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歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ) <ЕВРАЗИЙСКАЯ ЧАЙХАНА> 

「チャイハナ」=中央ユーラシアの町や村の情報交換の場でもある茶店。それらの地域を含む旧ソ連圏各地の掲示板を翻訳。

“ピーター=フランクルになりそびれた男”の母国での評判(2)

2010-01-07 23:30:07 | トルコ関係

→(1)からの続き

前述の朝日の記事でも少し触れられていますが、このセルカンという人物については経歴詐称のみならず、“業績”詐称の事実もまた続々と判明しているとのこと。

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2009年11月9日 日経新聞

[東大の30代男性助教、業績論文の存在確認できず 不正の疑い]
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091109AT3K0900H09112009.html

東京大学工学系研究科の30代の男性助教が、自らの業績として発表している学術論文の中に、他の研究者の論文の著者名がこの助教の名前に換わっているものや、存在が確認できない論文が複数あることが9日、関係者らへの取材で分かった。

文部科学省も不正の疑いを把握し、東大に通報。東大も採用時の業績に捏 造(ねつぞう)があったかどうかを含め、事実関係の調査に乗り出した。

この助教は2003年に東大で博士号(建築学)を取得。05年まで、任期付き研究員として独立行政法人「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」に所属して いた。JAXAは9日までに、JAXAの03年度年次要覧に記載された助教の研究発表11本を調べ、4本について「存在が証明できない」などの理由で削除 した。

JAXAによると、4本のうち1本は、米国土木学会に所属する論文の著者名が、助教の名前に換わっていた。(16:00)
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これらについては、2ch理系版の有志の方々による綿密な調査で徹底的に洗い出されていますが、

セルカン事件についてのまとめサイト
http://sites.google.com/site/introserkan/

セルカン氏の経歴詐称、業績捏造の追及blog
http://blog.goo.ne.jp/11jigen/

セルカン事件、まとめwiki
http://www29.atwiki.jp/serkan_anilir/

要するに、セルカン氏当人がこれまで語っていた自らの過去‐“スイスや米国で学び、“NASAで宇宙飛行士としての訓練を受け、かつてはスキーのオリンピック代表選手であり、30台の若さにしてケンブリッジ大学物理賞を初めとする世界的に権威のある学術賞をいくつも受賞し…”といった“嘘みたいに”華麗な経歴は、文字通りその大半が嘘だったという話なのです。

もちろん、(特に日本において)そうした経歴に信憑性を与え続けてきた東大の博士号は“本当の”肩書きです。しかしながら、その博士論文の内容は、実は他の複数の論文から剽窃を行い、それを切り貼りして作ったような内容のいわゆる“コピペ論文であったことが,前述の2ch理系版有志の方々の尽力で明らかにされつつあります。将来的に“博士号の剥奪”といった事態が起こりうるか否かは別にして、とりあえず、それすらもインチキだったということで。

また、もう一つの有力な“本当の”肩書きである“東大大学院の助教”という職にしても、虚偽の経歴+業績で採用されたのが明らになった以上、クビになる可能性は“博士号剥奪”のそれ以上に高いらしい。

だとしたら、セルカン氏が自らについて語る情報で確実に信用できるものといったら、もはや名前と国籍、それに性別くらいのものでしょう。

まあ、もし仮にそれらもまた全てがウソであって、その真の正体は、ちょっと顔が濃くてトルコ語が上手いだけで、実際には生まれも育ちも埼玉県の日本人“芹澤寛(せりざわ・ひろし)”-通称“セリカン”だったと。でもって、語感が近いということで“セルカン”なる偽名を使っていたのだ。とか言われても、大して驚かないかもしれませんがw。

しかし、このセルカンなる人物は、それほど凄腕の詐欺師だったのでしょうか?例の有名な宇宙飛行士コラージュ写真wを初めとして、見る人が見れば一目で気づくような爪の甘い捏造工作の数々を見る限り、とてもそうは思えなかったりします。というか、もしこれが日本以外の先進国だったとしたら、ここまで事がうまく運んだのやら。

個人的には、セルカン氏がどうこうというよりも、やっぱり“日本人はチョロいんだなあ”というのが一連の“セルカン事件”についての印象だったりしますね。さすがは“オレオレ詐欺が可能な国”というか。

もちろん、そうした騙されやすさは“他人に対する信頼度の高さ”だとか“基本的に性善説的な人間観”といった、日本社会の美点とされているものと表裏一体なわけで、ある程度は仕方が無いのかもしれません。我々は、それだけ恵まれた社会で暮らしているってことで。

ただ、それでも、東大の先生までもがスルタンアフメット(←イスタンブル旧市街の代表的な観光地区)の絨毯屋に騙される普通の日本人観光客と同じようなレベルで、口八丁手八丁で丸め込まれるのはさすがにまずいと思うわけです。

いや、個人で騙される分にはいくら騙されても構わないのですよ。被害がその先生当人の私的な領域に止まるのであれば、偽物の絨毯でもキリムでもじゃんじゃん買えばよいし、家でも土地でも適当に取られれば良い。

でも、いかに自分の教え子だからと言って、適当なコピペ論文に情実でほいほい博士号を出してやったり、詐欺師に教職を斡旋していたのだとしたら、これは完全に公的で、社会を巻き込む問題となります。それも、単にこの手のモラルハザードが蔓延するとメリトクラシー(能力主義)が十全に機能しなくなり、大学の研究水準が下がるというだけでない、日本の社会システムの根幹に関わる大問題なわけで…..。

何せ、日本社会において東大の博士とか助教とかいった肩書きには絶大な権威+信用があります。詐欺師が金儲けをするのに、これ以上のお墨付きはありませんよ。現にセルカン氏は、その肩書きを最大限に生かして一般向けの本を何冊も書いては売り、日本のあちこちで講演会やら有料の私塾(その名を“セルカン・カレッジ”と言うらしい)を開いてきました。

さらには、日本の“第三の権力”である大手メディアは、“東大”や“NASA”といった権威の前では一切のチェック機能を停止してしまうらしく….。朝日や日経はちゃんとセルカン氏の不正を記事にしているではないか?と言われるかもしれませんが、こちらが引用した記事が掲載された2009年の11月以前は、両紙ともセルカン氏のことをさんざん持ち上げた挙句、氏のホラ話をまったく裏を取らないまま、“事実”としてそのまま垂れ流していたのです。

