韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

ムアン干潟~黄海エコリージョン支援事業 韓中交流会

2010-05-31 15:17:41 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 今回の交流会は、通訳をしていた僕がこんなことを言うのもなんですが、2回目ということもあり、かなり中身の濃い交流会になりました。韓国と中国の湿地保全の団体、合計8つが昨年1年間の活動報告をしたわけですが、お互いの問題意識や干潟保全の方法などで、共通項を見出した交流会だったと思います。

 僕もそうですが、干潟はあまり役に立たない場所という認識がかつてはありました。そのため、農地や工業用地などを作るために埋め立てられたり、養魚場や塩田に使われたり、潮止め堤防を作って中の水を淡水化したりしていました。この代表的な事例が、韓国ではシファ湖だったりセマングムの干拓地であり、日本では諫早の干拓地であったりするわけです。

 このような認識を根本から変えたのが、ラムサール条約であり、生態系や生物多様性にとっての干潟の役割だと思います。でも、干潟を埋め立てようという開発の圧力は、韓国でも中国でも、そして日本でもまだまだ根強く残っています。そんな状況の中、黄海エコリージョン支援事業が行われています。

 地域社会や住民に干潟の重要性をどのようにアピールするのか、そのなかでどんな問題にぶつかったのか、そしてこれからどのようなことをすればいいかという点に関して、韓国と中国の干潟保全のNGOの取り組みは、いろいろな点で重なる部分があり、たんに自分がかかわっている地域だけでなく、黄海という大きな枠組みの中で考え行動をしているという感じを持ちました。
 
 今後、韓国ではムアン干潟で3年間のプロジェクトが行われますが、それ以外の地域でもどのような活動をするのか、また今までこの支援事業に参加した多くの団体がお互いにどのようにコミュニケーションをとりあい、共同作業をしていくのか、またこの活動を多くの市民にどのように伝えていくのか、みんなと相談しながら知恵を出し合ってプランを立てていく必要がありそうです。

 
 発表会の後、パナソニックとWWFから修了証書の授与が行われました。パナソニックの方、WWFの関係者、そして各団体の代表です。


 
 2日目の午前中に行われた分科会。国別に分かれて、問題点などを討論しました。



 会場になったムアン干潟自然センターの目の前に広がるムアン干潟。



 とても立派なムアン干潟自然センター。どのようなプログラムを作って干潟の大切さを知ってもらうか、今後の大きな課題でしょう。 

泥干潟はスゴイ!

2010-05-31 01:53:30 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 先週の木曜日、ムアン干潟ではじめての泥干潟体験をしましたが…泥干潟はスゴイですね。

 朝、8時ごろから10時ごろまで干潟を歩きましたが、想像以上に歩くのが大変です。カメラを持って撮影しながら歩いたので、手をつくこともできず、気がついたら太ももまでズブリと嵌ってしまいました。

 今回は写真を中心にムアン干潟を紹介しましょう。



ムアン干潟の入り口の案内図。ここから歩いて干潟に入りました。



干潟体験の第一歩は長靴を履くところから。バスの運転手さんも手伝ってくれました。



長靴が脱げないように、足首のところを紐で結びます。モデルはWWFのヒロコさん。



干潟の説明をするモッポ大学島嶼研究院のキム先生。文化人類学の専門家。



現地の人の案内で干潟に入っていきます。ここは砂利なので足の裏が痛い!



海洋研究院のチェさんとWWFのチアキさん。まだまだ序の口、この後どんどん深くなります。



牡蠣を食べるWWFの東梅さん。干潟には美味しいものもいっぱい、生物多様性という言葉を実感します。



ガイドをしてくれた地元のヨンサン地区のパクさん。村おこしの中心メンバーです。



いろいろな生き物がたくさんあります。これはゴカイの仲間(だと思いますが…)。



干潟体験に欠かせない道具の一つのタライ。獲ったカニや貝をここに入れます。



干潟体験をした仲間たち。自然の雄大さ、美しさを体感しました。



干潟体験の最後は長靴洗い。泥干潟の泥を流し落とすのは大変でした。


いま、ムアン干潟にいます

2010-05-26 19:09:33 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 WWFの会議の通訳で、全羅南道のムアンという干潟のある町にいます。月曜日からの韓国と中国のNGOや大学の研究家などが集まり、黄海の生態系と生物多様性を保存するためのプロジェクトの一環として、昨日と今日の2日間、活動報告を中心にしたフォーラムが開催されました。

 実は去年の1月にも中国の北京で行われたフォーラムの第2回目です。去年、北京であった中国人の活動家とも再会して、中身の濃い会議でした。といっても、通訳だったので、疲れました。なかなかうまく訳せなかったところや、発言が早すぎて追いつかないところもあって、大変でした。

