韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

セマングム干拓地の防潮堤

2010-04-29 02:45:19 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 昨日のテレビニュースでセマングム干拓地の防潮堤が完工したという報道がありました。
以前このブログでも書いたことのある韓国西海岸で勧められている大型の干拓工事です。

 実はこの防潮堤、すでに<完成>はしていたのですが防潮堤の上に道路があるのですが、展望がよくないということで改良工事を行い、完成が遅れたそうです。さいきん、4大河川事業にたいする反対の声を抑えるために、この時期に完工の記念行事が行われたのではないかなと勘ぐりたくなります。

 ただ、防潮堤が完工したからといって、セマングム干拓地の問題が終わったわけではありません。これから、防潮堤の内部の埋め立てを本格的に始めるわけですが、おおきな課題が二つあると思います。
 ひとつは経済的な整合性があるか。具体的に言えば、埋め立てた後干拓地を購入する企業があるかということです。セマングムより交通の便がずっといいインチョンのソンド新都市(ここも干潟の埋め立てで作りました)ですら、企業の進出が進んでいません。赤字が出たとき、誰がどのように埋め合わせるのか、ちょっと疑問です。観光開発も行うといっていますが、人工的に作った観光地には限界がありますし、どこも同じような姿になってしまいます。まさか、セマングム-4大河川ツアーでも開発するのでしょうか。まあ、集客には限界があります。
 つぎの問題は、防潮堤内部の水質維持の問題です。2006年4月に防潮堤がつながって、外界と切断された後、防潮堤内部の水質は悪化しているそうですが、水質を改善するために錦江の水を引き入れいるという計画があるそうです(もしかすると、もう完成したかもしれませんが…)。かつて始華湖という防潮堤によってできた湖の水質が悪化して社会問題になったことがあります。果たして、セマングムでは水質をどうやって改善するつもりなのでしょうか?
 どちらにしても、これからもセマングム干拓問題にはこだわって行こうと思います。

 参考までにおとといのニュースを引用します。

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セマングム防潮堤きょう完工、着工から19年

【ソウル26日聯合ニュース】世界最長全長33.9キロメートルの防潮堤、セマングム干拓地防潮堤が1991年11月28日の着工から19年を経て、27日に完工する。セマングム防潮堤の中間に位置する全羅北道群山市の新侍島一帯で、午後2時から完工式が行われる。
 政府関係者は、「セマングム防潮堤の完成は、国の未来成長エンジンとなるセマングムが北東アジアの経済中心地として本格的に跳躍することを国内外に広める行事となる」と評価した。

 セマングム防潮堤は、全羅北道・富安の大項里から群山市の飛鷹島を結ぶ超大型の堤で、全長33.9キロメートルにおよび、「海の万里の長城」と呼ばれる。オランダの世界最長防潮堤の記録を1.4キロメートル更新した。ギネスブックにも間もなく登録される予定だ。

 政府はセマングム防潮堤の完成を機に、本格的な内部開発に着手し、セマングムを「北東アジア経済中心都市」に育成する構想だ。1月に発表した「セマングム内部開発基本構想および総合実践計画」に基づき、干拓地内部を大きく農業用地、産業用地、観光用地、生態・環境用地、科学・研究用地、再生可能エネルギー用地、都市用地の8つに区分し開発する。2020年までを1段階、2021年以降を2段階として進め、1段階では全体面積の71.4%を開発する予定だ。

<注>33.9キロで世界一という主張は、ちょっとインチキです。ネチョ島付近から2キロほどは以前に埋め立てたところですが、この2キロプラスして33.9キロになっています。ギネスブックの事務局も、このことを知っているのでしょうか?


金剛山観光をめぐって

2010-04-28 01:43:51 | 韓国あれこれ
 最近、金剛山観光をめぐって北朝鮮の動きが読めません。

 1998年から始まった金剛山観光は、2007年12月から始まった開城(ケソン)観光とあわせて北朝鮮にとって外貨を稼ぐ大きな収入源でした。いわゆる観光手数料がドルで支払われ、また南からの観光客も金剛山や開城ではドルだけを使っていました。

 この二つの観光事業についてアメリカも難色を示していましたし、韓国の中でもこれで設けたドルでミサイルや核兵器を開発したという声も少なくありません。金剛山は行っていないのでよくわかりませんが、開城観光はコストパフォーマンスでいうとお勧めできない旅行でした。なにしろ日帰り旅行で20万ウォンぐらいしましたが、北への観光手数料が上乗せされているため、このような金額になったわけです。

