蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

漢字に関する色々なことを発信して行きます。中国語も有りますよ!

「たえる」

2009年09月23日 | 「語句」「言葉」~動詞扁(あ行~な行)
【「たえる」】

≪辞書で調べてみると≫

<堪える 耐える>
(1)苦しさ・悲しさなどに屈せず我慢する。こらえる。
「苦痛に―・える」「孤独に―・える」
(2)他から加えられる力に負けずにもちこたえる。
「風雪に―・える」
(3)負担や任務に対応できる。《堪》
「屋外で使用に―・える」「その任に―・えない」
(4)それをするだけの値打ちがある。…に値する。《堪》
「批評に―・える論文」
(5)(多く「勝ふ」と当てる)すぐれている。秀でている。

<絶える>
(1)続いていた物事が途中で切れる。とぎれる。
「人通りが―・える」
(2)さらに続くべきものが続かなくなる。つきる。
「家系が―・える」
(3)命がなくなる。死ぬ。
(4)縁が切れる。交わりがとだえる。


≪訓読みできる漢字≫


カン/* 慣用:タン kan1
たえる こらえる (たたえる)
0284/02003

<解字(常用字解)>
甚は、鍋を竈の上にかけた形で、”おきかまど”をいう。
竈を土の中に作った「おきかまど」⇒ 堪
  この中で陶磁器を焼いたのであろう。
高温に「たえる」、「すぐれる」の意味



①ダイ/ナイ ②ドウ/ノウ 慣用:タイ
①nai4 ②neng2
たえる <ひげを剃り落とす刑>
≪しのぶ、つよし、たけし≫
0373/02659

<解字(常用字解)>
而と寸を組み合わせた形。
而は、頭髪を切って髷のない人を正面から見た形。
雨乞いをする巫祝(フシュク、神に仕える人)の姿。
巫祝に手を加えて使役(無理にさせる)する形 ⇒ 耐
∴そうされた行為を「たえる」
  「たえる、たえしのぶ」の意味



セツ/ゼチ 慣用:ゼツ jue2
たつ たやす たえる・だえる<かけはなれる><わたる><けわしい> たえて ≪だやし≫
1026/08964

<解字(常用字解)>
音符は色。古くは(斷-斤:の逆形)に作り、織機にかけた織り掛けの糸を切断する形。
糸を「たつ」、糸が「切れる」の意味
のちすべて「たつ、たえる、つきる」の意味


断 斷
①②タン/ダン ①②duan4
たつ(きる)<さばく>(たえる)<思い切って> 
ことわる
0574/04494・04495

<解字(常用字解)>
元の字は、斷。
音符の[斷-斤]は、織機に掛けた糸を二つに断ち切る形。斤は、その糸を切った斤。
糸を断ち切ること ⇒ 斷 断
「たつ、たちきる、きる、たえる」の意味
▲「絶」の構造とよく似ている

<微妙な違い>
絶:切れたその物を表す
断・斷:刃物で斬る事を表す


≪意味合いが「たえる」≫


サン/セン 慣用:ザン zhan3
きる <刑罰の名:うちくび、こしきり>
<たえる、つきる><はなはだ><喪服の一種>
≪きれる、たつ≫
0574/04493

<解字(字統)>
車(戦車)を作る為に木材をきること=伐採。
「きる」→「たつ」⇒「たえる」
∴斬首(ザンシュ=首切り)などと用いる



①②シ/ジ ①zi1 ②zi3
<たえる><こまかい><こ、動物の幼少なもの>
0071/00185



①②ジン/ニン ①ren2 ②ren4
<たもつ> あたる(たえる)<おう、になう><いだく><おとこ気> まかせる まかす <もちいる><仕事><任地>≪いむ≫
0081/00229


勝 勝
①②ショウ/* ①sheng1 ②sheng4
(たえる)<かなう> (あげて) かつ まさる すぐれる ≪まもる、すぐる、さとる、つよし、しげる、まさみ、かつみ≫
0178/01026・01027



カク/* ge1 / (ge2)
おく <さしおく><やめる><とどまる><たえる>
0555/04354



①ドウ/ノウ ②③ダイ/ナイ
①neng2 ②tai2 ③nai4
よく あたう よくする <はたらき><ききめ>
<才能にすぐれている><三本足の亀><たえる>
<はたらき>≪あとう、よし≫
0629/04893


絕 「絶」~「色」の上部が「召」の上の(刀≒人のような・神霊のようなモノ)
セツ/ゼチ 慣用:ゼツ jue2
【たつ たやす たえる・だえる<かけはなれる><わたる><けわしい> たえて】
1026/08965
●「絶」参照


≪ウィンドーズ・IME調べ≫

<耐える>
もちこたえる、「苦痛に耐える」「風雪に耐える」「忍耐」
<堪える>
できる、値する、「聞くに堪えない」「任に堪える」
<絶える>
続いているものがきれる、
「人通りが絶える」「命が絶える」「断絶」
 

~~おまけ①~~

<「忍耐」の関連から>

忍は、靭(靭)(じんたい:靭帯)と関係が有り、靭帯は骨と骨を結びつける強い繊維の束のこと。
その強靭(靭)の意味を人の心に移して、「たえる、しのぶ、がまんする」の意味。

<総評>
堪:熱などの実質的なものごとに「たえる」
耐:心理的な要素を「たえる」
絶:糸が切られる事から本来の持つ機能が「たえる」

斬:木材が切り離されて、その機能を失う・なくなる「たえる」
断:断ち切る為に刃物を用いて「たつ」→「たえる」

~~おまけ②~~
そう言えば「~~たえる」の言葉がこんなにも有ります。
「あたえる」
「うったえる」~次回取り上げる予定です
「きたえる」
「こたえる」
「たえる」~~~今回取り上げています
「たたえる」
「つたえる」


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