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ロシアのウクライナ侵攻と国連改革

2022-03-05 19:32:35 | より良き世界のために

 ロシアは2月24日、ウクライナに侵攻しました。理由はウクライナ東部2州の親ロシア勢力がウクライナ当局から弾圧され命も奪われているというものです。仮にその主張が正しいとしても、国連憲章に照らせば、現在のウクライナはれっきとした独立国であり、武力で攻め入ることは許されません。不満があればあくまでも交渉で解決するしかありません。

 ここでロシアのプーチン政権がこの暴挙を決行するに目を付けたと思われる国連の弱点を幾つか挙げてみます。

  • 世界の警察官不在

そもそも現在の国連に警察力はありません。これまで世界の警察官を務めてきた米国が昨夏のアフガニスタンからの無様な撤退でリタイヤしました。今の米国民は厭戦気分に満ち、自国ファーストが大勢となっています。プーチン政権はそこを突いたのです。

 世界の警察官は本来国連の役割ですが、現在は影も形もありません。安全保障理事会の常任理事国に拒否権を認めているために、今回のウクライナ戦争停止案もロシア1国の反対で葬られました。国連改革ではこの安保理の拒否権を無くして民主化し、安全保障を含む幅広い行政機関とすべきでしょう。そしてその下に警察力としての国連軍の設立が必要です。

  • 世界で最大の核兵器保有国はロシア

プーチン政権は核兵器使用も辞さないと示唆しておけば、この戦争に武力介入する国は無いと見切っています。

世界の核兵器数が下げ渋っている現状も国連の力不足です。昨年1月に核兵器禁止条約が発効しました。これで核兵器を持つことが世界の不道徳になったのです。しかしこの条約に署名しない国はその制約を受けません。本来は改革後の国連総会が立法機関となって核兵器禁止法を定め、罰則をもって世界中に守らせなければならないのです。そうして始めて核兵器廃絶が実現します。

  • 化石燃料と原発

冬はドイツをはじめとする欧州でロシア産の化石燃料の需要が高まります。14年のクリミヤ半島併合もこの季節でした。偶然とは思えません。欧州がロシアに文句を言い辛い季節をプーチン政権は狙ったのでしょう。88年以降地球温暖化防止は国連組織の中で協議されてきました。しかし政府間パネルや締約国会議の形だったので徹底されませんでした。世界最大の温室効果ガスを排出する中国と米国は最近までこれに背を向けてきました。そして今の世界各国の努力目標値を重ねても2050年での温暖化抑制目標は達成できない見込みです。

またウクライナには事故を起こしたチェルノブイリ原発や欧州最大規模のザポリージャ原発などがあります。この度ロシア軍がこれらを占拠し、火災なども発生しました。爆発事故にならないかと世界を恐れさせるのもプーチン政権の策略でしょう。

 化石燃料に起因する地球温暖化防止と、原発廃炉及び放射性廃棄物処分は共に改革後の国連で法律化し、強制力をもって規制しなければなりません。

 

 この度のウクライナ侵攻におけるプーチン政権の真の狙いは権力の維持でしょう。プーチン氏は現在69歳。憲法上は2036年まで大統領でいられます。その為には現行の独裁体制、強権体制が続かなくてはなりません。そこでネックになるのが欧州からの自由・民主主義ドミノです。ウクライナの民主化、更にEU加盟はウクライナ人が多く住むロシアの独裁・強権政治にとっては深刻な脅威なのです。

 改革後の国連ではこの様な政権を認めてはなりません。政敵や批判的な人物を薬物などで暗殺したり投獄したりを繰り返せばやがて取り巻きはイエスマンだけになります。その挙句今回の様な暴挙にもこれを諫める人物がいないのです。独裁者個人の判断力には限界があり、間違えることも多々あります。国民の多様な意見を取り上げる民主政治ならその危険は少ないでしょう。これはプーチン政権だけではありません。中国の共産党独裁政権、北朝鮮の金王朝、ミャンマーの軍事政権、ベラルーシの独裁政権なども同様です。

 今この時も世界中でロシアを糾弾する反戦デモが続いています。そしてそれはロシア国内にもあります。彼等にとって、ロシア当局に捕まれば長期拘束や拷問、最悪死をも覚悟しての、まさに命懸けの抗議です。彼等を支えるためにも、今私たちも立ち上がらなければなりません。

 1945年の国連設立から77年が経ちました。当初予定されていた国連軍がうやむやになるなど、この長い間に改悪はあっても大きな改善はありませんでした。私たち人類はあまりにも怠惰ではありませんか。私たちの子孫が緑あふれる地球で、戦火に怯えることなく、飢えと差別に苦しむことなく暮らせるように、国連組織をもう一段階改善して彼等に手渡しましょう。一日も早く・・・。