 いま北朝鮮は、金剛山にある韓国側所有の不動産(現代アサンと観光公社所有)をすべて没収して、第三国の観光業者にまかせるのか、ぎりぎりまで粘って条件を改善して再度韓国側に任せるのか、あるいは観光業自体を中止にするのか、どうも読めません。

 北朝鮮の観光事業を一から準備した現代アサンにとっては死活問題ですし、南北の交流や接点がどんどん狭まっていく気がします。ここ当分は、哨戒「天安」の沈没事件の問題もあって、北との間で対話が行われるのは難しい情勢です。これからも厳しい対立が続いていったとき、どのような解決方法が待ち構えているのか、とても気になります。

 開城観光のポスター

 南側の出入事務所(出入国ではありません)

 山の上に会った売店。

 スンヤン書院で説明するガイド。

 昼ごはんを食べた統一館。


紫雨林(Jaurim) - Ha Ha Ha Song

2010-04-24 03:05:41 | 僕の韓流~ソング&シネマ
 チャウリムというグループがいます。ボーカルのキム・ユナ、ドラムのク・テフン、ベースのキム・ジンマン、そしてリーダーで着たーのイ・ソンギュの4人組。とにかく、最初にテレビでキム・ユナを見たとき、韓国にもすごい女性ボーカルが現れたと驚きました。グループのデビューが97年、僕がはじめてテレビで「Ha Ha Ha Song」を聞いたのが、たぶんユン・ドヒョンというロック歌手が司会をしていた「ユン・ドヒョンのラブレター」という音楽プロだったと思います。スタジオライブの番組だったので、キム・ユナのパワーがひときわ目立ちました。

 このユーチューブの映像はミュージック・ビデオです。まあ、10年近く前のものなので、素朴なところもありますが、なかなか良いですね。聞いてみてください、元気になります。 

Jaurim - Ha Ha Ha Song



ドキュメンタリー「隠された爪あと」

2010-04-23 02:45:57 | 僕の韓流~ソング&シネマ
 連れ合いと話をしていたら、急に思い出して懐かしくなりました。

 まだ日本にいたとき、こんな映画の上映運動にかかわったことがあります。



 もう20数年も前の話なので、知っている方は多くはないと思いますが、このドキュメンタリーは関東大震災のときの朝鮮人虐殺を扱ったものです。今村正平の横浜映画学院(だと思います)の卒業制作として作られたものです。

 監督は呉充功(オ・チュンゴン)という在日2世。たしか84年ぐらいから2年間ほど、上映運動のスタッフをしたことがあります。一般の映画館での上映ではなく、各地の市民団体や学校などで自主上映をするために16ミリフィルムを送ったり、会報をつくったりしていました。

 ビデオ・カメラもほとんど普及していない時代、ドキュメンタリーといえば16ミリ映画でしたね。このあと、在日や韓国をテーマにしたドキュメンタリーが何本か出ましたが、ぼくにとって「隠された爪跡」を超えるものはありませんでした。主人公の「アボジ」のお店にも何度か行ってオモニの作った料理を食べたりしたこともありました。あのとき集まった人たち、いまどこにいるのでしょうか?





ナクトンガン before & after 続き

2010-04-22 02:45:59 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 ナクトンガン before&after は、4大河川日韓市民視察団のとき、アンドンのハフェ村で会ったチユル尼僧が撮影した写真で構成されています。

 チユル尼僧の話がバックに流れていますので、聞き取れた範囲で翻訳してみました。なお、中間に男性の声が聞こえますが、声の主はあのイ・ミョンバク大統領です。 

◎チユル尼僧の話
 大運河にしても、4大河川にしても、その事業が良い悪いを言う前に、私たちが正しく真実を知らなければだめです。万が一、これが本当の4大河川事業なら、「4大河川再生」とは言わずに、「4大河川事業」という正しい名称をもう一度、探さないといけないと思います。
「4大河川再生」などと言っておきながら、ここでは砂を全部かき出して、ここでは木を1本残らず倒して、砂をかき出して川の周辺を土砂で覆いながら、私たちには「生命再生」と言う言葉を用いて、信じろと言って、信じるように努力をしているんです。

