蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

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「おそれる」~Part1

2009年12月26日 | 「語句」「言葉」~動詞扁(あ行~な行)
【「おそれる」】

≪辞書調べをしてみます≫
<恐れる 畏れる 怖れる 懼れる>
《恐・怖・懼》
危害が及ぶことを心配してびくびくする。
危害を及ぼすような人や物と接することを避けたがる。こわがる。
「野獣は火を―・れる」
「相手が去年の優勝チームだからといって―・れるな」
「報復を―・れる」

《恐・懼》
良くないことが起きることを予想し、そうならなければよいが、と思う。
危惧(きぐ)する。
「失敗を―・れていては進歩は望めない」
「資料の散逸を―・れる」

《恐・畏》
神仏などを、人為の及ばないものとして敬い、身をつつしむ。
「神をも―・れぬ不逞の輩」

《恐》
閉口する。恐れ入る。~昔の表現

●〔上代は上二段か四段か不明だが、平安初期は上二段活用が多い。平安中期に下二段にも活用するようになり、中世以降は下二段活用のみとなった〕


≪「おそれる」と訓読みする漢字≫


①②キョウ/ク ①②kong3
おそれる(こわがる)<おどす> おそろしい (こわい)(おそらくは)≪おそれ≫
字統:202
常用字解:125-3
0472/03439・03440

<解字(常用字解)>
工 と 丮(両手に物を持つ形) とを組み合わせた形。
巫祝が、左の手に持つ呪具である「工」を手に持つ形。
呪具である「工」を両手で持ち、高く掲げて神に祈り、神を迎える時のしぐ ⇒ 巩([工丮])
神に対して、おそれ畏まる心持ち ⇒ 恐
神以外にも「おそれる、かしこまる」の意味



イ/* wei4
おそれる <つつしむ> かしこし かしこまる ≪かしこい≫≪おそれ≫
字統:018
0884/07452

<解字(字統・蜻蛉)>
鬼の頭を持つものが、杖を手に持つ形。
杖は、老人だけが許され、それを持つものは尊ばれる。尊ばれる事から、「霊力を持つ」とされる。
“畏”は、尊ばれる対象のこと。



ホ/フ bu4
おそれる おじる こわい(おののく)≪おそれ≫
字統:766
常用字解:549-3
0488/03606

<解字(常用字解)>
説文に“悑”を正字として「惶るるなり=おそるるなり」として、“怖”を異体字としている。
“悑”の音符は、甫。
布・甫は、恐怖心を持った時の心の状態をあらわしたのであろう。 
「おそれる、おののく」の意味

<解字(漢語林)>
“甫”は“怕”に通じ、「おそれる」の意味。
●怖・悑は同字 悑は怖の別体



ク/グ ju4
(おそれる)<つつしむ><おどろく><おどす> 
字統:227
0504/03842

<解字(字統・蜻蛉)>
音符の“瞿”は、鳥が左右を見て驚くさまの事。
“忄(心)”を付して、「おどろく、おそれる」気持ちのこと。
●惧は懼の俗字



キョウ/コウ qie4
おびえる ひるむ おそれる <いくじがない>
字統:199
0487/03588

<解字(字統)>
“去”は、追放する事を意味。
“怯”は、追放の刑を受ける心情
※法~灋:廌という神獣と共に川へ流されること



①チュツ/チュチ ②シュツ/シュチ 慣用:ジュツ
①chu1 ②xu1
おそれる <いたむ><いざなう>
0487/03594



①ハ/* ②ハク/ヒャク ①pa4 ②bo2
おそれる <こわがる><おそらくは><しずか>
0488/03604

<解字(蜻蛉)>
“白”は、野外のされ白くなった頭蓋骨のこと。
霊力が有るとされている。
その白い頭蓋骨の霊力を信じて、恭しく思いながら、願い叶える為に拝んでいること。



