層国民の不満を暴動によって爆発させる戦術です。
国家生活党大会を実力で粉砕し、労働者階級のたぎる怒りを内乱へと転化せよと絶叫して
おります。以上」

 いよいよ首都決戦の激突がはじまると控え室には緊張が走った。

「武道館の現状を報告しろ」

 隊長は参謀で臣民軍担当の副隊長である世耕弘成参謀に促した。

「武道館は現在、ロックコンサートパーティを偽造し、武道館の中はロック音楽の大音量
がうなり国家生活党メディア音楽団員が舞台で演奏しております。全国から結集した国家
生活党臣民軍兵士はロックコンサートの観客を偽装し、一万名が武道館で待機しておりま
す。完璧なチェック体制により、敵のスパイや警視庁公安など、一匹として武道館へは潜
入させておりません。大会をなんとしても防衛するという戦闘意欲に兵士ひとりがひとり
が燃え上がっております。いつでも動けます」

「よし、臣民軍を午後三時に武道館から出発させろ。敵は靖国神社の旧右翼と駿河台の左
翼だ。一挙に壊滅しろ。わが党軍の戦略は大会を成功させることにある。戦術としては大
会防備でありながら、先制的に戦場を創出することにある。大会防衛でありながら先取り
として敵に攻撃を加える。戦場を敵味方彼我の関係において、わざとこちらから創出し、
最初から最後まで主導権を奪取する作戦だ。九段会館の外広場は旧右翼突入によって戦場
となるため、大会は武道館に移動する。九段会館での大会は結城純一郎総裁の大会議案基
調報告が午後三時半に終了予定となっている。ここで一旦大会を打ち切り、代議員一千名
は九段会館から武道館に向かってもらう。九段会館からの出発は午後三時五十分とする。
九段会館ホール裏の舞台搬入口から縦隊で党幹部と代議員は九段会館から脱出。九段会館
の裏から千代田区役所の裏を通過し、千代田公会堂の脇から内堀通りに出て、清水門から
北の丸公園に向かう。北の丸公園から党幹部と代議員が武道館の中に入る。党幹部と代議
員の隊列による移動行程の脇は防衛隊が固める。武道館での大会再開は午後六時とする。
それまで代議員には夕食をとってもらう。臣民軍、防衛隊、党幹部、代議員の夕食は、お
にぎりだが、国家婦人同盟が武道館に届けてくれる。夜の部は都道府県本部と各支部から
選出された代議員の発言となる。明日の予定だが武道館において午前の部は引き続き代議
員発言。午後の部は午後三時まで代議員発言。その後、大会報告の採択。そして中央幹部
委員の選出となる。午後五時が大会終了予定。今日と明日が大会防衛の決戦だ。臣民軍は
三個師団とする。第一師団は靖国方面隊、四千の部隊で靖国神社の旧右翼に襲い掛かれ。
火炎ビンを武器につかうと靖国神社を燃やしてしまう危険性がある。武器はゴキブリ退治
のバルサンをつかえ。目潰しの煙を一斉に投げ込みナチス棒と鉄管で殲滅しろ。デモ隊の
先頭を九段会館への突入へとおびき寄せ一挙に襲え。戦場は靖国神社境内と九段坂靖国通
りだ。左翼の定点観測ルポも靖国神社にいるはずだ。わが臣民軍が旧右翼部隊を壊滅すれ
ば、その情報はすぐさま明治大学で集会を開いている左翼どもに伝わるはずだ。第二師団
は駿河台方面隊。四千の部隊で明治大学から出発する左翼デモ隊に襲い掛かれ。戦場は明
大アカデミーコモス前の明大広場と駿河台明大通りの坂だ。左翼は火炎ビンを武器として
使用するだろう。高圧水銃のドラゴンを出動させ、水攻めにしろ。敵は烏合の衆として逃
げ惑う。そこを襲い掛かれ。駿河台で壊滅しろ。靖国通り、駿河台明大通りも車の交通が
激しい道路だ。車の往来をスットプして戦場に転化しろ。第三師団は武道館防衛隊。二千
で武道館防衛に従事しろ。武道館から靖国方面隊と駿河台方面隊を送り出した後の武道館
防衛の指揮は、防衛副隊長である世耕弘成参謀がする。大会防衛隊が九段会館から党幹部
と代議員を無事、武道館まで移動させる間が防衛の勝負だ。靖国方面部隊は旧右翼を殲滅
した後、武道館にすぐさま帰還し、世耕弘成副隊長の指揮下に入り武道館防衛体制に従事
しろ。駿河台方面部隊は駿河台で決着がついたら武道館へと撤収を開始しろ。警視庁機動
隊が騒乱罪を適用し、武道館を包囲するだろうが、ここで長期持久戦として対峙しろ。こ
の戦争は臣民軍の長征への出発としてある。思想戦争として戦え。ふたつの戦場での勝利
をもって、われわれは日本臣民軍創設に向けて、自衛隊に乗り込む。自衛隊を日本臣民軍
として再編するためである。今日の戦争は国家生活党臣民軍から日本臣民軍への飛躍をか
けた戦争であることを肝に銘じよ。イデオロギー戦争としての実践訓練だと思え」

 隊長はもはや将軍であると防衛隊のキャップたちは思った。ふたつの戦場、首都決戦に
誰もが武者ぶるいした。膝がガクガクと自動的に動いている。大会を成功させ、同時一体
として、ふたつの戦場で勝利する。今日の戦争の後も警視庁機動隊との長期持久戦の対峙
は、突撃隊である国家青年同盟が占拠する自民党本部ビルと武道館というふたつの場所と
なる。指導主体が問われていた。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (7)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 将軍である飯田勲隊長はさらに防衛軍事方針を伝えた。

