5月20日から2泊3日、トキの野生復帰に関する調査のために、再び佐渡を訪れました。昨年の11月の訪問のときは1泊2日という強行軍、そのうえ、2日目の夜は飛行機で名古屋に飛ぶという、かなりのハードスケジュールで、じっくり見たり、聞いたり、考えたりする時間がありませんでした。でも、今回は2度目ということもあり、また2泊3日という日程なので、精神的にも時間的にも余裕がある調査ができました。 今回も通訳しながらの写真撮影、飛び飛びでしか写していませんが、紹介しましょう。
この写真は、最終日に<トキの森公園>に行く途中、道路脇の田んぼで餌を食べているトキを見つけて写したものです。ほんとに野生のトキですよ。僕たちが泊まって写真を撮っているので、地元の人たちも車を止めて見学していました。
さて、お馴染みの交流会館でのパーティーです。前回は、斉藤真一郎さんから申し出があり、軽い気持ちで「お願いします」と頼んだところ、20名以上の大パーティーになりました。今回も、野生復帰ステーション、佐渡市役所、トキどき応援団、新潟大学などさまざまな人たちが集まってくれました。真ん中の左が佐渡市役所の池さん、隣が毎朝モニタリングをしている土屋さん。右には環境省の長田主席保護官、左には斉藤真一郎さんが見えます。
今回の調査の目的はビオトープ(水のあるトキの餌場)巡りです。まず、到着した日の午後、新潟大の本間先生の案内で<キセン城>へ。ここは、30年以上も前に耕作放棄をした棚田があるところで、10年前から本間先生や新潟大のスタッフや学生が整備をしているところ。ほんとに、すごい山の中でした。
これは、データを送るためのコンピュータや機械の電源用のパネルです。これで基本的な気象データを記録しています。
これが機械のウラ。全部手作りだそうです。冬は雪がかなり積もるので、スノーモービルで来るそうです。
こんな作業用の運搬機械まであります。試しにデモ運転をしてくれましたが、さすがベテラン、大学の先生やめても、食べていけそうです^^
このキセン城での作業の様子は、トキ交流会館のブログにありました。
さて、2日目の朝は、モニタリングです。この日は4時起き、4時半出発。今回も痛感しましたが、このような毎朝のモニタリングで、トキの習性が分かるわけですから、すごい。30分ほど待っていたら、目の前の田んぼにトキがやってきました。
外にいるとトキがやってこない恐れがあるので、こうやって車の中で待機。その間、何人かのモニタリング・スタッフが無線でお互いに情報を交換しているわけですから、プロの仕事です。
今回は、カメラマンのチェさんも同行。カメラとビデオの両方で撮影しています。
このあと、朝ごはんを食べた後、言ったところが生椿(はえつばき)。ここの棚田を見たとき、これが里山なんだ、と感動しました。この生椿でトキの保護活動を続けている高野さんともお会いできて、いろいろと面白い話も聞くことができました。高野さんのことは、トキ・ファンクラブのブログをご覧ください。
霧雨のなかの生椿。
左から、ハン・ドンウック先生、イ・インシク先生、高野さん、本間先生。
高野さんの愛犬、ラッキー。とてもおとなしい犬です。
この風景には感動しました。山の中、海抜300メートルぐらいのところに、こんなに整備された棚田があるとは。これ、ほんとうに文化財ですよ。
今回、佐渡を訪問して、島の魅力、伝統と自然というか、文化と生業というか、素晴らしいものがあるのに気がつきました。こんな<奥行き>があるから、トキにこだわることができるんだろうなと、痛感しました。野生のトキが最後まで佐渡で棲息していたというのは、偶然ではないですね。この辺の<感覚>を多くの人に感じてもらいたいし、それがないと韓国での野生復帰も難しい気がします。この点に関しては、もう少し考えを整理してから、書きましょう。