嫌われる小沢一郎 復活の有無/ 3年数カ月の苦しい期間だったが、活躍の場を与えて貰えれば有難い

2012-04-20 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

小沢一郎はそれほどの悪者か   嫌われる小沢一郎 復活の有無

         

日刊ゲンダイ4月20日(金)
 彼は金銭疑惑につきまとわれたが誰も真相を究明できず検察特捜部も立件できなかった。怪しい人物と噂されながら政界に隠然たる力を持つ彼を否定し追放する必要はなぜなのか
 4・26判決を前にして小沢の増税反対は悪などの新聞記事は一体何が目的なのか
 小沢一郎・元民主党代表もとことん、嫌われたものだ。改めて、そう思ったのが最近の新聞記事である。14日の朝日新聞は編集委員のコラム「記者有論」で、こう書いていた。
〈(小沢氏の増税反対論は)総選挙を意識し、とにかく消費増税を避けたいと言っているようにしか思えない。無駄をなくすまで増税するなというのなら、先送りのための論法としか思えない。それは政治家として責任ある態度とはほど遠い〉
 かと思えば、13日の毎日新聞夕刊。「政治の流れどこへ」という座談会を掲載していたが、そこで政治アナリストの伊藤惇夫氏は「最近の小沢氏には焦りを感じる」とバッサリだった。
〈執行部への反論といえば、「マニフェストを守れ」ばかり。ところが、マニフェストを実現できると思っている国民はほとんどいない〉
 もちろん、そういう部分もあるのだろうが、あえて、この時期に小沢批判を集中させるところが大メディアの嫌らしさだ。
 小沢の裁判はフダツキ検事によるでっち上げ調書に基づく不法、不当な強制起訴だったことが明らかになった。ゼネコンからの裏ガネを裏付ける証拠は何ひとつなく、小沢の金銭醜聞は「妄想」だったことがハッキリした。
 ふつうだったら、民主党内やメディアから「こんな裁判は無効だ」「すぐやめろ」の声が出なければおかしい。まして、小沢は今なお、政界一の影響力、行動力を兼ね備えた実力政治家なのである。
 ところが、現実には驚いてしまう。野田政権は疑惑が晴れた実力者、小沢を切り捨て、あろうことか、自民党と組もうとしているし、その自民党の谷垣総裁は「小沢を切ってこい」なんて、エラソーに言う。大メディアはというと、今度は小沢の主義主張に“イチャモン”だから、どうかしている。
なぜ小沢はかくも嫌われるのか
「小沢の金銭醜聞が炸裂していたときは金権・ダーティー政治家と批判し、その疑惑がどうやら無罪になりそうになると、今度は主義主張にケチをつける。それが大メディアのやり方です。どうしても小沢氏を悪者にしたいのです。その方が自分たちの考え方を主張しやすい。だから、小沢氏を仮想敵にして叩くのです」(政治評論家・野上忠興氏)
 小沢の反増税という当たり前の主張が「無責任」となり、「マニフェストを守れ」という、これまた当然の主張も「非現実的な原理主義」みたいに言われてしまう。小沢の言うことはすべて悪。こういう論理だ。もうムチャクチャなのだが、大メディアがこうなった裏には事情がある。朝日新聞OBで政治評論の国正武重氏はこう言った。
「報道の基本はいつ、どこで、誰がどうした、ということです。これは政治家にも当てはまって、例えば、橋本龍太郎元首相は懇切丁寧に説明して、自分への理解を求めた。ところが、金丸信・元自民党副総裁は対極の立場で、“田中角栄が黒といえば、サギでもカラスになる、それが派閥の論理だ”と言い放った。それを踏襲しているのが小沢氏で、何の説明もなく“オレについて来い”というのです。小沢氏は国政を担える実力政治家だと思いますが、あまりにも説明が不足している。そこにメディアも政治家もついていけないのです」
 別のベテラン記者はこう言った。
「今の論説委員クラスは一様に小沢氏に煮え湯を飲まされている。小沢氏が自民党を離れ、細川政権で小選挙区比例代表制導入、政治改革を断行する際には、メディアも協力的だったのです。ところが、蜜月は短く、あっという間に、連絡がつかなくなってしまう。こうした私怨私憤が小沢憎しの紙面につながっているのです。今、小沢番の若い記者が小沢氏の主張を真摯に取り上げようとしても、上層部はいい顔をしない。例えば、小沢氏は野田首相に消費税引き上げを引っ込めれば協力するといっているのに、前半部分だけが取り上げられて、あたかも倒閣宣言したような表現になる。これに野田政権が反応する。まるで喧嘩をあおっているようですが、これは大メディアの上層部の意思なのです」
 だから、小沢はかくも嫌われる。いくら正論を主張しても賊軍にされてしまう。こういう構図が厳然とあるのだ。
 たとえ無罪でも永遠に続くバッシング 
