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真の同一労働同一賃金を!

2015-11-08 16:04:36 | より良き我国のために
 同一労働同一賃金推進法は9月に参院を通過し、同日施行されました。しかし、その内容はまだまだ不十分です。

 かつて私はとある問題で街の弁護士に相談したことが有ります。相談料は30分で5000円でした。仮に相談客が引きも切らず、弁護士が7時間働いたとして、この弁護士の日収は7万円、月収は150万円ほどになります。それでもこの弁護士は最後にこう言いました。「この件ではこれ以上の相談は受け付けません」 つまり30分5000円の相談料は安めに設定された協定価格であって本当は割に合わないものの様でした。

 弁護士の報酬が高いのは、国家試験にパスした特殊な職能で、仕事が常にあるわけではなく、かつ相談の結果顧客が得られる価値が大きいからでしょう。たまたま私の場合は大した価値がありませんでしたが…。つまり顧客は得られる価値に相応しい対価を払います。これは「同一価値同一対価」(ネット検索してもヒットしないので私の造語かも)という市場経済の原則の一つと言えます。

 一方、雇用の現場でこの「同一価値同一対価」の原則は守られているのでしょうか。勿論否です。正規労働者と非正規労働者の間には給与で2倍程度、福利厚生まで含めれば2.5倍の格差があると言われています。仮にこの格差が今後無くなれば表向きの「同一労働同一賃金」は達成されることでしょう。しかしそれでもまだ「真の同一労働同一賃金」つまり「同一価値同一対価」にはほど遠いのです。

 まず時間給に於いて「同一労働同一賃金」が達成されたとしても、まだ福利厚生費の分が残っています。これは正規労働者にのみ与えられる社会保険費用の企業負担分、諸手当、健康診断その他の優遇サービスなどです。これらが不要な分、非正規労働者は企業にとって価値があるのです。

 さらにこれら福利厚生費相当分が非正規労働者の時間給に加算されたとしても、まだ企業側には非正規労働者を雇う価値が残ります。それは「解雇フリー」という価値です。かつて私が勤めていた会社では業績が悪化すると真っ先に非正規労働者が切られました。便利な雇用の調整弁としての価値があるのです。「同一価値同一対価」の原則からすれば企業はこの価値に見合う対価を非正規労働者に上乗せして支払う必要があります。さもないとこの価値の為に企業はぎりぎりまで正規労働者を減らし、非正規労働者を増やすでしょう。

 今日現在で非正規労働者は全労働者の4割に達しています。彼らは収入が少なく、雇用も不安定です。更に企業年金、厚生年金、雇用保険等、ピンチに陥った際や老後の保障も手薄です。単純作業が多いので能力の積み上げも乏しくなります。従って非正規雇用が続いて社会的信用も得られにくくなります。その結果、彼らは結婚し、子供を産み育てる自信が持てなくなります。かくして我が国はますます少子高齢化が進み、人口が減って衰退に向かうことになるのです。

 これを避けるためには非正規労働者の給与に福利厚生費分並びに「解雇フリー分」を上積みし、正規労働者よりもむしろ高い給与にして「真の同一労働同一賃金」を図るべきではないでしょうか。