蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

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「うったえる」

2009年09月23日 | 「語句」「言葉」~動詞扁(あ行~な行)
【「うったえる」】

≪「うったえる」を辞書で調べます≫
<訴える>
〔「うるたふ」の転〕
(1)物事のよしあしの判断をしかるべき機関や人に求める。判決を請う。告訴や告発をする。
「裁判所に―・える」「奉行所に―・える」
(2)(解決してもらうために)不満や苦痛などを告げる。気持ちを強く述べる。
「空腹を―・える」「悩みを―・える」
(3)(事態の解決のために)強力な手段をもちいる。
「武力に―・える」
(4)相手の心や感覚に強く働きかける。
「その言葉は人の心に―・えるものがあった」「視覚に―・える」

≪訓読みできる漢字≫


ソ/* su4
うったえる うったえ
1204/10927

<解字(常用字解)>
斥の元の形は、[广屰](サク)である。(篆書体でハッキリ判る)
字はまた、“愬(ソ、うったえる)”に作る事が出来る。
“屰”は、両手を広げた人を正面から見た形の“大”を、逆さまにした形。
  ∴向から来る人を上から見た形。
告げにやって建物(广)の下に来て言葉で「うったえる」⇒ 訴



ショウ/ジュウ song4
うったえる(うったえ)<言い争う>~あらそう 
<せめる><易><うたう>
1201/10896

<解字(常用字解)>
公は、宮廷の中の儀礼を行う式場の平面図。
ここで祖先を祭り裁判も行われた。
公の場所でことばを発する ⇒ 訟
 「うったえる、さばく、せめる」の意味
 


①ソ/* ②サク/シャク ①su4 ②se4
うったえる(うったえ)<むかう><おどろく>
0480/03504
●「訴」参照


≪意味合いが「うったえる」≫


ギョク/ゴク yu4
<うったえる><さばく> ひとや <ろうや><つみ:罪>
<おきて>
0854/07125

<解字(蜻蛉)>
犬と犬に言を挟む形。[犬犬](ギン)
犬を生贄にすることによって、審判が行われる。
「うったえる」ことが行われる
~敗れた者をつないで置く所=牢獄
●獄は本字 ?(01825:[囗の中に「獄」])は古字


岸 屽
ガン/* an1
(きし)<がけ、みぎわ><高い><うったえる>
0392/02795・0391/02770
●岸は本字
屽・?(02797:[山厈])・?(02798:[山斥])は俗字

<獄舎の場所の違い>
中央に所在:獄   地方部に所在:岸(屽) 

<解字>
「獄」参照



ショウ/ジュ・ジュウ song4
となえる(そらんずる)<ずんず> よむ <そしる>
<うったえる>
1211/10998
<解字(蜻蛉)>
“甬”が「踊」に通じ、「おどる」ような恰好をして、言葉に出して神に「うったえる」

 

①②ソウ/ショウ ①zheng4 ②zheng1
(いさめる)<とめる><うったえる> あらそう 
いさかい あらそい あらがう ≪いさかう≫
1217/11039

<解字(蜻蛉)>
〝爭”は、上下から引っ張り合うこと
言葉で自分の正当性を引っ張り合いをする。「いさかい」の意味



タク/* zhuo2
<うったえる><悪口を言う、そしる>
1217/11040



ヘン/ベン bian4
<うったえる><言い争う>
1287/11737

<解字(字統)>
辛は、入れ墨用の針の形。誓約する時、誤った事を言ったのから入れ墨の刑を受けると言う意味。
2人並んで誓約すること。
紛争当事者の原告・被告が、誓約して争うこと・「うったえる」こと。


≪関連≫
譖 譛
①シン/* ②セン/*
①zen4 ②jian4
<うそを言ってうったえる> そしる
1229/11143・11144
●譖は本字 譛は俗字

<解字(字統・蜻蛉)>
二つの兂(かんざし)を祝詞を収める器に上に置いて、兂の呪力を用いて言葉をもって「そしる」こと。
相手を「そしる」ことから「うったえる」につながる。


<総評>
訴:公の場所に限らず、人がやって来た所で対象者に「うったえる」
  ~正しいかどうかは、別もの。
訟:法廷など公の所で判事(神格者)に対して、自分の正しさを「うったえる」
  ~正しさがポイント  
愬:〝訴”に準ずる



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