 こうなると、小沢裁判の後が心配になってくるのだ。有罪であれば、かさにかかったようなバッシング報道が相次ぐだろうし、たとえ無罪になっても、メディアの小沢批判のトーンが弱まるとは思えない。検察審査会の指定弁護士が無罪判決を不服とし、控訴すれば、「判決確定」を条件にしている民主党の小沢制裁、つまり、「判決確定まで党員資格停止処分」は解除されない。最高裁まで争うような事態になれば、あと何年も裁判が続いてしまう。この間、小沢批判がエスカレートする。「もう過去の人」報道が続く。何だかんだ言って、政治家には“旬”みたいなものがある。一番脂が乗り切っているときに活躍しなければ、やっぱり苦しくなる。
 結局、小沢の復権は難しく、封じ込められてしまうのではないか。こうした懸念は小沢系の議員からも根強く指摘されているのである。
 判決後の見通しについて、前出の国正武重氏はこう言った。
「無罪を勝ち取ったからといって、小沢氏が天下国家を取れるのかというと、違うと思う。国民だって、ポスト野田は小沢さんという空気にならないでしょう。小沢氏は黒子に徹し、本当に民主党政権を立て直せる人材を出すことができるかどうか。その人物に政治生命を託せるかどうか。そこにかかっていると思います」
判決にかかわらず小沢は即、行動を起こせ
 ここまで嫌われてしまった小沢はやはり、すぐに復権とはいかないのだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「だから、小沢氏は裁判に関係なく、行動を起こすことだ」と力説する。
「今の政治状況はどうにもならない。何も決められない。誰も責任を取らない。ただ官僚の言いなりで、日々の政権運営が動いていく。そうした絶望的な政治状況をもっとも知っているのが小沢氏です。小沢氏は昨年の暮れあたりから、覚悟を決めているように見える。もう、野田政権には任せられない。政権の暴走をストップさせるにはありとあらゆる手段を講じる。そういう覚悟です。だとすれば、判決はどうでもいいのです。有罪か無罪かで、日本の行方が変わるようであってはならない。判決と小沢氏の政治行動をリンクさせるべきではない。小沢氏は好きなようにやればいい。有罪か無罪かで、ついていく人数に多少の変化はあるでしょうが、行動を起こすべきです」
 小沢が民主党内で復権するシナリオは考えにくい。しかし、政界再編を含めてまだまだ暴れて欲しいし、そうするべきだ。こうした期待は厳然とある。もともと小沢は政界再編論者だし、今の政治状況はどうにもならないからだ。民主党が自民党化し、消費税引き上げのための大連立が具体化する異様。そうなれば、大政翼賛会になってしまうが、それに「ノー」を突きつけ、暴れようとしているのが危険な橋下大阪市長だという悲劇。だとすると、この国をマトモに戻し、民主主義を根付かせるにはどうしたらいいのか。最後は剛腕政治家による政界再編ということになる。
 とことん嫌われている小沢が復活できるとしたら、既成の枠組みでは考えにくい。それを一番知っているのは小沢本人であることは言うまでもない。
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〈来栖の独白2012/4/20 Fri.〉
 概ね同感。だが、少し独白。
 やはり、私は、無罪判定を切望しないではいられない。
 「無罪」判決なら、情況は変化するのではないか。証拠の大半が不採用となり無罪が予想されただけで、メディア各紙は競って小沢さんにインタビューを求めたではないか。
 「有罪」判決なら、小沢一郎氏の政治生命は終わる。確定判決を待たない。1審判決の重みは途方もない。ここを検察は狙った。
 そもそも、最終的に「有罪」で縛ることが検察の目的ではなかった。ダーティなイメージを小沢氏に塗り付ければ、それで事足りる。葬ることができる。「有罪」が取れるなど、検察は考えていなかったかも。「強制起訴」されただけで、小沢氏は座敷牢に押し込められた。
 4・26が近づくにつれ、胸が苦しい。何としても、「無罪」がほしい。小沢氏の名誉のために。そして、司法に正義が存在していると確認し、安心したい。
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小沢元代表、無罪を期待=問責「民主に汚点」
 民主党の小沢一郎元代表は20日、政治資金パーティーを都内で開いた。出席者によると、元代表は自身の政治資金規正法違反事件で26日に東京地裁で言い渡される判決に関し「(捜査開始から)3年数カ月の苦しい期間だったが、私の裁判も答えが出る。皆さんの純粋な気持ちが天に届いて、活躍の場を与えてもらえればありがたい」と述べ、無罪に期待を示した。
 また、参院本会議で前田武志国土交通相と田中直紀防衛相の問責決議が可決されたことについて「非常に残念だ。もう5、6人目だ。民主党に汚点を残すことになる」と語った。(時事通信 2012/04/20-13:24)

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