石舟庵で目的を遂げると、次は山六。
山六は以前から(通販だけども)度々利用していて、その味の良さは知っている。
海沿いに犬たちを散歩させながら、店へ向かう。
ついこないだ小豆島の白い砂浜を歩いてきたばかりなので、
太平洋特有の深い濃い青の海と、黒い砂浜には少し残念な気持ちになった。
割れたガラスのかけら、ごみ、衛生的にも問題がありそう。
いやほかの海辺に比べたらきれいなほうなのかもしれないんだけども。
でもなあ。
ここで寝そべる気にはならないし、オレコを思い切り走らせる気にもならない。
こんちゃんは抱っこして歩きたいくらいだ。
ほんとに小豆島のオリーブビーチの砂浜と海の美しさといったら!
ハワイにだってタヒチにだって負けていないと思うくらい。
でもそういえば、私を小豆島へ呼び寄せた(いやその人の写真が素敵で勝手に行っただけだって)あの方は、
同じころ(つまりわたしが伊東にいったころ)ハワイにいらしたようだけど、ノースショ~、より、だんぜんオリーブビーチだべ?と語りかける。
とにかくあの方のお写真と、もうひとり四国かなーな人のお写真が、いつも、とっても楽しみなんですよ。
ええい。とにかく私は小豆島の内海が好きなんだよ~。
・・・はなしがそれた。
えっと。山六。
とろさばときんめの何かは必須アイテムだけど、あとは行ってみて決めよう、という、
我が家のゆるーいルールどおりに、まず夫がお店に入ってみてきて、「俺はとろアジがいい」とつぶやいて、選手交代。
犬たちを預かってもらい、わたしが店に入る。
お店の中では焼いて食べさせてもくれるようだったが、もうすぐ家で食べるつもりなので、
そちらには声をかけられてもにこにこしておいて、真剣に、集中して、魚を選んだ。
みりん系は好きじゃないので、塩系を中心に丹念に確認。
結果、私もとろあじにすることにした。
ほかのもよかったけど、
「ちょっとちょうだい」
といっても絶対もらえないことがわかっていたので、あじにしたのだった。
とろさばときんめはおみやげに、とろあじは朝ごはんだ。
会計をしているとき、お店のおねえさんたちが、外にいるオレコとこんがかわいいといって、
えーどこどこ、わたしもみる、きゃあかわいい、きゃあかわいい、と、いってくれていた。
お金払いながらニヤリ。
なにごともおおざっぱな母は石舟庵のことは石舟亭というし、買い物も「10分でいけるよ」といったがどうして。んなわけないだろ。
ぜんぶまわったら1時間半もかかった。
気になってわたしたちを探しに出ていて、別の道からやってきた母が、
わかってはいたけども天真爛漫に「ずいぶん遅かったね!」と笑顔で言ったときには、
(この距離全力疾走したって10分じゃ行ってかえってこれねーよ)と返したいのをグイっと飲み込む。
「10分は無理でしょ」
程度に丸めておいて、家に戻って、あじをやいてもらい、やっと朝食。
わたしにはその違いがあんまりわかんないんだけど、かなりおいしかったらしくて、夫がうなってた。
母もおいしーとかいっていたけど、あんまりわかってないと思う。
それから御風呂に入ったり、昼寝したり、また温泉に入ったりして、起きて犬の散歩に出かけ、
戻ってきてごはんをあげて、夕方に、母が前に行ったことがあるという店へ出かけることにした。
犬たちは猫たちとお留守番。前の晩にもお寿司屋さんに言ってる間、そうしていたのだが、
そのときは、犬たちはフリー、猫たちはねこ部屋に入って(さらにゲージに入って)いた。一番の長老ねこはフリー。
一日たって、お互い慣れたようなので、今度は犬たちを客間に入れてふすまを締めておき、
ねこたちは(ねこは厭なことを強いてストレスをためてはいけないのすぐ病気になるから)いずれもフリーにした。
家から近いというのだが、駅前のみやげものやを見たり寄り道したらちょっと迷って、予約時間の5分遅れでたどり着いた。
ここはきんめの煮つけがいいと聞いてきたので、素直にきんめの煮つけと刺身の定食を。それと夫がかさごの唐揚げを頼んだ。
これこのとおり、ボリューム満点。
夫は魚嫌いのはずが、めずらしく夢中になって食べていた「かさご」が特に美味しかったという。
