宮下さんの作品はいくつか読んだが、
個人的には本作が一番かな。

主人公の御木元玲は、
著名なヴァイオリニストの娘で、
声楽を志すが、音高受験に失敗し、
新設女子高の普通科に進む。
みながそれぞれに悩みや劣等感を抱えた、
クラスメートたち。
しかし、校内合唱コンクールを機に玲も、
クラスメートも少しずつ変わっていく。
続編に「終わらない歌」がある。
早速、読みたいと思う。

良かったことば。
自分には自分の別の道があるのではないか。
いろんな人がいて、
いろんなデコボコしたところがあってさ、
それをなんとか踏み越えていこう、
せめて折り合いをつけよう、
って暮らしてるんじゃないのかな。
(中略)
誰かにとってのデコボコの大きさや深さは
その人間にしか測れない。
シェルターをつくる人、
音楽室をつくる人、歌う人、教える人、
誘う人、断る人、引っかかる人。
いろんな人がいて、
そろそろ私もそれを認めなくちゃいけない。
好きか嫌いかということと、
いいか悪いかということは別だ。
こんな基礎の練習は、
初歩の初歩だと思っていた。
でも、初歩の初歩の
もっと初歩の平坦な道のまんなかに、
大事なものがどっかりと
腰を下ろしていたんじゃないか。
私はそれを軽んじて、
さっさと通り過ぎてしまったような気がする。
歌でなら誰にでも勝てると思っていた
あの頃の気持ちが、ありありとよみがえる。
勝てなかったよ。今だって、勝てないよ。
早くなければいけないことなんて、ない。
それよりも今必要なことを千夏はちゃんと
今学んでいる。
こつこつと仕事をすることに
誇りを持つ人ほど強い人はいない。
今日のおまけ。


このところ、少し疲れ気味のたぁたん。

心配である。
おしまい。