先日、環境団体のメンバーと会ったとき、加湿器殺菌剤の問題でとても忙しいと言っていて、これから損害賠償の裁判を行うが弁護団だけでも数十名になるという話でした。日本の新聞にも若干報道されていますが、資料になる記事をひろってみました。
加湿器殺菌剤で95人死亡。韓国で起きた「家の中のセウォル号」事件とは
これは、韓国の救急専門医が書いたブログで、とてもわかりやすいです。ぼくもこの記事を読んでいままでバラバラだった内容がまとまりました。
また、毒物学の権威として知られているソウル大の教授と湖西(ホソ)大学の教授が、製造メーカーから金銭的な便宜を受け、加湿器殺菌剤に毒性がないと製造メーカーの意向に沿った報告書を作成した疑いで、逮捕されています。
韓国「加湿器殺菌剤」事件、大学教授の実験報告書はこうして歪められた
では、加湿器殺菌剤に使用された「ポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)」という化学物質は、日本でも使われているのでしょうか?
この記事によると、加湿器の殺菌剤には使用されていないが、浴室洗剤などにごく微量使われているそうです。人体に影響はないといいますが、長期間にわたる使用や乳幼児にたいする影響など、今後も注目したようがよさそうです。
いま、韓国では不買運動が行われています。これは朝日新聞でも報道されました。
さて、今後、この問題をどう対処していくか、いくつかのポイントを挙げてみます。
まず、第一に被害者の掘り起こしが大切です。とくに、オキシー製品が回収された2012年以降、続けて販売をしていたロッテマートなどで購入して被害を被った人たちの調査が行われていますが、根気強い調査と証拠確保が大切です。
また、被害者をどのようにサポートしていくか、経済的にも精神的にも支えていく必要があります。今回の事件では、子供の健康を考えた親が加湿器殺菌剤を購入して、その結果、子供が死亡してしまったというケースがかなりあるそうです。こんな親たちが韓国全土にいるわけで、それを支える体制やノウハウが必要でしょう。
そして、被害がなぜこれだけ拡大してしまったか、もっと初めの段階で防ぐことができなかったのかという検証も忘れてはなりません。すでに、ウソの報告書を作成した大学教授が逮捕されていますが、個人レベルだけでなく、機関レベル、具体的には政府内部で、また政府と企業の間でなにがあったのかという検証も必要です。
今後、時間をみて、関連資料や声明などを紹介していこうと考えています。
そこでお願いですが、日弁連の環境委員会や研究者、他の公害事件の被害者団体などで韓国へ現地調査へ来てはいかがでしょうか? 外国の専門家の調査という〝外圧“によって、今まで分からなかったことが分かったり、あるいは被害者や弁護団への励ましになったりと、かなり効果はあると思います。これから、個人的に連絡をするかもしれませんが、そのときはよろしくお願いします。