もしセルカン氏が経歴不明の“謎のトルコ人”だったとしたら、そんなことは起こり得なかったはず(多分)で、やはりこれも、“東大助教”の肩書き(+“NASA認定の宇宙飛行士候補”等の実在しない諸々の経歴と業績)あったればこそでしょう。

こうした不甲斐ない大手メディアと世間を覚醒させ、法螺吹きセルカン氏の実像を白日の下に晒すきっかけを作ったのはネット、特に2chの理系板でした。

これまでの流れとしては、

セルカン氏、東大にて博士号を取得した前後から旺盛な社交活動によって開拓した人脈を駆使し、自らを大手メディアに売り込む。その際に“NASAで訓練を受けた宇宙飛行士候補”等の架空の経歴・業績を自ら吹聴
                ↓↓↓
大手メディア、セルカン氏の法螺をほぼ100%信用。劇的な半生の持ち主であり、日本語に堪能で幅広い才能に恵まれたピーター=フランクルの如き文部両道の才人としてセルカン氏を持ち上げる。メディアに露出する機会も増加
                ↓↓↓
セルカン氏が金になるとふんだ人々や組織が氏に接触するようになり、一般向けの講演や私塾が頻繁に開催される。何冊か一般向けの書物を日本語で出版(ゴースト・ライター説あり)し、さらに知名度は上昇。それに伴って架空の経歴・業績の数もより増え、より多彩になる。
                ↓↓↓
セルカン氏の怪しい経歴はかねてより2chの理系板で話題になっていたが、氏の経歴の中にあった、ある物理関係の権威ある学会誌への論文掲載が明らかに虚偽であることが判明。それがきっかけになって、理系版の有志による検証作業が急速に進むが、既に出版されていた一般向けの書物や、ネット上のあちこちに転がっていた諸々のインタビュー記事があだとなって、経歴・業績上の矛盾が次から次に暴露される。その一つが例の宇宙飛行士コラージュ写真w。 
               ↓↓↓
ネット上の一部で“セルカン祭り”が発生。それをかぎつけた大手メディア、特に日経や朝日は掌を返したようにセルカン氏の経歴・業績詐称を報道し始める。これに応じて、勤務先の東大も調査を開始。
              ↓↓↓
そして伝説へ…..(悪い意味で)


要は、嘘もほどほどにしておけば、恐らく“チョロい”日本社会なんぞは完全に騙しとおせたわけで、能力に不相応な栄達もそれなりにできた筈なのです。それが失敗したのは、当人が欲をかきすぎて自滅した結果に他なりません。アッラーは、悪しき信徒には必ずや罰を与え給うのでありましょう。

それにしても、権威に弱く役立たずの大手メディアを尻目に、この件における2ch理系板の活躍は目覚しいものがありました。昨年の“アタデュルク銅像騒ぎ”の際はほとんど“マヌケ時空発生装置”にしか思えなかった2chですが、正直、見直した次第です。数ある板も、玉石混交なのですね。

ところで、グーグルなんかで“セルカン=アヌルル”の名で検索すると、トルコ語の過去の新聞記事が大量に出てくるのですが、それらをざっと流し読みした感じだと、どうやらセルカン氏は日本での“成功”を手土産にトルコでも自らの知名度を高め、将来的には凱旋帰国しようとしていた節があります。

ちょうど3年ほど前のスタル(Star)新聞の記事は以下の通り。

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「日本人たちのトルコ侍」   スタル紙  2006年12月11日
原文:Japonlar’ın Türk samurayı
http://www.stargazete.com/mobil/guncel/japonlar-in-turk-samurayi-haber-61182.mob

東京大学建築学科のセルカン=アヌルル博士の十本の指には、十個の才能が宿っている。彼は日本のNASAたるJAXAで働く唯一のトルコ人であり、その著書の売り上げは50万部に達する。彼が関わった子供番組もまた、放映されるや視聴率記録を塗り変えているのだ。

日本において、その技術を主導する科学者らの第一線にあるセルカン=アヌルル准教授(←原文ママ)は、新たなイルハン=マンススのように振舞っている。執筆した科学書の売り上げは50万部に達し、有名な日本のTV局‐NHKで彼が製作した子供番組も、37%もの視聴率を記録。

東京大学建築学部で研究を続けるアヌルルは、日本のNASAに相当するJAXAで働く唯一の外国人である点、またその研究が科学界に大きな反響をもたらしている点において、他の多くの同僚とは一線を画しているのだ。

※ イルハン=マンスス(1975~):トルコのサッカー選手。2003年の日韓ワールドカップにトルコ代表チームの一員として出場した際、その端正な(というか、日本人好みの)容貌から、日本では主に女性の間で人気が急上昇。大会後は来日し、Jリーグに在籍したこともあった。なお、日本ではあまり話題にならなかったが、その家系は19世紀に帝政ロシアの支配を逃れ、クリミア半島(現ウクライナ領)からオスマン帝国領に移住したテュルク系民族“クルム=タタール人”の末裔にあたる。

<パムック作品の序文を依頼される>

8年もの間東京に暮らす33歳のアヌルルは、最近、オルハン=パムックの諸作品を出している出版社(←藤原書店のことか?)から、それらの序文を依頼されたという。

※ オルハン=パムック(1952~):トルコ人として初めてノーベル文学賞を受賞した文学者。政治的には左派的な言動が目立ち、近年もトルコ政府はオスマン帝国時代末期のアルメニア人大虐殺の事実を認めるべきだ、などと発言して物議を醸している。ノーベル文学賞云々といい、保守派からの嫌われようといい、日本で言えば、ちょうど大江健三郎みたいなポジションか。

(以下略)
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 2006年12月の時点でのセルカン氏の著書といったら、

『宇宙エレベーター こうして僕らは宇宙とつながる』(2006年、大和書房)
『タイムマシン』(2006年、日経BP社)

