特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2・ ミンコフスキー図に現れるMMの楕円

2022-11-23 03:50:41 | 日記

さて今度は「ミンコフスキー図を使ったローレンツ変換の表示」からローレンツ短縮がどのようにして出てくるのか、確認しましょう。

それでその導出の仕方ですが、次の資料を参照します。

特殊相対論入門 : http://kurasawa.c.ooco.jp/rel.pdf

12ページ  「3.1 ローレンツ収縮」 にその計算に使うミンコフスキー図が掲載されています。

その図の説明によりますと「速度Vで動いている赤のX座標軸上に長さL0の棒を置いた場合、これを基準慣性系(黒座標)から見るとどう見えるのか」という設問からローレンツ短縮を算出しています。

提示されている図から見ますと長さL0の棒を赤座標X軸から黒座標X軸に単に投影すれば澄み、の様に見えます。

しかしながら実際はその投影計算だけではローレンツ短縮の計算はできず、「資料にある様な計算手順が必要である」と上記の「特殊相対論入門」は主張しています。

その理由については後述しますが、ここでは「単に赤座標から黒座標への投射」と言う考え方で進めます。



さて参考資料で提示されている赤座標X軸はtan(Θ)=β=V/C の関係にある角度Θで黒座標から時間軸方向に持ち上がっています。

そうであればこの軸上におかれた長さL0の棒を黒X座標に投影するにはcos(Θ) をかけてやればよい、したがって

L1=L0*cos(Θ)=L0*C/sqrt(C^2+V^2)

となる事はほとんど自明であります。

それから長さL0の棒がローレンツ短縮を起こした長さをLとしますと、L1はLそのものではなく少し長く計算される事も図を見れば分かります。

それはL1=L+L2と表されます。

そうしてその余分に長い分L2は

L2=L0*sin(Θ)*tan(Θ) と計算出来る事も図から明らかです。したがって

L2=L0*sin(Θ)*tan(Θ)=L0*V/sqrt(C^2+V^2)*V/C  となります。

そうであれば求める長さLは

L=L1-L2=L0*C/sqrt(C^2+V^2)-L0*V/sqrt(C^2+V^2)*V/C 

=L0*(C/sqrt(C^2+V^2)-V/sqrt(C^2+V^2)*V/C)

( )の中を整理します。

ウルフラムに入れてポチりますと以下の様になります。

https://ja.wolframalpha.com/input?i=C%2Fsqrt%28C%5E2%2BV%5E%EF%BC%92%29-V%2Fsqrt%28C%5E2%2BV%5E%EF%BC%92%29%EF%BC%8AV%2FC

「別の形」を採用します。

(C-V)*(C+V)/(C*sqrt(C^2+V^2))

=(C^2-V^2)/(C*sqrt(C^2+V^2))

分子、分母をC^2で割ると

=(1-β^2)/(sqrt(1+β^2))

ただしβ=V/C

従ってLは

L=L0*(1-β^2)/(sqrt(1+β^2)) ・・・①式



参考資料に提示されている図からは以上の計算結果となります。

見て分かります様に、この計算結果ではローレンツ短縮とはかなり違っています。

その原因は赤座標と黒座標の単位長さ=ブロックの一辺の長さが違う、という所にあります。

ここでもう一度「ミンコフスキー図を使ったローレンツ変換の表示」を確認しましょう。

: https://archive.ph/ND6P3 :

よく見ると赤ブロックの一辺の長さが黒ブロックよりも大きい、伸びている事が確認できます。

そうしてその伸びる割合はこうなります。

sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2) >1

この辺りの説明は上記参考資料の10ページに「ミンコフスキー図式」としてミンコフスキー図とともに掲載されていますのでご確認願います。(注1)



さてそうであればこの係数を上記①式の右辺にかけてやるのです。

そうすると

L=L0*(1-β^2)/(sqrt(1+β^2))*(sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2))

=L0*sqrt(1-β^2)

となって、ローレンツ短縮の式が出てきます。



さて、以上のような計算手順をとるか、はたまた参考資料にあるような代数計算方式をとるのか、それはどちらでも良いかと思います。

但し「ミンコフスキー図に現れるMMの楕円」の説明には投影計算方式が必要となります。



注1:参考資料とは違う「別解」を以下にしめします。

ミンコフスキー図を使ったローレンツ変換の表示を行うためには赤座標で示されるひし形座標が必要になります。

そうしてこのひし形座標を作りあげる単位ひし形の面積は変換する前の黒座標の単位正方形の面積と同じにする、と言うのがこの場合の条件となっています。

今、黒座標の単位正方形の一辺の長さをAとしますとその面積SはS=A*A=A^2

それで一辺がこの長さのままで赤座標の単位ひし形を作りますとその面積S1は

S1=A^2*(1-β^2)/(1+β^2)

となります。

このままではS1<Sであって「単位面積を同じにする」という条件が満足できません。

従って赤座標の単位ひし形の一辺の長さを

A*(sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2))

と伸ばしてやることが必要になるのです。

さてこの事を逆に言いますと「座標系を作り上げる単位ブロックの面積はローレンツ不変である」となります。


ちなみに参考資料10ページに出てくる双曲線ですが、以下の様なパラメータになっています。

それで通常はX0はYと書きますので以下、そうやって表示します。

X0^2-X^2=a^2 X0をYとして両辺をa^2で割って

(Y/a)^2-(X/a)^2=1

離心率と2次曲線 : https://archive.ph/PoEDD :に紹介されている双曲線の標準式とはX軸とY軸が入れ替わっています。

したがって本来はY軸上下に双曲線を書かなくてはいけないのですが、そこはネグっていますね。

以下双曲線パラメータ

離心率 e=sqrt(2)

焦点座標 (a*sqrt(2),0)

準線 X=a/sqrt(2)


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/1Qc4P