◎イ・ミョンバクの演説
 これは4大河川の補完工事と申し上げます。昔のように(?)そんな時代に戻ろうという話しです。生態系も再生し、その周囲に文化を普及させ……

◎チユル尼僧の話
 皆さん全員、諦めてしまうかもしれません。でもそれは駄目です。だから、彼(イ・ミョンバク)が正直になり、嘘をつかないように、私たちが目になって行かなくてはなりません。真実を明らかにする以外に方法はありません。みなさん、写真を見ていかがですか?
もう、誰かを恨んだりする力もありません。いまやとても痛いから、自分自身痛いから、なぜ痛いのか、彼のせいで。本当に自分自身、水に入って、砂に…、皆さんどう思いますか?原因をどうだこうだと言う段階じゃないです、今になっては。早く自分たち(川や自然)を救わないと…。


 ネットをみると、あちらこちらで4大河川事業について批判的な記事やブログを見つけます。なかなかニュースにはなりませんが、4大河川事業に対しての怒りはだんだん広がっているように感じます。


ナクトンガン before & after

2010-04-19 03:47:40 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 韓国の4大河川整備事業は、どんどん急ピッチで進んでいます。

 とくにプサンの横を流れるナクトンガンでは8つのダムが作られるため、ものすごい工事が行われています。ユーチューブで工事の前と工事中の様子を比べている映像を見つけました。それぞれどの地域なのかは、また後日まとめてお伝えしますが、ものすごい工事によってナクトンガンの生態がめちゃくちゃになっていることをご覧ください。

 4大河川事業に関心のある方、疑問のある方、現地を訪ねてみたい方は、ぜひ私まで連絡をしてください。また、ラムサールネットワーク日本では7月上旬に、ナクトンガンを中心にした日韓市民視察団の第2弾を行う準備をしています。ぜひ、多くの方の参加をお願いします。


ナクトンガン before & after



哨戒艦「天安」沈没をめぐって

2010-04-18 01:01:24 | 韓国あれこれ
 4月以降、このニュースがトップで報道されています。

 哨戒船「天安」が沈没したとき、ちょうど日本でNGOの集会があり、韓国人のメンバーから少し聞いただけで、これほどの大事件とは思ってもいませんでした。まだ事件の真相は明らかになっていませんが、1千トン級の船が真っ二つになってあっという間に沈没したのですから、謎だらけです。船の後ろ半分が引き上げられ、船体の中から犠牲者が収容されましたが、まだ8名が行方不明です。

 外部からの衝撃で沈没したのではないかという見解が出され、韓国のマスコミや国会では北朝鮮の魚雷攻撃ではないかという意見が出され始めましたが、早く真相が明らかになってもらいたいです。

 このような事件があるたびに、朝鮮半島の分断と軍事的な南北の対立という問題をいまさらながらですが、痛感します。以前、ブログにも書きましたが、北朝鮮の開城に日帰りで行ったことがありますが、そのときも軍事境界線を超えて北に行ったわけで、50年以上も同じ民族が軍事的に対立している重さを実感しました。

 今回、「天安」が沈没した近くには白翎島(ペンリョンド)という島があります。この江島の近くの岩場にはゴマフアザラシがいて、韓国の環境団体が地元の学生たちと一緒に生態を調査したことがあります。本来なら北朝鮮側も調べるといいのですが、南北の対立のため諦めたと聞きました。韓国、北朝鮮、中国にかこまれた黄海では、これ以外にも調査したり保護しなくてはいけない生物や地域がたくさんあるそうです。一日もはやく、環境保護にために、韓国、北朝鮮、中国が手を取り合って共同で取り組みを始める日が来ることを願っています。

 

静けさを楽しめるコチャン邑城

2010-04-14 04:13:32 | 韓国あれこれ
 全羅北道の高敞(コチャン)郡にある朝鮮時代の城、高敞邑城(コチャン・ウップソン)は、韓国で最も元々の形をとどめている事で有名な史跡です。

 ここの城は、岩で造られた城壁が1.7kmも続き、頭の上に石版をのせで1周すると足の病気が治り、2周すると無病息災、3周すると極楽浄土するという話が伝わっています。城壁は5mから10mぐらいもあって、高いところが苦手な人は目がくらみ足がすくむようなところもあります。

 城の中は、楼閣などの建物以外にも鬱蒼とした森があり、映画のロケなどにも使われるそうです。外の世界とは隔離された雰囲気があり、のんびりとゆっくりするのに最適な場所です。僕が行ったときも、静けさを楽しむたちが何人もいました。

 この邑城のすぐ隣に、パンソリという韓国の伝統芸能をまとめたシン。ジェヒョの生家がパンソリ博物館といっしょに残っていて、邑城を楽しんだ後、ぜひ立ち寄ってみてください。このほかにも、禅雲寺、古代の墓石(ドルメン)、ラズベリー畑とラズベリー酒などが有名です。ソウルからちょっと遠いですが、都会に飽きた人、韓国の田舎が好きな人にはピッタリなところですね。ぜひ、行って見ませんか。


