特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

「時間の遅れを測定するのは難しい」の一般化

2023-05-09 03:56:04 | 日記

1、一般化に向けてー>時計Aと時計Bの真ん中に静止系があった場合はどうなるのか?

以上の説明から分かります事は「ランダウ、リフシッツの提案している時間遅れの測定方法では慣性系αとβでどちらの時間が遅れていたのか判別できない」という事であります。

それでここまでの例では

時計Aが静止系であった場合

時計Bが静止系であった場合

の2つを比較検討しましたが、時計Aと時計Bの真ん中に静止系があった場合でも時計Bが行ったロジックでそれぞれの時計が示す事になる時刻を計算する事が可能です。

そうしてその結果は、と言いますれば

『TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=3秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。』

を再現してしまうのです。

ちなみにその場合は時計Aと時計Bの中間に設定された静止系に対して時計Aは左から0.5Cで接近し、時計Bは右から0.5Cで接近する事になります。

そうしてもちろん相対論的に加算された時計Aと時計Bの相対速度は0.8Cとなるのでした。(注1)

0.8=(0.5+0.5)/(1+0.5*0.5) <--相対論的速度の加算式



具体的にやっておきましょう。

その後で一般化します。

時計Bは言います。

「時計Cは長さ4Cの棒の先端に取り付けられていて、時計Aはその棒の終端に取り付けられている」と。

まあそうなります。

時計Cと時計Aの間隔は4Cでしたから。

「その棒が速度0.5Cで静止系に向かって来ます。

従ってその棒の長さはローレンツ短縮をおこして4Cではなく0.5*sqrt(3)*4Cになっています。」

sqrt(1-0.5^2)=0.5*sqrt(3) ですから棒の長さが2*sqrt(3)Cになる、という主張は正当なものですね。

「そうしてまた0.5Cで静止系に向かってくる長さ4Cの棒の先端と終端におかれた時計が示す時刻は同時刻ではなく4C*0.5C=2秒の差が生じています。

この差分は棒の先端を基準とした場合は終端は+2秒だけ未来にシフトしています。(注1)」

さて、アインシュタインを信用するならば、この時計Bの主張も認めざるを得ません。

そうして時計Bは続けます。

「長さが2*sqrt(3)Cの棒の先端とすれ違う時に時計Bと時計Cはリセットしました。

そうであれば

TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

は当然です。」

「次に時計Bと時計Cが時刻をリセットした場所(=時計Bと時計Cがすれ違った場所)に静止系の原点を置きます。

その原点の横を長さが2*sqrt(3)Cの棒が速度0.5Cで通り過ぎるのには4*sqrt(3)秒必要です。」

通り過ぎるまでの時間=棒の長さ 割る 移動速度

=2*sqrt(3)C/0.5C

=4*sqrt(3)

従ってこの棒の真ん中の点が原点に到達するのは2*sqrt(3)秒でよい事が分かります。

それでこの時には時計Aの位置は原点の左側、sqrt(3)Cの所にあります。

長さが2*sqrt(3)Cの棒の半分の長さはsqrt(3)Cですから、そうなります。

そうしてこの2*sqrt(3)秒の間に時計Bは原点から左側に2*sqrt(3)秒*0.5Cだけ進んでいます。

その移動距離はsqrt(3)Cですから長さが2*sqrt(3)Cの棒のちょうど半分となり、従ってそのタイミングで時計Bは時計Aとすれ違う事になります。

そうしてこれがイベント②となります。



さてそれで、イベント①からイベント②までの時計Aの経過時間を計算します。

イベント①の時点で時計Aは2秒を指しています。

次に時計Aが時計Bとすれ違うまでに静止系時間で2*sqrt(3)秒、必要でした。

これを0.5Cで移動している時計Aの時間に換算しますと

時計Aの経過時間=2*sqrt(3)秒*sqrt(1-0.5^2)

=2*sqrt(3)秒*0.5*sqrt(3)

=3秒

そうして

2秒+3秒=5秒 ですからこれで

TA@イベント②=5秒

となります。



時計Bにつきましては時計Cとすれ違ってから時計Aとすれ違うまでに2*sqrt(3)秒、静止系時間で経過していました。

これを0.5Cで移動している時計Bの時間に換算しますので

時計Bの経過時間=2*sqrt(3)秒*sqrt(1-0.5^2)

=2*sqrt(3)秒*0.5*sqrt(3)

=3秒

従って時計Bのイベント①からイベント②までの経過時間は3秒となります。

これが

TB@イベント②=3秒 

の説明です。



以上より

時計Aと時計Bの真ん中に静止系があった場合にそれぞれの時計が示す事になる時刻を計算できました。

そうしてその結果は、と言いますれば

『TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=3秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。』

を再現しました。



こうしてローレンツ変換が支配している宇宙では、少なくとも

「時計Aが静止系の場合」、

「時計Bが静止系の場合」

そうして

「時計Aと時計Bの真ん中に静止系があった場合」

の3つについては全く同じ観測結果が出る事が確認できました。

それで、この事から予想できる事は

「どこに静止系があっても、上記と同じ観測結果しか得られないのではないのか?」

と言う事になります。


追記:時計Aと時計Bの真ん中に静止系があった場合

『時計Aと時計Bの中間に設定された静止系に対して時計Aは左から0.5Cで接近し、時計Bは右から0.5Cで接近する事になります。

そうしてもちろん相対論的に加算された時計Aと時計Bの相対速度は0.8Cとなるのでした。』

はい、もちろんそうなります。

そうして時計AとBは真ん中にある静止系に対して右と左から同じ相対速度で接近してきます。

・・・ということは、「時計Aと時計Bが静止系に置かれた時計に対して時間が遅れる程度は正確に同じになる」というのが特殊相対論の結論です。

おや、変ですねえ。

時計Aと時計Bが置かれているそれぞれの慣性系αとβの時間の遅れは同じ。

しかしながらランダウとリフシッツが示した方法で測定した時計Aと時計Bが示す時間経過は異なっているのです。

さて皆さんはこの事実をどのように理解されますか?

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/dk5eE

https://archive.md/rigP9