韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

再び、トキの島へ

2011-05-31 01:28:14 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 5月20日から2泊3日、トキの野生復帰に関する調査のために、再び佐渡を訪れました。昨年の11月の訪問のときは1泊2日という強行軍、そのうえ、2日目の夜は飛行機で名古屋に飛ぶという、かなりのハードスケジュールで、じっくり見たり、聞いたり、考えたりする時間がありませんでした。でも、今回は2度目ということもあり、また2泊3日という日程なので、精神的にも時間的にも余裕がある調査ができました。 今回も通訳しながらの写真撮影、飛び飛びでしか写していませんが、紹介しましょう。

 

 この写真は、最終日に<トキの森公園>に行く途中、道路脇の田んぼで餌を食べているトキを見つけて写したものです。ほんとに野生のトキですよ。僕たちが泊まって写真を撮っているので、地元の人たちも車を止めて見学していました。

 

 さて、お馴染みの交流会館でのパーティーです。前回は、斉藤真一郎さんから申し出があり、軽い気持ちで「お願いします」と頼んだところ、20名以上の大パーティーになりました。今回も、野生復帰ステーション、佐渡市役所、トキどき応援団、新潟大学などさまざまな人たちが集まってくれました。真ん中の左が佐渡市役所の池さん、隣が毎朝モニタリングをしている土屋さん。右には環境省の長田主席保護官、左には斉藤真一郎さんが見えます。

 

 今回の調査の目的はビオトープ(水のあるトキの餌場)巡りです。まず、到着した日の午後、新潟大の本間先生の案内で<キセン城>へ。ここは、30年以上も前に耕作放棄をした棚田があるところで、10年前から本間先生や新潟大のスタッフや学生が整備をしているところ。ほんとに、すごい山の中でした。

 

 これは、データを送るためのコンピュータや機械の電源用のパネルです。これで基本的な気象データを記録しています。

 

 これが機械のウラ。全部手作りだそうです。冬は雪がかなり積もるので、スノーモービルで来るそうです。

 

 こんな作業用の運搬機械まであります。試しにデモ運転をしてくれましたが、さすがベテラン、大学の先生やめても、食べていけそうです^^

 このキセン城での作業の様子は、トキ交流会館のブログにありました。

 

 

 さて、2日目の朝は、モニタリングです。この日は4時起き、4時半出発。今回も痛感しましたが、このような毎朝のモニタリングで、トキの習性が分かるわけですから、すごい。30分ほど待っていたら、目の前の田んぼにトキがやってきました。

 

 外にいるとトキがやってこない恐れがあるので、こうやって車の中で待機。その間、何人かのモニタリング・スタッフが無線でお互いに情報を交換しているわけですから、プロの仕事です。

  

 今回は、カメラマンのチェさんも同行。カメラとビデオの両方で撮影しています。

 このあと、朝ごはんを食べた後、言ったところが生椿(はえつばき)。ここの棚田を見たとき、これが里山なんだ、と感動しました。この生椿でトキの保護活動を続けている高野さんともお会いできて、いろいろと面白い話も聞くことができました。高野さんのことは、トキ・ファンクラブのブログをご覧ください。

 

  霧雨のなかの生椿。

 

 左から、ハン・ドンウック先生、イ・インシク先生、高野さん、本間先生。

 

 高野さんの愛犬、ラッキー。とてもおとなしい犬です。

 

 この風景には感動しました。山の中、海抜300メートルぐらいのところに、こんなに整備された棚田があるとは。これ、ほんとうに文化財ですよ。

 今回、佐渡を訪問して、島の魅力、伝統と自然というか、文化と生業というか、素晴らしいものがあるのに気がつきました。こんな<奥行き>があるから、トキにこだわることができるんだろうなと、痛感しました。野生のトキが最後まで佐渡で棲息していたというのは、偶然ではないですね。この辺の<感覚>を多くの人に感じてもらいたいし、それがないと韓国での野生復帰も難しい気がします。この点に関しては、もう少し考えを整理してから、書きましょう。 

 


2011クロツラヘラサギ国際シンポ~江華島

2011-05-18 02:07:42 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 5月16日に江華島で<2011クロツラヘラサギ保全とネットワーク構築のための国際会議>が行われました。その前日には繁殖地の現地調査が行われ、熱い人たちばかりでしたね。途中までの参加でしたが、今回は資料集の翻訳だけが僕の担当だったので、写真をとることができました。

 
カクシ岩に行くための船着場にある<漁村契>の事務所。上の横断幕には潮力発電反対の文字が。この辺りは干満の差が平均9メートルもあり、この潮の流れを使って発電をしようというもの。これだけ聞くと「自然を活用したエコな発電」と考えてしまいますが、広大な干潟に発電機を設置するための堤防を2本築かなくてはなりません。そして、2本の堤防の中に水を溜めるわけですから、干潟は当然なくなります。この干潟は漁民たちにとって宝の山。反対するのも当然です。昨日のニュースでは軍も作戦行動に支障をきたすとして、反対の立場だそうです。

 

 