「地下にもぐった合衆国統一党に不気味な動きがある。有力な情報によると、やつらは在
日米軍と結託し、九段会館にテロ攻撃を仕掛けてくるらしい。その内容は米国大統領府が
ニューヨーク国際貿易センターのツインタワーを遠隔操作による無人飛行機で激突させ、
それと同時にビル内に仕掛けた高熱爆弾を爆発させツインタワーを崩壊した戦術。油断す
るな。帝都東京の制空権は安保条約が破棄されたが今だ在日米軍にある。自衛隊がわれわ
れの軍であるなら、上空の防衛は貫徹できるのであるが、自衛隊を米軍の下請け機関から
日本独立軍への再編止揚は途上にあるところだ。九段会館、武道館の防衛は何よりも上空
に注意しろ。向かってくる飛行機を発見したら、すぐさま党幹部と代議員を外に非難させ
ろ。米軍は、わが党軍戦士による在日米軍基地破壊炎上同時多発ゲリラ攻撃の復讐戦を必
ず行うはずだ。アングロ・サクソンを甘くみるとわれわれは撃破されてしまう。かと言っ
て再び米国の植民地に戻ることはできない。国家生活党が壊滅されても日本独立はなしと
げるしかない。大会が成功するのか、それとも失敗するのか、日本独立を宣言する国家生
活党大会を全世界が注目している。国家生活党大会が成功すれば、それに勇気付けられア
メリカ合衆国内の国家生活主義者が、米国大統領府自らが911テロを策動した究極の大
陰謀を暴露する。アメリカ合衆国内部からの告発が勃発すれは、ヨーロッパの国家生活主
義者が911テロとは国際金融動物とアメリカ合衆国影の政府と米国大統領府によるプロ
グラム起動であったことを情報戦として暴露していくだろう。国家生活党大会が失敗すれ
ば911テロの真相追究はアンダーグランドに閉じこめられてしまう。国際金融動物は国
家を破壊し、グローバル金融資本主義によるワン・ワールドたる単一世界政府をつくろう
としている。やつらにとって国家とは生活の母体ではなく、為替相場の投機対象でしかな
い。全世界でナショナルなオリジナリティある国家生活主義者が胎動することをやつらは
マスゴミを使って阻止している。やつらは国家と庶民の自立的な生活基盤を破壊しながら
世界金融市場の奴隷へと国家を落とし込めてきた。ゆえに国際金融動物は合衆国統一党総
裁の竹中平蔵を全面的に支援している。わが防衛隊は竹中平蔵による国家生活党大会への
テロ攻撃を断固として粉砕する。合言葉は、やられる前にやりかえせだ。地下にもぐった
竹中平蔵を、現在、国家生活党の秘密軍司部門が必死になって探索している。防衛隊の諸
君は武装的身体を全面的に発動し、最後まで大会防衛に従事してほしい。戦争の基本は何
度も言うが防備である。敵の攻撃を失敗させる武装的構えを思想として内固めてほしい。
以上」

 飯田勲隊長から防衛軍司方針を聞くと黒い衣装の防衛隊キャップたちは、控え室からそ
れぞれの部署へと戻っていった。副隊長の世耕弘成参謀は兵站部に武器の準備を携帯電話
の暗号メールで送信すると、武道館で待機している臣民軍兵士に指示を伝達すべく、すぐ
さまオートバイで武道館へと走っていった。携帯電話は皇居前の警視庁高層ビルにある電
波盗聴システムによってスキャンされている可能性があった。臣民軍には口頭で伝達する
のが安全だった。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (8)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 フジテレビ報道クルーキャプテンの中村は、警視庁機動隊から次の展開の情報を仕込み、
伊藤ゆかりとカメラマン小泉たちスタッフが陣取るクルー場所へ戻ってきた。

「どうだったぞな、もし」

 カメラマン小泉が中村に聞いた。

「他社に聞かれとまずいから、報道車のなかで話そうや……」

 そう中村がうながした。フジテレビ報道車は小型のバスを改良してあり、まるで編集ル
ームのようでもあった。カメラから送信される何台ものモニターが特殊仕様枠に設置され
てあった。

 報道クルーの打ち合わせが始まった。

「次の事件は外で起きる。靖国神社で集会を開いている旧右翼過激派と、明治大学で集会
を開いている左翼過激派がこの九段会館に突入してくるそうだ。おそらく阿鼻狂乱の修羅
場になるだろうな。旧右翼のデモ出発は午後四時、左翼のデモ出発は午後五時、夕方の報
道番組で実況中継ができるぜ。テレビ朝日の原田総一郎もわざわざ現場からの報道と称し
て、来るとのことだからやつらに負けねぇように迫力ある映像を切り取っていかねぇとな。
本社に今、手配したところだよ、もっと九段と靖国、駿河台に人数を派遣してくれってな
あ。くれぐれも衝突は安全地帯から望遠カメラで撮れよ。ケガしないように頼むぜ、クル
ーから労災を出すと、部長が不機嫌になるからな」

 中村は坊ちゃん顔で話した。それがニヤリと笑うとキモイと伊藤ゆかりは思った。

 どうせ危険なところは労災を適用しなくていい下請けの協力会社スッタフが撮るんだん
べよ。おれたちフジテレビの社員は高給とりのエリートだけん、いつでも安全地帯だんべ
よ。そのようにカメラマン小泉は社員意識で思った。彼らはいつでも世間を笑いながら見
下ろしているマスゴミだった。映像を切り取る社会とはカメラマン小泉にとって、ただの
無機質な物質にしか見えなかった。

 すでに報道車のモニターには靖国神社と明治公園からの映像が送信されてきていた。
「それから、おもしろい情報を、国家生活党防衛隊長の飯田さんがリークしてくれたよ」

 中村は話を続けた。

「なにか、あるんだんべかな、もし」とカメラマン小泉が髪をかきあげ身を乗り出した。
彼はナルシストだった。

ああ、まあな。と中村がしゃべりだした。

「どうやら・・・大会に参加している、群馬県本部代議員の山本太一と東京都本部代議員
の池子百合子が自民党のスパイだって話なんだよ。山本太一と池子百合子はスパイ摘発と
して大会でさらし者にされるそうなんだ」

「山本太一って、あの変態みたいな顔で目が三角のお坊ちゃま?」

 伊藤ゆかりが聞いた。

「その男だんべな、もし」とカメラマン小泉が割り込んで答えた。

「でも池子百合子が自民党のスパイなんて信じられない。彼女の経歴は確かに、日本新党
から新進党へ、そして保守党へ、それから自民党へ、そして国家生活党へ移ってきた渡り
鳥だけど、そのつど前の政党とはきっぱり決別してきたんでしょ」

 伊藤ゆかりが突っ込んだ。

「まぁ、いくら飯田さんからのありがたいリークとはいえ、おれはスパイ摘発によるさら
し者つるし上げは絵にならないと思っているんだ。視聴者は政治の汚いものをあえて見た
くないからね」

 中村が断言した。

「そうかな? 女性受けすると思うよ。自民党政権で環境庁長官までやったエリートの池
子百合子がスパイとして大会で糾弾され、つるし上げられるなんて、最高の絵になるわよ。
女の視聴者は残酷なものが好きなのよ。中村さんの判断はおかしいわよ」

