韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

韓国の生物多様性体験ツアー その2 (イムジンガン周辺)

2014-10-28 13:21:04 | 環境問題&有機農業

 イムジンガン、たぶん70年代に青春を過ごした人たちにとって、あのメロディーを思い出すのではないでしょうか? 僕もたしか中学生のころ聞いた覚えがあり、また「パッチギ!」という映画でも有名になりましたね。

 さて、イムジンガン、北朝鮮のハムギョンナムドのマシク嶺を水源とし、長さ254キロ、流域面積8,118平方キロメートル、パジュでハンガンと合流し広大な河口を形作っています。とくに、この地域は北朝鮮と接しているため、河口堰などの構造物が一切ない、自然そのままの姿が保たれています。

 統一路ぞいにあるオドゥサン展望台からは、広大な河口と北朝鮮がすぐちかくに見えます。他の西海岸と同じようにこの地域も潮の干満の差が激しく、9メートルぐらいの差があり、干潮時には干潟がはるかかなたまで広がります。

CBD-COP12に参加する中部地方のNGOの方々といっしょに、民間人統制区域の中まで入って、イムジンガンとその周辺の自然を満喫してきました。

この先にゲートがあり、ここでチェックをします。僕ら外国人の場合はパスポートを預けます。以前、ケソンに行ったときもこの道を通りました。

ここからケソンはソウルより近いんですよね。

それなのに、自由に行き来ができない分断の重さを痛感します。

これは統一村の出張所と集会所のまえの駐車場からとりました。ずっと先は北朝鮮です。

地下避難所の入り口、ヨンピョン島への砲撃のあと、急遽作ったそうです。

看板に避難所の規模が書いてあります。

 村の中心にある、豆腐と味噌の工場。これも協同組合形式で村の人たちが出資して作ったそうです。

道端で米を乾かしている農民。車もほとんど通りません。

集会所(兼食堂)の2階には展示室があり、この村の歴史に関する展示があります。

手前が、今回案内をしてくれたパジュに住んでいるチョーさん。

これが、イムジンガン。

左側の林は実は島(中洲)です。個人の所有だそうですが、地雷の撤去をしていないので、立ち入りは危険だそうです。

最後に記念写真。実は、写真を撮っている間も、南側の砲弾射撃訓練が行われていて、すごい音でした。これは、現場に行ってみないと分かりませんね。この写真のすぐ後ろも、いま開発をしようという話があるそうです。統一に備え、また洪水に備え、川底を掘り下げて、掘り出した砂利を周辺の用地のかさ上げに使うという、どこかで聞いたことがある土木工事をしようとしているそうです。

日本人にはなかなか実感できない、南北の分断と、分断によって’守られてきた’イムジンガンの自然。これから冬になると凍った川が、満ち潮のときに逆流してどんどの上流に上がってくるそうです。その上がってくる氷(流氷)が中州の島にぶつかる光景は見ものだそうです。マナズルなども越冬しますので、ぜひ一度、来て、イムジンガンの生態系をいっしょに守りましょう。

 


韓国の生物多様性体験ツアー その1(パジュのイムジンガン周辺)

2014-10-25 01:39:53 | 環境問題&有機農業

 10月6日から行われていた生物多様性条約第12回締約国会議も無事に(?)終わり、みなさんほっとしているところだと思います。ピョンチャンのCBD・COP12に参加したのに、まったく他のところにいけなかった方、韓国に行きたかったけれど来れなかったからのため、これから数回の予定で<韓国の生物多様性ツアー>を連載しましょう。

 日本と気候も大体同じなので、韓国は日本と余り変わらないと思われがちですが、探してみるとすばらしいところがあります。近いですので、週末の二泊三日、三泊四日でじゅうぶん楽しむことができます。数名のグループでくれば、ワゴン車でいっしょに移動できますので、経済的です。ぜひ、仲間の皆さんといっしょに来てください。(例年、1月、2月は比較的ヒマですので、お勧めです^*^)

 また、これから紹介する生物多様性のエリアやスポットは、様々なNGOが現場で保全のため、あるいは環境教育のため、さまざまな活動を行っているところが大部分です。今回のCBD・COPでも韓国の環境NGOの仲間と出会った人が多いと思いますが、とても元気で魅力的な活動をしているところがたくさんあります。同時に、彼ら・彼女らが抱えている課題は、日本の私たちにもとても身近な問題で、共に悩み、共に解決することができる課題が多いと思います。その点でも、生物多様性を合言葉に、日本と韓国の出会いと学びあいがどんどん広がっていくことを願っています。

 これから紹介するところを、ざっと書き出してみます。(このほかにもたくさんありますが)

1 パジュのイムジンガン周辺~民間人立ち入り制限区域内の生活と生態系、とくに河口堰のないイムジンガンは必見。

2 ソウルからわずか1時間半のところにある<国立樹木園>。500年間、人の出入りがなかった660万坪の自然の森が感動的。

3 ナクトンガンの母とも言われているネソン川、もともとは砂浜が広がる川でしたが、上流のヨンジュダム建設で自然が破壊されています。

4 シファ湖と潮力発電所。海水の流通でシファ湖の水質が改善され、生態系が復活しています。渡り鳥の新しい楽園です。

5 韓国全土の21の国立公園。各公園のビジターセンターには10名以上のスタッフが常駐、管理だけでなく環境教育や研究を担当しています。

6 有機農業の農地。南楊州の有機農業テーマパークは子供連れでにぎわい、ホンソンのムンダンリも見学が途切れません。

7 市民の手による環境保護や生態系復元の事例:ワールドカップ競技場のノウル公園の植林活動、清州のヒキガエル生態公園。

8 スンチョン湾の自然生態公園。年間300万人が訪れる湿地は地域経済の原動力、一方でオーバーユースの問題も浮上しています。 

9 クェサンにあるフクサルリム研究所。民間の有機農業研究所では稲や雑穀の固有種の保存を実際に栽培しながら行っています。

10 ムアン干潟、広大な泥干潟、陸と海の繋がりが実感できる手付かずの地域では、住民の手でエコツアーが始まっています。

 結構、ありますね。これ以外にも、いいところたくさんあるのですが、それは番外編で紹介しましょう。ということで、明日からどんどんアップしていきますので、期待してください。

スンチョン湾の風景