特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

参考文献と参考資料

2023-03-10 09:21:57 | 日記

「微分形式による特殊柑対論」
菅野礼司著
丸善(1996 年9 月)

https://ps.jp1lib.org/book/16289277/69acde :<--ここからDL可

それで29ページに
『このように,かなり一般的な幾何学的仮定と変換群の要請のみで, ローレンツ変換則と同形の疑似ローレンツ変換則が導かれる.その際の鍵は変換が群をつくるということである.このことをいち早く指摘したのはポアンカレであった.』

という記述があります。

具体的には何年のどの文献によるのかは不明ではありますが、たぶん

:1906年、ポアンカレ 『6月の論文(いわゆる「パレルモ論文」、7月23日受領、12月14日印刷、1906年1月発行)の大幅な拡張作業を終了しました。

彼は文字通り「相対性理論の仮定」について話しました。彼は、変換が最小作用の原理の結果であることを示し、ポアンカレ応力の特性を開発しました。彼は、ローレンツ群と呼ばれる変換のグループ特性をより詳細に示し、その組み合わせを示しました。x ^ 2 + y ^ 2 + z ^ 2-c ^ 2*t ^ 2は不変です。(注:ローレンツ変換での不変量についてはポアンカレが最初に指摘した模様)』:ういき「特殊相対論の歴史」: https://archive.ph/xhfqD :から引用

の頃ではないかと思われます。



そうなりますとローレンツ変換の導出の年表では現在

『1900年 ローレンツはこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、1900年に発見

1904年 『ローレンツ変換は1904年に初めて発表されたが、当時これらの方程式は不完全であった。<--フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、ローレンツの方程式を、今日知られている整合性の取れた 4 つの方程式に修正した。』(修正はアインシュタインの特殊相対論の発表より前に行われた模様。)

1905年 アインシュタインの1905年の特殊相対性理論の最初の発表

      『1905年のアインシュタインの特殊相対性理論の最初の提示に続いて、多くの異なる仮定のセットがさまざまな代替の導出で提案されました。』

たとえば

1921年 L.A.Pars, Philos.Mag. 43,249(1921) : https://www-tandfonline-com.translate.goog/doi/abs/10.1080/14786442108633759?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

・・・

1964年 「1964年の論文で、[2] Erik Christopher Zeemanは、光速の不変量よりも数学的な意味で弱い条件である因果関係保存特性が、座標変換がローレンツ変換であることを保証するのに十分であることを示しました。」(注2)』



となっていますが、1905年と1921年の間に

『1906年 ポアンカレ かなり一般的な幾何学的仮定と変換群の要請のみで, ローレンツ変換則と同形の疑似ローレンツ変換則が導かれる.その際の鍵は変換が群をつくるということである.このことをいち早く指摘したのはポアンカレであった.』という記述が入る事になります。

つまり「光速不変を使わないローレンツ変換の導出の始まりはポアンカレであった」と言う事になります。



ちなみにこの本の著者の菅野礼司さんは

2018年 「ローレンツ変換の形式は光速度一定とは無関係」 はてなブログ sken20k

https://sken20k.hatenablog.com/entry/2018/02/03/121741

で参考文献1として紹介されている

「1983年 1. 菅野礼司, 物理学の論理と方法(上), 大月出版, 1983」その人である模様です。



さてそれでこの本の記述内容は基本的な所から述べられており、とても参考になります。

例えば

序章歴史的背景 ・・・・・・1
1 章相対性理論における時間・空間..... 9
1-1 時問• 空間とは.............9
1-2 相対論の基礎原理・・・・・・・・・・・・11
1-3 光速度一定性の原理からの帰結.....13

2 章ローレンツ変換 ・・・・・・・・・・・・・21
2-1 ローレンツ変換の導出..........21
2-2 疑似ローレンツ変換...........26
2-3 時間・空間尺度·····································30
2-4 観測者,時計,物差しについて .....33

3 章ローレンツ変換群·········································37
3-1 空間回転を伴わなしヽローレンツ変換................ 37
3-2 ローレンツ変換の行列表示...................................... 39
3-3 空間回転を伴うローレンツ変換······························40
3-4 反転を含むローレンツ変換....................................... 44
3-5 ローレンツ変換の積と速度の合成則......................... 46

・・・・

ここの「2-2疑似ローレンツ変換」で「光速不変を使わないローレンツ変換の導出」を示しておられます。

そうしてまたその際にポイントとなる群の考え方についても記述されています。



さて、その様にとても参考になるものなのですが、同意できない以下の様な記述もありました。

33ページ『蛇足ながら付言すると,運動系での時計の遅れ,距離の短縮の原囚は慣性系ごとに同時性や時間・空間尺度が異なるところにある.運動系の現象を静止系から見るとそのように観測されるのであり,実際に運動系で時計が遅れたり長さが短縮しているのではないということである.