 
この船着場から漁船に乗って、カクシ岩というクロツラヘラサギが卵を産むところに行きます。小さな岩ですから上陸はできません。船の上からの観察です。

 
これがカクシ岩。カクシというのは結婚したばかりの女性のこと。この岩には小さな赤ん坊もいるのに出家をした男性の奥さんにまつわる言い伝えがあります。そういえば、岩の形は人間の顔に見えてきます。

 
船の中でこのように写真をとっています。調査のためのカラーリングを確認できたそうです。

 
船から下りて、干潟センターへ。この施設は江華郡が作り、日常的な運営を<江華市民連帯>というNGOが担当しています。

 

 

 

 
センターから見える江華干潟。

 
山口県のきらら浜のボランティア団体「葦の会」の皆さんです。

 
右から、干潟センター長のキム・スンレ先生。中学校の先生です。となりが、この食堂のご主人で漁民の人。潮力発電所の建設に反対しています。

 
右から、今回のシンポジウムの中心メンバーのイ・ギソップ博士。韓国水鳥ネットワークの代表です。隣の女性が通訳の竹岡さん、江華島に住んでいるベテランです。

 
翌日、国際シンポ。最初に北九州の原賀さんたちの発表(というより、パフォーマンスです)下の写真のかたは、江華郡の郡知事です。 

 
 
 
右から、江華郡議会の議長、<江華市民連帯>の代表をしている神父、江華郡の知事。さすが原賀さん。すごいメンバーの前でも動じないで、環境教育のデモンストレーションをしていました。

 


 

 

 
 博多から来た松本さんと八田さん。福岡のアイランド・シティの工事の中断でできた擬似湿地がことし整備される予定だとの報告がありました。

 

 
 
 

 
こんな感じで、シンポジウムが行われました。上の上の写真は、東アジアフライウェイ(EAAF)のロジャーさん。帰国当日にもかかわらず、江華まで足を伸ばしてくれました。

 こんな感じで国際シンポが行われました。
 やはり、具体的に共通の保存種がはっきりしているのは、運動の広がりにとても力になりますね。とくにクロツラヘラサギは見分けがつきやすいですし、餌をとるときの動作も印象的です。

 今年も9月ぐらいまでは見ることができますので、ぜひ見てください。案内をしますよ。





  

日韓環境弁護士懇談会&江原大学環境法国際シンポ

2011-05-14 03:09:19 | 環境保護&エコツアー(2011まで)


 7日の懇談会が終わった後、クロツラヘラサギの国際シンポの翻訳で身動きが取れませんでした。ようやく、仕上げたので先週の報告をしましょう。
 まず、この写真は7日の懇談会のあとの記念写真。場所は<民主社会のための弁護士会>です。このような<環境系>の日韓の弁護士の集まりは2005年以来とのこと。今回は韓国側は4大河川弁護団、日本側は有明弁護団の合同会議という形でおこないましたが、これからの課題がたくさん出てきた会議でした。



 じつはこの日、4大河川裁判のチョン・ナムスン弁護士の誕生日。ケーキを用意してイベントをしたのですが、会議の後の夕食の場に持っていくのを忘れ、冷蔵庫に置いたままです。どうなったのでしょうか、このケーキ。

 で、韓国側はこの、チョン・ナムスン弁護士、ヨジュ環境運動連合のイ・ハンジン委員長、ペ・ヨングン弁護士が報告し、日本側は吉野弁護士、後藤弁護士、支援する会の岩井事務局長が報告をしましたが、ものの見事に<ずれ>がありました。

 
 右から、堀弁護士、岩井事務局長、後藤弁護士、吉野弁護士、大久保教授、江原大学の関係者(すみません名前わかりません)

 この<ずれ>を<共通課題>と読み替えてもいいと思いますが、整理するとこんな感じです。
 
○韓国側の考え
1 事業者の環境アセスはいい加減、だから裁判所も正しい判断をしなくてはならない。それをしない裁判所は自ら任務を放棄している。これを食い止める法的な根拠を見つける必要がある。

2 現在ある具体的な被害に対して損害賠償などを起こすのは、工事の存在を認めたうえでの訴訟になるので、行わない。勝利したパルダン有機農地の裁判も、ごく一部の勝利であり、4大河川工事全体には余り影響しない。

○日本側の考え
1 正義を実現するために裁判で勝たなくてはいけない。そのためには力のある正義を実現することが必要だ。

2 いままでの公害裁判と同じように、被害で始まり被害で終わるのが原則。被害を受けた原告が直接前面に立たなくてはいけない。それと比べると、4大河川裁判は、原告が見えてこない裁判だ。

 この違い、たぶん、日本国内でも裁判や住民運動の中にいつでも存在する、運動の仕方や仲間の作り方の違いだと思います。僕などは韓国スタイルでやってきたなという感じがするので、非常によく分かります。

 だって、むかしのベトナム反戦運動の裁判では、当時の首相や大臣などを証人に申請するなんて、まあ、<遊び>でやっていたようなものですね。同じような時期に、水俣の裁判などは、本当に血のにじむ思いで証拠や証人を探し、原告を組織していたわけですから、あの時水俣の裁判などに関わっていたら、たぶん僕の人生も大きく変わっていたでしょうね。

 で、大久保先生の指摘なんですが、最高裁の判決で悪い事例を残してしまうと、全体の利益を考えるとマイナスになることがあるという事実も今回、気がつきました。つまり、いい加減な環境アセスでも問題はあるけれど、工事を中止にするだけの問題じゃない、という事例です。今回の4大河川では、アセスの期間も4ヶ月、やり方も既存の調査の流用なんですが、これで最高裁がOKだしたら、やばいですね。

 というわけで、日本側の指摘はこのぐらい。つぎに韓国側の<思い>を書きましょう。

 
 さいごに、おまけの写真。後藤先生、冬ソナ、観ましたか?


