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香港国家安全維持法の撤回を!

2020-06-29 15:30:53 | より良き世界のために
 中国の全国人民代表大会(全人代)は5月28日、香港に対して国家安全維持法を導入する方針を決定しました。中国政府は今月内にも全人代常務委員会で同法を制定し、7月1日の香港返還記念日に施行する構えでいるようです。その要点は①国家反逆、国家分裂、動乱煽動、中央政府転覆、国家機密窃取の行為を禁止し、②外国の政治組織や団体が香港で政治活動をすることを禁止し、③香港の政治組織・機関が外国の政治組織や団体と関係をもつことを禁止すると言うものです。更に香港の裁判所を香港政府の下に置き、中国政府の実力組織を香港内に置くとも言われています。これらが可決・施行されれば昨年香港政府に逃亡犯条例の成立を断念させた民主派による街頭デモなどは要点①の適用で禁止され、改めて香港政府が再提出するであろう逃亡犯条例は可決成立してしまうことでしょう。それは一国二制度によって香港に与えられた言論と集会の自由が事実上失われることを意味します。
 現在の中国憲法はその第33条から47条で言論・出版・結社・信教等の自由を認める傍ら、第1条で「いかなる組織ないし個人も社会主義体制を破壊することを禁止する」として事実上これらの自由を制限しています。このため現体制を批判する中国本土の民主派の人々の多くは国外に逃れ、国内に留まる人は監視・投獄を受け、命の危険にもさらされています。7月以降の香港は国家安全維持法に依って中国本土とほぼ同じ人権無視の状態になることが危惧されます。
 「人はパンのみにて生くるものに非ず」とは聖書の中の言葉です。もちろん衣食住に代表される「物」は人が生きる上で必須のものですが、人は「物」が足りれば幸福になるのではありません。然るに共産党独裁の中国政府がその成立以降人々に与えてきたのは「物」のみです。曰く「13億の民を養うにはこの政治体制しか無いと」のことですが、ほぼ同じ13億の民を持つインドは民主政治を保っているのでこの理屈は通りません。もはや中国政府が守りたいのは共産党の独裁体制だけなのではないでしょうか。香港を含む中国人民の物心両面の幸福では決してないのです。
 香港にこのまま言論と集会の自由を認めていると遠からずそれが中国全体の人民に波及して一党独裁体制が崩壊すると中国政府は恐れています。しかし人民にとってそれこそが望ましい姿なのではないでしょうか。民主化された中国に於いて、現在「職業訓練所」なる洗脳機関に多くの人が強制隔離されているウィグル自治区を始めチベット、台湾などが独立して民族毎の自前の国を作る事は彼らの真の幸福につながることでしょう。もちろん民主主義国家も決してバラ色ではありません。差別も格差も貧困も残っている国が多いのですが、国民が自由に政府を批判でき、更にはそれぞれが持つ一票の力で政府を変えられる点が他の何物にも勝る貴重な価値なのです。
 香港国家安全維持法導入に対して民主主義国の多くは反対しています。中国政府はこれを「内政干渉」として退けようとしていますが、21世紀の現在のしかも基本的人権の蹂躙や人々の生命の危険に関わる問題において「内政干渉」なる概念を通用させてはなりません。多くの皆さんの声を集めて中国政府に届けようではありませんか。「香港の国家安全維持法を撤回せよ!」と・・・。