 伊藤ゆかりが反論した。

「まあ、一応、会場の中にいる報道2001の白岩さんには携帯メールでリーク情報を知
らせておくよ」

 報道クルーキャプテンの中村が、女はがんばるからにがてだよと思ったとき、首にぶら
下げていた携帯電話が着信バイブレーションに震えた。大会防衛隊長の飯田勲からのメー
ルだった。内容は山本太一と池子百合子の糾弾は中止になったとの情報リークだった。
「今、飯田さんからメールがきたよ、スパイ摘発つるし上げは中止になったとのことだ。
大会防衛が緊迫していて、それどころではないんだろう」

 キャプテン中村が報道クルーに伝達した。情報の共有化だった。

「つまんなーーーい」

 伊藤ゆかりが落胆の声をだした。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (9)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 九段会館ホールでは一千名の代議員が客席に座り、満腔一年国家生活党大会が続行され
ていた。会場の外と中は黒い衣装の防衛隊が緊張した身体で働いていたが、舞台裏方の仕
事は代議員にとって不可視の領域であった。代議員の仕事は結城純一郎総裁による運動方
針を、最後に党員章たる登録カードを手に持ち天に向かって大きく片手を上げ満場一致で
採択することだった。

 結城純一郎総裁は次に、国家生活党のヒューマン・ヒューマノイドシステムメディア高
度管理情報化社会への道、その運動方針を報告した。


 五万年におよぶ人類の歴史のなかで、情報をいかに管理把握し、蓄積、伝達するかは社
会、経済、文化のあらゆる面において、人類発展の鍵であった。印刷術の発明とこれに次
ぐ電信、電話、放送の発明と普及をもたらした近代情報通信技術は二十世紀後半に入って
飛躍的な進展を遂げた。一九九五年からのインターネットの世界的普及、そして携帯電話
の爆発的普及は社会的にも、経済的、文化的にも世界を大きく変貌させ、IT革命は現代
社会を「揺らぎ」「不均衡」衝動性に満ちた恐怖社会へと転換してしまった。全世界のデ
ジタル化では諸国家諸国民が丸裸にされ、データー化されてしまうことである。情報はい
とも簡単に操作され、メディア・レイプとして諸国家諸国民は、世界のデジタルメディア
を握る国際金融動物によって流動化されてしまう、これが高度管理情報全体の地球デジタ
ル化である。すでに諸国家諸国民は国際金融動物の情報人質とされその人生と生死は、投
機の対象へと生成されている、これが恐怖現代社会としての二十一世紀である。

 われわれが現在直面しているこの社会変革は高度管理情報化社会への道であり、その情
報テクノロジーは、産業構造や企業活動のみならず、家族形態や居住形態といった生活様
式、臣民のセックス価値観そして地方の役割をも、大きく変えようとするわが国全体の歴
史的展開であり、人類史上においてもまれにみる深さと広がりをもった大変革である。

 わが党のヒューマノイドシステムメディア戦略は巨獣である国際金融動物の餌食にされ
るのではなく、民族遺伝子に立脚した独自なデジタル情報戦略を立ち上げようとする政策
である。

 同士諸君。自民党と財界による電子政府樹立、国家戦略メディア政策が臣民の無関心に
あって破綻したことは知ってのとおりである。わが党は彼らの失敗を教訓化せねばならな
い。彼らの電子政府樹立、国家戦略メディアは何故、敗北したのであろうか? ヒューマ
ンウェアを忘れていたからである。「人間こそがメディアである」この基軸を忘れ、ハー
ドという物神に呪縛されていたからである。

 わが党はヒューマンを基本に置き、高齢全体社会のためにのシステムメディアを提唱す
る。人間の外側に真理と運動はない、人間の内側から発展するというヒューマンを基軸に
して、インターネット、デジタル・アナログ大容量通信、VAN、CATV、衛星通信等、
高度管理情報社会、高齢全体社会デジタル列島をもたらす高度IT技術や、一体化となっ
た国家社会主義システムメディアを、あらゆる最末端まで回路で接続する。

 情報と知識という無限の潜在的能力をあらゆる方向で十分に発揮させることのできる全
体社会を能動的に建設していかねばならない。その全体とは人間の身体であり、動脈と静
脈、脈管、毛細血管、そう血管こそ情報通信の回路であるという概念であり、これこそが
ヒューマン・ヒューマノイドシステムメディアの基本観点である。

 【国家社会主義建設のインフラストラクチャー、ヒューマノイドシステムメディア発展
の推進】

 高齢全体社会とはインフラが最末端まで軍事化された社会であり、その形成を図るため
には、そのインフラともいうべき通信システムの高度化を推進することが必要である。
同士諸君。これは重要課題である。世界経済の競争に敗北しないためにも、ヒューマノイ
ドシステムメディアは推進されなくてはならない。米国の経済には勝てないが、しかし負
けないという不退転の決意で推進しよう。(拍手)

 システムメディアの全体化においては領土が巨大なアメリカ、ロシア、中国といった大
国よりも、領土の規模がちいさい国家で発展する要素がある。領土大国はつねに分裂、分
解という危険要素がある。領土の統治のみに壮大なエネルギーを消費してしまう。最末端
まで接続していく国家社会主義のシステムメディアは領土がちいさい方が全体化のスピー
ドが速く実現力が高いのである。二十一世紀の競争はもはや、領土が巨大だから有利とは
いえない。二十一世紀は情報と知識と全体化による競争原理だからである。身の丈にあっ
た人間の想像力が及び範囲の国土こそ、自由自在を獲得して、二十一世紀の基軸である、
「揺らぎ」「不均衡」「衝動」に対応していける。日本文明とは古代以来、官僚による造
成思想こそが基軸であった。システムメディアで臣民に奉仕する官僚制度を再建できるな
らば、日本文明は情報革命と知識革命において国際社会において生存できる。米国の植民
地政策により、日本文明は全的滅亡を遂げたが、そこから不死鳥のごとくよみがえること
が可能なのは、ただ国家社会主義のみである。(拍手)

 日本列島この美しい国土を造成思想で、どこまでも国家社会主義化していくことが日本
再建の道である。(拍手)

 国際金融動物という巨獣から身を守るためには、何をなすべきか? この問題意識で、
システムメディアを発展させよう。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (10)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 【ヒューマノイド通信システムの高度化】