の2冊でしょうか。

出版されたその年に50万部も売れたのか。すげえ(棒読み)。

まあ、それが事実だとしても、単に同国人だというだけで、30そこそこの畑違いの研究者がオルハン=パムックのような大物作家の作品の序文を任されるなんて、普通はまず有り得ない。恐らく、セルカン氏の脳内での出来事でしょう。

また、セルカン氏のJAXAでの任期は2005年で切れているはずなので、2006年の時点で“JAXAで働く唯一のトルコ人”というのは明らかな詐称です。

というか、これまでのエントリーを読んでいる方はお分かりでしょうが、トルコのメディアの報道というのもかなりいい加減なのですよ。 だから、セルカン氏当人が言ったのか、記者の脳内変換によるものか、しばしば判断がつかなかったりするのですが、この“JAXAで働く唯一のトルコ人”という肩書きはかなり後の時期に記録されたセルカン氏のインタビューでも出てくるので、多分本人が語っていた言葉ではないかと思われます。 

→(3)に続く


“ピーター=フランクルになりそびれた男”の母国での評判(1)

2009-12-29 03:31:36 | トルコ関係
更新を再開すると書いてはみたものの、今月に入ってからは何だかんだで忙しく…気づいてみたら、丸々一ヶ月も間が空いていました。何てことだ。まあ、世間一般に“師走はせわしい”ものだということで勘弁してください。

今年のネタは、なるべく今年中に使いたかったんですけどね。あと3日しかないけども。

それはともかく、今更ながらこの↓人の話です。

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2009年11月14日  朝日新聞

宇宙飛行士候補名乗る東大助教、トルコ政府が根拠否定
http://www.asahi.com/national/update/1114/TKY200911130453.html

「トルコ人初の宇宙飛行士候補」を名乗って講演や執筆活動をしている東京大大学院工学系研究科のアニリール・セルカン助教(36)が、飛行士候補の根拠 として示していた公文書についてトルコ政府は13日、政府発行の文書ではなく内容も事実に合わないとの見解を示した。朝日新聞の問い合わせに文書で回答した。

アニリール助教は東大博士課程を修了、日本の宇宙航空研究開発機構研究員を経て、05年に東大助手(現助教)に就いた。01年に米航空宇宙局(NASA)で宇宙飛行士の訓練を修了したなどと称して各地で講演、科学技術振興機構が運営する日本科学未来館の映像監修もした。

しかし、宇宙飛行士候補である証明として東大に提出したトルコ運輸省の文書について、トルコ大使館は「運輸省が発行したものでない。署名も本物でない」と否定した。

助教をNASAの研究事業に招いたとされた米大学教授やNASAも、同様に提出された手紙や訓練証明書について「自分の署名ではない」「文書の書式が違う」と発行を否定している。

助教をめぐっては、03年度の業績として宇宙機構に申告した論文一覧11本のうち4本の存在が確認できず、宇宙機構が該当部分を報告書から削除した。東京大も経歴や業績の調査を進めている。

アニリール助教は朝日新聞の10月末の取材に対して「トルコ空軍とNASAの合意に基づいて宇宙飛行士の訓練を受けた。軍事的なことなのでこれ以上は話せないと話していた。

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この“偽”宇宙飛行士候補氏の名“セルカン”はトルコではよくある名前なのですが、姓の方の“アニリール”は全然トルコっぽくないですね。というか、何だか欧米的な響きがします。“アリー=マクール”みたいなw。

トルコ語だとこの人の姓は“Anılır”と綴ります。ここで使われている“i”の上点だけ取り除いた形の“ı”の字が表す音は、トルコ語の入門書だとよく“イの口の形でウと発音すべし”と説明されている母音で、元々日本語に無い音なのですが、とりあえずカナ文字では“ウ”に翻字されるのが普通ですね。

だから、“Anılır”をカタカナで書くと“アヌルル”短く“アヌルル”です。“アヌルール”ではなく。そんな風に語尾を伸ばすのは、あたかも“田代”を“タシーロ”と読むに等しいw。

で、“アニリール”というのは、恐らく海外向けに“Anılır”の中で使われている件のトルコの固有文字“ı”を普通の“i”に置き換えて“Anilir”とし、それをさらに英語とか独語風に強弱アクセントをつけて読んだものなのでしょう。

でも、我々日本人が、トルコ人の名前をわざわざ西欧諸語風に読む必要などまったくないわけで、本ブログでは他から引用する場合を除いて全て“アヌルル”で通すことにします

まあ、そういう細かい話はさておき、このセルカンという人物は自らが宇宙飛行士候補であることを証明するために、米国のある宇宙飛行士の顔の部分を超絶的なwコラージュ技術を駆使することによって自分の顔を挿げ替え、その写真を自著やブログなど色んな所で公開していたことも今では判明しています。

これ↓がその写真なのですが.......


この写真を最初に見た時、何とも言えない既視感を覚えたのでした。どこかで同じような写真を見た気がするのです。それも、そう遠くない昔に。

さて、どこだったか?.....暫く記憶の糸を辿っている内に、不意にある画像が脳内に浮かびあがりました。

具体的にはこれ↓ですw。


そうです。 3ヶ月くらい前のエントリーで紹介した、“宇宙人”もしくは“ウクライナの鳩山幸”の異名を持つ現キエフ市長、チェルノヴェーツキーの奇人振りを揶揄するために作られたという、あのコラージュ写真ですよ。

セルカン氏のコラージュ写真の元ネタは、どうやらこれ↓のようですが、

■NASA - Astronaut Selection
http://nasajobs.nasa.gov/astronauts/

チェルノヴェーツキーの宇宙服写真もネタ元は同じ….じゃないな。背中のタンクの形なんて明らかに違う。でも、宇宙服の形はセルカン氏のネタ元と同じく、1992年以前のものであるようです。

それはともかく、この二つの“宇宙飛行士コラージュ”写真を見比べた場合、チェルノヴェーツキーに対して、セルカン氏の顔の向きは明らかに不自然ですw。

さらに、セルカン氏の写真は画像の加工が顔の部分のみに止まっているのに対し、チェルノヴェーツキーの写真を作った職人は顔の挿げ替えだけでなく、腕の部分にちゃんと青+黄色のウクライナ国旗と、ウクライナの国章“
3本の歯”のワッペンをつけるなど、芸が細かい。セルカン氏の写真がインチキだと看破された理由の一つが“トルコの宇宙飛行士候補であるにも拘わらず、宇宙服にトルコ国旗がついていないのはおかしい”云々という点にあったことを思えば、この差は極めて重要かと思われます。