この点がマイケルソンーモーレイの実験を説明するために仮定されたフィッツジェラルド—ローレンツ短縮とは物理的内容が違うのである.また,相対性理論ではローレンツ理論と違い物質のない真空の空間距離もすべて一様に短縮して観測される.

高速で飛行しているロケットの中ではすべての現象は正常に進行する.事実,地球は遠い銀河系に対して,ほぼ光速度で運動しているが,地上では物体の短縮も時間の遅れもなく物事は正常に経過している.』

この記述の中で

>実際に運動系で時計が遅れたり長さが短縮しているのではないということである.

の部分、物体の短縮については同意できますが、時間の遅れについての認識には同意できません。

「時間の遅れ」という現象は時計が2つあって初めて意味を成すコトバであれば、時計が一つしかない運動系に立つ観測者には「自分が立っている運動系の時間の遅れが認識できないのは当然の事」であります。

そうであれば「実際に運動系で時計が遅れたり長さが短縮しているのではないということである.」と言うようなここでの菅野さんの主張は、こと「時間の遅れに対しては意味を持たないもの」と言えます。(注1)


注1:時計が一つしかない地球上ではDIOのスタンド「ザ・ワールド」によって時間を止められても我々にはそれを認識する手段がないのです。: https://archive.ph/z1HS4 :


追伸:菅野さんは相対論の教科書を書かれる程の方であれば、「相対論の専門家である」と認めてよろしいかと思います。

そうであれば「実験結果としての時間の遅れの観測が行われている」と言う事は百も承知の事でしょう。

しかしながらその様な方がわざわざ「蛇足である」と断りながら「実際に運動系で時計が遅れたりしているのではないということである.」と言うように主張されるのは何故でしょうか?

そのように言わずに素直に実験結果を見るのであれば「運動している慣性系では実際に時間が遅れている」となります。

しかしそのようには言えないのです。

さて、何故でしょうか?

もし「実際に時間が遅れている」と言ったとすれば、それを観測している観測者が立っている慣性系が運動している量よりも、観測対象の慣性系の方が運動している量が大きい、つまり「相対速度が大きい」と言う事になります。

しかしながらこの場合、相対速度は観察者の立つ慣性系と観察対象との間で定義され、観測されるのです。

従ってこの相対速度を使う限りは「観察対象の慣性系の方が運動している量が大きい」と言う様な事は主張できません。

そう言う訳でここで問題が発生します。

「一体何に対してより運動しているのが観察対象の慣性系である」と言うのでしょうか?

世界に2つしか慣性系がない時に「観察対象の慣性系の方が運動している量が大きい」などどどうして言えるのでしょうか?


まあそういうわけで菅野さんはわざわざ「蛇足である」と断りながら「実際に運動系で時計が遅れたりしているのではないということである.」と主張せざるを得なかったと、当方は見ているのであります。

従ってそこでは「時間の遅れはお互い様」で「以上、おわり」という単純なスタンスではなくて、もう一歩踏み込んだ検討がある、と言う事になります。

それが
『相対性理論ではローレンツ理論と違い物質のない真空の空間距離もすべて一様に短縮して観測される.

高速で飛行しているロケットの中ではすべての現象は正常に進行する.
事実,地球は遠い銀河系に対して,ほぼ光速度で運動しているが,地上では物体の短縮も時間の遅れもなく物事は正常に経過している.』

の部分である様に見えます。


追伸:Q & A: なぜ光速が一定なのか
イリノイ大学アーバナシャンペーン校物理学科
https://van-physics-illinois-edu.translate.goog/qa/listing.php?id=2605&t=why-constant-speed-of-light&_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

『Q:真空中で光の速度が一定なのはなぜですか? そうなることはわかっていますが、その理由を知りたいです。相対性理論は、光の速度が一定であるという仮定の下で単純に機能しますが、それが証明されるわけではありません。2+2=2x2 という理由だけで、2 つの数値の積が同じ 2 つの数値の合計に等しいと言っているようなものです。証明には現象以上のものが必要です。

A:これは興味深い哲学的問題です。物理学では、理論が正しいことを証明しませんが、理論をまとめるために使用される数学についての定理を証明します。どの理論 (小さな断片的な主張だけでなく、構造全体) が正しいかは、最終的には単なる現象によって決定されます。誰も私たちに真の主張の本をくれませんでした。観察と数学的論理からそれらをまとめなければなりません。
・・・
つまり、ある意味ではあなたの言うとおりです。私たちは数学者のように物事を証明するのではなく、実際に目にするものに大きく依存する必要があります。別の意味では、あなたは間違っています.1つの孤立した事実(数値例のように)から一般化するのではなく、多様な観察の膨大なコレクションを拡張された論理システムに正確に当てはめます。・・・』


これに続く一連の長い、興味深いやり取りが続きますが、Yahoo知恵袋と違って回答者の方の丁寧さが目立ちます。

ご一読されると専門家とアマチュアのやり取りの一例として参考になるかと思います。


PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/f9BPq

 

 


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