  堂々とした邑城の入口。


  外から入口付近を眺めると…。


  こんな感じで城壁がぐるり一周しています。


 シン・ジェヒョの生まれた家。すぐ隣にパンソリ博物館もあります。



 

クムゴク駅

2010-04-12 05:01:33 | 梧南里(オナムリ)便り~韓国ニュースあれこれ
 久しぶりに梧南里(オナムリ)のことを書きましょう。

 僕のアパートからソウル市内に行くにはバスでチョンリャンリ駅やカンビョン駅に行く方法と、バスで中央線のドノン駅まで出て乗り換える方法があります。

 近くに、と言っても歩ける距離ではありませんが、チョンリャンリとチュンチョン(春川)を結ぶ京春線が通っていますが、日本の植民地時代に作った施設がベースになっていて、単線のため1時間に1本程度しか列車はなく、一番近いサヌン駅は無人駅のため1日に数本しか止まりません。

 先日、隣のクムゴク駅の近くまで行ったので、ついでに駅の写真を撮ってきました。ここは、ちゃんと駅員さんのいる駅で、列車も2時間に1本ぐらいはありました。おじいさんが2人、30分後に来る列車を待っていました。

 この京春線、今年の終わりには複線電化工事も終り、それと同時にクムゴク駅も新しい場所に移ってしまいます。こんなノンビリした駅の風景も、だんだん少なくなっています。新しい施設が出来て、きれいになったり便利になったりするのは良いのですが…。能率や速度だけを重要視する社会が、そろそろ壁にぶち当たっているような気がします。こんなノンビリした駅舎の安らぎをどこかで残したいものです。

◎オマケ◎ 
そういえば、昔、チュンチョンで結婚式をした大学院の先輩がいました。式が終ってから、新郎新婦や大学院の仲間が同じ列車でソウルまで戻ったんですが、途中、列車の故障で1時間ほどストップ。みんなでホームに車座になって酒盛りをしたのを思い出しました。電化されたら、こんなことも出来ないですね。

  駅の全景。人が数えるぐらいしか、いません。

  駅舎の中にはおじいさんが二人だけ。

  ホームもノンビリした雰囲気です。


ソテジのこと

2010-04-09 11:55:28 | 僕の韓流~ソング&シネマ
ソテジ


 今から15年ほど前、僕が高麗大学の大学院に通っていた頃の話です。

 当時、韓国の伝統音楽や民俗学を調べていた関係で知り合った女性から、「ソテジ」という歌手の通訳をしてくれないかと頼まれました。「ソテジ」のお姉さんが彼女の同級生で、お姉さんを通して頼まれたとの事。

 当時、サムルノリやシャーマニズムの音楽や地方の民謡などしか興味なかった僕は、「ソテジ」という言葉を聞いたことはありましたが、それが人の名前なのか、グループの名前なのか、曲の名前なのかもよく分からないといったレベル。アルバイトとして考えて行くことにしました。

 延世大学の裏門の近くにあるソテジの自宅の前に行くと、見るからに記者という格好の人たちがいます。有名なんだなと思いながら、彼の家の中に入って、ソテジと日本から来た音楽関係者の通訳を2日間しました。

 とても素直で純粋な感じの青年でした。自分の好きな曲をいろいろ聞かせてくれて、その中には、坂本龍一のCDもありましたね。自宅の地下にはスタジオがあり(工事中でしたが)、本当に音楽が好きな青年だと感じました。

 当時はまだ90年代の初頭。「ソテジとアイドル」(アイドルとは男の子たちという意味です)は、音楽のスタイルも歌の内容も衝撃的でした。僕も通訳が終ってからあわて「ナンアラヨ(僕は知っている)」というデビュー曲を聞き、スポーツ新聞の芸能欄などを見て、ものすごい有名人だったんだ、後になってから知ったのです。

 それから2週間ぐらいあとのこと。ソテジから電話が来ました。楽器を購入しに日本に行くので通訳として一緒に来てくれないかとの事です。ちょうど大学院の用事と重なっていて、日本には行けませんでした。もし、あの時一緒に日本に行って通訳していたら、いろいろ楽しかっただろうなと、ときどき思い出します。


#ソテジについては下の記事を参考にしてください。

ウィキペディア ソ・テジ