つまり、“トルコの詐欺師”のコラ写真は全体的な完成度において “ウクライナの宇宙人”のそれにも及ばないわけですよ。

まあ、チェルノヴェーツキー本人はこんなの作らないだろうけどw。

そして、こういう
適当に作られた風刺写真以下のクオリティの、ダメダメな偽造写真に騙されていたのが、我らが日本社会という……



→(2)に続く

我がオスマン帝國の科學力は世界壱ィィィィイ!(追記)

2009-06-30 00:46:53 | トルコ関係

→(後編・その2)からの続き

Wikiの英語版がいじられていたのがちょっと気になったので、念のためトルコ語版 Wikiのロボットの項(http://tr.wikipedia.org/wiki/Robot)も調べてみました。

すると.....

Evlerde robot kullanımı giderek artmaktadır. Evlere giren ilk robotlar Furby, AIBO gibi oyuncaklardır. Başta ABD'de olmak üzere ev işlerine yardımcı olan robotların kullanımı da giderek yaygınlaşmaktadır. Yerleri kendi kendine süpüren robot elektrik süpürgeleri büyük talep görmektedir. Dünyanın ilk robotu 1889'da Türkler tarafından yapılıp Japonya'ya hediye edilen ancak Ertuğrul Fırkateyni ile birlikte Pasifik Okyanusu'nun derin sularına gömülen Alamet'dir.

. ...家庭でのロボット使用が増えている。最初に家庭に入ってきたのはアイボやファービーといった玩具だったが、米国をはじめとして、家事補助用のロボットの使用も次第に広まっているのだ。地面を自動で掃除する電気掃除ロボットの需要は大いに高まっている。

世界初のロボットは、1889年にトルコ人たちによって製造され、日本に贈呈されたものの、フリゲート艦・エルトゥールル号とともに太平洋の深海の底に消えた“アラーメット”である。


ここではアラーメットの写真は使われていない。


いやあ、案の定でしたねw。

というか、何かエルトゥールル号と一緒に沈んだことになってるんだけど、いいのかw?

その説でいけば、オスマン帝国は明治天皇の要請に応じて最新鋭のからくり時計...もといロボットを製造してエルトゥールル号とともに日本へ送ったと。で、東京まで到達した使節団はロボットを散々日本人に見せびらかした挙句、それをトルコに持って帰ろうとしたら台風に遭って沈んでしまった、とかそういう話になってしまうんだけど....w。

これを書いた人(多分ケレシュ氏自身かその周辺の人間だと思われるw)は、恐らくエルトゥールル号が復路で沈んだことを知らないんでしょうが、だったらなおのこと意味が分かりません。日本につく前に太平洋に沈んでいるのに、一体どうやって日本に技術が伝わるのか?

一から歴史を捏造せんとする意気や善しw。団体を動員するとかでなく、個人で地道に情報工作を行っているのも関心なことです。ただ、ちょっと爪が甘いのが残念www。


我がオスマン帝國の科學力は世界壱ィィィィイ!(後編・その2)

2009-06-29 22:00:39 | トルコ関係

→(後編・その1)からの続き

どうやら、ガチで信じている人が多いようですw。でも“haber⑦”の読者はたまたまこういうのが多いだけだろう、と言う人がいるかもしれないので、大手紙“Milliyet(ミリエット)”の掲示板も訳してみましょう。記事の内容はほとんど同じで、30以上のコメントがついていました。さすがに全部は訳せませんので悪しからず.。

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<ハルクのコメント>
http://www.milliyet.com.tr/Yasam/SonDakika.aspx?aType=SonDakika&KategoriID=15&ArticleID=1108743&Date=20.06.2009&b=Osmanl

論評ハルク1号
一体今度は何がでてくるんだろうな。トルコ民族は全民族に冠たるレベルにあったというのに、どうして今みたいな状態になってしまったのか。悲しすぎる…。


論評ハルク2号
日本にすらロボットを送ってたというのは驚くべきことだ。でも、800年続いた国にそういう技術を期待するのは間違っていない

※よく分からない理屈ですw


論評ハルク3号
もしこの情報が正しいとしたら、当時の技術はとても良い状態にあったということだよね。半メートル歩くとか。で、一番大事なのはアザーンが朗誦できたということ。どう朗誦されたんだろう?どうやって作ったんだろう?あと、何でできてたんだろう?


論評ハルク4号
オスマン帝国についてどうこう言ってる奴はこの記事を読め。オスマン人たちは、衰退期においてすら科学的な探求をやめなかったってことだ!


論評ハルク5号
オスマンの祖先たちを誇りに思うよ。皆にアッラーのお恵みあれ。


論評ハルク6号
このロボットはどこにあるんだ?120年ってそんなに昔じゃないぞ。日本の友人たちに聞いてみようぜ。“ロボットはどうしたんだ?”ってな

※そんなものはありませんw。


論評ハルク7号
日本側のソースの中にさらなる情報と記録が絶対にあるはずだ!
その確信がさらに強まるようなニュースだな。

※ないw

論評ハルク8号
オスマン帝国が崩壊しなければ、トルコは今の日本よりも発展してたってことだな


※多分してないw


論評ハルク9号
文明を俺たちから学んだ奴らが、今では俺たちに文明を教えようと努めている。残念なことだ。


論評ハルク10号
この種の発見や革新、先進的な試みは、どれもアブデュルハミト2世の時代に起きてるんだよな。
俺たちはこの人のことを(学校では)暴君だったと教わっているけどさ。歴史がいかに事実からかけ離れた書き方をされてるか、よく分かるよ。


論評ハルク11号
120年前はこうだったのに、120年後の今ときたら….。


論評ハルク12号
日本人たちがロボットを作ったのは、多分俺たちからインスパイアされたからなんだ

※されてないw


論評ハルク13号
オスマン帝国がいかに進んだ国だったかを示す明らかな証拠だ。帝国を後進的なものだとか言ってる奴って…。このニュースみたいな、俺たちが知らない事ってどれくらいあるんだろうな。調べてみないと….。


論評ハルク14号
俺たちは御先祖様よりもダメダメなんだな。残念なことだけど….。


論評ハルク15号
ロボットは日本人の手本になったんだ。さもないと、日本は今みたいな技術大国には多分なれなかっただろう….