 通信システムは、高齢全体社会のインフラストラクチャーとしてきわめて大きな役割を
果たすものであり、ヒューマノイド研究の成果と通信システムの統合は重要である。家庭
に普及させるヒューマノイドロボットがインターネットにも接続しているということは、
携帯電話で遠距離であってもロボットと対話が可能になる。家庭におけるロボットの仕事
を臣民は職場から携帯電話テレビで見られ、ロボットに次の仕事を指示することができる。
そのデジタル統合化、ヒューマノイド大容量通信処理機能、ヒューマノイド大容量データ
処理機能の高速化、端末のインテリジュント化等を積極的に推進していく必要がある。

 将来的にはコンピュータ回路と人間の脳回路との接続、ヒューノイド(ロボット)回路
と人間の脳回路の接続、インターネットと人間の脳回路の接続は、電気・電子回路の対話
を飛躍的に拡張し、全面的にシステムメディアを身体化していくことになる。システムメ
ディアは1秒ごとに人間身体から学習し、器としての身体へと変容する。動脈と静脈、脈
管、毛細血管、血管こそ情報通信の回路であるという、人間と機械が一体化となった電子
回路概念が現実化する。これがヒューマノイド通信システムの高度化である。国家生活党
は人間活動を支える機械生命情報体を誕生させるであろう。

 推進に当たっては、その社会的影響の大きさ、投資額の大きさから経済社会の発展動向、
多様な臣民ニーズの動向を踏まえ、十分な臣民的コンセンサスの下に臣民の創意工夫を生
かしながらこれに当たるべきである。

    【長期計画の策定とこれに対する支援】

 国家生活党政府はヒューマノイド通信システムの高度化のため指標となるべき長期計画
を策定するとともに、長期計画に沿った事業およびそのためにの研究開発に対する金融、
税制面の支援について積極的に推進していく必要がある。

    【国家社会主義原理の導入】

 高齢全体社会の形成に向けて臣民のニーズの多様化、高度化とシステムメディアの出現
に対応し、分散化の弊害を除去して臣民の活力を導入するため、多元的なヒューマノイド
通信事業体によるサービスの提供が要請されている。

 このため、国家生活党政府は、通信分野へ国家社会主義原理を全面的に導入し、これを
有効に機能させるための措置を講ずることにより、臣民NGO企業の新規参入を積極的に
推進するとともに、競争原理と国家社会主義の調和を図るべく臣民生活に必需のサービス
の確保、通信の神秘的秘密確保課題に的確かつ柔軟に対応し、事業の適正かつ効率的な運
営が図られるよう総合的な調整機能を果たす必要がある。

    【ヒューマノイド情報通信産業の充実、強化】

 高齢全体社会における社会経済全般の広範なニーズに対応し、新しいサービスを広く臣
民に提供するとともに、わが国がヒューマノイド技術立国として食料生産農本主義を守り
ながら、世界的な金融国家社会主義の流れに伍していくため、ヒューマノイド情報通信産
業の充実、強化は必要である。

 【① ヒューマノイド情報通信産業の抜本的支援制度の確立および法制度の整備】
 高齢全体社会の担い手たるヒューマノイド情報通信産業に対し、資金供給の円滑化のた
めの金融、税制面の措置を積極的に推進していくとともに、財政面でも抜本的支援制度を
新しく確立する必要がある。

 また、システムメディアの出現と高齢軍事社会の構築に備え、ヒューマノイド通信分野
における複数の臣民NGO通信事業者の出現を可能とするとともに、ヒューマノイド通信
システムの高度化を可能とする新しい法制度の整備を図る必要がある。ヒューマノイド通
信事業の成功のためには電力がもちろん必要である。原油の高騰や、原子発電所の高齢化
による劣化によってこれまでの火力発電所、原子発電所は今後、コストばかりかかり二十
一世紀にはもはや対応できないことは必然である。

 国家生活党は臣民自らが電力を生産すうという自家発電の支援と法整備の確立を急いで
いる。列島のあらゆる場所に風力で発電できる風力装置を設置、臣民の家の屋根には太陽
電気発電装置を設置する支援制度の確立と法整備の確立は重要である。臣民総エネルギー
自家発電の体系を構築してこそ、ヒューマノイド通信産業は成立できる。

 国際金融動物が独占する石油独占価格操作体系から独立するためには、臣民ひとりひと
りがエネルギー電力を生み出すという臣民高炉でもある。創意工夫こそが臣民刻苦奮闘の
要素である。国際金融動物によるエネルギー体系から独立する日本を、敵は世界メディア
をつかって日本を攻撃するであろう。しかしわが国は動揺せず、徳川幕藩体制が三百年
にわたって実現した鎖国政策から学び、自給自足のエネルギー体系を実現しようではない
か。(拍手)

 あらゆる場所に風力装置を! すべての屋根に太陽電力装置を! これこそ臣民必勝不
敗のエネルギー武徳思想である。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (11)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 【② ヒューマノイドシステムメディアの振興】

 人間と機械が合体したヒューマノイドインターネット、VAN、CATV等、各種のシ
ステムメディアの事業分野や役割分担について、その方向性を明示するとともに、臣民の
創意工夫を活用したソフトの充実とは、臣民が独自なソフトウエアを造成できるという、
新たな水田稲作開墾でもある。わが党の生涯教育制度とは臣民がソフトウエアをつくれる
まで能力を高めていく必要がある。ソフトウエアこそは21世紀の米となるであろう。わ
が国のシステムメディアは早急に国際金融動物の兄弟、マイクロソフトから脱却し独立せ
ねばならない。

 地域ニーズの即応したヒューマノイドシステムメディアの導入による、臣民総ソフト生
産という未来型コミュニケーションモデル都市、テレトヒューマノイドピア構想の積極的
推進を図ることにより、臣民ひとりひとりが創意工夫でソフトをつくるヒューマノイドシ
ステムメディアの普及、発展を図る必要がある。これと合わせて、ソフトデータベース流
通システムの構築はクリアリングセンターの設置として、データベースの充実を図る。こ
の国家社会主義革命によって、一挙にわが国はこれまでの米国と国際金融動物による情報
独占を打破しなくてはならない。

 米国の政治的地位はイラク侵略戦争の失敗で後退したが、米国メジャー企業、多国籍企
業、軍産複合体企業は強靭であり、いまなお米国は世界情報独占国家である。わが国は世
界反米国家の協力のもと、反米協力機構の設立として国際会議を熊野において開催した。
熊野協力機構が全世界の反米国家と反米団体によって設立されたのである。

