今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

黒羽織リミックス

2012年11月05日 19時51分01秒 | きもの

寒くなってきたなあ。
ああ、やだやだ。

なんてね。
なぜか今日はワタシ、そんなに寒さを感じなかったので。
基本的に寒がりなのに、みんなと寒さや暑さの体感日が
同調しないというクセがある。

「あなた、おかしいわよ」

おかしいと云われても、比佐子さん。


さて寒くなってくると、比佐子さんは
早々に結城に手を通す。



菊の本場結城紬に菊の染め帯、帯留も菊。
菊尽くしである。

菊の紫は貝紫で、しかも比佐子さん本人が
色を差したという。
最初は試しにという感じでやっていたのだけど、

「調子に乗ってあれもこれもとやってたら、
 高級帯になっちゃって買い取りになったのよ」

貝紫は高価だからなあ(笑)

この日はうっかり帯板を入れ忘れたようで、
でも云われるまでぜんぜん気づかなかった。




赤いモミ(紅絹)のポーチを差し色に。
濃い色だとよく映えるし、あたたかそう。



袂の裏にはモミをつけ、
長じゅばんは格子の地紋の薄紫。




ベランダ庭園ではコスモスが咲き乱れている。
ところで、コスモスって葉っぱが水草みたいでしょ?
ワタシはコスモスというと、この葉っぱが妙にすきで。


差し色の効果をもうひとつ。



姐さんが仕立て上がってきたおきものを
桐箪笥にしまわんとしているところ。

そしてこのきもの。
明治生まれの方のおきものをいただいたのだけど、
その時点で姐さんにはちょーっと地味だった。
年齢的にも、姐さんの好み的にも。
そこで、モミの通し裏にして仕立て直したというわけ。



袖口や袂、裾から赤がチラチラ見え隠れするだけで
こんなに新鮮味が増す。

さらにお気づきでしょうか。
そう。
姐さん、ついに念願の黒羽織デビュー!





黒羽織に限らず、羽織は丈がむずかしい。
長過ぎてもゾロリでだらしないし、
短いとちょっとカジュアルになるし。
そうはいっても、短い羽織が大流行した時代もあったわけで。
だから要はバランス。



黒地に地紋入りの光沢のある生地なので、
華やかな黒だ。



地紋みえる?




セクシーショット。

羽織の裏は墨流しのストールを利用しました。
紫がきれい。
黒、赤、紫の相性の良さはきものコーデにおいては
王道的な位置づけだろう。
たちまちきものらしいコーデになる。

でもこれって、
ひそかに明治の着方だったりもする。



山本松谷画『風俗画報』第243号、明治35年


小僧(上方では、でっち)を従えて、
どこかの商家の奥さまだろう。
お世話になった家へのご挨拶の風景だと思う。



鏑木清方「紅(べに)」昭和3年


昭和3年作だけれど、明治30年頃の風俗を描いている。
島田髷に黒羽織の婦人が紅をさすところ。
ランプが明治期のそれで、今見ると実にノスタルジック。

どちらの絵からもわかるとおり(他の絵でもみとめることができる)、
明治の女性は、黒羽織の裏もモミ(紅絹)にするのが主流だった。


これらはたまたまワタシが明治の風俗と
照らし合わせたものだけれど、
姐さんのコーデを、明治の黒羽織の着方を
今風にこなしたものとしてみると、たいそう面白い。

これもある意味リミックス、再構築である。

温故知新じゃないけれど、
昔と今のテイストがそれぞれ入っているほうが
ワタシはどうも興が湧く。


そんなこんなで。
明日はわけあっていつもよりも早起き日。
電車のラッシュにあうかなあ。

上等!

気合いを入れたところで
ではまた。