論評ハルク16号
どうして俺たちはこのことを知らなかったんだろう?何か間違ってる。全てのことが人民から隠されてるように感じるんだ。で、このロボットは、日本がロボット先進国になったまさにその原因だな。彼らはフリゲート艦(エルトゥールル号)でこのロボットを見つけ、引っ張り出したんだろうwww。

<ハルクのベスト・コメント>

誰だか、俺らが日本人をインスパイアした、みたいなことを言ってる奴がいるようだけど、一体何を考えているんだ?お前らがロボットだと言ってるのは、目覚まし時計みたいなシロモノだぞ?オスマン帝国は完璧な国家だった。でも、衰退期にはその進歩の精神を失ってしまったんだ。

スルタンたちは、鳥籠(ある時期以降、スルタンの皇子達は鳥籠のような小部屋で育てられた)で養育された後に玉座に上り、恐怖と、不安定さと、無能さに翻弄された。オスマン帝国は、初期の段階では完璧だったが、奸智により滅んでしまったんだ…..。

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結局、似たような感じですねw。まとも、というか記事に対して懐疑的なコメントは、ほとんど上の<ベスト・コメント>のみでした。

しかし、1890年代にロボットとか潜水艦とかTVとか自前で作れるほどの技術力と工業力があれば、英露仏相手の第一次大戦はともかく、伊土戦争とかバルカン戦争は楽勝だったんじゃないですかねw。

まあ、いくらそんなことを言っても、“それはアブデュルハミト2世が退位した後の話だ!アブデュルハミト2世がスルタンの地位にあったなら、あんなことは無かったはず!”とでも返されるんだろうなあ。

ちなみに、実際に当時のオスマン帝国を訪れた日本人の感想については、坂本勉/池井優・編「近代日本とトルコ世界」(頸草書房)が詳しいです。この本の中で、1891年にエルトゥールル号の生存者を乗せてイスタンブルを訪れた日本海軍の軍艦“比叡”と“金剛”の乗組員の手記がそれぞれ紹介されているのですが、いずれも視察したオスマン海軍に関して“艦隊が港に放置され、各艦は錆びついて使い物にならなそうだった”、云々と厳しい評価をしています。

彼らの見立ては正しかったようで、1897年のギリシャとの戦争の際には、オスマン海軍の艦艇は整備不良で機関が動かなかったり、あと乗組員の殆どが船酔いで使いものにならなかったりして、結局、一艦たりともギリシャまで辿り着けませんでした。

また、同じく1896年にイスタンブルを訪れた鎌田榮吉(後に慶応義塾の塾長をつとめた人物)も、その旅行記の中で、“帝国の国家機構は大変に腐敗し、収賄が蔓延していた”、“華美な宮廷生活と貧しい一般人の暮らしぶりの差が印象的だった”みたいな感じで、色々と厳しいことを書いています。

まさに、当時の列強がオスマン帝国のことを揶揄して使った瀕死の病人”という言葉そのものですね。どう考えても当時の日本人が技術支援を求めるなんてあり得ないし、ましてや明治天皇がアブデュルハミト2世からイスラームについて教えを請うことなんてことも無かったでしょうw。

まあ、いくつかのコメントにもあったように、あちらの学校で現在教えられている“正史”は確かに不自然です。テュルク系の王や族長を頂いていた歴史上の国家は全て“トルコ族の国”といった扱いであり、オスマン帝国も何だか“トルコ人”の民族国家のようなのです。

この辺りは、現在の中華人民共和国が清や唐のような古典的な大帝国の版図を根拠にして、“中国の歴史的領土”を云々することに対して感じる違和感と少し似ているかもしれません。その一方で、セルジューク朝の西漸以前から重要な役割を果たしてきたイスラームの役割についてはあまり触れられない。

何とも、現在の世俗主義体制にとって都合の良い歴史なのですよ。確かに“国史”なんてものは元来、国民国家を正統化するためのものですから、世界のどこでも程度の差こそあれその時々の体制に都合の良いように書かれるものではあります。が、トルコの場合はどうもそれが極端なのです。

故に、それを見直す動きがでてくるのは自然なことだし、また大いに結構なことだとは思うのですが….だからといって、一部のイスラーム主義者のように逆に“共和国を全否定、オスマン時代を全肯定”するのはいかがなものでしょうかw。

そういう人たちの歴史観は、大体イスラーム世界が欧州に対し政治的にも文化的にも優位にあった中世辺りが基準になっています。訳したコメントの中に “この世界における重要な発見は全てムスリムやトルコ人によってなされた”みたいなのがいくつかありましたが、こういうのがまさにそうです。

どういうことかというと、まず、中世においてギリシア・ローマ文明を含む広義のオリエント文明を直接引き継いだのは西欧ではなく、中東から中央アジアにかけて広がったイスラーム世界でした。西欧人はアラビア語を介してそれらの知的遺産を吸収していき、それがきっかけになってルネサンスが始まり、近代文明が生まれたと。つまり、近代文明の起源はイスラーム世界にあるというわけです。

実際、その時代にムスリムによって独自に発見されたり発明されたりしたものは多い。多いんだけど、その基盤となった知識をたどっていけば、またどこか他の文明に行き着くはずです。“○○の起源は××にある”とか、“△△は××のパクリだ!”みたいな主張は馬鹿な話で、そういうことを言い始めたら、最終的には“人類共通の祖・アウストラロピテクスを崇めよう!”とか、“最初に火を発見した類人猿に感謝しよう!”といった話にしかならないでしょう。

でも、彼らの眼中にあるのは欧州と自分らの関係のみであり、東アジアや南アジアの文明は眼中にありません。また、彼らにとって歴史とは7世紀に預言者ムハンマドが出現してからの話なので、それ以前のことは多分どうでもいいんでしょうね。こうした発想の裏には、現時点のリアルな世界を牛耳っている西欧発の近代文明に対する強烈なコンプレックスが感じられます。