 わが党は世界反米国家と反米団体の協力のもと、国際的な多様性ある個別と独自に満ち
た情報源を熊野協力機構に集中確保するために、データベース海外流通促進など、データ
ベース振興のために措置を講じていく必要がある。ソフトウエアを臣民ひとりひとりが開
発できるソフトデーターベース基盤づくりのために、インドの情報技術者を大量にわが国
は受け入れている。合言葉はインドに学べ!である。デジタルの起源こそインドが産んだ
曼荼羅宇宙数理である。

 同士諸君。われわれのヒューマノイドシステムメディアは、無惨にも破綻した自民と財
界による電子政府樹立、国家戦略メディア政策とは根本的に違う。ヒューマノイドシステ
ムメディアの基本開発は、何よりもヒューマンという人間の開発と開墾にあるのである。
人間の身体潜在能力開発なしには、われわれ自身がヒューマノイドシステムメディアの奴
隷になってしまうであろう。ヒューマノイドシステムメディアは毎秒、人間身体から学習
し、その中心は臣民ひとりひとりのヒューマンウエアである。国家生活において臣民ひと
りひとりの身体の脳回路はインターネット接続を得て、全システムに接続されており、臣
民の情感、思考、空想、想像、イメージ、アイデアは、家庭に普及したロボットとの対話
により瞬時にデータベースに記録される。人間の資源から水ももらさず、栄養がヒューマ
ノイドに注入されていく。こうして高齢軍事社会に向けたヒューマノイドとシステムメデ
ィアは臣民によって完成させることができるのである。巨獣である国際金融動物から国家
と臣民の身を守るためには、臣民ひとりひとりが情報の武装を遂げる必要がある。わが国
が国際金融動物の食材となるのではなく、情報武装の基本である防備をなしとげるために
は、ヒューマンとヒューマノイドの合体シシテムの完備が必要であり、これこそが高齢軍
事社会の概念である。

 米国と国際金融動物による六十年間にわたる植民地政策によって、日本文明は全的滅亡
を遂げたが、不死鳥のごとく復活した。独立を維持するためには臣民自らが間へと脱
皮をとげ、ヒューマンからヒューマノイドへと偉大なる進化と変貌への道を歩きはじめる
必要がある。「揺らぎ」「不均衡」「衝動」の二十一世紀を生存するためには民族もろと
もヒューマノイドへと文字どおり転換を果たすことである。

 人類と機械生命との合体、これがヒューマン・ヒューマノイド国家生活の期待される臣
民像である。わが国はこのシステムメディアの完成によって、世界の最先端を走る。高齢
軍事社会とはわが日本民族が機械生命との合体へと向かう過度期としての誕生期でもある。
どの民族がどの部族がいち早くヒューマノイドへと進化できるのか、二十一世紀の競争原
理がここにある。成熟した日本文明の高齢期において、わが民族は古い人間像から脱皮を
とげる。そして再び文明の幼少期をヒューマノイドとして構築していく。最末端まで軍事
化された社会とは脱皮をとげるための安全保障である。最末端まで軍事化されなければ、
わが国は再び米国と国際金融動物の工作によって全的滅亡をとげてしまうだろう。敵の魔
手から日本を防衛し、安全にヒューマンからヒューマノイドへと脱皮するために、日本列
島を高齢軍事社会によって、米国と国際金融動物による帝国の逆襲から防衛鎖国化するの
である。

 次に結城純一郎総裁は国家社会主義建設の基軸となるヒューマノイド社会形成に向けた
運動方針を述べた。

    【国家社会主義ヒューマノイド社会形成に向けての基盤整備】

 ヒューマノイド社会の形成に当たっては、ソフト、ヒューマンウェアの開発とともに、
通信の全体化、情報産業の充実強化とともに、これを支える基盤となる条件を整備する必
要がある。ブロードバンド大容量通信の軍事化、情報通信産業の充実強化とともに、これ
を支える基盤となる条件を整備する必要がある。

 【① 標準化の推進】

 ヒューマノイドシステムの異なる端末装置や各種システム相互間の円滑な通信を確保し、
インタフェイスの統一化、明確化による資源や人間想像力の効率的利用の促進を図るため、
ネットワークと端末装置、各種システムとのインタフェイス、端末装置、各種システム相
互間のヒューマノイド通信手順、異なるヒューマノイドネットワークを接続する場合のイ
ンタフェイスについての標準化を図る必要がある。家庭に普及した多用なヒューマノイド
ロボットがそれぞれ通信対話できる通信手順の開発によって、高齢軍事社会は規格化され
標準化され、ヒューマノイド文明の幼年期を安全に形成できる。

 【② ヒューマノイド通信システムへの犯罪、革命防止、安全性、信頼性対策の確立】

 高齢軍事社会においては、ヒューマノイド通信システムの機能停止がもたらす社会的混
乱は計りしれないものとなる。帝国の逆襲としてマイクロソフトは日々、ヒューマノイド
通信システムを破壊するウィルスソフトを開発している。またコンピュータとともに育っ
たオタク犯罪メディア少年による、ヒューマノイド通信システムへの介入、シシテム破壊
のウォーゲームに対処しなくてはならない。

 合衆国統一党は米国から、わが国のヒューマノイド通信システムに介入し、システム破
壊と国家情報を盗もうとしている。これを阻止しなくてはならない。われわれは何として
も列島に配線されたブロードバンド大容量ケーブル、電線、電話回線、光ハイブァーケー
ブル、ケーブルTV線を断固として防衛する必要がある。ゆえに社会は最末端まで軍事化
される必要がある。回路というハードを防衛しながら、ヒューマノイド通信システムは人
間身体から毎秒ごとに学習し、その学習能力は昆虫情報体や植物情報体の神秘的秘密を解
明していくだろう。地球生態系情報体のゲノム記号を解読し、その神秘的秘密記号を、ヒ
ューマノイド通信システムに位相転移する。草木ひとつひとつに神が宿るという日本民族
の伝統的な草木思想を植物情報体の解明として、ヒューマノイド通信システム記号手順へ
と転化していく。機械にも神が宿る、これが世界の最先端に位置するヒューマノイド情報
テクノロジーである。情報革命、知識革命によって、わが国は米国の五十一番目の州へと
日本を米国に合体する合衆国統一党の野望を打ち砕く。わが国が合体する相手は米国では
なく、機械生命体である。(拍手)

 高齢軍事社会は、臣民と機械生命体が合体をとげるため、基盤整備を促進する行政にお
けるマトリックスである。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (12)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
 【③ 研究開発の推進】

