どこか遠くでフッチボル

鹿島サポだが裏の顔は日本代表サポ組織「食う軍」の司令。徒然なるままボソボソと。

旅。初めての夜/3月28日

2004-09-03 | TROUBLE TRAVEL
友人宅を出て数時間。
箱根のワインディングを楽しみにしていたのだが、大型車に前方を走られ、ペースが一向に上がらなかった。
満載の荷物もコーナーの切替しにきつい。
山を下り沼津の町が見えて来た時には正直安堵した。

時間は既に3時を回っている。
野宿する場所を決めなければいけない時間だ。
雨の心配はないので、どこででも寝る事は出来る。
海岸に出ようか・・・。
何とかなるさの気持ちで、海岸の道にコースを変えてみた。

見つからない・・・。
どこでも寝る事が出来るとたかを括っていたが、以外にテントを自由に張る事が出来る場所がみつからない。
清水市をすでに過ぎ、御前崎近くの海岸通を走っていた。
車と人が多すぎる場所はとても寝る事なんて出来やしない。
かと言って、海岸沿いにある駐車場は、見るからに危険な連中がたむろしていた。

5時を過ぎた。
暗闇が迫ってくる。
あせる。

左手に見えるはずの海は、砂の丘に遮られて見る事が出来ない。
ええいっ・・・。
思い切って、海岸に出てみることにした。
すると、なんとかテントを張る事が出来る松林を発見。
選んでいる余裕もなく。今夜の野宿場所を決めた。

実は積んできたテントはまだ張った事がなかった。
普段なら家で一度組み立てるのだが、試せる訳もなく、ぶっつけ本番となったわけだ。
持参してきたテントは、小型軽量を一番に選んだもので、主に登山で使うタイプ。
テントと言うより、ツェルトと言う非常用に近い物だ。
人が布団を頭からかぶり、横になった程度の我が家。
迫る暗闇にあせりながら、1時間近く掛かって張る事が出来た。

小さい・・・。
外から見ても相当小さい。
中に入ってみる。
高さ70cm程度しかない室内。当然座る事もままならず、横になるしかない環境だ。
しかし、自由を感じる室内だ。
誰もいない、誰も知らない土地で感じる、自分のスペース。
嬉しくて、自分で顔がにやけるのがわかる。

場所探しに苦労したせいもあり、夕飯への準備を忘れていた。
あるのは、米と、水のみ。
暖かさの残る砂浜に出、コッヘルを使って米を炊く事にする。
始めて使う、ストーブ(一人用小型コンロ)。
何とか火を安定させ、夕飯準備が始まった。

暗くなった海はもう見えない。
北の方を見ると、遠くに家の明かりが見える。

あの中では、暖かい食事があるんだな。
おいしいおかずもあるんだな。

俺は何やってるのかな・・・。
親父は怒っているか。お袋は親父に責められていないか。
心配がふと過ぎった。

コッヘルから立ち上る米を炊く臭い。
蒸らした方がおいしいのが判っていたが、即食べ始める。
おかずはない。
それでも自分で炊き上げた米は甘くおいしかった。
なぜか涙がこみ上げそうになった。

風が強い海岸。
テントを張るには都合が悪いという事は直ぐにわかった。
しかし、強引に眠る。
恐らく眠りに着いたのは深夜だろう。
寝ている耳にも容赦なく、テントを叩く風の音は聞こえてきていた。

つづく・・・。

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 天気:曇り時々晴
 時間:12:00~17:00
 距離:167km
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