「八卦の解説」の所で説明しましたが、「乾」と「坤」は特別な卦です。同様に六十四卦の中では「乾為天」と「坤為地」は特別な卦になります。すなわち、乾為天は乾が上下に重なった陽爻だけの陽の代表であり、反対に坤為地は坤が上下に重なった陰爻だけの陰の代表になります。
この二つを除くと六十二卦になりますが、内容の重要さからいうと、この二つと残りの六十二卦は同じくらい重要な卦であるとも言えるのです。全体を陽の卦と陰の卦の二つに分けたとすると、乾為天は陽の卦の代表選手であり、坤為地は陰の卦の代表選手と言えます。
ですから、各々の代表選手を理解すれば、六十四卦の半分は理解したことにもなります。例えば、一番下にある爻が陽爻であれば初九と呼び、陰爻であれば初六(しょりく)と呼びますが、乾為天の初九は全ての初九に共通する性質があると考えて下さい。同様に坤為地の初六は全ての初六に共通する性質が存在するということです。
それほど重要な二卦ですので、次回より「乾為天」そして「坤為地」を解説していきます。ここをしっかり押さえていかないと、後で訳が分からないということになるからです。孔子もこの二卦については「文言伝」という解説書を作っているのです。
私が参考にしている易の書は公田連太郎先生の「易経講話」です。この本は安岡正篤先生も推薦している懇切丁寧な解説で、私も何度も目から鱗が落ちる経験をしました。この「易経講話」でも乾為天と坤為地は詳しく解説されており、乾為天だけで128ページも使っています。
この「易経講話」は明徳出版社から出ており、全六巻で6万円もします。おいそれと手が出ないとおっしゃる方も多いと思われるので、私が出来るだけ解りやすく、解説したいと思っています。始めにもお話しましたが、易を理解するには、あせらず、ゆっくりが肝心です。
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