 ヒューマノイド通信関連技術開発の世界先導性、長期性、大規模性にかんがみ、伝送、
交換、ネットワーク、処理、端末、ヒューマノイド通信のあらゆる局面における研究開発
を能動的に推進していく必要がある。このため、①既存の通信事業体の活性化と臣民との
競争協調体制の確立による創造的自主技術開発の推進、基礎的研究開発部門における、ソ
フトウェア、ヒューマンウェア開発を基本としながら軍・産・学・官の共同研究開発の推
進、ヒューマノイド通信に関するデータベースの構築による研究開発体制の整備 ②技術
関連予算の充実や金融、税制措置による研究開発投資の充実 ③基礎的教育研究機関の充
実、熊野協力機構を中心とした世界の反米国家、反米団体、内外の研究機関相互間の人材
交流、ヒューマノイド通信関連技術に関する資格制度の設置による研究者、技術者および
コンサルタントの養成、確保の措置を講ずる必要がある。

 【豊かな高齢軍事社会に向けての基盤整備 ヒューマノイド情報化が開く豊かな未来】

 わが国は、今、満腔元年の新しい時代の扉をたたこうとしている。すなわちニーズの多
様化、高度化と産業の知識集約化の引き続き進展のなかで、とりわけヒューマノイドコン
ピュータの利用を図る情報処理技術と通信技術の飛躍的な技術革新を契機とする産業、社
会の革命的事態が進行しつつある。この変革は、まさに産業革命に匹敵すべき新しいヒュ
ーマノイド文明を創造することとなろう。

 だが同士諸君。この革命的事態をどこまでも領導できるのは、機械に神が宿るヒューマ
ンウェアをもつ、われわれの革命的情熱であるのだ。

 ヒューマノイド情報化の波は、拠点的展開から面的展開へと様相を変え、押し寄せてい
る。すなわち、大企業から中小企業へ、産業から社会や家庭へ、大都市から地方へと全国
津々浦々のあらゆる分野に浸透しつつある。ヒューマノイドシステムメディアの実用化は、
かかる全体化を一層促進するものと考えられる。

 このような全体化の進展が、もっとも発展が期待されるヒューマノイド情報産業の活力
ある成長をもたらすとともに、産業の生産性の向上、省資源、省エネルギーなどを通じ、
わが国産業経済の再発展を支えることはいうまでもない。ヒューマノイド的工場制度の確
立は、ロボットがロボットを生産するダイナミックな円環であり、金融が金融を呼び込み
金融を産む連鎖と同じである。国家社会主義経済とはヒューマノイド情報によって未来が
開かれる。

 そればかりか、教育、医療、防災、防犯などの社会問題の解決に寄与することはもちろ
ん、人間活動における労働や余暇のあり方を一変させ、われわれ個人の生活の飛躍的なヒ
ューマノイド的向上を実現することになる。このようななかで、われわれの価値観ひいて
は文化観もこれまでとは異なるものとなろう。だからこそわが党は、美しい伝統ある自然
造成思想で臣民を全体化する必要がある。工作の意思としてのヒューマンウェアの基礎は
ここにあり、さらに注目しなくてはならないのは、熊野協力機構を媒介にした国際的広が
りである。

 地球規模の情報ネットワークは、企業活動の国際的展開を一層促進し、また国家間の情
報戦争を増進することとなる。米国と国際金融動物の情報収奪から防衛するためには、わ
が国のヒューマノイド通信システムメディアは、インターネットに接続せす、インターネ
ット回路からはアクセスできないことが重要である。情報は地球規模の国際金融動物が支
配する情報ネットワークから切断されていてこそ、持続可能性を獲得できる。

 ヒューマノイド通信サーバーはインターネット情報体から非情報として切断されている
独立情報体である。マイクロソフトOS、インテルのCPUによる古いコンピュータから
はヒューマノイド通信には接続できない。わが国が開発したヒューマノイドコンピュータ
でしかヒューマノイド通信システムメディアには接続できない。回路は、インターネット
が使用していた電話回線、電線、TVケーブル、光ファイバーケーブルであるが、ハード
ウェアとソフトウェアは、すでにヒューマノイド通信へと変貌をとげつつある。日本列島
のヒューマノイド化がスピードをもって全体化しつつある。

(マイクロソフトサーバーにアクセスすると人間の記憶装置は初期化され、電磁波と周波
数によってユーザーはマインドコントロールされてしまう。サーバーに隠されたプログラ
ムがアクセスした固有コンピュータCPUに影響を与え、固有コンピュータの残記憶装置
容量を作業メモリーへと転化させる。ユーザーにはけして見えない不可視の領域が生成さ
れる)

 かかる革命的事態が地球規模で進行している今日、臣民の負託を受けたわが国家生活党
は、二十一世紀を領導し、子々孫々まで繁栄することができるヒューマノイド通信システ
ムメディアの構築に向け、主体的な役割を果たしていく決意である。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (13)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
    【わが党がめざす高齢軍事社会】

 高齢軍事社会とは、「産業の全体化」「社会の全体化」「生活の全体化」が一体となっ
た高度なヒューマノイド情報システム社会である。高齢軍事社会では、さまざまな経済活
動、社会活動は非合理にシステム化される。効率と合理の追求によって近代は破綻した。
国家社会主義建設へのパワーこそ非合理の情念である。非合理システムによって、その金
融、産業構造、社会生活はより高度なものとなる。

 また、金融情報を一方的に受けとるだけでなく、主体的に必要な金融情報を入手し、利
用し、伝え合うことによって誰もが豊かなヒューマノイド生活を享受できることになる。
情報の前衛とは金融情報である。わが国は、人間身体情報体、昆虫情報体植物情報体、多
種多様動物身体情報体、魚類身体情報体、地球生態系情報体を統括し総合し、ヒューマノ
イド情報システムとして構築していく。いずれわが国のヒューマノイド情報体は、ロンド
ン、ニューヨークの金融・為替・株式相場市場に介入していくだろう。国際金融動物のコ
ンピュータによる金融工学システムへ、わが国のヒューマノイド情報体はアッタクを開始
する。まさに次世代情報体開発をめぐる金融相場戦争となるであろう。国際金融動物に勝
利するためには、臣民ひとりひとりがヒューマノイドへと進化することである。国際金融
動物といっても、それは間の動物である巨獣に過ぎない。われわれは動物よりも闘争
心に満ち溢れまた非情に徹するヒューマノイドへと進化するのである。