 あしたは干潟体験がありますので、写真を撮れたら、アップしましょう。

光州民主化運動 80年5月

2010-05-20 03:03:41 | 韓国あれこれ
 今から30年前の5月。
 全羅南道の光州で民主化を求めるデモ隊に軍隊が鎮圧に乗り出し、多くの死傷者がでた民主化運動がありました。

 光州市のHPには次のような説明が載っています。
 5.18民主化抗争

 韓国で暮らすようになって、一度は5月に光州を訪れようと思っていますが、今年も行きませんでした。

 実は30年前、韓国の民主化運動に連帯する、そして金大中への死刑判決に反対する市民運動が広がり、僕も参加したことがあります。しかし、そのとき本当に光州の意味を知っていたのだろうかというと、あまり自信がありません。韓国に関しては勉強不足でしたし、ほんとに知っていることはわずかしかありませんでした。今でこそ、いろいろ知識は増えましたが、当時のことを思うと恥ずかしくなります。

 韓国人の友人と話すと、当時は報道管制が引かれていたため光州民主化運動のことはまったく知らなかったと言います。大学に入ってから密かに見たドキュメンタリーで始めて知ったという人も多いようです。

 まだまだ、光州のことを語るのは、僕自身の気持ちで整理がついていないことがありそうです。韓国の民主化闘争に注目しながら、それでいてこれほどまでに民主主義と自由が定着するだろうとは、まったく予想しなかった自分としては、これからもこだわり続けないといけないでしょう。


光州民主化運動-5月の歌



今年もクロツラヘラサギがやってきました

2010-05-19 02:50:57 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 先週の土曜日、WWFの写真展のオープニングが終わってから、写真家の中尾さんと一緒にインチョンのソンド新都市に行って、クロツラヘラサギを見てました。

 クロツラヘラサギは地球上で2000羽あまりしかいない絶滅危機の渡り鳥。ほとんどが韓国の西海の孤島で繁殖をしていて、今までその生態はあまり知られていませんでした。そんなクロツラヘラサギが去年の春、インチョンのソンドにある遊水地の中ノ島で繁殖をして、韓国のニュースでも大きく取り上げられました。

 そのクロツラヘラサギが今年もやってきて、すでに10以上の巣をつくり雛もかえって繁殖に成功しています。詳しくは次のHPをご覧ください、といっても韓国語ですが。タイトルの下の白抜きの文字だけでも説明しましょう。左から順に韓国語-日本語です。
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 この中でお勧めが「動画を見る」でしょうか。かわいいクロツラの動画がいっぱいあります。 

インチョン チョオセ・ネットワーク


 クロツラヘラサギはかわいいのですが、現実は大変です。ネットでは臭いはわかりませんが、この遊水地のとなりはインチョンでも有数の工場地帯。おかげで遊水地のまわりもいやな臭いで充満しています。

 もうひとつ大変なことは、餌場が埋め立てられようとしていることです。このソンド地域はもともと全部埋め立てで順番に作っていきました。いま11工区という干潟がかろうじて残っていますが、ここも3分の1を残して埋め立てられようとしています。環境アセスも通ってしまい、これから干潟がどうなるか心配です。

 
こんな島にクロツラヘラサギが巣を造って繁殖を始めました。韓国語のHPをみればもっと大きい画像があります。



モニタリングをしているソンド干潟を守る会(?)のメンバー。ことしも多くの市民団体が連絡機構をつくって、毎日モニタリングをしています。



モニタリングには子供たちも参加しています。慣れた手つきで一つ一つ巣をチェックしている様子に驚きました。



ソンド新都市の中心にあるケッポルタワー。ここに上ると、干潟の様子もよくわかります。



埋め立てられた干潟。ここには大学が移転する予定ですが、条件が厳しく実際に移転するかどうか不透明な状況です。転売して設けようという噂もあるそうです。反対側には高層マンションとオフィスが立ち並んでいます。マンションは入居が終わりましたが、オフィスビルはガラガラです。果たして経済的な整合性はあるのでしょうか?




WWFジャパンの写真展が始まりました

2010-05-18 02:36:32 | 韓国あれこれ
 先週の土曜日からソウル市内の西大門自然史博物館で「WWF・KORDI写真展 黄海-多様な生命のかがやき」が始まりました。今回、写真展の準備を担当することになり、パネル製作の手配、展示の構成、リーフレットや写真集の編集などを引き受け、ドタバタしていました。初日の15日にはオープニングセレモニーも行い、ようやく一息つきました。協力してくださった多くの方々、セレモニーに参加してくださった方々、どうもありがとうございました。

 この写真展はWWFジャパンとWWF中国、そして韓国海洋研究院(KORDI)が共同で行っている黄海エコリージョン支援プロジェクトの一環として行われました。世界でも有数な大陸棚で生物多様性に富んだ黄海を保全していくためのプロジェクトです。来週からは全羅南道のムアン干潟で韓国と中国の環境保全団体が交流会を行い、また今年から3年間、ムアン干潟の住民参加の保全のための活動が始まります。