キョウ/ク xiong1
おそれる <びくびくする>
字統:201
0489/03620

<解字(字統)>
“凶”は、死者の胸に呪禁の意味で「×」の文身を加える。それを身体の横から見た形の「勹」に加えて、“匈”とする。「胸」の初文。
“恟”は、胸に強い動悸を覚えること。



キョウ/コウ kuang1
おそれる おびえる
0489/03622

<解字(漢語林)>
“惶”に通じ、「おそれる」の意味。
※恇:忄+匩(キョウ)



ショウ/シュウ song3
おそれる <あわせる>
0492/03656

<解字()>
“束”は、たばねた「たきぎ」の象形。
「ひきしまる・ちぢまる」の意味。
“悚”は、心が引き締まる「おそれる」の意味。

ク/グ ju4
おそれる ≪おそれ≫
0493/03675

<解字>
“懼”参照
●惧は懼の俗字



テキ/チャク ti4
つつしむ おそれる うれえる <おどろく>
0495/03694

<解字(漢語林)>
“易”は、色を変えるの意味。
“”は、顔色を変えておそれる・おどろく」の意味。
●・悐 =[狄/心]は同字



コウ/オウ huang2
おそれる(あわてる)<にわか>
字統:318
0496/03716

<解字(蜻蛉)>
“怕”のように、霊力のある“白”を祀る君主の資格のある“皇”を、恭しく思う心持ち。



スイ/* 慣用:ズイ zhui4
おそれる <うれえおそれる><びくびくする>
字統:506
0496/03721

<解字(字統)>
“耑”は、長髪の巫祝の正座する姿。
“惴”は、巫祝が行う祈祷の効力が有ることを願うて、おそれ憂える心のこと。



チョウ/ジョウ ①die2 ②tie1
おそれる <しずか>
0497/03729



リツ/リチ li4
おそれる おののく <いたむ>
字統:910
0499/03760

<解字(漢語林)>
“栗”は「いがのあるくり」の意味。
“慄”は、「いが」を見て心の中で「おそれる」の意味。
◆戦慄



シュウ/* she4
おそれる <おどす、おびやかす>
字統:464
0499/03768

<解字(字統・蜻蛉)>
“習”は、祝詞の入った器を羽で擦り刺激をして、その願を達成する呪儀のこと。
“慴”は、その目的が達成できるかどうかを憂いおそれる気持ち。



リン/* lin3
<こころのひきしまるさま> おそれる
字統:926
0503/03821

<解字(字統・蜻蛉)>
“稟”は、米倉と禾とを組み合せた形。
本来は、祭祀料として賜うものの事。
“懍”は、祭祀料として恭しく賜う・献上する気持ち。
●懍は本字 懔は俗字



ショウ/* she4 (zhe2)
おそれる <おどす><したがう>
字統:472
0504/03843

<解字(字統)>
“懾”は、おそれて失神すること。



コウ/ク kou1
<熟語:怐愗:おそれるさま>≪おそれる、おろか≫
0487/03591



ク/* ju4
<みる><おどろく><おそれるさま>~おそれる 
0926/07915
<解字(字統)>
“瞿”は、鳥が左右を見て驚くさまの事。
「驚きおそれる」こと。
 


キョウ/ク xiong1
おそれる わるい
字統:195
0124/00666

<解字(字統)>
“凶”は、使者の胸に呪禁として「×」の文身を加えた形。
邪悪な霊を封じる事を意味する。
“兇”は、このような呪靈を持つ人物のことで、恭しく思われる。



キョウ/コウ jing1
つつしむ おそれる(きそう)<かたい><つよい>≪つよし≫ ∴戦戦兢兢:センセンキョウキョウ
字統:206
0128/00696

<解字(字統・蜻蛉)>
二人並んで祈祷する姿。
尊ばれ恭しく思われる。「おそれる」対象となる。



カク/* he4 xia4
<おどす> おそれる 
0221/01292
★吓死我了:おどかすなよ(中国語)

(続く)


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