ただ、これだと近代に入って西欧との力関係が逆転し、後には一方的に支配される関係になったことへの説明がつきません。特に列強から“瀕死の病人”と揶揄された19世紀後半~20世紀初めのオスマン帝国の状況なんていくら理想化しようとしても、そのための明るい材料はほとんどない。となると、結局、列強やユダヤ人組織の陰謀のせいにしたり、この記事のようにほとんど100%捏造に頼らざるをえなくなるのかもしれません。

だからですね、とりあえずこの時代に関して言えば、世俗主義者というか、トルコの“正史”の記述がまだ事実に近そうな感じです。

しかし、これの元ネタを書いたと言う作家(兼研究者)のオクタン=ケレシュとは一体いかなる人物なのか?その名を手がかりに調べてみたところ、彼が常々寄稿しているというあるニュースサイトに辿り着きました。

“アラーメット”の件も、初出はこのサイトだったらしい。最新のニュース欄に、“アラーメット”報道の後日談にあたる話題もあり。

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「日本の新聞が我々の情報を報道」
原題:Haberimiz Japonya Gazetelerinde  2009年6月25日
http://www.netpano.com/haber/3503/Haberimiz/Japonya/Gazetelerinde


オクタン=ケレシュ氏が秘録シリーズで取り上げたテーマが、トルコのみでなく世界のメディアでも取り上げられ続けている。ケレシュ氏は最初のシリーズで、英国のサッカーチーム“ポーツマスFC”が、アブデュルハミト2世によって設立されたことに関する資料を公開した

※英国のポーツマスFCの月+八稜星のエンブレムを旧オスマン国旗(月+八稜星)と強引に絡ませて、“ポーツマスFCはアブデュルハミト2世によって設立された”と結論付ける妄想巨編。これも訳そうと思ったけど、あまりにも長いのでやめた。

http://www.netpano.com/haber/3152/Portsmouth/Futbol/Kulub%C3%BCn%C3%BC/IIAbd%C3%BClhamid/mi/Kurdu 

↓ケレシュ氏の写真。ちなみに、この人が被っている帽子はクルグズ人の民族帽“カルパック”


その続編において、ケレシュ氏は日本の今日のロボット技術がアブデュルハミト2世によって送られたアラーメットという名のロボットによってもたらされたのではないか、と論じた。文書に基づいたこの情報はトルコ国内のメディアで広く取り上げられ、TVではトップニュースとして扱われたのだ。

このアブデュルハミト2世とロボット技術についての情報は、海外のサイトでも紹介され始めている。以下は、海外のサイト やロボット関係のサイトが、この件を報じた例である。:


といって、いくつかリンク先がいくつかあげてあるのですが、

まず、これ↓はリンク先が存在せず。
Ottoman Robot Surprised the World !

次に、これ↓は何だろう?
英語フォーラム英語フォーラムで英語を学びます。 英語に関する質問や回答に、メッセージボードが最適です。 貢献度が大きいほど、より多くのメンバーに英語を練習する機会を与えることができます!
http://jp.englishbaby.com/forum/LifeTalk/thread/302569

意味が分かりません。恐らく、日本語が読めないトルコ人に対して、さも日本のメディアが取り上げられているかのように見せかけるためのダミーではないでしょうか。日本語なんて読めない普通のトルコ人は、わざわざリンク先なんて確認しないだろうし。

その次のこの↓記事は、このサイトの記事の英訳版を誰かが投稿したものですね。というか、投稿主はこのサイトじゃないかw
http://robotworld.com/robots/newsbot/robot/kaynaknetpanocom-ozel-netpanocom



最後のこれ↓は、英語版wikiのロボットの項です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Robot


??? 一見、アラーメットについての記述は無さそうなのですが、

よく見ると…….



田中久重のからくり人形の真下にアラーメットの写真が…w。


その部分の拡大↓



しかも、作者が自分で投稿してるじゃないかwww。これはひどいw。


我がオスマン帝國の科學力は世界壱ィィィィイ!(後編・その1)

2009-06-27 18:04:13 | トルコ関係

→中編からの続き 

<ハルクのコメント>



論評ハルク1号

我がスルタンは何と偉大であったことか!それから何年も経っているのに、我々は料理用ロボット(?)くらいしか作れないし、未だに外国に依存している…アッラーよ、彼のスルタンの如き指導者を再びこの国に遣わしたまえ。

※作れるのか?w

※追記(6/28):最近のトルコではミキサー等の家電製品が〝料理用ロボット”と呼ばれることもあるようです。御指摘有難うございました(>真実の目殿)




論評ハルク2号
でも、フリーメーソンの奴らがそれを許さないだろうな。奴らはイスラームを後進的なものに見せかけるために、オスマン帝国を遅れた国だということにした。ムスリム知識人は常に時代の先端にあるんだ!

※ “ユダヤ人が牛耳る欧米列強がオスマン帝国を滅ぼした。さらに、イスラエルを建国させてイスラーム世界の抑圧を続けている”みたいな陰謀論は、トルコのみでなく他の地域のイスラーム主義者の議論でも普通に出てきます。イスラエルとかパレスチナに関しては一部納得できるような部分もあるのですが、イスラーム世界衰亡の全て“ユダヤの陰謀”のせいにしてしまうのはいかがなものか。


論評ハルク3号
これで、“アタ(アタチュルクの愛称)、アタ”ばかり言ってオスマン帝国のことを馬鹿にする輩(=世俗主義者のこと)にも、当時の技術がトルコ共和国におけるそれのように遅れていなかったことが分かるだろう。


論評ハルク4号
この記事を書いた記者は、なぜ日本まで行って追跡調査をしないんだ?


