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新しい日韓関係の為に

2019-08-14 17:38:33 | より良き世界のために
 昨今の日韓関係は混迷を極めています。発端は元徴用工問題でした。昨年10月韓国大法院は現日本製鉄に対して元徴用工に損害賠償金を支払うよう命じました。現在原告側は韓国内の日本製鉄の資産を現金化しようとしています。これに対して安倍政権はこれが1965年の日韓請求権協定に反する判決であり、支払い義務はないとの立場です。同協定に盛り込まれた双方の政府による「協議」、第三国を交えた「仲裁」更には国際司法裁判所への「提訴」は何れも韓国政府が同意しない為実現しません。そこで安倍政権は奇策に出ました。その第一弾として7月1日韓国の基幹産業である半導体製造に欠かせない「フォトレジスト」などの化学素材3種に輸出規制をかけたのです。更に第二弾として8月2日輸出貿易管理令における優遇措置「ホワイト国」から韓国を外しました。これらは共に徴用工問題とは無関係と言っていますが、誰の目から見ても「江戸の敵を長崎でとる」式の経済報復であることは否めません。皮肉なことに7月1日は安倍政権が議長国として取りまとめたG20大阪サミットが閉幕して僅か2日後です。その首脳宣言の冒頭付近にはこんな文言があります。「自由、公正、無差別で透明性があり予測可能な安定した貿易及び投資環境を実現し、開かれた市場を維持する」何とその2日後に安倍政権は真逆の経済制裁を実施したのです。

 安倍政権の韓国に対するこれらの経済制裁について、世論調査の結果日本国民は概ね支持の様です。朝日新聞も立憲民主党も「安倍政権よりも韓国政府に非がある」という論調です。しかしそれは本当に正しいのでしょうか。本件に関して韓国国会議長や大統領が「盗人猛々しい」と何回も発言しているのがとても気になります。それは1910年から45年まで続いた日韓併合時代に日本から受けた彼らいわゆる「七奪」、従軍慰安婦、徴用工などの問題をいまだに忘れず、許せず根に持っているということです。それは何故なのでしょうか。

 65年の日韓請求権協定には個人を含む賠償責任放棄の代償として3億ドルの無償援助がありました。当初日本政府がこれを運用して従軍慰安婦、徴用工その他の個人被害者に償う提案をしましたが、韓国の朴正煕政権はこれを韓国政府が一括管理して個人賠償することとしたのです。しかしこの3億ドルは個人賠償に使われることはありませんでした。朴政権はこれを他の有償援助と合わせ、ダム、鉄道、道路、鉄橋、製鉄所、発電所など専ら経済発展の為に使ってしまい、いわゆる「漢江の奇跡」を達成したのでした。そしてこのことは当時の韓国民には知らされませんでした。朴政権は強権政治を行い、言論統制、反政府勢力粛清を行っていたのです。

 ここまで見て来た限りでは今回の安倍政権の措置は正しく、韓国文在寅政権側に非があるという日本の世論も頷けます。しかし本当にそれで良いのでしょうか。日韓併合時代、少なからぬ日本人は朝鮮人を差別しバカにしていました。皆さんは「バカチョン」という言葉を知っていますか。例えばカメラで、シャッターを押すだけでピント、明るさ、色合がソコソコ綺麗に撮れる優れものが登場した時に「バカチョンカメラ」と呼んだのです。何気なく使う言葉でしたが、その意味は「バカでもチョンでも綺麗に撮れる」の短縮形です。そしてこの「チョン」こそは朝鮮人の蔑称でした。

 朝鮮人を蔑む日本人の疑心暗鬼が招いた大きな悲劇が1923年の関東大震災朝鮮人虐殺事件です。この未曾有の自然災害の最中、「朝鮮人が火をつけた、井戸に毒を入れた」という言説が流れ飛び、官憲や自警団などにより虐殺された朝鮮人は推定千人~数千人に上りました。毎年9月1日の慰霊祭には歴代の東京都知事が朝鮮人被害者追悼文を寄せてきましたが、現小池知事になってからの3年間は途絶えています。大震災全体の死亡・行方不明者約10万人と同列に扱うとのことですが、こちらは官憲などによる虐殺被害であり、同列に扱うことは大きな間違いです。この事件は私の母が7歳で目撃しており、その顛末は本ブログの下記の記事「伝言その1」に記載していますので是非ご参照ください。

 日本の総理大臣は韓国の元従軍慰安婦とその遺族、元徴用工とその遺族、関東大震災朝鮮人虐殺事件被害者の遺族などに直接会って謝罪していません。本来はその姿を何回も韓国民に見せることが大事なのです。韓国国会にも出席して謝罪する姿を何回も見せるべきなのです。それをせず、ただ金で解決しようとする姿を見せているので、韓国民は納得していないのです。あまつさえ安倍政権は「いつまで詫びれば良いのか」とか「次の世代には詫びさせない」とか言っていますが、韓国国民からすれば心底詫びられた記憶がないので言語道断の発言でしょう。ほぼ同様の論点で本ブログに下記の記事「慰安婦像問題の底流」を記載していますのでこちらも是非ご参照願います。

 もしも65年の日韓請求権協定以降我が国の総理大臣が直接韓国の被害者やその遺族に会って謝罪を重ねていたら、韓国民の日本に対する認識は現在と大きく異なり、従軍慰安婦問題や徴用工問題はもとより発生しなかったのではないでしょうか。そして今からでも決して遅くありません。日本の総理大臣は韓国へ行って直接被害者やその遺族に会って謝罪を重ねるべきです。しかしこれは安倍政権では出来ないでしょう。もし仮に出来たとしても相手がまともに受け取らないでしょう。そのためには一刻も早く政権を変え、しかも安倍政権とは真逆のリベラルな政権にそれを委ねる必要があると思うのです。

https://blog.goo.ne.jp/kanohta/m/200712(伝言その1)
https://blog.goo.ne.jp/kanohta/m/201712(慰安婦像問題の底流)