より良き明日の為に

人類の英知と勇気を結集して世界連邦実現へ一日も早く

抑止力不要の世界へ

2015-07-12 17:30:42 | より良き我国のために
 1980年5月、私はフランスのストラスブルグで開催された世界連邦青年会議(WFY)に出席した際、当時の欧州共同体(EC)の旗が翻る大きな建物を眩しく眺めた記憶があります。その11年後ECは欧州連合(EU)となり、今ではかつての敗戦国ドイツを盟主として加盟28か国にまで広がりました。主権国家の垣根を低くすると云う人類初の壮大な実験を今なお続けています。
 そのEUは現在ギリシャの債務問題で発足後最大の危機を迎えています。金融政策を単一通貨ユーロ圏内で統一しながら財政政策は国毎に異なるという中途半端さが原因です。この先ギリシャはユーロ圏を外れ、更にはEUからも外れるかも知れません。それはギリシャのみならず、EUひいては世界にも深刻な影響を及ぼす危険性があります。
 しかし大丈夫!「三歩進んで二歩下がるとも」一歩は確実に進んでいます。過去のEC、EUがそうであったように様々な紆余曲折を経ながらも次第に「欧州国」設立に近付いて行くことでしょう。何故ならそれが「人類の理想」であり、当然目指すべき姿だからです。

 翻って我が国を含む東アジアではどうでしょうか。戦後長きに亘って我が国は中国や韓国に経済援助や技術援助をしてきました。私自身も技術者として70年代の韓国企業への技術供与、80年代の中国企業への技術供与の現場に居合わせた覚えがあります。しかしやがて両国が我が国と肩を並べ、或はGDPで我が国を凌ぐまでに成った現在、歴史認識や離島帰属問題などで政治的には冷え切った関係に有ります。まるでこれまでの経済援助、技術援助が徒労だったかのようです。先の大戦での敗戦国同士で戦後の窮乏生活から同様に立ち上がってきたドイツと我が国のこの差は一体何なのでしょうか。

 この要因の中で一際大きなものが彼我の反省の徹底ぶりではないでしょうか。ドイツは戦後ナチスを全否定してきました。いまだに反ナチス法に基づいて元ナチス関係者が摘発されています。学生はナチス党の所業を授業で徹底的に学んでいます。昨年3月には独大統領がギリシャで謝罪したことも記憶に新しいことです。我が国はこの点が不徹底でした。当時の安倍晋三少年を含め、学生は満州事変以降の日本の所業を殆ど学んでいません。反ナチス法のレベルなら当然摘発され、排除されるべき者達が戦後続々と政界を含む日本社会に復帰してきました。その最たる例がA級戦犯だった岸信介氏の総理就任です。これは日本国民がドイツ国民ほどには徹底した反省をしていなかった証左です。その岸氏は自民党の創設に立ち会い、かつ「自主憲法制定」を目指す流れの源になりました。

 現在の安倍政権は岸氏の思想を引き継いでいます。占領下で押し付けられた「見っとも無い憲法」を自主憲法に改定すること。その眼目は天皇の元首化、軍隊を持ち戦争を可能にすること、そして基本的人権の制限です。これらは3年前に自民党が発表した憲法草案に明記されています。かつて我が国は村山談話、河野談話等を以て近隣諸国に対し、深い反省とお詫びの念を表明してきました。しかしこれらは額面通り受け止められていません。何故ならあの「流れ」に属する政治家達から各談話とは全く異なる声が幾度となく発せられて来たからです。更に総理大臣を始めとするあの「流れ」に属する政治家達がA級戦犯を祀った靖国神社に挙って参拝して来たからです。選挙の度にあの「流れ」に属する政治家達を当選させ続けてきた日本国民の落度では無いでしょうか。

 今週安倍政権は「戦争法案」を衆院で強行採決してしまうかも知れません。しかし私達は更に反対の声を高め、内閣支持率を落とし続けましょう。そして参院採決又は衆院再議決の前に断念させるのです。今後の総選挙、参院選ではあの「流れ」に属する政治家達を落選させましょう。そして新政権には現憲法の根幹を守らせるのです。平和憲法と呼ばれる現憲法は近隣職国に向けたお詫びの証文でもあります。この3月に訪日したメルケル独首相の我が国への忠告に従い、独り善がりな歴史認識への固執を改め、ひたすら近隣諸国に許しを請う必要があります。また靖国神社を廃して国立戦没者墓苑を新設しなければなりません。
 更にこれまでの安倍政権による様々な制度改悪を一つ一つ覆して行かねばなりません。(不)特定秘密保護法、武器輸出三原則の緩和、原発再稼働、辺野古基地建設着工、メディアや教育への介入等です。特に教育については道徳の正教科化を止め、満州事変以降の日本の所業を包み隠さず教えて行く必要があります。

 その上で我が国は欧州連合(EU)に習い、遅れ馳せながら東アジア連合(仮称)創設の先頭に立って尽力すべきです。政治的、経済的に結び付きを強め、国家主権の垣根を下げることが最強の紛争抑止力になります。武力による抑止力が際限のない軍拡競争を招いたことは前世紀の教訓だったはずです。そして今世紀に於いても武力が紛争解決に全く役に立たない現実を中東その他で嫌というほど見ているではありませんか。今後世界の警察官役は米軍や伸長著しい中国軍であってはなりません。国際公務員で編成された国連軍でなければならないのです。自衛隊を含め各国軍は次第に武装解除されていきます。その為に我が国は国連の強化、主要5か国の拒否権を廃した民主化を推進する役割を担わなければなりません。これが出来て初めて我が国の平和憲法が想定している世界が実現するのです。そしてこれが本当に我が国が世界に果たすべき最大の貢献ではないでしょうか。決して米軍の片棒を担ぐことであってはならないのです。