論評ハルク5号
我らがスルタン(皇帝)、万歳!
俺はアブデュルハミト2世陛下が大好きだ!あの方ほど先見の明のある皇帝はいなかったろう。現在においてすら、陛下の計画は実現している。考えてもみろよ!チャナッカレ(ダーダネルス海峡に面した都市)に要塞や砲台が築かれたのって、アブデュルハミト2世の時代だぜ。第一次大戦が起こることや、その際に敵国の軍隊がチャナッカレに殺到するのも予測しておられたというわけだ

※ 第一次大戦時のゲリボル(ガリポリ)半島攻防戦のことを言っているらしい。この半島を占領し、ダーダネルス海峡を制することにより、首都イスタンブルを一挙に攻略せんとした英仏豪などの連合軍は、オスマン帝国軍の激しい抵抗により上陸に失敗。この戦いで活躍したムスタファ=ケマル大佐(後のアタテュルク)は“首都の守り主”として有名になった。確かに要塞が築かれたのはその時期だけど、アタテュルクらの勇戦がなければ、当然撃退できていないはず。この人はアタテュルクの功績をどうしても無かったことにしたいらしい。


論評ハルク6号
日本に、こんなものの記録って残ってるもんかね?


論評ハルク7号
前世紀の最も偉大な指導者はアブデュルハミト2世とアタテュルクの二人だ。この2人を範にとったのが3番目に偉大なオザル元大統領。現在のトルコの経済発展の礎を築いた。親日・知日家としても有名)。そして、エルドアン(非常にイスラーム主義的な政治家。公正発展党員)は今彼らの例に倣っているところなんだ。

※ テヘランでのトルコ航空機による日本人救出が実現したのは、当時首相であったこの人に強力なコネを持った日本人がいて、それがトップダウン的に機能したため。エルトゥールル号事件以来のトルコ人の間の親日感情(そんなものは無いw)は何ら作用していない。これについては別の記事で詳しく書く予定。


論評ハルク8号
…つまり、その頃は俺らが日本人よりも進んでたってことだな。誇るべきことだ。今いるその子孫たちに同じことができないとしたら、我らが皇帝の何がまずかったのか分からなくなるよな。

※アブデュルハミト2世は、1909年に統一と進歩委員会(青年トルコ党)の圧力で退位させられた。


論評ハルク9号
セマー(旋踊)を踊って風車みたいにぐるぐる回ってれば神の道が明らかになるというのか?wwwそういうのは、お前が自慢にしているオスマン時代の宗教的な信念なるものが、神秘主義的でアジア的な思い込みの上に成り立っているという証拠だよ。しかし、イスラームという宗教を、コマみたいにぐるぐる回転している人間のでっち上げた変な儀式で説明しようというのはちょっとなwwww

イスラームがどういうもかきちんと学べば、俺がなにを言いたいか分かるだろう。でも、イスラームをエゾテリズム(神秘主義の一種か何かと勘違いしている間は、そんなことばかり言ってるんだろうな

※イスラーム主義者の中でも原理主義的な人々は、戒律(イスラーム法)の徹底遵守ではなくセマー(旋踊)のような物理的な方法で神との合一を試みたり、またしばしばイスラーム化以前の土着の信仰の要素が混じったイスラーム神秘主義を、“異端”とみなすことが多い。この人も多分そういう人。


論評ハルク10号
俺はこれを事実だと信じるよ、兄弟。なぜなら、この世界で全てのものを発明したのはトルコ人やオスマン人なんだ。ただ、他の国々をそれで発展させてしまったという…。恐らく、日本人たちの技術が進歩したのも、このロボットのお陰だろう。


論評ハルク11号
要するに、日本人たちのロボットへの関心は、このロボットがきっかけで始まったってことだな。アブデュルハミド2世って本当に偉大なスルタンだったんだなあ…。

※始まってないw


論評ハルク12号
俺もこのニュースは本当だと思うな。他の人も書いてるように、この世界では何事においても、最初に発見したのはトルコ人とオスマン人なんだ。例えば、歴史上最初に迫撃砲を作らせたのはファーティヒ征服者=スルタン=メフメットメフメット2世なんだよ。ビザンツ帝国を征服した際(コンスタンティノープル攻略戦のことか?)、城内の非戦闘員に被害を与えないためにな

※メフメット2世はそんなに非戦闘員の人権に配慮するスルタンだったのかw

後に欧州人は、これをさらに改良・発展させた。もしこの時、可能性は限られていたにせよ実際にロボットが作られていれば、俺たちの国も世界の強国の中に入れたかもしれない….。


論評ハルク13号
これって、誰もが知ってる振り子付きの目覚まし時計だろ。違うところは振り子の代わりに腕がついてて、鐘の代わりにアザーンが鳴るというくらいで。今の子供用時計みたいだな。ちなみに、世界で最初に目覚まし時計を発見したのはアラブ人だ。御参考までに。


論評ハルク14号
世界における諸々の発明や発見は、全てムスリムによるものだ。いくつか例を挙げてみよう。最初に眼の外科手術を行ったのはイブン=シーナー(アヴィセンナ)。最初に時計を作ったのはアブー・サイードで、欧州人はそこからパクッた。初めて活版印刷を発見したのはイブラヒム=ミュテフェリカ……(この後延々と続くので、以下略)。

※18世紀、イスラームに改宗してオスマン帝国に帰化したハンガリー人。西欧で用いられていた活版印刷の技術を、初めてオスマン帝国に導入した。新たに印刷技術を発見したわけではない。


論評ハルク15号
俺たちは、600年もの間、イスラームの旗手という名誉ある役割を担ってきたオスマン帝国のトルコ人やクルド人の末裔なんだ。誇りに思うよ。俺たちの先祖が黄金時代を生きているとき、欧州は中世の闇にあり、文明の何たるかを知らなかったんだからな…..。


論評ハルク16号
アブデュルハミト2世の時代には、多くの発見がなされたんだ。潜水艦もスルタン御自身が建造された。知られていないものはまだまだ沢山あるだろう。

※どこのピョートル大帝だよwww当時のオスマン帝国には自国で潜水艦を建造する能力など無かった。第一次大戦直前の時点でオスマン海軍は数席の潜水艦を所有していたが、いずれも輸入したもの。


論評ハルク17号
日本人というのは抜け目のない連中だ。彼らはオスマン帝国に高度な技術や知識があった時代には、帝国からそれらを求めようとした。当時の日本は、欧州並の産業の水準には未だ到達していなかったんだ。故にアブデュルハミト2世は、日本人に恥をかかせないために、国内にいた最も高い技術を持った人間を、つまり最も先進的なレベルの時計が作れる偉大な職人を用いた…。