 わが党がめざす高齢軍事社会とは、自給自足の農本主義を守りながら、いわば「生き生
きとした経済活動に支えられた個性あるヒューマノイド性豊かな社会」である。国際的金
融動物は、人間的苦悩と良心が消滅し、人類社会を二重構造でコントロールしてあははあ
ははと、おもしろおかしく豊かに生活している。快楽本能の充足こそ国際金融動物である。
これに対抗するわが国の高齢軍事社会は不快を原理原則としながら、いかなる不快の状態
でも生存するという意思がみなぎっている、強くたくましい国家社会主義建設の社会であ
る。国家生活党政府は臣民のヒューマノイド変貌促進のため、西洋文明の毒水である牛乳
を飲むことを禁止する法案を準備中である。牛乳に変わって臣民が飲むものは、ゴキブリ
と蜘蛛のエキスを混合した栄養飲料である。

 高齢軍事社会こそ、満腔維新、尊王攘夷を党是とするわが党がめざす活力とゆとりあふ
れた社会にほかならない。ヒューマノイド変貌の便益を臣民全体に均霑することにより、
経済の持続的発展と臣民生活の質的向上を実現し、さらには熊野協力機構を媒介にする反
米世界経済の発展に貢献することこそ、資源小国であるわが国が進むべき方向である。だ
が同士諸君。わが国には人間という資源がある。この最大活用こそ高齢軍事社会への基本
である。

    【高齢軍事社会の実現に向けて】

 高齢軍事社会の実現する上でわが党は、次のような課題に取り組んでいかなければなら
ない。

 第一に、人間資源活用とヒューマノイド技術開発の相互運用を推進する基盤の整備であ
る。今後ヒューマノイドシステムの進展に伴い、機器、ソフトウェアに対する需要はます
ます高度かつ多様化することが予想される。かかる需要に十分に応えるため、臣民による
技術開発の活力が最大限に発揮されるような基盤の整備に努めるとともに、推論想像力機
能をもつ第三世代ヒューマノイドコンピュータ知識イメージ情報処理のための技術開発な
ど、臣民では実施が困難なものについて、国が積極的な技術開発の推進を図っていかなけ
ればならない。

 今後とも政府予算の大幅拡充を図るなど技術開発の積極的な推進のために努力する所存
である。また、今後のヒューマノイドシステムメディア化、ヒューマノイドネットワーク
化の進展においては、ロボット機器相互間、システム相互間の接続や標準化を確保する必
要がある。ハードウェア、ソフトウェアの整備により、人間資源は最大限活用でき、人間
身体から毎秒ごとに学習している機械生命体と人間の合体により、断固としてヒューマノ
イド文明の幼年期に突入していこうではないか。(拍手)

 第二に、ヒューマノイド通信インフラストラクチャーの整備である。

 高齢軍事社会を実現し、ヒューマノイド産業の発展を図っていくためには、基盤となる
高速大容量のヒーマノイド通信網の整備が不可欠である。わが党は利用者ニーズを的確に
把握し、ヒューマノイド統合サービス網の国家社会主義による計画的整備を推進していく
のである。スローガンは「デジタルからヒューマノイドへ」となる。計画経済の東欧、ソ
連邦の社会主義は何故、破綻したのか、インフラストラクチャーが整備されていなかった
からである。

 第三は、高齢軍事社会にふさわしい制度の見直しと新たなルールづくりである。
 高齢軍事社会を目前にしながら、ヒューマノイド情報流通の媒体となる現在の通信回線
利用制度は、旧来のインターネット技術、電信、電話、TVケーブル、光ファイバーケー
ブルの技術、および旧来の米国一極型経済情勢を前提として組み立てられており、かかる
まではヒューマノイドコンピュータの高度な利用を中心とした情報化の飛躍的発展を期し
がたい。また旧来のままでは国際コンピュータ犯罪少年や、国家転覆をねらう合衆国統一
党、共産主義革命党などの破壊工作に利用される弱点がある。

 わが党は国家転覆防止からも、旧来の回線から昆虫植物情報体回線利用に転換し、高齢
軍事社会にふさわしい制度の見直しとルールづくりに能動的に取り組む所存である。昆虫
植物情報体回線概念とは、これまでの物理ケーブル回線概念とは全く別様な概念である。
地球生態系の自立意識、自意識に即した回線概念となる。どの部族、どの民族が地球で生
存できるのか? これが21世紀の選択であり、地球生態系回線を解読した部族と民族し
か、生存は不可能である。草木に神が宿るわが民族の伝統的な意識は、地球こそが神であ
るとする生死観がある。わが民族は地球との共存を求め、地球にとって害悪な米国支配者
と国際金融動物を地球から火星へと追い出すのである。超古代、地球の神と契約をしたわ
が民族に八百の神々は、昆虫植物情報体回線、地球生態系回線のアイデアを授けてくれた。
研究開発による実現は間近である。

 第四は、システムメディアをはじめとするヒューマノイド情報産業の育成、振興である。
ヒューマノイド化の急速な進展に伴い、ロボット機器、ソフトウェア、ヒューマンウェア、
ヒューマノイド情報に対するニーズは、急速に増大するとともに、高度化、多様化するこ
とが予想される。ヒューマノイド情報産業は、わが国の進展を支える産業であるのみなら
ず、わが国産業構造の高度化、知識集約化を実現する上での中核産業である。トヨタシス
テムといった旧来の車産業は、すでに原油枯渇、物質文明の終焉を象徴すべき没落産業と
なってしまった。わが国は大胆に間への道、ヒューマノイドの道へ邁進していこう。
(拍手)

 今後、世界的ヒューマノイドへの需要動向に遅滞なく対応しうるようソフトウェアの開
発、人間資源ヒューマンウェアの開発、流通基盤の整備、データベースの育成をはじめ、
産業基盤の整備を進めるとともに、ヒューマノイドシステムメディアの技術面、制度面の
制約を克服するため、実地に試行する地域軍事システムの構築(システムメディアコミュ
ニティ構想の推進)などその育成振興に努めていかなければならない。

 第五は、臣民的合意の形成である。

 ヒューマノイド社会への道は、臣民的コンセンサスによって選択されなければならない。
かかる観点から、わが党は、ヒューマノイド化の進展がもたらす金融、産業構造、産業組
織、就業構造への影響、社会の脆弱性の増大など、インパクトを正確に把握し、これを国
家生活党政府の産業政策、雇用政策に反映させてまいりたい。またヒューマノイドコンピ
ュータのセキュリティ対策に万全を期しこのような対策の推進を背景として、臣民のヒュ
ーマノイド化に対する正しい認識を涵養することによって、臣民的合意の形成に努めてま
いりたい。