隣に座った50~60代の姉妹+80代かなあ?の母の席から、本人はそのつもりがないのだと思うが、
太くて低い地声が普通の人より若干大きく(強く)て、話がすべて筒抜けになってしまうお姉さんの話では、
「ここは煮つけじゃなくって、みそ漬けがおいしいのよね、おみやげで有名なの」なのだそうだ。
それに対して母のほうは、「ああ煮つけはおみやげにならないからね」という、ちょっとあさってのほうを向いたよな返事をしていた。
御三方はみそ漬けを頼んだようだった。あー。やっぱりなー。
確かに肉厚の立派なきんめだったのだが、なんていうかな、味が、若干薄い、さらっとした感じだったし、身が硬かった。
それもいいんだと思うんだけど、どっちかというと、すっかり柔らかくなって、ほろほろっとした感じの煮魚が好きなもので、
美味しいんだけど、物足りない感じがして、このキンメならもっと実力出せるはず、トリプルアクセル飛べるはずなのに、という感じだった。
でもこの店はとても評判の店だし、地元の人たちに愛されているようだ。
1Fがお魚屋さんで、お店が2F。ご夫婦でやってるのだけど、お二方ともとてもいい感じだし、やはり、あとからあとから人が来る。
それを見越して早い時間に予約して、30分前は二番目の客だったのだけれど、見渡すともういっぱいだった。
そしてみなさん、きんめは、みそ漬けを頼んでいる。・・・やっぱりなあ。
煮つけのうまい店というのは、母の聞き間違いかもしれない、などと考えながら、店を出た。
もし今度来たらみそ漬けにしよう。(でもほかにもいっぱい行きたいお店があった。)
帰ってくると犬たちはよく寝ていたようだったし、猫たちもそうで、事件は起きていなかった。
それからまたお風呂に入って、少し休んで、22時前に、母と別れて家へ向かった。
都内で事故渋滞があったが、それまではガラガラ、渋滞を抜けたらスムーズだったので、
なんと2時間弱でつき、0時前には家にいた。渋滞がなければ近いんだな。疲れないし。
これならまた行けるかも。一年に一回いければいいかなー、と、思っていたのだけれど。
家について、着替え終わって、夫が、
「煮つけさー、もうちょっと、って感じだったねえ」
といって、あ、やっぱり、となる。
ほかはほとんど共通点がないけれど、こういうところが似てるんだろうなと思う。
お土産に買ってきた山六のきんめの干したのと、年末、母が送ってくれたみそ漬け(これも山六)があるし、目玉商品のとろさばもある。
夕飯が早かったからおなかが空いてきて、シンデレラの門限をとっくに過ぎていたのに、ご飯を炊いて、とろさばを焼いた。
まあそれが、なんともすばらしく、うまかった。
翌日はきんめの開きとみそ漬けを焼いて食べた。
どちらもうまかったが夫はみそ漬けがうまかったといい、私はどちらもうまかったが、干したのがよりうまかった。
伊東で買ってきた辛口の日本酒がおいしく頂けたとのことだった。
以前にいった伊豆高原の旅でみつけたみかん売店を見つけたのに、いけなくて、替えなかったのが残念だ。
そこで買ったみかんが今まで食べた中で一番おいしかったような気がする。ああでも小豆島のみかんもおいしかったなあ。
翌日は仕事で、夜遅く迎えに行き、帰ってきてお風呂に入った夫が、
「やっぱりどんどんさめていくね、御風呂のお湯が、温泉ってすごいなあ!」
ヌル湯だったけれど、いつまでもからだがぽかぽかしていたし、あったまったし、とブツブツ言っている。
暇なニッパチどこへやら、やはり忙しくなってしまって、1ミリも休みがない~!、とうなっていたと思ったら急に、
「でも来月オレは伊東にいく!必ず行く!もうそういう楽しみ(風呂+食事)がないとやっていけない!」
と、しごく普通のことをいい(しかし今まで言ったことがない台詞だ)、がんばるぞーーーーー!と、
天井に向けて雄叫びを上げているのを、オレコと一緒に「なんだかなー」という表情で眺めていた。
こんちゃんは旅疲れと病院の定期健診(の日だった)疲れで静かに寝ている。
そんなこといったって、ほんとに行けるのかなあ?とぼんやり想いながら、魚を焼いた。