実家の枝豆

私が3歳～中3まで暮らしていた母の実家は、農家。
お米を作っていた。

畑では、とうもろこし、キュウリ、トマト、
じゃがいも、玉ねぎ、ほうれんそう、小松菜、
人参、ブロッコリーなどなど、野菜もたくさん作っていた。
(記憶はおぼろげでしかないのだけれど…)


そして、そんな野菜たちを“リヤカー”に積んで、
おばあちゃんは「菜っぱ売り」をしていたのだ。
(野菜売りとは言わず何故か菜っぱ売りと言っていた)

そんなおばあちゃんが足をケガした夏のある日…
ちょうど枝豆がたくさん収穫されたのだ。

当時、中学生だった私の母は、おばあちゃん(母のお母さん)
の代わりに、大量の枝豆を市場に持っていったそう。

そしたら…休み


焦った母。どうする、この山盛りな枝豆！

おばあちゃんはケガで菜っぱ売りに出られないし・・・


母は自転車の荷台に枝豆をくくりつけ、
おばあちゃんの菜っぱ売りルートをGO

おばあちゃんが菜っぱ売りする時は、いつも母が
迎えに行っていたらしく、ルートが完全に頭に入っていたそう。
（菜っぱ売り後は、おばあちゃんをリヤカーに乗せて、
　母がリヤカーを引いて帰ったらしい）


自転車コギコギ、菜っぱ売りルートを巡り、
ほとんどの枝豆を売ったそう。
ちょうど、家で食べる分だけが残って、夜、みんなで
食べた・・・とのこと


なるほど、母が自転車をマッハで走れるのは、
そんな歴史があったからなのかも。
いつか子供の頃、自転車で、母と縦列走行した時、
あり得ない距離を離されて、タチコギしても追い付かず、
「あんたすごいよ」と、妙に尊敬したんだっけ。

ショートカットで“NamieAmuro”のロゴ入り黒キャップを
かぶって、颯爽と駆け抜けるオッサン…
いえ、おかあさま、カッコイイっす。
今年66歳になるというのに、体脂肪やらなんかの検査で
「あたし40代って出ちゃったの」
と自慢気に言う母…

悔しい。30代のあたし、たぶん体40代だわ

自転車のみならぬ、体もかなわかないとは…おそるべし！！

そんな母が売った枝豆、きっとこんなに甘くておいしかった
にちがいない。

田んぼはもうないけれど、母の実家の畑で作った
枝豆、格別だった。

ごちそうさまでした