 第六は国際的展開の推進である。

 ヒューマノイド情報国際流通の拡大は、企業活動の国際的展開、国家間の理解の増進を
深める一方、ヒューマノイド情報資源の差異や国際流通の不均衡など新たな問題を惹起す
るものである。貿易立国を国是とするわが国にとっては、米国と国際金融動物による経済
封鎖を突破して、円滑な国際流通を実現することが不可欠であり、国際的に提出可能なデ
ータベースの整備や国際ネットワークの構築を推進するとともに、地球規模機械生命の発
展に関連した産業協力や経済協力など国際交流を推進し、世界のヒューマノイド化に貢献
していかなければならない。

 わが党は、熊野協力機構を軸に国際的展開を協力に推進するため、政府とともに、米国
と国際金融動物による経済封鎖を突破し、わが国の国際的地位にふさわしい努力と格般の
対策を行う。農本政策を守りながら、ヒューマノイド科学技術立国を実現していくもので
ある。そして熊野協力機構を発展させ、国際ヒューマノイド連合の設立をここに提唱する。

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (14)

2006年09月09日 | 小説 小はん殺し結城純一郎の演説
     3

 広島六区で選挙運動を大展開中の江堀貴之は夜、東京に帰ってきた。六本木ヒルズのマ
ンションから東京が見える。待っていろ、いまにこの帝都と日本を征服してやる。野望に
萌えながら、貴之はウィスキーを飲んだ。貴之は日本中からホリホリモンと愛称で呼ばれ
ている。人間掘削機こそホリホリモンだった。ホリホリモンは昨年、日本野球機構へと掘
削機をかましたが、楽天にもっていかれてしまった。想定内だよ、とホリホリモンはマス
メディアに説明した。

 今年の早春に掘削機でぶちかましたのが、ニッポン放送への仕掛けだった。掘って掘っ
て堀続けろ。親会社のフジテレビが根をあげるまで、ぶちかませ! そうホリホリモンは
二十代の若手専務、熊谷史也に命令していた。人間掘削機ホリホリモンはライブ・デ・ド
アのオーナー社長でもあった。

 ホリホリモンの脳内からは興奮麻薬が分泌されていた。選挙運動ほど祭りの興奮度は抑
揚し、脳内から興奮麻薬が分泌しエネルギーが体に充満する。政治とは陰謀を仕掛ける企
業買収と同様に興奮する。癖になることは間違いなかった。ホリホリモンの選挙事務所は
尾道駅のそばにあった。握手をするたび、広島六区人からエネルギーを吸い取っていった。
政治とは人を騙す謀略だった。改革とはホリホリモンにとって買収だった。

 改革のロゴが白抜きされた黒いTシャッツ軍団に囲まれたホリホリモンは子供に人気が
あった。遠慮なくホリホリモンは子供の新鮮な未来エネルギーを握手で吸い取っていった。
特に小学生の未来エネルギーは元気がついた。

 ライブ・デ・ドアは東京を中心にしたマーケット戦略から、日本総体を射程に入れた戦
略に転換していた。日本を征し、世界に挑戦するゲームプレイヤーこそ、ライブ・デ・ド
アだった。そのとき、首相秘書官の飯田勲から、衆議院に出馬してみないか、と誘いがあ
った。ホリホリモンは面白いと判断した。さっそく、熊谷文也に命じて、選挙対策室を立
ち上げた。

 翌日、ホリホリモンは六本木ヒルズマンション住人の期日前投票所である、麻布区民セ
ンターに行って、生まれてはじめての投票をしてきた。マスメディア報道クルーが金魚の
うんこみたいに今朝もついてきた。

「比例区は公明党に投票してきました」そうホリホリモンはカメラの前で叫んだ。広島六
区で創価学会との選挙互助協定が成立したからであった。

 午後、ホリホリモンは有楽町にある日本外国特派員協会に向かった。記者会見が設定さ
れていた。会場には、三十人ほどの外国人記者が待ち構えていた。

ーーー自民党の結城純一郎首相をどう思いますか? ロイター通信の記者が質問してきた。
「自民党から出てきた“突然変異”ですね」

 ホリホリモンが答えると、会場から笑い声が起きた。

「あの人は自民党を上からクーデターで新しい党に作り変えてしまったんですよ。彼の独
裁が勝ったと思う」

 ホリホリモンはそう説明した。

ーーー広島六区で争っている亀田さんをどう評価していますか?

「あの人は共産主義者ですよ。亀田さんは旧来のばらまき型政治の象徴。そんな亀田さん
を選んでどうするんですか。今の日本は破産寸前。それを助長している象徴は亀田さん。
白黒はっきりさせたい。郵政民営化反対派は壊滅しますよ」

 ホリホリモンはキッパリと宣言した。

ーーー皇室も民営化すべきだとお考えですか?

「天皇制は象徴ですけど、権力もないし、それほど前面にもでてこないし、憲法が、天皇
は日本の象徴である、というところから始まるのには違和感がありますね。歴代の首相や
内閣が、象徴天皇制を、何も変えようとしないのは多分、右翼の人たちが怖いからじゃ、
ないですか。日本の国家体制は大統領制にした方がいい。特にインターネットが普及して
世の中の変化のスピードが速くなっている。リーダーが強力な権力を持っていないと、対
応していけないのが二十一世紀ですよ。日本を変えようと思ったら、自分が大統領になる
のが一番の近道です。国民が直接選挙で選べる制度に変えていかないといけない。大統領
制にした方がいい。日本の議院内閣制には問題がありますね。政治家に優秀な人材が入っ
てこない。世界的に優秀な政治家が出てこない。そういう状況を私は変えたいんです」

 ホリホリモン節はとどまるところを知らなかった。

 外国特派員協会による記者会見が終了し、ホリホリモンは東京駅から広島行きの新幹線
に乗った。なにもかもが古い体制のままだ、何も更新されずによどみながら腐ろうとして
いる、ホリホリモンの感覚スピードから見ると日本はどうしよもなく、腐食に安住してい
た。亀田をなんとしても落としてやる、決意がみなぎった。ホリホリモンはどこでも眠れ
る体質だった。JRの列車弁当を食べると、そのまま眠りについた。名古屋駅で目を覚ま
してしまった。ホリホリモンはウィスキーを飲みながら、バックから本を取り出した。睡
眠誘導のために読み出したのは、アンダーグランド小説だった。それは自分の名前が出て
いるふざけた怪文書小説だった。