5月7日渋谷・原発やめろデモ!●藤波心さん「ふるさと」

2011-05-14 02:33:15 | 脱原発社会のために
 ソウルで4大河川訴訟弁護団と有明訴訟弁護団の合同会議が行われた5月7日、東京の渋谷で反原発の大きなデモがありました。そのデモの集会で、B級アイドルの藤波心がしっかり(!)発言して、歌を歌っています。



 発言の内容は、ユーチューブでご覧ください。とても短いコメントですが、本当にそうですよ。韓国でも特別に大きな変化がない限り、ニュースに流れなくなりました。今でも多くの人たちが被爆しながら作業をしていることは、だんだん見えてこなくなりましたね。この点を指摘しているところ、やはり、スルドイです。

 それ以上なのが、アカペラで歌った「ふるさと」。

  兎追ひし かの山
  小鮒(こぶな)釣りし かの川
  夢は今も めぐりて
  忘れがたき 故郷(ふるさと)

  如何(いか)にいます 父母
  恙(つつが)なしや 友がき
  雨に風に つけても
  思ひ出(い)づる 故郷

  志(こころざし)を はたして
  いつの日にか 帰らん
  山はき 故郷
  水はき 故郷

 今回の福島原発の被害を考えた時、「ふるさと」に帰れないという被害がどれだけのものか、この点を東電の経営陣にしっかりと考えてもらいたいものです。「山は青き、水は清き」ふるさとが、この事故(というより人災です!)で、どう傷つけられたのか、ちゃんと直視してもらいたいですね。

 ただ、僕も韓国からネットやテレビを通して、今回の原発や地震と津波の被害にせっしているので、本当に分かっているのかなというと、地震のない部分もあります。一度は、直接見るべきなのですが…。

 で、福島第一の1号基がメルトダウン。いったいどうなるのだろう。たんぽぽ舎のメルマガの一部を引用すると

 これまで投入して行方不明となった水がどこにあるのでしょうか。 しているとしたら、その水は主に何処に溜まっていますか。タービン建屋において水位上昇が確認されていますか。 しているとしたら、さらにその水が地下を通じて海に流れ出していることを否定できますか。 海に流れ出しているとしたら、重大な海洋汚染を招いているわけですが、今後も水を入れ続ければさらに拡大の一途となります。これで良いのですか。

 というのは、僕もまったく同感です。海を汚すということは、他の国にも直接の被害を与えているという自覚がないのでしょうか? どちらにしても、福島原発、いまの立ち入り禁止のエリアは、ソウル市よりちょっと大きいぐらいですが、これがソウル市の2倍や3倍ぐらいにならないことを祈っていますが…。

今日から有明訴訟弁護団と一緒にチュンチョンに行きます^^

2011-05-05 02:46:06 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 久しぶりのガイド&通訳です。

 お馴染みの有明訴訟弁護団の韓国ツアー。今度は6日に江原大学のロースクールでの国際シンポへの参加、7日が4大河川訴訟弁護団との懇談会です。特に、7日の懇談会では今後の日韓の環境訴訟関係の弁護士の交流についても話し合いがもたれますので、期待してください。

 というのも、今回の懇談会以前に、2002年や2005年に弁護士同士の交流があったそうですが、なかなか定例化しないという壁があったそうです。今回は、ぜひ定例化して、1年に1回はお互いに直接会い、また常に情報交換できる体制を作れればと考えています。以前に比べるとネットも発達しましたし、人的交流もいろいろな所でやっているので、充分可能だと思います。

 では、明日から報告記事を載せますので、お楽しみに。

高円寺 4.10反原発デモ~ダイジェスト版

2011-05-01 01:32:44 | 脱原発社会のために
高円寺 4.10反原発デモ


 このデモは韓国でも報道されました。

 最近、こちらのテレビニュースでも福島原発のことはあまり出てきません。でも、いろいろな所で反原発の集会が行われているのは同じですね。まだまだ、安定化まで時間がかかりそうですし、その間に大きな地震が発生したり、突発事故が起きたりすると、取り返しのつかない事態になるということは、もうみんなが知っています。

 とにかく、現時点では、廃炉のための安定化を一日も早く事故なく実現し、福島第一だけでなく、少なくとも浜岡、女川、柏崎の原発の運転を中止させないといけないですね。

 反原発、脱原発のために、日本と韓国のNGOが協力してできることがあると思います。皆さんの中にも何かいいアイデアがあったら、教えてください。