 この事業はパナソニックが全面的に支援しているもので、日本の企業の中でもこのように環境保護を金銭的に支えてくれる企業があるということは、ちょっと希望が持てますね。韓国でもこんな企業がどんどん登場することを期待しています。そんな企業と日韓の環境NGOの架け橋の役割を、今後本格的に行おうと思います。

 いま行いたいなと考えているなかで、ひとつは海洋ごみの問題です。日本海(韓国では東海)をはさんで海岸線のごみの問題はとても深刻なものになっています。海洋ごみというテーマの場合、干潟だけでなく砂浜、岩場、人工海岸などあらゆる海岸が現場になるということが重要なポイントだと思います。ラムサール条約だけを手段にすると、干潟以外の海辺は抜け落ちてしまいますし、干潟でも規模が小さかったり、絶滅に瀕している生物がいない場合はフォローできなくなります。でも、そんな海岸も大切です。そして、そこに人間が使って捨てたものが、ごみとして流れてきます。この問題をクローズアップすることで、海と共生する暮らしというものをもう一度、考え直すきっかけになるはずです。

 もうひとつは、清水・湧き水調査です。日本も韓国も清水や湧き水はあちらこちらにあります。また、ありました。これらの水が農業に使われたり、川の源泉になったり、動物たちの棲家になったりしています。また、ある湧き水の歴史をさかのぼることで、その地域に暮らしていた人たちの生活の知恵や暮らしの風景が見えてきます。そして、川や沼や田んぼを経て海に注いでいく水の流れを辿ることができます。日本と韓国で同じチェックリストで調査を行い、それをまとめていけば、湧き水や清水の意味やこれからの課題が自然と見えてくると思います。すでに日本では昨年、日本自然保護協会が「自然調べ2009」で行っていますが、韓国でも行い、日本でも継続して行って、ぜひ来年には「日韓湧き水サミット」をやりたいと思います。

 ということで、WWFの写真展から、まったく違う方向に話しが進んでしまいましたが、かなり本気で考えていますので、これから皆さんにもお願いすることがたくさんあると思いますが、がんばりたいと思います。最後に、写真展のオープニングセレモニーの写真を哨戒しましょう。

 
左から、パナソニックの加藤顧問、WWFの河村室長、カメラマンの中尾さん、西大門自然博物館のイ館長、海洋研究院のキム博士

 
韓国のインチョンなどで撮影した作品です。


セレモニーに参加してくださった方々。




4大河川工事の中止を求めてミョンドン聖堂に5000人!

2010-05-11 00:12:11 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
韓国旅行をしたことのある方なら、ソウルの中心にあるミョンドン聖堂に行ったことがあるからもいらっしゃるでしょう。日本と異なり、韓国はクリスチャンの数が多く、また聖職者や教会が社会的な発言や行動を積極的に行うことも珍しくありません。

 先日、4大河川日韓市民視察団で訪れたパルダンでも、スウォン教区の神父が現場に泊り込んみ、毎日ミサを行っていました。4大河川の現場でさまざまな活動をしていますが、今日はソウルのミョンドン聖堂で4大河川工事の中止を求めるミサが5000名の信徒を集めて行われました。


<ミョンドン聖堂でのミサの様子>



日本の感覚からすると、政治的でちょっと・・・という感じがするかもしれませんが、韓国の教会は70年代から80年代にかけて民主化の戦いとともに歩んできたという歴史があります。社会の正義ということに関して、現実の中で実践をする信仰心があると思います。

今日のミサの中で、4大河川の工事によって川のさまざまな生物が連日殺されている、と訴えています。言葉はわからないかもしれませんが、ミョンドン聖堂の様子だけでもご覧ください。明日にでも概要を翻訳してアップします。


WWFジャパンの写真展開催

2010-05-10 02:43:51 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 今週の土曜日、5月15日からソウル、西大門自然史博物館でWWFジャパンと韓国海洋研究院の共催で「黄海ー多様な生命の輝き」という写真展を開催します。この写真展の準備を手伝うことになり、4月下旬からどたばたやっていました。ようやく準備や手配もめどがつき、ちょっとほっとしていますが、まだまだやることは山のようにあります。

 写真パネルの製作も今週の水曜日に完成ですのでチェックしないといけないですし、月曜日にできるリーフレット、金曜日に完成する写真集(カタログ)の編集も終わっていません。15日にはオープニングセレモニーをするので、その準備も大変ですし、写真展の宣伝も明日から本格的に始まります。

 もしソウルに来る機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。6月11日までやっています。詳しいことは、明日写真と一緒にアップします。では。