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長板中形ツアー5

2011-01-25 20:42:00 | 匠ツアー
       
「型付け職人さんは、わりかし気が長い人が多いけど、染職人はせっかちが多いね~。仕事柄なんだろうね~」
と語る恩田さん。実直さと気風の良さが、会話の中に垣間見えます。

       
すべて手作業なので、1日10反ほどしかできないという長板中形。左は雪輪の中に様々なお花が、右は気が遠くなりそうに細かいむじな菊。一同、驚嘆!

       
おふたりの技の集大成が、この長板中形の反物。出来上がるまでの工程をつぶさに見せていただいたので、その仕事の凄さを実感することができます。

        
表も裏も同じ柄。ピッタリと合ったその柄は、おふたりの仕事を象徴しているかのようです。両面染めるからこそ、細い線までクッキリと出せるのだとか。これが江戸の粋ってもんでしょうか。おふたりの作品は、日本橋の老舗「竺仙」にも納められているのです。

        
最初は、「数万円もする浴衣って…」と思っていたイガラシでしたが、本物の技を目の当たりにして、その価値を認識しました。そうなると、作品が愛おしくてならなくなり…本来、着物ってこういうものかもしれないですね。

次回の匠を訪ねる旅は、4月9日(土)に「児玉・神川・本庄の絹の近代化遺産を訪ねる」と題し、普段は非公開の原家別荘特別見学をメインに、養蚕学校だった競進社や本庄の町をご案内する予定です。(おしまい)

☆長板中形にすっかり魅せられた、イガラシのブログもご覧下さい→
http://moon.ap.teacup.com/nyanko/1872.html



長板中形ツアー4

2011-01-25 16:53:00 | 匠ツアー
       
     ツアーの最後は、染職人の恩田さんの工房にお邪魔しました。

       
   いくつも埋まっている藍甕。そこに、糊置きした長板の反物を沈めます。

       
ほんの2~3分で引き上げ、すぐさま空気に当たるために広げます。この作業がうまくいかないと、染ムラができてしまうとのこと…。作業は素早く、でも淡々と繰り返されていきます。藍の状態、引き上げるタイミングや広げ方etc、すべて長年の経験によるものです。

       
工房には、愛染明王さまが祀られた神棚があります。型職人の大熊さんと、染職人の恩田さんは、3代の長きに渡ってコンビを組んでお仕事をなさっています。まさに、ふたりでひとつのものを作り上げているのです。愛染明王さまが祀られているお寺にも、ご一緒にお参りにいくとか…。

       
染終わった藍甕をクルクルとかき回すと、底から鮮やかな緑色が浮かび上がってきました。まさに、藍は生きていると実感。上手に育てないと、色が出なくなり、それを元に戻すには数週間かかってしまうそうです。

       
職人のごとき凛とした眼差しのワンコちゃんに見守られ、洗い場に移動です。

       
静かに進んだ染めの行程から、一気に動の工程へ。ご夫婦おふたりで、激しく反物を水に踊らせます。冬場の作業は、お辛いだろうと心配になってしまいましたが、手慣れたご様子で瞬く間に1反が洗い終えられました。

       
匠の技に息をのむ参加者一同。その頭上には、洗い終わって鮮やかな柄があらわれた長板中形の反物が干されています。(つづく)