他のどの分野でも、最良のものを送っただろう。例えばTVが出来たらTVを送ってただろう。日本人に対して、そのような形でメッセージを託したのだ。 今日ではどうかと言えば、我々は時計を日本人から買っている……。


論評ハルク18号
そんな御伽噺は信じられないな。ロボット話でごまかそうとしてるけど、アブデュルハミト2世は抑圧的なスルタンとして歴史に残っている。彼が第一次憲政時代に議会を閉鎖したのは、オスマン帝国の衰退の始まりだ。民主主義に反した統治は帝国を崩壊に導いたんだ。

スルタンは権力欲が旺盛であり、(秘密警察を使って)宮殿から一歩も出ずにスルタンの地位を思う存分堪能した。その時期に生まれた良き発明は、明らかにその陪臣によるものだろう。アブデュルハミト2世自身が何かを生み出したというのは間違っている。当時の反体派が彼のことを“赤いスルタン=「返り血にまみれたスルタン」の意と呼んだのは正しいことだ。

※ここで描写されているアブデュルハミト2世の描写は教科書通り。世俗主義者のようです。後はこのコメに対する叩きが続きます。


論評ハルク19号
↑お前の他の投稿を辿ってみたら….PKK(旧クルド独立党、今でも急進的なクルド独立派)を支持するようなことも書いてるな。PKKの支持者がオスマン帝国のことを擁護するとは思えない。実はお前は………。

※2chで酷使様の意の沿わないことを書き込んだらすぐ“在日”とか“朝鮮人”認定されるように、トルコの掲示板でもオスマン帝国の悪口を書くとすぐPKKや共産主義者、フリーメーソンw認定されます。まあ、その辺は共和国とかアタテュルクの悪口を言っても同じなんだけど。ちなみに、PKKはマルクス主義系の団体だからあれですが、一般的なクルド人の民族主義者は民族国家であるトルコ共和国に対しては否定的ですが、“ムスリムの国家であった”オスマン帝国は意外と評価していたりします。


論評ハルク20号

アブデュルハミト2世がなぜ議会を閉鎖したかしってるか?知らなかったら教えてやろう。その当時、オスマン帝国はロシアと戦争(1877年の露土戦争のこと)をしていた。スルタンは議員たちの利敵的な悪意を悟った。だから閉鎖したんだ。

“赤いスルタン”と呼ばれているのは、欧州列強がオスマン帝国を血を流さずに解体しようとしたとき、これに楯突いたからだ。多難な時期に、常に民衆の側にいたスルタンだった。“3月31日事件”の時も、本当なら青年トルコ党のやつらを倒せる力は持っていたのに、ムスリムの血をながしてはいかん!といって、応じなかった。お前はもっとマシな本を読むべきだ。高校の教科書とかじゃなくてな。

※1909年に反革命派が、青年トルコ党の政府を転覆するために起こしたクーデター。アブデュルハミド2世が裏から糸を引いていたとされる。このクーデターの失敗で、アブデュルハミド2世は完全に廃位されてしまった。


論評ハルク21号
アブデュルハミト2世は当時、馬鹿な連中(=改革派のことらしい)と戦っていたんだ。そいつらの唯一の望みは、オスマン帝国を弱体化させて、自らを賢いと思い込むことだった。今でも状況は同じだ。馬鹿者ども(=世俗主義者のことらしい)がトルコを悪くし、トルコの精神的な価値観(イスラームのことらしい)を笑いものにしている。それで、自分らは賢いと考えてるんだ。


論評ハルク22号
我が民族に己の歴史を見失わせしめ、真実を隠し続けるような思想は、もちろんいつかはそのツケを払わねばならない。我々が立ち遅れている理由は明白だ。即ち、それは90年間の独裁体制(革命以来の世俗主義体制を指す)の結果なんだよ。


論評ハルク23号
“エルゲネコン思想“により、お前ら(俺自身は海外の学校で学んだ)は長年にわたってオスマン帝国がいかにダメで、技術の敵であったか!みたいなことを叩き込まれてきたわけだ。今はもう分かっているだろうけど、世界を方向付けているのは俺たちなんだよ。語られるべきこと(歴史的事実)はもっと沢山あるはずだ。

※エルゲネコン=中央アジアのアルタイ山脈辺りにあるとされるテュルク系諸民族の想像上の故地であり、世俗主義者の聖地。トルコの世俗主義においては、トルコ人はイスラーム化によって堕落したのであり、世俗化して“本来の民族意識”に目覚めるべきだとされている。つまり“エルゲネコン思想”=“世俗主義”。


論評ハルク24号
お前の共和主義者のお友達は、この小さな国(=トルコ共和国のこと)すら満足に治められないで、10年に一回はクーデターを起こしてるな。アブデュルハミト2世は広大な帝国を治めてたんだよ。小規模とはいえ、ヒトラーがやったような虐殺は起きたかもしれない。でも、彼が“赤いスルタン”と呼ばれているのはスルタンがユダヤ人たちに(当時はオスマン帝国領だった)パレスチナの土地を与えなかったからだ。お前もそいつら(=ユダヤ人勢力)の仲間なのか?

※ また陰謀論かw。なお、この説はアラブ人の間でも広まっているようです。

参考:週間アラブマガジン“オスマン帝国の歴史”
http://www.aii-t.org/j/maqha/magazine/osman/20080428.htm

また当時、世界のシオニストたちがパレスチナにユダヤ人国家を建国する計画を遅らせていた主な要因は、アブドルハミード2世の堅固な意志でした。そのため、ユダヤ人はアブドルハミード2世をその在位中に凋落させ、歴史的にその名を落とそうと暗躍しました


論評ハルク25号
自分らの祖先をこれまで卑しむべき、矮小で遅れた者と見てきた連中は、我々が今に至っても彼らの遺産を食い潰しているだけだというのが分かっただろう。オスマン人たちを批判したいのなら勝手にすればいい。でも、何をしようが真実はいずれ明らかとなるだろうさ。我が民族の子らは、先祖のことをちゃんと学ぶだろうからな。

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→後編(その2)に続く